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初音ミク - 芸団協CPRA「SANZUI」バックナンバー
SANZUI vol.06_2015 winter

特集とくしゅう うたう

わたしたちは、うたうことできている。
さまざまな人生じんせいうたでつながるひとがいる。
うなることで、言葉ことばはるとおくまでつたえられるひとがいる。
自分じぶん自身じしんという楽器がっきからせい歌声うたごえかなでるひとがいる。
次元じげんえて、あいのメッセージを発信はっしんするひとがいる。
ジャンルも表現ひょうげんちがうけれど、みな、うたうことをしんからたのしんでいる。
みな、うたうことできている。

はつおとミクバーチャル・シンガー
リアルとバーチャルの境界きょうかいえ、世界せかい席巻せっけんするしんしいかたち

Photo / Ko Hosokawa   Text / Tomonori Shiba

 「いる」と「いない」、リアルとバーチャルの境界きょうかいせんけているかのような、不思議ふしぎ感触かんしょくがそこにはあった。1まんにん以上いじょう観衆かんしゅうあせまみれになってライブをたのしんでいる。その視線しせんさきには、4にん演奏えんそうしゃ透明とうめいスクリーンにCGでうつされた1人ひとりのキャラクター、はつおとミクがいる。もちろん、その全員ぜんいんまえうたっているのが映像えいぞうのキャラクターであることをっている。しかし、実際じっさいにライブを体感たいかんするとその生々なまなましい実在じつざいかんおどろかされる。かつてはオタク文化ぶんかのイメージとともにげられることもあったはつおとミクだが、いまや中高生ちゅうこうせい女子じょしにも浸透しんとう。キャラクターは幅広はばひろあいされファンそうひろがっている。

初音はつねミクを創作そうさく文化ぶんかいま発信はっしんする」というコンセプトのもと、2かいめをむかえた今年ことし東京とうきょう大阪おおさかの2かしょ開催かいさいされたイベント「初音はつねミク『マジカルミライ 2014』」。そのプロデューサーをつとめたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社かぶしきがいしゃ以下いかクリプトンしゃ)の関本せきもと亮二りょうじさんは「バンドのなま演奏えんそう一緒いっしょうたっていることがおおきい」とかたる。

「やっぱりとなり人間にんげんがいるということが大事だいじなんです。映像えいぞうだけだと、どうしても画面がめんているのとおなじになる。それだとすぐにきてしまう。でも実際じっさいにバンドと一緒いっしょにライブをすると、はつおとミクがその本当ほんとうにいるんじゃないか?と錯覚さっかくしてしまうような臨場りんじょうかんまれる。おきゃくさんも、普通ふつうにアーティストのライブをているのとわらないかんじでています。ミクが『今日きょうえてよかった』とかたりかけるのをなみだながしているひともいます」

 そもそもはつおとミクが登場とうじょうしたのは2007ねんのこと。ヤマハが開発かいはつした歌声うたごえ合成ごうせい技術ぎじゅつ「VOCALOID」をもちい、コンピュータでだれもが簡単かんたんうたつくすことができる「ボーカロイド・ソフトウェア」として彼女かのじょあらわれた。開発元かいはつもとのクリプトンしゃふくめ、その時点じてんでこんな熱狂ねっきょうまれる現在げんざい風景ふうけい想像そうぞうしたひとだれもいなかったはずだ。

 ムーブメントをささえるになとなったのは、はつおとミクをうたわせてきょくつく動画どうが投稿とうこうサイトに発表はっぴょうした「ボカロP」とばれる数々かずかずのミュージシャンだった。さらには、きょく刺激しげきけたイラストレーターがはつおとミクのえがき、きなきょくにミュージックビデオをつける映像えいぞう作家さっか登場とうじょうするなど、プロとアマチュアの垣根かきね様々さまざまなフィールドのクリエイターたちがはつおとミクを媒介ばいかいにこぞって創作そうさくひろげた。当初とうしょはネットじょうだけにあったその熱気ねっきも、ライブイベントがおこなわれることでえるかたちひろがっていった。

「キャラクターとしてこのんでいるひともいますが、実際じっさいにソフトを使つかっているうちに、自分じぶんがプロデュースしている感覚かんかくられるので、『初音はつねミクをどうせるか?』と本気ほんきかんがえるようになって、次第しだい感情かんじょう移入いにゅうしていくひとおおいです」

 無数むすうのクリエイターにささえられひろまっていったはつおとミク。ききてつくしゅ渾然一体こんぜんいったいとなったまれたことが、その歌声うたごえへの愛着あいちゃく秘密ひみつとなった。そして、その熱気ねっきは、いまや海外かいがいにもひろがってきている。2014ねんにはイベント「HATSUNE MIKUEXPO」がインドネシアやアメリカで開催かいさいされた。21世紀せいきまれたデジタルな「うた」が、日本にっぽんはつ最先端さいせんたんのポップカルチャーとして世界せかい席巻せっけんしつつあるのだ。


PROFILE バーチャル・シンガー。ヤマハが開発かいはつした歌声うたごえ合成ごうせい技術ぎじゅつVOCALOIDをもちい2007ねんにクリプトン・フューチャー・メディアが歌声うたごえ合成ごうせいソフトウェアを発売はつばい。そのパッケージイラストとしても注目ちゅうもくあつめる。発売はつばい多数たすうのユーザーによって彼女かのじょうた楽曲がっきょくつくられた。公式こうしき設定せっていによれば「16さい身長しんちょう158cm、体重たいじゅう42kg」。(※情報じょうほう発行はっこう当時とうじ

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