「大相撲おおずもう夏場所なつばしょ・千秋楽せんしゅうらく」（２６日にち、両国りょうこく国技こくぎ館かん）

　新しん小結こむすび大だいの里さとが阿おもね炎ほのおを破やぶって１２勝しょう３敗はいで初はつ優勝ゆうしょうを果はたした。初はつ土俵どひょうから所要しょよう７場所ばしょ目めの初はつＶ。今年ことし春場所はるばしょの尊みこと富士ふじの１０場所ばしょを上回うわまわる史上しじょう最速さいそくで、幕下まくした付つけ出だしでも１９７２年ねん夏場所なつばしょの輪島わじまの１５場所ばしょ目めを上回うわまわる史上しじょう最速さいそく優勝ゆうしょうとなった。

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　愛息あいそくの勇姿ゆうしに涙腺るいせんは崩壊ほうかいした。父ちち・中村なかむら知幸ともゆきさん（４８）は、大だいの里さとの優勝ゆうしょうが決きまると大おおきく口くちを開あけ、両手りょうてでガッツポーズ。自身じしんも相撲すもう経験けいけん者しゃで、幼少ようしょう期きから胸むねを合あわせてきただけに「うれしい。賜杯しはいを抱だいてくれることを夢見ゆめみていた。『信しんは力ちからなり』ですよ。（入門にゅうもんから）１年ねんでこういうことになるとは思おもっていなかった」と誇ほこらしげに語かたった。母はは・朋子ともこさん（４８）も「昨日きのうから落おち着つかなかった。わが子こですけど頼たのもしい」と涙なみだ。妹いもうと・葵あおいさん（２０）は「遠とおい存在そんざいみたい。自慢じまんの兄あに」とほほえんだ。

　家族かぞくも陰かげで支ささえていた。２日にち目めに黒星くろぼしを喫きっした高安たかやす戦せんで足あしをひねっていた大だいの里さと。父ちちには「痛いたい」と本音ほんねを漏もらしていたという。「休場きゅうじょうは考かんがえてないのか？」とＬＩＮＥで聞きくと、返かえってきたのは「休場きゅうじょうするわけがない」と力強ちからづよい言葉ことば。それを聞きいた知幸ともゆきさんは「痛いたい足あしでも地ちに足あしを付つけて頑張がんばれ」と決断けつだんを後押あとおしした。朋子ともこさんは、初日しょにちに強つよ運うんや厄除やくよけの御利益ごりやくがあるとされる小網こあみ神社じんじゃに必勝ひっしょう祈願きがん。自分じぶんのことのように緊張きんちょうし、日ひに日ひに痛いたくなる腹痛はらいたをこらえながら、毎日まいにち息子むすこの無事ぶじを祈いのっていた。

　大学だいがくで「プロは難むずかしい」と言いわれたこと、学生がくせい横綱よこづなとしてデビューして注目ちゅうもくされ続つづけたこと、先さき場所ばしょで優勝ゆうしょうを逃のがしたこと。逆境ぎゃっきょうに立たち向むかう姿すがたはいつも近ちかくで見守みまもってきた。つかんだ幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょう。「やられたらやりかえす男おとこ。歩あゆんできた道みちはエリートと言いわれるけど彼かれは雑草ざっそう。信念しんねんがすごい。それが彼かれの強つよみです」と知幸ともゆきさん。一緒いっしょに手てを上あげて喜よろこぶ集合しゅうごう写真しゃしんでは、家族かぞくの笑顔えがおがひときわ輝かがやいていた。