日本の伝統色について - 京都ちりめん友禅和一 | ちりめん生地専門店

日本にっぽんの伝統でんとう色しょくについて

昔むかしからある和風わふうの色いろは、昔むかしの人々ひとびとの知恵ちえと工夫くふうによっていろんな色いろが生うみ出だされてきました。
ここでは伝統でんとう的てきな染織せんしょくの方法ほうほうや、色いろにまつわるエピソードの一いち例れいをご紹介しょうかいします。

日本の伝統色について

朱色しゅいろ（しゅいろ）

赤あか系統けいとうの色いろは、太陽たいようによって一いち日にちが「アケル」という言葉ことばから「アカ」になりました。
朱色しゅいろはわずかに黄きがかった赤あかの代表だいひょう的てきな色いろで、太陽たいようの色いろともいえます。
朱しゅは土どの中なかからとれる、水銀すいぎんが硫化りゅうかした顔料がんりょうで、
日本にっぽんでは縄文じょうもん時代じだいには朱しゅが使つかわれていたとされています。

桜さくら色しょく（さくらいろ）

満開まんかいに咲さいた桜さくらの花はなびらに見みられる、ほんのり色いろづいた淡あわい紅色こうしょくで山桜やまざくらの桜さくら色しょくをいいます。
現代げんだいでは本物ほんものの桜さくらの樹きで染そめる向むきもありますが、本来ほんらいは紅花べにばなか蘇芳すおう（すおう）で染そめるのが正当せいとうです。

紅花べにばな：キク科か
日本にっぽん女性じょせいの口紅くちべにやほお紅べににも使用しようされてきた花はな。
蘇芳すおう：マメ科か
樹木じゅもくの芯しんに赤あかい色素しきそが含ふくまれている。やや青あおみのある赤あか。

江戸紫えどむらさき（えどむらさき）

「ムラサキ」という名前なまえの植物しょくぶつの根ね（紫根しこん）から染そめた、青あお味あじの紫色むらさきいろで江戸えどの町人ちょうにんが好このんだ高貴こうきな色いろです。
江戸紫えどむらさきが青あお味あじの紫むらさきであるのに対たいし京紫きょうしが赤あか味あじの紫むらさきと言いわれていますが、それには何なんの根拠こんきょもないという説せつもあります。
いつの時代じだいも紫根しこん染しみは高価こうかなものでしたので、蘇芳すおうを重かさねるなどしてあらわした「似に紫むらさき」（淡あわい紫色むらさきいろ）などが一般いっぱんに流行りゅうこうしました。

紺こん（こん）

濃こく深ふかく、藍あいで染そめた色いろで、少すこし紫色むらさきいろか赤色あかいろを帯おびた色いろです。
桃山ももやま時代じだいから江戸えど時代じだいにかけ、木綿もめんが普及ふきゅうするとともに藍染あいぞめが盛さかんになり、紺屋こんや（こうや・こんや）が地方ちほうの村むらや町まちに出現しゅつげんしました。
紺屋こんやはもとは藍染あいぞめ屋やのことでしたが次第しだいに染物そめもの屋やの総称そうしょうになりました。
最もっとも濃こい藍色あいいろのことを「留とめ紺こん（とめこん）」、黒くろみのあるものを「鉄てつ紺こん」、紫むらさきがかったものを「茄子紺なすこん」などとよびました。
藍あい：タデ科かの一いち年ねん草くさ。
葉は・茎くきから藍あい染ぞめの染料せんりょうをとり、京都きょうと・大坂おおさか・阿波あわが産地さんちとして知しられた。
古ふるく中国ちゅうごくから渡来とらいしたとされる。

松葉まつば色しょく（まつばいろ）

松まつの葉はの濃こい黄き緑色みどりいろをいいます。
「マツ」は神様かみさまがその木きに降おりてくるのを待まつということからその名ながついたと言いわれています。
松まつは年中ねんじゅう葉はの色いろが緑みどりの常緑樹じょうりょくじゅで長寿ちょうじゅ・不変ふへんのシンボルとされています。
蓼たで藍あい（たであい）と刈安かりやす（かりやす）の掛かけ合あわせで染そめます。

蓼たで藍あい：藍あいの別名べつめい。
刈安かりやす：イネ科かの多年草たねんそう
山地さんちに群生ぐんせいし、古ふるくから黄色おうしょく染料せんりょうに使用しようされている。

山吹やまぶき色しょく（やまぶきいろ）

桜さくらが散ちった頃ころに赤あか味あじの黄色おうしょくの花はなをつける、バラ科かの山吹やまぶきの花はなの色いろをいいます。
支ささえ子こ（くちなし）の実みを煎せんじて染そめ、蘇芳すおう（すおう）を重かさねると赤あか味あじが加くわわり山吹やまぶき色しょくになります。

支ささえ子こ：アカネ科か
初夏しょかに白しろい花はなを咲さかせる。実じつは赤あか味あじのある黄色おうしょく。食品しょくひんの黄色おうしょくにも使つかわれる。

柿かき渋茶しぶちゃ（かきしぶちゃ）

渋柿しぶがきの実みを青あおいうちに搾しぼり、その液えきを二に年ねん程ほどおいて自然しぜんに発酵はっこうさせたものの上澄うわずみ液えきを布ぬのなどに塗ぬった茶色ちゃいろをいいます。
江戸えど時代じだいの頃ころ、庶民しょみんには幕府ばくふが出だした「奢侈しゃし取締とりしまり令れい」により、高価こうかな織物おりものや染物そめものなど鮮あざやかな色彩しきさいのものが禁きんじられていたため、規制きせい外がいであった茶色ちゃいろや鼠色ねずみいろが流行りゅうこうしました。
四よん十じゅう八はち茶ちゃ百ひゃく鼠ねずみと言いわれるとおり、数すう十じゅう種類しゅるいもの茶色ちゃいろと鼠色ねずみいろがあり、歌舞伎かぶき役者やくしゃや文化ぶんか人じんなどの名前なまえを付つけた「団だん十郎じゅうろう茶ちゃ」「利休りきゅう茶ちゃ」など、さまざまなおもしろい色いろ名めいが付つけられていました。