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今年気に入っているミニ・アルバム

今年ことしっているミニ・アルバム

三田みたかく Oct 05,2022 UP

 人類じんるい全体ぜんたいただしい方向ほうこうがしない今日きょうこのころですが、みなさんはどうおごしでしょうか。ぼくはワクチンのふく反応はんのう左腕さわんいたみます。4かいもワクチンをつと政府せいふによってチップをまれたりするのも抵抗ていこうがなくなりそうでこわいです。さて、今年ことしはいいなとおもうミニ・アルバムがおおく、しかし、ミニであるがゆえにレヴューなどでげにくかったので、まとめて紹介しょうかいしてみました。ははは。それにしても藤田ふじたニコルは吉野家よしのやには似合にあわない。


Ben Lukas Boysen - Clarion Erased Tapes Records

 ベルリンからヘック(Hecq)名義めいぎられるiDMのプロデューサーによる7thアルバム『Mirage』から“Clarion”をカット。やさしくゆったりとビルドアップされていく原曲げんきょくがとてもいい。ミニマル・テクノとモダン・クラシカルを柔軟じゅうなんむすびつけることでシルクのようなテクスチャーをしたアイスランドのキアスモス(Kiasmos)によるリミックスはベースをしたトランスふう食品しょくひんまつりによる“Medela”のリミックスはヨーロッパの黄昏たそがれをドタバタしたジュークに改変かいへんし、モグワイもタンジェリン・ドリーム調ちょうの“Love”を強迫きょうはくてきにリミックス。新曲しんきょく2きょくはポリリズムやリヴァーブをかせたしあわせモード。


Andy Stott - The Slow Ribbon Modern Love

 ウクライナ支援しえん目的もくてきとして3がつ18にちから24にちまでいち週間しゅうかんだけ限定げんてい配信はいしんされた7thアルバム。支援しえん優先ゆうせんしたからか、全体ぜんたいてきには完成かんせい印象いんしょうもあり、とおしてくのはすこしかったるいものの、最後さいごまで仕上しあげたらすごいアルバムになるのではないかというかんをはらんだ作品さくひん。ほとんどすべてのきょくぎゃく回転かいてん多用たようされ、極端きょくたんおそいテンポ、あるいはベーシック・チャンネルそのものをスロウで再生さいせいしているような“Ⅲ”かとおもえば無機質むきしつさが際立きわだつ“Ⅴ”など、中心ちゅうしんとなるアイディアは「ベーシック・チャンネルをJ・ディラがミックスしたらどうなるか」というものではないかと。これらにリバーヴのループがしつこくかえされる。


Mass Amore - Hopeless Romantic Not On Label

 デンマークからなぞのドローン・フォーク。いきなり回転かいてんすうおそくしたヴォーカルでうたう「わたしはあなたをあいしているけれど、見返みかえりはなにもいらない~」。そして、そのまま恍惚こうこつとしたような世界せかいかんがずるずると持続じぞくしていく。今年ことしもっと気持きもわるいのはレヤ(LEYA)の2さく『Flood Dream』だとおもっていたけれど、マス・アモーレもかなりなもので、アースイーターが全開ぜんかいにしたとびらは〈4AD〉リヴァイヴァルをとおしてもはや退廃たいはいきわみへとたっしている。エーテル・ミュージックやドリーム・ポップという範疇はんちゅうはもはやえてシガー・ロスさえ堅苦かたくるしくおもえてくる。


33EMYBW & Gooooose - Trans-Aeon Express SVBKVLT

 エイフェックス・ツインとのコラボレートでられるウィアードコアがロックダウンちゅう幻想げんそうてき新幹線しんかんせん時空じくうたび題材だいざい北京ぺきんひらいたはつエキジビジョン「オリエント・フラックス」で、そのサウンドめん担当たんとうしたハン・ハンとウー・シャンミン(とも上海しゃんはいもとダック・ファイト・グース。くわしくは『テクノ・ディフィニティヴ改造かいぞうばん』P245)がその延長線えんちょうせんじょう作成さくせいした7きょくり。2人ふたりきょく交互こうごならべたもので、いつものブレイクビーツ・スタイルからはなれてリスニング・タイプを志向しこうし、とくにグースことハン・ハンがあらたな側面そくめんせている。


Coco Em - Kilumi Infiné

 パリはアゴリアのレーベルからケニヤのエマ・ンジオカによるデビューさく。パンデミックで映像えいぞう仕事しごとまり、ロックダウンちゅうショ・マジョジがフリーで提供ていきょうしていたビートを使つかっておこなわれた「セナ・アラ(Sena Ala)チャレンジ」に手応てごたえを音楽おんがく制作せいさく本格ほんかく。ラテンからアフリカにぎゃく輸入ゆにゅうされたリンガラ(ルンバ)につよ影響えいきょうけ、60年代ねんだいにケニヤ東部とうぶのカンバで流行はやっていた音源おんげんをサンプリングし、トラップやアマピアノなどとミックスしたハイブリッド・タイプ。不穏ふおんはじまりからヒプノティックなドラミングがえ、伝統でんとうとモダンのかべえたタイトルきょくや“Winyo Nungo”などつぶぞろいのきょくならぶ。


Bernice - Bonjourno my friends Telephone Explosion

 トロントからロビン・ダンを中心ちゅうしんとする5人組にんぐみポップ・バンドが21ねんにリリースした4thアルバム『Eau De Bonjourno』のリミックスばん。プチ・ダンサブルに仕上しあげたイヴ・ジャーヴィス皮切かわきりにヤング・マーブル・ジャイアンツをおもわせる“Personal Bubble”をサム・ゲンデルがジュークふうにリミックスするなど、インディ・ポップをちいさなしからはみさせず、徹底的てっていてきにスケールのちいさな空間くうかんんだセンスがたまらない。カルベルズによる“Big Mato”はJ・ディラを悪用あくようくし、オリジナルもじつにいい”It's Me, Robin”はニュー・チャンス・レトログレードがふわふわのドリーム・ポップにリミックス。


Tentenko - The Soft Cave Couldn't Care More

 もとBiSによるレジデンツ・タイプの4きょくり。Aサイドは80年代ねんだいテクノ・ポップふう国籍こくせきサウンドをもとめていた日本人にっぽんじん想像そうぞうりょく完全かんぜん再現さいげんしたかんじ。ってわってBサイドはマーチを複雑ふくざつにしたようなわったビートの“Stalactite”とひかえめなインダストリアル・パーカッションがじわじわとく“The Fish Stone”は部分ぶぶんてきにキャバレー・ヴォルテールをおもわせる。じつにオリジナルで、まったくおどれないけどなかなか面白おもしろい。ハンブルグのレーベルから。


Tsvi & Loraine James - 053 AD 93

 〈Nervous Horizon〉主宰しゅさいとウエイトレスのルーキーによるコラボレーション。昨年さくねん白眉はくびだったベン・ボンディとスペシャル・ゲストDJによるワン・オフ・ユニット、Xフレッシュ(Xphresh)とどう傾向けいこうで、すようなビートと柔和にゅうわなアンビエントを明確めいかく対比たいひさせ、残酷ざんこくのイメージに拍車はくしゃをかける。エイフェックス・ツインがひらいたスタイルにモダン・クラシカルの要素ようそくわえて荘厳そうごんさを増幅ぞうふくさせている。みみくパク・チャヌク。レーベルは改名かいめいしたきゅう〈Whities〉。


Luis - 057 AD 93

 上記じょうきレーベルからさらにDJパイソンべつ名義めいぎさく。レゲトンしょくうすめてアブストラクト係数けいすうたかめている。アルバムやシングルにかならず1きょくれていたウエイトレスを様々さまざま発展はってんさせ、ファティマ・アル・ケイデリやロレイン・ジェイムスの領域りょういき接近せっきん無機質むきしつでクールな空間くうかん創出そうしゅつつとめている。6ねんまえの1さく「Dreamt Takes」ではパイソン名義めいぎとそんなにわらなかったので『Mas Amable』以降いこうおおきな変化へんかうかがえる。


Sa Pa - Borders of The Sun Lamassu

 上記じょうきのアンディ・ストットほど大胆だいたんではないにしてもミュジーク・コンクレートをれてダブ・テクノをおおきく変形へんけいさせたれいにモノレイクとサ・パがいる。モノレイクは具体ぐたいおん駆使くしし、そく物的ぶってきなサウンドに仕上しあげるセンスでぐんき、〈Mana〉から『In A Landscape』(19)をリリースして頭角とうかくあらわしたサ・パことジャイムズ・マニングはデッドビートとのジョイント・アルバムからあいだをおかずにブリストルのあらたなレーベル〈Lamassu(=アッシリアの守護神しゅごじん)〉から新作しんさくを。ここではミシェル・レドルフィばりにベーシック・チャンネルをみず表現ひょうげん交錯こうさくさせ、日本にっぽんかたりとスラブの昔話むかしばなし影響えいきょうけたという桃源郷とうげんきょうモードに昇華しょうか収益しゅうえき半分はんぶんはブリストルのホームレス支援しえん団体だんたい(caringinbristol.co.uk)へ。


Daev Martian - Digital Feedback Alpha Pup

 なんアからエレガントなビート・ダウン・ハウス。スポエク・マサンボジョン・ケイシー活動かつどうともにしていたようで、ビートのてに影響えいきょううかがえるも、独自どくじのメロウネスはむしろDJシャドウやフライング・ロータスといった西海岸にしかいがんながれをおもわせる(だからレーベルも〈Alpha Pup〉なのか)。LAビート直系ちょっけいといえる“Gratitude”からフィッシュマンズとフィル・アッシャーがざったような”Never Changes”まで。陽気ようきなマサンボも昨年さくねん抑制よくせいされた『Hikikomori Blue(アフリカじんきこもり低音ていおん)』をリリースし、ブリ(Buli)『Blue』などなんアのボーズ・オブ・カナダすすんでいる?


Daniele Luppi, Greg Gonzalez - Charm Of Pleasure Verve Records

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 シガレット・アフター・セックスのヴォーカルをフィーチャーしたイタリアの作曲さっきょくによる5きょくり。ドリーム・ポップのレッテルをられてしまったけれど、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド“Sunday Morning”をおもわせるオープニングから全体ぜんたいてきにはアコギに分厚ぶあついストリングス・アレンジなどミシェル・ルグランやバート・バカラックといった60Sポップを正面しょうめんからごうとする。キーワードはいつくしみ。最近さいきんのザ・ナショナルからカントリーしょくいたかんじかな。ダニエル・ルッピはデンジャー・マウスやレッド・チリ・ホット・ペパーズとのともさくなどでもられる映画えいが音楽家おんがくか

三田みたかく