一生いっしょう使つかえる「文章ぶんしょうの基本きほん」

【必読ひつどくポイント!】 読よみ手てを想像そうぞうする

「読よみ手ての立場たちば」に配慮はいりょするひと手間てま

文章ぶんしょうの基本きほんとは、「読よみ手ての立場たちば」に配慮はいりょし尽つくすことである。「文章ぶんしょうを書かく自分じぶんの立場たちば」にとらわれてしまう人ひとは少すくなくないが、文章ぶんしょうは相手あいてに何なにかを伝つたえるためのものであることを忘わすれてはならない。「読よみ手ての立場たちば」に配慮はいりょしようとすれば、文章ぶんしょうの修正しゅうせいすべき点てんが見みえてくる。

たとえば、「この件けんについては、以前いぜんの会議かいぎでも話題わだいになりましたので、そのときに検討けんとう課題かだいとして挙あげられた事項じこうにご留意りゅういください。」という文章ぶんしょうにはどんな問題もんだいがあるだろうか。この文章ぶんしょうの一番いちばんの目的もくてきは「ご留意りゅういください」にあるはずだが、読よみ手てが何なにに留意りゅういすべきなのかを知しるためには、まず「以前いぜんの会議かいぎ」が何なにを指さすのかを特定とくていして、会議かいぎの議事ぎじ録ろくを探さがし、「検討けんとう課題かだい」が何なにであったかを確認かくにんしなくてはならない。これでは、相手あいての立場たちばに配慮はいりょし尽つくしているとはいえない。

先さきの文章ぶんしょうを修正しゅうせいするならば、まず「以前いぜんの会議かいぎ」がいつの何なんの会議かいぎであったかを明記めいきして、具体ぐたい的てきな「検討けんとう課題かだい」を引用いんようして書かいておく。そうすれば読よみ手てに余計よけいな手間てまをかけさせずにすむ。業務ぎょうむを円滑えんかつに遂行すいこうしてもらうという目的もくてきのもと、相手あいての「読よんだあとの行動こうどう」まで想像そうぞうすることが重要じゅうようだ。

敬語けいごを正まさしく使つかっても、「上うえから目線めせん」はにじみ出でる

Dean Mitchell/gettyimages

どれだけ正まさしく敬語けいごを使つかっても、文章ぶんしょう自体じたいに読よみ手てへの気遣きづかいがなければ、相手あいてを敬うやまう気持きもちは表現ひょうげんできない。たとえば、次つぎのようなメールを、企画きかく会議かいぎ資料しりょう作成さくせい中ちゅうの新入しんにゅう社員しゃいんが上司じょうしに送おくったとしたらどうだろう。

「こちらも事前じぜんにきっちりみていただきたいので、現在げんざいの案あんに目めを通とおしていただき、明日あしたの朝あさまでに改善かいぜんすべき点てん、改善かいぜんする場合ばあいの文案ぶんあんをお示しめしいただければ助たすかります」

この文章ぶんしょうは日本語にほんごとしては問題もんだいない。だが、受うけ取とった上司じょうしは、なぜ新人しんじんの指図さしずで突然とつぜん明日あしたの朝あさまでの仕事しごとを振ふられなければならないのかと疑問ぎもんに思おもうはずだ。