「売うり」を熟知じゅくちすることがトレード上達じょうたつの秘訣ひけつ出口でぐち戦術せんじゅつと空売からうりを極きわめよう！得えてして初心者しょしんしゃは、トレードの仕掛しかけ方かたや、値上ねあがりしそうな株かぶの買かい方かたばかりに注目ちゅうもくする。ありもしない百発百中ひゃっぱつひゃくちゅうの“聖きよし杯はい”を手てにして、いきなり大儲おおもうけしようという、はかない夢ゆめをみがちだ。しかし、買かいや仕掛しかけはトレードというゲームの、ほんの一部いちぶにすぎない。長期ちょうき的てきに収益しゅうえきを上あげられる自立じりつしたプロのトレーダーになるためには、トレードのスタイル、 心理しんり学がく、リスク管理かんり、記録きろくといったものを学まなび、自分じぶんのものにしていく必要ひつようがあるのだ。マーケットの勝者しょうしゃにふさわしい「資質ししつ」を備そなえられるよう、日々ひびのトレードで鍛錬たんれんを重かさねなければならない。経験けいけんから前向まえむきに学習がくしゅうし、自分じぶん自身じしんを常つねに成長せいちょうさせていくのだ。こうしたことは、本書ほんしょの著者ちょしゃ、アレキサンダー・エルダー博士はかせの世界せかい的てきベストセラー 『投資とうし苑えん』シリーズでも詳くわしく紹介しょうかいされている。ただ、本書ほんしょ『利食りぐいと損そん切ぎりのテクニック』の特長とくちょうは、これらの要素ようそをピンポイントに解説かいせつしたうえで、多おおくの事例じれいが掲載けいさいされていること、そして視点してんを変かえ、あまり一般いっぱん的てきに語かたられることのないテーマに焦点しょうてんを当あてている点てんだ——「売うり方かた」である。売うりは大おおきく2つのタイプに分わけられる。「手仕舞てじまい売うり」と「空売からうり」だ。手仕舞てじまい売うりには、目標もくひょう値ちでの利食りぐいや、許容きょようリスクでの損そん切ぎりや、途中とちゅうでの見切みきりの3つのケースがある。仕掛しかけたトレードが全勝ぜんしょうするわけでない以上いじょう、どの場合ばあいにでも適切てきせつに対応たいおうすることが、運用うんよう資金しきんの安定あんていした増加ぞうかには求もとめられる。そして空売からうりをマスターすることで、トレード機会きかいが単純たんじゅんに2倍ばいになる。初心者しょしんしゃは空売からうりを知しらず、ただ恐おそれる。しかしプロは、価格かかくの下落げらくからも売買ばいばい益えきを享受きょうじゅしているのだ。とはいえ、マーケットの天井てんじょうと大だい底そこが同おなじ性質せいしつというわけではない。また、上昇じょうしょうトレンドと下降かこうトレンドが同おなじ性質せいしつというわけでもない。株価かぶかは上昇じょうしょうするときよりも下落げらくするときのほうが足あしが速はやい。本書ほんしょは、こうした「売うりの世界せかい」について、深ふかく掘ほり下さげており、さまざまなアイデアを提供ていきょうしてくれる。しかも、2007〜2009年ねんの“超ちょう”弱気よわき相場そうばでの具体ぐたい的てきなトレード例れいが満載まんさいされており、そこからも多おおくの貴重きちょうな教訓きょうくんが得えられるはずだ。さらに、内容ないようの理解りかい度どをチェックするため、全ぜん115問もんの確認かくにんテストと詳細しょうさいな解説かいせつも収おさめられている。本書ほんしょをじっくり読よみ、売うる技術ぎじゅつの重要じゅうよう性せいとすばらしさを認識にんしきし、トレードの世界せかいを極きわめてほしい。