「コリアの本質ほんしつを知しる最良さいりょうのインテリジェンス!世よの『嫌いや韓かん論ろん』とは次元じげんが違ちがう」......作家さっか佐藤さとう優ゆう▼▼李り前ぜん大統領だいとうりょうの突然とつぜんの竹島たけしま訪問ほうもんから世界せかい各国かっこくで日本にっぽんの悪口わるぐちをいいふらす朴ほお大統領だいとうりょうの「告つげ口ぐち外交がいこう」まで、最近さいきんの韓国かんこくの言動げんどうに我慢がまんならない人ひとは少すくなくないだろう。著者ちょしゃもまた「不愉快ふゆかい千せん万まん、いい加減かげんにしろ」という。しかし日本にっぽんを愛あいすればこそ、一時いちじの感情かんじょうに流ながされることなく、なぜ韓国かんこくは愚おろかな振ふる舞まいをするのか、そこでわが国くにはいかなる選択せんたくをすべきか、を問とうべきではないか。▼▼おりしも東ひがしアジアでは、巨大きょだいなパラダイムチェンジが起おきている。アヘン戦争せんそう以来いらいの屈辱くつじょくを晴はらすべく、中国ちゅうごくの膨張ぼうちょうはとどまるところを知しらない。そのなかで、冷戦れいせん時代じだいに当然とうぜん視しされた「日にち米べい韓かん」三さん国こく連携れんけいをも韓国かんこくが捨すて去さる可能かのう性せいを著者ちょしゃはみる。世界せかいを見渡みわたしてもクルドやイラクと同様どうよう、コリア半島はんとうほど不幸ふこうな地政学ちせいがく的てき状況じょうきょうにある地域ちいきは稀まれであり、そこで必要ひつようとされるのは「基軸きじく」ではなく「バランス」だ。▼▼そうした哀かなしき宿命しゅくめいに置おかれたコリア半島はんとう住人じゅうにんのもつ独特どくとくの概念がいねんが、「事大じだい主義しゅぎ」と「小中こなか華はな思想しそう」。その本質ほんしつを踏ふまえた韓国かんこく外交がいこうの趨勢すうせい変化へんか、さらには中国ちゅうごくとの距離きょり感かんを、著者ちょしゃは丁寧ていねいに読よみ解といていく。では中国ちゅうごくの膨張ぼうちょうに加くわえて金きむ正ただし恩おんへと代替だいがわりした北朝鮮きたちょうせん情勢じょうせいが不安定ふあんてい化かするならば、近きん未来みらいのコリア半島はんとうはどうなるのか――。南北なんぼく統一とういつか、分裂ぶんれつしたままか。それを主導しゅどうする国くには中国ちゅうごくか、米国べいこくか。▼▼本書ほんしょはそこで中華ちゅうか、コリア半島はんとうの二に者しゃに加くわえ、その中間ちゅうかんで古来こらいより現実げんじつの政治せいじ勢力せいりょくと存在そんざいしてきた旧きゅう満州まんしゅう地方ちほう(マンジュ)の三さん者しゃが演えんじた相克そうこくの歴史れきしを一気いっきに概観がいかんし、その歴史れきしから「北東ほくとうユーラシア地域ちいきの地政学ちせいがく」を導みちびき出だす。そして、その法則ほうそくを近きん未来みらいのコリア半島はんとうに当あてはめ、10~20年ねん後ごに起おこりうる24のシミュレーションを次々つぎつぎに描えがき出だしていく手てつきは、まさに圧巻あっかんだ。▼▼同時どうじに、その24の状況じょうきょう下かで、日本にっぽんがとるべきコリア半島はんとう戦略せんりゃくをも明確めいかくに提言ていげんする。読了どくりょう後ごにその結論けつろんが、日本にっぽんの国益こくえきを最大さいだい化かしつつも「韓国かんこくとは付つき合あう必要ひつようがない!」という「嫌いや韓かん論ろん」とは異ことなるものであることに、気きづくだろう。「伝説でんせつの外交がいこう官かん」と称しょうされ、最もっとも注目ちゅうもくされる外交がいこう評論ひょうろん家かが冷徹れいてつな眼めで描えがく、これまで誰だれも語かたらなかった韓国かんこく論ろん。