市川いちかわ実みのる日子にっし＆中島なかじま歩あゆみインタビュー

市川いちかわ実みのる日子にっし演えんじる主人公しゅじんこうのジュンと、中島なかじま歩あゆみ演えんじる夫おっと・ヨシヲの夫婦ふうふの物語ものがたりを、歴史れきしレシピと共ともに描えがくドラマ『À Table!～歴史れきしのレシピを作つくってたべる～』。こちらのインタビューでは、料理りょうりを通つうじて絆きずなを深ふかめる夫婦ふうふの日常にちじょうをほっこり演えんじたお二に人にんの対談たいだんから、知しられざる撮影さつえいの舞台裏ぶたいうらや奥深おくふかい作品さくひんの魅力みりょくに迫せまります！

――歴史れきしレシピをひも解とき、劇げき中ちゅうで実際じっさいに料理りょうりを作つくるという一風いっぷう変かわった構成こうせいや、登場とうじょう人物じんぶつはほぼ２人ふたりきりで、主おもな舞台ぶたいは自宅じたくキッチンというシチュエーションが特徴とくちょう的てきな作品さくひん。オファーを受うけられたときは、どうお感かんじになりましたか？

市川いちかわ　私わたしは最初さいしょ、『歴れきメシ！決定けってい版ばん』（遠藤えんどう雅司まさし著ちょ・晶文社しょうぶんしゃ刊かん）という本ほんが原作げんさくのドラマだとお聞ききして。このお話はなしを頂いただく前まえに本屋ほんやさんで見みて、「すごく面白おもしろそう！」って思おもっていた本ほんだったので、その偶然ぐうぜんに驚おどろきました。原作げんさくはレシピ本ほんなので、「あの本ほんをどうやってドラマ化かするんだろう？」と思おもいつつ、でも楽たのしそうな作品さくひんだなと思おもったのが第だい一いち印象いんしょうでした。

中島なかじま　僕ぼくは、市川いちかわさんと夫婦ふうふ役やくを演えんじるということを最初さいしょに聞きいて。共演きょうえん経験けいけんはなかったのですが、少すこし前まえにたまたまお会あいしたことがあって。

市川いちかわ　そう、偶然ぐうぜん会あったんですよね。

中島なかじま　すごく楽たのしい人ひとだったので、撮影さつえいも楽たのしくやれるだろうなと。ですので、お話はなしをいただいた瞬間しゅんかん、ぜひやらせてくださいとお受うけしました。

――実際じっさいに撮影さつえいが始はじまってからはいかがでしょう。

市川いちかわ　テストがなく、いきなり本番ほんばんという撮影さつえい方法ほうほうに、最初さいしょは戸惑とまどいました。吉見よしみ拓たく真ま監督かんとくは、あまり説明せつめいをしたくないという信念しんねんをお持もちの方ほう。せりふも、映像えいぞうも、お芝居しばいも、なるべく余分よぶんなものを排除はいじょしようとされるから、どんな撮影さつえいになっていくんだろうという不安ふあんもあったのですが、そのいっぽう、今いままでにない自由じゆうというか、広ひろがっていくような感覚かんかくがありました。

中島なかじま　つまり立体りったい的てきに作品さくひんを構築こうちくしていったということだと思おもいます。せりふを足たしたり、削けずったり。アドリブを入いれたり、思おもいつきで色々いろいろなショットを撮とったり。基本きほん、手持てもちのカメラでやっていたので、撮影さつえいはスピーディーでしたし、その分ぶん、量りょうも撮とれた。スタッフみんなで意見いけんを出だし合あい、アイデアをぶつけ合あいながら、多面ためん的てきなアプローチができたんじゃないかと思おもいます。といっても、当時とうじからそれを意識いしきしていたわけではなく、とにかくいい作品さくひんを作つくりたいという共通きょうつう認識にんしきがあっただけで。結果けっか的てきに、そういう撮影さつえいスタイルになっていたということなんです。

市川いちかわ　そうなんですよね。１話わが完成かんせいする前まえに、映像えいぞうとしてはもう全部ぜんぶ撮とり終おえていたので。撮影さつえいが終おわってから初はじめて、こういう作品さくひんだったんだと知しりました。なので、撮影さつえい時じは、みんなで一生懸命いっしょうけんめい、楽たのしく試行しこう錯誤さくごしながら進すすんでいったという感覚かんかくでした。

――歴史れきし上じょうの人物じんぶつが食しょくした料理りょうりを、当時とうじのレシピから忠実ちゅうじつに再現さいげんし、令れい和わの時代じだいに味あじわうというコンセプトでした。

中島なかじま　今いま、改あらためて思おもい返かえしてみると、とにかくどの料理りょうりも食たべたことのない味あじでした。本当ほんとうに初はじめて食たべる味あじで、毎回まいかいどう表現ひょうげんしたらいいだろう…って。

市川いちかわ　食事しょくじのカットは、台本だいほんに「（それぞれご自由じゆうに感想かんそうを）」としか書かいてないから、本当ほんとうにそのとき感かんじたことを、お互たがいにい合いあっていたんです。ちゃんと味あじを表あらわしたくてお互たがいにすごく言葉ことばを探さぐってる“間あいだ”とか、あったよね。セリフ以外いがいの、“こういう反応はんのうをする”ということはあまり書かかれていない台本だいほんなので、時々ときどき、台本だいほんの意図いととズレているかもしれないなと思おもうこともありました。でも、そのとき自分じぶんが感かんじた受うけ取とり方かたを、そのまま表現ひょうげんするということを心掛こころがけたら、「それがいい」って監督かんとくやプロデューサーが言いってくださって。本当ほんとうに、その場ばで起おきていることを大切たいせつにしていこうというチームでした。

中島なかじま　料理りょうりシーンでいうと、調理ちょうり方法ほうほうも印象いんしょう的てきでしたよね。こんな手間てまを掛かけて作つくっていたんだとか、逆ぎゃくにこの調理ちょうり法ほうがこの時代じだいすでにあったんだとか。

市川いちかわ　未知みちのものと遭遇そうぐうする楽たのしさはありましたよね。だから毎回まいかい、香かおりだけは先さきに嗅かいでみてから食たべたいというのはあった(笑)かっこわらい。

中島なかじま　あとは、食しょくにまつわるうんちくも興味深きょうみぶかいものがあって。

市川いちかわ　ジャガイモが飢饉ききんを救すくう救世主きゅうせいしゅだったとか。

中島なかじま　そういうのは、教科書きょうかしょで習ならえなかったことですからね。

市川いちかわ　教科書きょうかしょに出でてくる人ひとたちが、本当ほんとうに生いきていた人ひとたちなんだって実感じっかんできたのも面白おもしろかったよね。

中島なかじま　食事しょくじというのは、やっぱり生活せいかつの一部いちぶですからね。料理りょうりというフィルターを通とおすことで、すごくリアリティを持もって、歴史れきし上じょうの人物じんぶつであったり、出来事できごとだったりが、身近みぢかに感かんじられたのは大おおきな発見はっけんでした。

市川いちかわ　歴史れきし上じょうの人物じんぶつというだけで遠とおく思おもえる存在そんざいを、同おなじ人間にんげんなんだと、私わたしたちの今いまと繋つながっているんだと感かんじられて。食事しょくじという生いきるための行為こういや生活せいかつの営いとなみを通つうじて、歴史れきしを体感たいかんできたのは面白おもしろい経験けいけんでした。

取材しゅざい・文ぶん：海老原えびはら誠二せいじ
撮影さつえい：宮田みやた浩史こうじ

【市川いちかわ実みのる日子にっし】ヘアメイク：秋鹿あいか裕子ゆうこ（Ｗ）／スタイリスト：谷崎たにざき彩あや
　　　　　　　シャツ：スタイリスト私物しぶつ、パンツ・チュールSK：FUMIE TANAKA（フミエ タナカ）4K、ブーツ：KATIM（カチム）
【中島なかじま歩あゆみ】ヘアメイク：小林こばやし雄つよし美び／スタイリスト：上野うえの健太郎けんたろう