迷惑めいわくメール対策たいさく最前線さいぜんせん──次つぎなる策さくは？（1/2 ページ）

[斎藤さいとう健二けんじ，ITmedia]

　携帯けいたい電話でんわに送信そうしんされる迷惑めいわくメール。キャリアは一時いちじほどの大量たいりょう受信じゅしんは影かげを潜ひそめつつあるとアピールするが、未いまだに終おわりの見みえない戦たたかいが続つづいている。ボーダフォンが5月18日にちに開催かいさいした説明せつめい会かいの内容ないようを元もとに、キャリアと迷惑めいわくメールとの戦たたかいを振ふり返かえりながら、今後こんご、どんな対策たいさくがあるのか考かんがえていこう。

業界ぎょうかい全体ぜんたいでの取とり組くみが必要ひつように

　携帯けいたいキャリアが対策たいさくを取とり、迷惑めいわくメール送信そうしん業者ぎょうしゃがその裏うらをかく。「ある意味いみ、いたちごっこ。しかし、最近さいきんになってかなり成果せいかが現あらわれ始はじめている」（ボーダフォン コアプロダクト＆プラットフォームマネジメント部ぶの桑原くわばら正ただし光こう課長かちょう代理だいり）

　業界ぎょうかい全体ぜんたいとしては、携帯けいたいキャリアおよび国内こくないISPが参加さんかするグループ「JEAG」を創設そうせつした（3月がつ15日にちの記事きじ参照さんしょう）。迷惑めいわくメールを撲滅ぼくめつするには、受信じゅしんする側がわだけでなく送信そうしんする側がわの対策たいさくが不可欠ふかけつ。そのためには、メールサービスに関かかわる各社かくしゃの連携れんけいが欠かかせない。

　既すでに第だい1回かいの総会そうかいが行おこなわれ、携帯けいたい、送信そうしんドメイン認証にんしょう、ポート25ブロック、啓蒙けいもう活動かつどうの4つのサブワーキンググループに分わかれて、各社かくしゃが連携れんけいした取とり組くみを進すすめている。

　「改正かいせい電子でんしメール法ほう」の成立せいりつも対策たいさくの追おい風かぜとなる（5月がつ13日にちの記事きじ参照さんしょう）。「例たとえばハーベスティング（メールアドレス収集しゅうしゅう）を法ほうで縛しばれるようになった。携帯けいたいキャリアも、ISPも動うごきやすくなった」とボーダフォン技術ぎじゅつ本部ほんぶネットワーク統括とうかつ部ぶコアネットワーク設計せっけい部ぶ交換こうかん網もう計画けいかく部ぶMail設備せつびグループの若松わかまつ広司こうじ課長かちょう代理だいりは話はなす。

効果こうかの大おおきいデータベースフィルタリング

　ボーダフォンが他社たしゃに先駆さきがけて進すすめているのが、データベースを使つかったフィルタリングだ。「URLリンク付つきメール受信じゅしん設定せってい」という名称めいしょうで3月がつから始はじめており（2月がつ15日にちの記事きじ参照さんしょう）、「迷惑めいわくメールが全まったく届とどかなくなった」（ボーダフォンユーザー）というほどの効果こうかを上あげている。

　従来じゅうらいの施策しさくと大おおきく異ことなるのは、メール本文ほんぶんの内容ないように踏ふみ込こんで、迷惑めいわくメールを判別はんべつ、処理しょりできることだ。フィルタリングソフト大手おおてのネットスターからデータベースの提供ていきょうを受うけ、出会であい系けいサイトなど特定とくていカテゴリーのURLが含ふくまれたメールを特定とくてい、受信じゅしん拒否きょひする。

　ドメイン指定してい受信じゅしんやメールアドレス指定してい受信じゅしん、メールアドレスの変更へんこうなどの方法ほうほうと比くらべて、データベースによるフィルタリングが優すぐれているのは、一律いちりつ的てきな受信じゅしん拒否きょひではなく内容ないように合あわせた対応たいおうができることだ。

　「以前いぜんは“大量たいりょうメール＝迷惑めいわくメール”という図式ずしきで処理しょりしており、コンテンツメールも迷惑めいわくメールと見みなされた苦にがい過去かこがある。意いを決けっしてフィルタリングを導入どうにゅうした」（若松わかまつ氏し）

　現在げんざいのところ、出会であい系けいサイトなどのURLを集あつめた“ブラックリスト”型がたのフィルタリングとなっているが、今後こんごはユーザーが指定していしたサイトからのメールは許可きょかする“ホワイトリスト”との組くみ合あわせも考かんがえられる。ボーダフォンの桑原くわばら氏しは「フィルタリングは非常ひじょうに効果こうかがある。今後こんごは、ニーズに合あわせたフィルタリングの環境かんきょうを提供ていきょうしていきたい」とした。

→改あらためて振ふり返かえる、迷惑めいわくメール対策たいさくの歴史れきし

携帯けいたいメールを使つかったCRMへ、どう対応たいおうするか

迷惑めいわくメール対策たいさくが進すすむ中なかで、割わりを食くったのが、携帯けいたいメールを使つかった一般いっぱん企業きぎょうのCRMだ。ユーザーから承諾しょうだくを取とって、情報じょうほうメールを送信そうしんするCRM活動かつどうは一世いっせいを風靡ふうびしたが、メールアドレス変更へんこうやドメイン指定してい受信じゅしんが広ひろまる中なかで、会員かいいんへのメール送信そうしんが難むずかしくなっていた。 　ドコモは、ドメインの入力にゅうりょくなしで特定とくていのドメインを指定してい受信じゅしんに追加ついかできるサービスを、コンテンツプロバイダーに提供ていきょうするなどの対策たいさくを取とっている。 タワーレコードの例れい。メールマガジン登録とうろく時じに、「tower.jp」ドメインをボタンを押おすだけでドメイン指定してい受信じゅしんに登録とうろくできる。ドコモがコンテンツプロバイダーに対たいして、有料ゆうりょうで提供ていきょうしているサービスのようだ 　ボーダフォンは、「（CRM活動かつどうは）メールが主軸しゅじくだと思おもうが、2Gのステーションのような、別べつのソリューションでニーズを救すくっていく方法ほうほうもある」（桑原くわばら氏し）とした。ステーションは、基地きち局きょく単位たんいで情報じょうほうを一斉いっせい送信そうしんするサービス。 　ドコモは通常つうじょうのiモードメールのほかに、ドメイン指定してい受信じゅしんなどが影響えいきょうしない、広告こうこく専用せんようのメッセージ送信そうしんサービス「メッセージフリー」を用意よういしている（2004年ねん6月がつ10日とおかの記事きじ参照さんしょう）。