消費しょうひ者しゃ庁ちょうが「最大さいだい半額はんがくオフ」に注意ちゅうい喚起かんき――同どうプログラムはすでに数すう年間ねんかん提供ていきょう中ちゅう。なぜ「いまさら」なのか：石川いしかわ温あつしのスマホ業界ぎょうかい新聞しんぶん

[石川いしかわ温あつし]

　9月26日にち、消費しょうひ者しゃ庁ちょうは携帯けいたい電話でんわ端末たんまつに関かんする注意ちゅうい喚起かんきを行おこなった。

　具体ぐたい的てきな名指なざしはされていないものの、「最大さいだい50％オフ」などの表記ひょうきを問題もんだい視ししていることから、ソフトバンク「半額はんがくサポート＋」ならびにKDDI「アップグレードプログラムDX」が該当がいとうしているものと思おもわれる。

　両社りょうしゃとも、同様どうようのプログラムは、この9月から新規しんきに始はじめたわけではなく、すでに提供ていきょうしていたものの焼やき直なおしに過すぎない。なぜ、このタイミングに取とってつけたように、付つけ焼やき刃ば的てきに注意ちゅうい喚起かんきをしてきたのか理解りかいに苦くるしむ。総務そうむ省しょうのSIMロック退治たいじとともに、どこからかの指示しじがあって、消費しょうひ者しゃ庁ちょうが動うごいたのではないか、という見方みかたをするキャリア関係かんけい者しゃも多おおい。また、「半額はんがくをアピールできないNTTドコモが消費しょうひ者しゃ庁ちょうに刺さしにいったのではないか」という声こえもある。

　確たしかに、2つのキャリアが展開てんかいしている「最大さいだい50 %オフ」などの広告こうこくは、消費しょうひ者しゃに誤解ごかいを与あたえるのは事実じじつだろう。実際じっさいは毎月まいつき390円えんなどのプログラム料りょうを徴収ちょうしゅうしているし、使用しようしている端末たんまつも返却へんきゃくが求もとめられる。「最大さいだい50%オフ」は明あきらかに事実じじつではない。

　しかし、ここで消費しょうひ者しゃ庁ちょうが注意ちゅうい喚起かんきを行おこなったところで、キャリアは「24回分かいぶんの支払しはらい不要ふよう」「2年ねん使つかえば、新しん機種きしゅにお取替とりかえ」といったように、別べつのい方いかたはいくらでもできる。

　今回こんかいの注意ちゅうい喚起かんきは単たんなる「言葉ことば狩かり」であり、何なんの意味いみもない、不毛ふもうな措置そちといえるだろう。

　こんな注意ちゅうい喚起かんきをしたところで、ユーザーの通信つうしん料金りょうきんは4割わり下さがるものでもないし、料金りょうきん競争きょうそうにつながるものではない。

　48回かい払ばらいのうち、24回かい支払しはらえば残ざん債さいが免除めんじょされるプログラムは、総務そうむ省しょうが改正かいせい法ほうで端末たんまつの割引わりびきを規制きせいする中なか、「端末たんまつ販売はんばいと通信つうしん料金りょうきんは分離ぶんりされてますから」というい訳いわけが立たつことで、見事みごとにキャリアの勝利しょうりに終おわったように見みえた。それが悔くやしかったのか、総務そうむ省しょうはSIMロック解除かいじょの即時そくじ義務ぎむ化かを迫せまり、消費しょうひ者しゃ庁ちょうは広告こうこくの注意ちゅうい喚起かんきに乗のり出だした。

　総務そうむ省しょうや消費しょうひ者しゃ庁ちょうは、これで仕事しごとをした気きになっているかも知しれないが、結局けっきょく、菅かん官房かんぼう長官ちょうかんの「通信つうしん料金りょうきんは4割わり値下ねさげできる余地よちがある」という状況じょうきょうに至いたっていない。

　ここまでくると、総務そうむ省しょうや消費しょうひ者しゃ庁ちょうとしては万策ばんさく尽つきた感かんがあり、彼かれらがやれることはもうないのではないか。