ハード、ソフト、AIの三位一体さんみいったいで攻せめる「Pixel 4」　“我わが道みちを行いく”ゆえの課題かだいも：石野いしの純じゅん也のMobile Eye（1/3 ページ）

[石野いしの純じゅん也，ITmedia]

　Googleは10月15日にち、同社どうしゃ製せいのスマートフォン「Pixel 4」「Pixel 4 XL」を発表はっぴょうした。16日にちには日本にっぽんでも発表はっぴょう会かいを開催かいさい。2モデルとも、10月24日にちに販売はんばいが開始かいしされることが明あきらかになった。2018年ねんはドコモとソフトバンクの2社しゃが取とり扱あつかっていたが、Pixel 4、4 XLはソフトバンクがキャリアとして独占どくせん的てきに販売はんばいする。ドコモとKDDIは、導入どうにゅうを見送みおくったようだ。

「ハードウェア」「ソフトウェア」「AI」の3つを融合ゆうごうさせるPixelシリーズ

　検索けんさくを皮切かわきりに、動画どうが共有きょうゆうサービスのYouTubeや、スマートフォン向むけOSのAndroidなど、各種かくしゅソフトウェアを提供ていきょうしてきたGoogle。そんなソフトウェアやクラウドサービスを主戦しゅせん場じょうにしてきた同社どうしゃが送おくり出だすフラグシップスマートフォンが、「Pixel」シリーズだ。Pixel 4、4 XLはその最新さいしんモデル。ハードウェアとしては、デュアルカメラ化かしたことや、電波でんぱを使つかってジェスチャーを検知けんちする「モーションセンス」に対応たいおうしたことが、大おおきな特徴とくちょうとなる。

　機械きかい学習がくしゅうを処理しょりするためのチップセットも刷新さっしんし、「Pixel 3」や「Pixel 3 XL」に搭載とうさいされていた「Pixel Visual Core」は、「Pixel Neural Core」へと名前なまえを変かえている。メインのチップセットはQualcomm製せいのSnapdragon 855だが、機械きかい学習がくしゅうの処理しょりに特とく化かさせたチップを別べつに搭載とうさいし、カメラ撮影さつえい時じの処理しょりや音声おんせい認識にんしきなど、端末たんまつ上じょうで行おこなう動作どうさの高速こうそく化かを図はかっている。

　ソフトウェアやクラウドサービスを主力しゅりょくにしていたGoogleが、あえてスマートフォンを開発かいはつ、販売はんばいする狙ねらいはここにある。日本にっぽんでのイベントに登壇とうだんしたGoogleのハードウェア事業じぎょう パートナーシップビジネス統括とうかつの織お井い賢けん氏しは、「ハードウェア、ソフトウェア、そしてそれをAIが包つつみ込こむことで、今いままでにない経験けいけんをしていただける」と語かたる。

　Googleのサービスは、スマートフォンがあれば利用りようすることはできる。Androidである必要ひつようすらなく、Googleは競合きょうごうともいえるiPhoneにもアプリは提供ていきょうしている。一方いっぽうで、Googleが注力ちゅうりょくするAIの実力じつりょくを最大限さいだいげん引ひき出だそうと思おもうと、どうしてもハードウェアという“入いれ物もの”が必要ひつようになってくる。Pixel 4、4 XLに搭載とうさいされたカメラは、その代表だいひょう例れいだ。いくらAIが優すぐれているとは言いっても、当然とうぜんながら光ひかりを受うけ、データに変換へんかんするレンズやセンサーがなければ、それを形かたちにできない。

　他社たしゃのスマートフォンに提供ていきょうするにしても、スペックは機種きしゅによってまちまちだ。例たとえば、Pixel 4、4 XLには、8倍ばいまで被写体ひしゃたいに寄よれる「超ちょう解かい像ぞうズーム」が搭載とうさいされているが、これを実現じつげんするには、新あらたに搭載とうさいされた望遠ぼうえんカメラが不可欠ふかけつだ。一方いっぽうで、望遠ぼうえんカメラはスペック上じょう、35mm判ばん換算かんさんで44mmと、望遠ぼうえんと呼よべるほどの画が角かくではなく、機械きかい学習がくしゅうなしにはここまで鮮明せんめいな映像えいぞうを作つくり出だすことができない。ハードウェアとソフトウェア、さらにAIが協調きょうちょうすることで、初はじめて実現じつげんできた機能きのうというわけだ。

　残念ざんねんながら日本語にほんごには対応たいおうしておらず、現在げんざい、「提供ていきょうできるように取とり組くんでいる」（Google広報こうほう部ぶ）段階だんかいだが、ボイスレコーダーの自動じどう文字もじ起おこし機能きのうも、カメラと同様どうよう、ハードウェアとソフトウェア、AIの3つの連携れんけいで生うみ出だされた機能きのうといえる。文字もじ起おこしが可能かのうなボイスレコーダーアプリは他ほかにも存在そんざいするが、Pixel 4、4 XLのそれは、端末たんまつ上じょうで処理しょりが完結かんけつするのが大おおきく異ことなるポイント。容量ようりょうの大おおきな音声おんせいデータをクラウドにアップロードする必要ひつようがないため、デでータ通信たつうしんの速度そくどや容量ようりょうを気きにせず使つかえるのは、大おおきなメリットといえる。