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音声で買い物ができる「Vコマース」のインパクト 日本でどこまで普及するか(1/2 ページ) - ITmedia Mobile
店舗を変えるモバイル決済

音声おんせいものができる「Vコマース」のインパクト 日本にっぽんでどこまで普及ふきゅうするか(1/2 ページ)

» 2020ねん03がつ13にち 0600ふん 公開こうかい

 国内こくないでは、政府せいふによるポイント還元かんげんかぜにいっそうのがりをせているキャッシュレス決済けっさいだが、それを加速かそくさせる手段しゅだんとして、海外かいがいではVコマース(音声おんせい活用かつようしたインターネットショッピング)に注目ちゅうもくあつまっている。

 2020ねん1がつにNational Retail Federation(全米ぜんべい小売こうりぎょう協会きょうかい)が開催かいさいした「NRF2020」では、膨大ぼうだいなデータをAIによって分析ぶんせきし、顧客こきゃく体験たいけん業務ぎょうむオペレーションをデジタル変革へんかくする技術ぎじゅつなどがげられていた。そのなかでもVコマースは、Amazon Payが連日れんじつ講演こうえんしたり、スターバックスが音声おんせいオーダーシステムを高度こうどなパーソナライズ手段しゅだんとして紹介しょうかいしたりと、2019ねん比較ひかくしておおきく存在そんざいかんしていた。

 ほん記事きじでは、日本にっぽん小売こうり業界ぎょうかい課題かだいまえ、Vコマースがどのようなインパクトをあたえるのかを解説かいせつする。

Vコマースの仕組しくみは?

 まず、Vコマースの仕組しくみについてれたい。

 Vコマースでもちいるボイス決済けっさいは、声紋せいもん認証にんしょう技術ぎじゅつ活用かつようした決済けっさい手段しゅだんだ。声紋せいもん認証にんしょうとは、ひと身体しんたいてき特徴とくちょうから個人こじん認証にんしょうする生体せいたい認証にんしょう(バイオメトリクス)の1つで、ひと発声はっせい時間じかんよこじく)とこえ周波数しゅうはすうたてじく)のグラフでしめす。これらをしめしたグラフはこえ特性とくせいしめよこじま模様もようの「声紋せいもん」として表示ひょうじする。この声紋せいもんから話者わしゃこえ特徴とくちょう抽出ちゅうしゅつし、はなかたやイントネーションなどの特徴とくちょうをあらかじめ登録とうろくしたデータと照合しょうごうすることで、個人こじん特定とくていする技術ぎじゅつである。

 すでえい大手おおて銀行ぎんこうHSBCでは、テレフォンバンキングじょう声紋せいもん認証にんしょう実用じつようしており、入電にゅうでんにPINコードを入力にゅうりょくせずに残高ざんだか照会しょうかい送金そうきん公共こうきょう料金りょうきん支払しはらとう各種かくしゅ取引とりひき声紋せいもん認証にんしょうおこなえる。国内こくないでも、クレジットカード大手おおてのJCBでは電話でんわわせ本人ほんにん確認かくにん省略しょうりゃくけて声紋せいもん認証にんしょう実証じっしょう実験じっけんおこなわれるなど、実用じつよう段階だんかいまでている。

NRF2020からえた未来みらい決済けっさい姿すがた

 Amazon Payふく社長しゃちょうのPatrick Gauthierは、NRF2020の講演こうえん「How voice and other AI-powered experiences are reshaping retail(VコマースやそれをくAI技術ぎじゅつ活用かつようした体験たいけん小売こうりぎょうにもたらす変革へんかくとは)」のなかで、「消費しょうひしゃ決済けっさい手段しゅだんは、Web決済けっさい、モバイル決済けっさいへと進化しんかげ、2017ねんから決済けっさい手段しゅだんとしてあらたに音声おんせい登場とうじょうした。現在げんざい米国べいこく消費しょうひしゃの20%、すなわちイノベーターそうとアーリーアダプターそうすでにVコマースの利用りよう意向いこうしめしていることから、今後こんご市場いちば拡大かくだい確信かくしんしている」と明言めいげんした。

NRF2020 NRF2020講演こうえん決済けっさい手段しゅだん変移へんい説明せつめいする、Amazon Payふく社長しゃちょうのPatrick Gauthier
NRF2020 米国べいこく消費しょうひしゃの20%は、今後こんご3ねん以内いない音声おんせい活用かつようしたショッピングを利用りようする意向いこうしめしている(Gauthier講演こうえんより)

 えいOC&C Strategy Consultantsによると、Vコマース市場いちば毎年まいとし拡大かくだいつづけ、べい英国えいこく合算がっさんの2022ねん消費しょうひがくは、2017ねんやく22ばいの450おくドル規模きぼまで拡大かくだいすると発表はっぴょうしている。

NRF2020 2017ねんから2022ねんにかけて、米国べいこく英国えいこくのVコマース市場いちばは22ばい拡大かくだい(※出典しゅってん:OC&C「Voice Commerce Sales 2017-2022 in US & UK」)

 Vコマースが急速きゅうそく拡大かくだいしている背景はいけいには、「サイトにアクセスして目当めあての商品しょうひんさがし、比較ひかく検討けんとうし、決済けっさい方法ほうほう選択せんたくする」というネットショッピングの消費しょうひ行動こうどう簡潔かんけつにしたいというニーズがある。Patrick Gauthierは「ちか将来しょうらいにVコマースを利用りようしたい理由りゆうの1は、『easy to use(=しいものを簡単かんたんさがせてえるから)』だ。タイピングがはやひとでも1分間ふんかんに65〜75文字もじくらいだが、ニューヨーカーは1分間ふんかんに175文字もじはっする。発声はっせいによってアクションする負荷ふかおおきくげることができ、2ばい以上いじょうのスピードで情報じょうほうつたえることができる」とはなす。

NRF2020 Vコマースを活用かつようすれば、Eコマースの手順てじゅん短縮たんしゅくし、よりスピーディーにものができるようになる

 Amazon Payが2019ねん米国べいこく英国えいこく、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本にっぽん、インドでやく1まんにん実施じっししたアンケート(Amazonユーザー以外いがいふくむ)で、「今後こんご3年間ねんかんでボイスをもののどの場面ばめん利用りようしたいか」という設問せつもんでは、商品しょうひん検索けんさく比較ひかく検討けんとう購入こうにゅう商品しょうひん追跡ついせきについてニーズがたかいという結果けっかている。

 さらにおどろくべきことに、「3ねん商品しょうひん購入こうにゅう手段しゅだんはどのように変化へんかするか」という設問せつもんたいし、オンライン59%、Vコマース21%、じつ店舗てんぽ11%、9%と、じつ店舗てんぽよりもVコマースをつうじたもの割合わりあいたかくなるという結果けっかている。

NRF2020 Amazon Payによる3ねん購買こうばいチャネル構成こうせいかんするアンケート結果けっか(※出典しゅってん:Amazon Pay「Doing business in a connected world」)

 米国べいこくはITテクノロジーの普及ふきゅう日本にっぽんより3ねんすすんでいるといわれているが、デジタルツールの普及ふきゅう消費しょうひしゃ購買こうばい行動こうどう変化へんかからも、今後こんご国内こくない市場いちばでVコマースが普及ふきゅうすることがうかがえる。

NRF2020 オンラインチケット販売はんばい手掛てがけるAtomは、音声おんせいスピーカーを使つかった未来みらい映画えいがチケットの手配てはい方法ほうほう紹介しょうかい

日本にっぽん小売こうり業界ぎょうかいかかえる課題かだいと、Vコマースへの期待きたい

 このように海外かいがい注目ちゅうもくびているVコマースだが、日本にっぽんではどうか。国内こくない想定そうていされる課題かだいとVコマースの可能かのうせいについても考察こうさつしていく。

 VコマースはおおきなくくりではECにふくまれるが、国内こくないのECりつは6.2%であり、中国ちゅうごく20.4%、米国べいこく11.8%と比較ひかくするとひくい(2018ねん経済けいざい産業さんぎょうしょう調しらべ)。その要因よういん多々たたあるが、なかでも「じつ店舗てんぽ充実じゅうじつしていること」と「高齢こうれい進行しんこう」の2つがかんがえられる。

 店舗てんぽについては、デジタルツールの普及ふきゅうがさらにすすむことによって、消費しょうひしゃとのタッチポイントは多角たかくしていくことが想定そうていされる。そのなかで、事業じぎょうしゃ商品しょうひんとどくまでのリードタイムの短縮たんしゅく返品へんぴん対応たいおうれるなどの現状げんじょう改善かいぜんくわえて、消費しょうひしゃのニーズにわせたあらたな顧客こきゃく体験たいけん提供ていきょうしていくことがもとめられていく。

 そのためにカギをにぎるのが「Generation Z(Z世代せだい)」だ。1990年代ねんだいなかばから2000年代ねんだい前半ぜんはんまれの世代せだい年齢ねんれいうと13さい中学生ちゅうがくせい〜22さい大学生だいがくせいくらい)のことをし、「ソーシャルメディアの活用かつよう」が世代せだいにはない購買こうばい行動こうどう特徴とくちょうだ。ソーシャルメディア起点きてん商品しょうひんさがし、情報じょうほう収集しゅうしゅうし、決済けっさいまでをオンラインじょうおこなうこともおおい。ソーシャルメディアじょう膨大ぼうだい情報じょうほうなかから自身じしんった商品しょうひん検索けんさくする、スマートフォンじょう検索けんさくから決済けっさいまで完結かんけつする、といった場面ばめんでもVコマースは有用ゆうようだ。

 Vコマースを浸透しんとうさせていくためには、高齢こうれいしゃそうへの対応たいおう課題かだいとなる。高齢こうれいしゃにとって、店舗てんぽ出向でむいてにち用品ようひん購入こうにゅうし、かえることは身体しんたい負荷ふかたかいが、はなすことで注文ちゅうもんができれば、日々ひびらしをおおきくえる可能かのうせいがある。ただし、音声おんせい認識にんしき精度せいど向上こうじょうや、高齢こうれいしゃそうへの注文ちゅうもん方法ほうほうのレクチャーなどが必要ひつようになることから、普及ふきゅうにあたってはくに事業じぎょうしゃによる支援しえん必須ひっすだ。今後こんご日本にっぽん以外いがい先進せんしん諸国しょこくでも高齢こうれいすすむことをまえると、成功せいこうしたケースを海外かいがい展開てんかいしていくなどのリードケースにもなりるだろう。

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