2012年ねん4月がつ7日にち(土)ど

口元くちもと調査ちょうさの次つぎは「気きを付つけ」!!

大阪おおさか・「君きみが代よ」強制きょうせいの異常いじょう

橋下はしもと氏し　花粉かふん症しょうでもマスクだめ

　入学にゅうがく式しきシーズンを迎むかえた大阪おおさかが重苦おもくるしい空気くうきに覆おおわれています。公立こうりつ学校がっこうの教職員きょうしょくいんに「君きみが代よ」の起立きりつ斉唱せいしょうを強制きょうせいする全国ぜんこく初はつの条例じょうれいが府ふ市しともに施行しこうされた後のちの初はじめての春はるとなり、橋下はしもと徹とおる大阪おおさか市長しちょうの言動げんどうも日々ひびエスカレートしているからです。

　府ふの「君きみが代よ」強制きょうせい条例じょうれいは昨年さくねん６月がつ、府議会ふぎかいで過半数かはんすうを占しめる「大阪おおさか維新いしんの会かい」が、他たのすべての主要しゅよう会派かいはが反対はんたいするなか強行きょうこう。大阪おおさか市しの条例じょうれいは２月がつ、橋下はしもと市長しちょうが提案ていあんし、「維新いしん」、公明こうめい、自民じみんが一部いちぶ修正しゅうせいした上うえで成立せいりつさせました。

　府ふ条例じょうれい案あんは当初とうしょから大だい問題もんだいになり、思想しそう・良心りょうしんの自由じゆうとの関係かんけいで「違憲いけん・違法いほうの疑うたがいが強つよい」と大阪おおさか弁護士べんごし会かい会長かいちょうが声明せいめいを発表はっぴょうするなど各界かくかいから反対はんたいの声こえがあがっていました。それなのに市しでも同様どうようの条例じょうれいを可決かけつしたのです。

　３月さんがつ１３日にち、大阪おおさか府立ふりつ和泉いずみ高校こうこう（岸和田きしわだ市し）の卒業そつぎょう式しきで橋下はしもと氏しの友人ゆうじんの中原なかはら徹とおる校長こうちょう（公募こうぼ校長こうちょう）が「君きみが代よ」斉唱せいしょうの際さいに教職員きょうしょくいんの口元くちもとをチェックしていたことが判明はんめい。「そこまでやるのか」と「君きみが代よ」に肯定こうてい的てきな人ひとからも不安ふあんの声こえがあがりました。ところが、橋下はしもと氏しは「そこまでやっていない方ほうがおかしい」とい張いはりました。

職員しょくいんの発令はつれい式しき

　「口元くちもと」のチェックの次つぎは、斉唱せいしょう時じの「姿勢しせい」の問題もんだいです。

　３月さんがつ２４日にち、大阪おおさか市内しないで行おこなわれた「維新いしん政治せいじ塾じゅく」の開講かいこう式しき。受講じゅこう生せいたちに「君きみが代よ」を斉唱せいしょうさせた後のち、橋下はしもと氏しはこう語かたりました。

　「手てを前まえに組くんでいた人ひと。どれくらいいたでしょうか。これはダメです」

　「維新いしん」内部ないぶの問題もんだいではありません。橋下はしもと氏しはこう続つづけました。

　「条例じょうれいが成立せいりつした後のち、府立ふりつ高校こうこうに（テレビ）カメラが入はいって撮影さつえいしていた。先生せんせいたちはみんな手しゅを前まえに組くんで休やすめの姿勢しせいで歌うたっていた。なかには花粉かふん症しょうなのかマスクをしたまま斉唱せいしょうしていた。これは違ちがいます」

　橋下はしもと氏しは４月がつ２日にちの市しの新規しんき採用さいようの職員しょくいんの発令はつれい式しきでも初はじめて「君きみが代よ」の斉唱せいしょうを求もとめました。そして「みなさんは国民こくみんに命令めいれいをする立場たちば。だからしっかりルールを守まもらないと命令めいれいなんか誰だれも聞きいてくれない」と憲法けんぽうの「全体ぜんたいの奉仕ほうし者しゃ」を逆転ぎゃくてんさせた暴言ぼうげんをはいた上うえで、「『君きみが代よ』斉唱せいしょうのときは、手ては横よこ、気きを付つけ」と注意ちゅういしました。

　なぜ橋下はしもと氏しは、これほどまでに「君きみが代よ」にこだわるのか。

市議会しぎかいの動うごき

　本人ほんにんは「ルールは守まもりましょうよということ」と教員きょういん・公務員こうむいんの服務ふくむ規律きりつの問題もんだいであるかのように言いいます。

　しかし、「君きみが代よ」はかつて侵略しんりゃく戦争せんそうの象徴しょうちょうとして扱あつかわれ、歌詞かしの内容ないようも主権しゅけん在民ざいみんと矛盾むじゅんしていることから、国民こくみんのなかには根強ねづよい批判ひはんがあります。たとえ教員きょういん・公務員こうむいんであったとしても、起立きりつしない自由じゆうや歌うたわない自由じゆうは、憲法けんぽう１９条じょう「思想しそう・良心りょうしんの自由じゆう」によって保障ほしょうされてしかるべきです。

　橋下はしもと氏しが根拠こんきょの一ひとつとしてあげる「国旗こっき・国歌こっか」法ほうも、制定せいてい時じに政府せいふとしては「国民こくみんにたいして国旗こっきの掲揚けいよう、国歌こっかの斉唱せいしょうを義務ぎむづけるものではない」としていました。

　橋下はしもと氏しは「子こどもたちや一般いっぱんの国民こくみんには強制きょうせいしない」といいますが、条例じょうれいで教職員きょうしょくいんが強制きょうせいされるならば、式しきに参加さんかする子こどもや保護ほご者しゃも事実じじつ上じょうの強制きょうせいを受うけることになりかねません。

　これに関連かんれんして、市議会しぎかいでも条例じょうれいの成立せいりつ後ご、「君きみが代よ」押おし付つけの動うごきがエスカレートしています。

　自民党じみんとうが「市し主催しゅさい行事ぎょうじでの起立きりつによる国歌こっか斉唱せいしょうを推奨すいしょうする」ために市議会しぎかいが「範はんを示しめす」として、開会かいかい時じに起立きりつ斉唱せいしょうを行おこなう決議けつぎ案あんを提案ていあん。「維新いしん」も「市し行事ぎょうじの国歌こっか斉唱せいしょうを強つよく推進すいしんすべき」などとする決議けつぎ案あんを提案ていあんしました。いずれも否決ひけつされましたが、こうした動うごきがどこまでも広ひろがる大阪おおさかでいいのかがいま、問とわれています。（藤原ふじわら直ただし）