2013年ねん10月がつ16日にち(水)すい

秘密ひみつ保護ほご法案ほうあんＱ＆Ａきゅーあんどえー７

「戦争せんそうする国くに」への入いり口くち

Ｑ

　「秘密ひみつ保護ほご法ほう」は米国べいこくが求もとめてきたものと聞ききましたが…。

Ａ

　米国べいこくは米べい軍ぐんと自衛隊じえいたいの一体化いったいかや、日本にっぽんとの武器ぶきの共同きょうどう開発かいはつが進すすむ中なか、自みずからの軍事ぐんじ情報じょうほうが日本にっぽんから漏もれることを懸念けねんし、これを防ふせぐ措置そち（＝罰則ばっそく強化きょうかなど）を繰くり返かえし要求ようきゅうしてきました。

　アーミテージ元もと国務こくむ副ふく長官ちょうかんら米国べいこくの超党派ちょうとうはシンクタンクが発表はっぴょうした報告ほうこく書しょは２０００年ねん、日本にっぽんに秘密ひみつ保護ほごの法ほう整備せいびを要求ようきゅう。同どう報告ほうこく書しょは、集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしを求もとめるなど日米にちべい軍事ぐんじ同盟どうめいの強化きょうかに大おおきな影響えいきょうを与あたえてきたものです。

　両りょう政府せいふ間あいだでは０５年ねんの２プラス２（軍事ぐんじ・外交がいこう担当たんとう閣僚かくりょう会合かいごう）共同きょうどう文書ぶんしょで、「秘密ひみつ保護ほごの追加ついか的てき措置そち」を軍事ぐんじ協力きょうりょくのための「不可欠ふかけつな措置そち」として合意ごういします。そこにはこんな一いち節せつがあります。

あらゆる範囲はんいで

　「部隊ぶたい戦術せんじゅつから国家こっか戦略せんりゃくレベルまで情報じょうほう共有きょうゆう・協力きょうりょくをあらゆる範囲はんいで向上こうじょうさせる」。米国べいこくの軍事ぐんじ戦略せんりゃくとの“融合ゆうごう”を首脳しゅのう（官邸かんてい）から末端まったんの兵隊へいたい（戦場せんじょう）まであらゆる層そうで進すすめるということです。

　０７年ねんには軍事ぐんじ情報じょうほう包括ほうかつ保護ほご協定きょうてい（ＧＳＯＭＩＡ）を締結ていけつ。この中なかで米べい側がわは、日本にっぽん側がわに提供ていきょうした秘密ひみつ軍事ぐんじ情報じょうほうに「同等どうとうの保護ほご」を求もとめました。つまり、米国べいこく自身じしんが秘密ひみつ漏ろうえいに最高さいこう１０年ねんの懲役ちょうえきを科かすのに対たいし、多おおくの場合ばあいが懲役ちょうえき１～５年ねんで、秘密ひみつを扱あつかう者ものへの“身辺しんぺん調査ちょうさ”制度せいどもない日本にっぽんの法ほう制度せいどが“甘あまい”ということです。「秘密ひみつ保護ほご法ほう」ができれば、懲役ちょうえきが最高さいこう１０年ねんで「同等どうとう」になります。

　協定きょうてい締結ていけつの前日ぜんじつ、日本にっぽん政府せいふは公務員こうむいんへの“身辺しんぺん調査ちょうさ”制度せいどの導入どうにゅうを決定けってい。今回こんかいの「秘密ひみつ保護ほご法ほう」を先取さきどりする措置そちを法律ほうりつ１本ほん通とおすことなく成なし遂とげました。

　日米にちべい軍事ぐんじ一体化いったいかは、政府せいふ同士どうしや軍ぐん同士どうしにとどまりません。法案ほうあんが軍需ぐんじゅ産業さんぎょうなどの民間みんかん企業きぎょうも秘密ひみつを扱あつかうことを前提ぜんていにするように、武器ぶきの共同きょうどう開発かいはつの拡大かくだいも念頭ねんとうにあります。

軍事ぐんじ国家こっかに変質へんしつ

　安倍あべ首相しゅしょうはこの法案ほうあんを集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしや国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎ（ＮＳＣ）の設置せっちとともに、「日米にちべい同盟どうめい強化きょうかを見据みすえたもの」と位置いちづけています。そこには、政府せいふから軍需ぐんじゅ産業さんぎょうまで一体いったいとなって「米国べいこくとともに戦争せんそうできる国くに」に変かえるための“入いり口くち”にする意図いとがはっきり示しめされています。