2015年ねん1月がつ5日にち(月)げつ

秘密ひみつ保護ほご法ほうづくりの有識者ゆうしきしゃ　言論げんろん弾圧だんあつの危険きけん認識にんしき

「絶対ぜったい安全あんぜんといえぬ」

本紙ほんしが資料しりょう入手にゅうしゅ

　安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうが秘密ひみつ保護ほご法ほうについて、国民こくみんは関係かんけいない、報道ほうどうが抑圧よくあつされる例れいがあったら首相しゅしょうをやめるなどと、“安全あんぜん神話しんわ”を振ふりまいています。しかし、同どう法ほうの骨格こっかくづくりをすすめた会議かいぎの中なかで委員いいんらが「絶対ぜったい安全あんぜんという論調ろんちょうは、今いまとなってはとり得えない」と認みとめていたことが４日にち、本紙ほんしが入手にゅうしゅした情報じょうほう公開こうかい資料しりょうで判明はんめいしました。秘密ひみつ保護ほご法ほうの骨格こっかくづくりの段階だんかいで、言論げんろん弾圧だんあつへの危険きけんを認識にんしきしていたことを示しめすものです。（矢野やの昌弘まさひろ）

首相しゅしょう「国民こくみんは関係かんけいない」と言いうが

　本紙ほんしが入手にゅうしゅしたのは、２０１１年ねんに「秘密ひみつ保全ほぜんのための法制ほうせいの在あり方かたに関かんする有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ」が報告ほうこく書しょをまとめるために、大学だいがく教授きょうじゅら５人にんの委員いいんと事務じむ局きょくの内閣ないかく情報じょうほう調査ちょうさ室しつ（内うち調ちょう）がやりとりした文書ぶんしょです。

　内うち調ちょうが書かいた当初とうしょの文案ぶんあんでは、「本法ほんぽう制せいは、その趣旨しゅしに従したがって運用うんようされれば、国民こくみんの知しる権利けんりとの関係かんけいで問題もんだいを生しょうじたり、取材しゅざいの自由じゆうを不当ふとうに制限せいげんしたりするものではない」としていました。

　この記述きじゅつに、委員いいんは「むしろ、危険きけん性せいは指摘してきしておく方ほうが説得せっとく力りょくがある。絶対ぜったい安全あんぜんという論調ろんちょうは、今いまとなってはとり得えない」とコメント。「ひとたびその運用うんようを誤あやまれば、国民こくみんの重要じゅうような権利けんり利益りえきに対たいする制約せいやくする重大じゅうだいな脅威きょういとなる可能かのう性せい」（原文げんぶんママ）などと、文案ぶんあんを書かきかえています。

　法案ほうあんの構想こうそう段階だんかいでの前提ぜんていとして、危険きけん性せいが認識にんしきされていたわけです。安倍あべ首相しゅしょうは、法ほうの施行しこう（１４年ねん１２月じゅうにがつ１０日にち）を前まえに事実じじつに反はんする“安全あんぜん神話しんわ”を振ふりまいたのです。

　安倍あべ首相しゅしょうは「（同どう法ほうは）工作こうさく員いんとかテロリスト、スパイを相手あいてにしていますから。国民こくみんは全まったく基本きほん的てきに関係かんけいない。報道ほうどうが抑圧よくあつされる例れいがあったら、私わたしは（首相しゅしょうを）やめます」（１１月がつ１８日にち、ＴＢＳ系けい「ＮＥＷＳにゅーす２３」）と強弁きょうべんしました。

　同どう文書ぶんしょでは、このほかにも内うち調ちょうの文案ぶんあんに対たいして有識者ゆうしきしゃ会議かいぎの委員いいんが注文ちゅうもんをつけています。

　政府せいふ側がわの知しらせる義務ぎむへの言及げんきゅうが少すくないことを「政府せいふの説明せつめい責任せきにんについても、表題ひょうだいに掲かかげては？　（中略ちゅうりゃく）こういうの、苦手にがてですか」とチクリ。別べつの記述きじゅつでは「意見いけん（役所やくしょの都合つごう）が前まえに出過ですぎています」と、内うち調ちょうのお手盛てもりぶりにくぎをさしています。