2016年ねん7月がつ3日にち(日)にち

参院さんいん選せん報道ほうどう　テレビから消きえた？！

党首とうしゅ討論とうろん　公示こうじ後ごは１回かいだけ　自民じみんの圧力あつりょくで強つよまる萎縮いしゅく傾向けいこう

　「選挙せんきょ中ちゅう、テレビでの参院さんいん選せん報道ほうどうが少すくないのでは？」「中身なかみも焦点しょうてんに迫せまり切きれてない」―そんな声こえが聞きこえてきます。

　象徴しょうちょう的てきなのが、ＮＨＫと民放みんぽうキー局きょくの計けい５局きょくが実施じっししている、各党かくとうトップが論戦ろんせんする党首とうしゅ討論とうろんです。

　今回こんかいは、論戦ろんせんが本格ほんかく化かする公示こうじ後ごは、６月がつ２４日にちのＴＢＳ「ＮＥＷＳにゅーす２３」だけ。「投票とうひょう日び前まえの２週間しゅうかん、党首とうしゅ討論とうろんがまったくない」状況じょうきょうがまかり通とおろうとしています。

　公示こうじ後ごの党首とうしゅ討論とうろんは、前回ぜんかい２０１３年ねんの参院さんいん選せんでは４回かいでした。１４年ねんの総そう選挙せんきょ時じは３回かいに減へったものの、投票とうひょう日びの１１日にち前まえには放送ほうそうされていました。１２年ねん総そう選挙せんきょ（民主党みんしゅとう政権せいけん時じ）は５局きょくすべてで公示こうじ後ごに実施じっし。最後さいごは投票とうひょう日びの３日にち前まえでした。

　４野党やとうは６月がつに２回かいにわたって今回こんかいの異常いじょうさを自民党じみんとうに突つき付つけ、「テレビ以外いがいの場ばも含ふくめ」ての党首とうしゅ討論とうろんを申もうし入いれました。しかし自民党じみんとうは拒否きょひしたままです。

　安倍あべ首相しゅしょうは「期日きじつ前ぜん投票とうひょうが増ふえた」ことを「党首とうしゅ討論とうろん前倒まえだおし」の理由りゆうにあげています。しかしこの間あいだの国政こくせい選挙せんきょの期日きじつ前ぜん投票とうひょう者しゃは全ぜん有権者ゆうけんしゃの１割わりちょっと。大だい多数たすうは投票とうひょう日びまでの論議ろんぎの行方ゆくえを見定みさだめて投票とうひょうしているのが現実げんじつです。

　さらに見逃みのがせないのは、選挙せんきょのさなかというのにテレビで選挙せんきょそのものが報ほうじられないことです。

　ＮＨＫ午後ごご７時じのニュースでいえば、「注目ちゅうもくの選挙せんきょ区く」を数日すうじつ放送ほうそう、ある選挙せんきょ区くの候補者こうほしゃを紹介しょうかいし、演説えんぜつの映像えいぞうを流ながしただけです。ほかには土ど、日曜日にちようびに党首とうしゅらの遊説ゆうぜいを紹介しょうかいするという程度ていどです。

　選挙せんきょ報道ほうどうというなら、参院さんいん選せんでは何なにが問とわれるのかという重大じゅうだい争そう点てんについて、取材しゅざい力りょく・構想こうそう力りょくを発揮はっきして、論点ろんてんを特集とくしゅう的てきに提示ていじしていくのが放送ほうそうの任務にんむのはずです。

　このように選挙せんきょ報道ほうどうの「質しつ」だけでなく、「量りょう」でも大おおきく後退こうたいしているというのが実態じったいです。

　とくに１４年ねん総そう選挙せんきょ前まえ、自民党じみんとうは在京ざいきょう主要しゅようテレビ局てれびきょくに、各党かくとう出席しゅっせき者しゃの発言はつげん回数かいすうや街頭がいとうインタビューの使用しようなどについて、報道ほうどうを束縛そくばくし、干渉かんしょうする要望ようぼう文書ぶんしょを送おくりました。この結果けっか、選挙せんきょ報道ほうどうが激減げきげんしたというのが実際じっさいの状況じょうきょうです。

　さらに昨年来さくねんらいの「ＮＥＷＳにゅーす２３」や「クローズアップ現代げんだい」への政権せいけんからの圧力あつりょくや、高市たかいち総務そうむ相しょうの「停とま波なみ」発言はつげんなどが相次あいつぎ、各局かくきょくの政治せいじ・選挙せんきょ報道ほうどうの萎縮いしゅく傾向けいこうがさらに強つよまっていると広ひろく指摘してきされています。