2017年ねん5月がつ24日にち(水)すい

「共謀きょうぼう罪ざい」法案ほうあん　衆院しゅういん本ほん会議かいぎ

藤野ふじの氏しの反対はんたい討論とうろん（要旨ようし）

　日本にっぽん共産党きょうさんとうの藤野ふじの保たもつ史し議員ぎいんが２３日にちの衆院しゅういん本ほん会議かいぎで行おこなった「共謀きょうぼう罪ざい」法案ほうあんの反対はんたい討論とうろん（要旨ようし）は次つぎの通とおりです。

　自由じゆうと民主みんしゅ主義しゅぎがかかった重大じゅうだい法案ほうあんであるにもかかわらず、本ほん法案ほうあんの審議しんぎは全まったく尽つくされていません。

　反対はんたいする理由りゆうの第だい１は、本ほん法案ほうあんが、具体ぐたい的てきに危険きけんな行為こういがあってはじめて処罰しょばつするという近代きんだい刑事けいじ法ほうの大だい原則げんそくをくつがえし、日本国にっぽんこく憲法けんぽうが保障ほしょうする思想しそう・良心りょうしんの自由じゆう、表現ひょうげんの自由じゆうなどを侵害しんがいする違憲いけん立法りっぽうそのものだということです。

　５月がつ１８日にち、国連こくれん人権じんけん理事りじ会かいが任命にんめいした国連こくれんプライバシー権けんに関かんする特別とくべつ報告ほうこく者しゃジョセフ・ケナタッチ氏しから、本ほん法案ほうあんがプライバシー権けんや表現ひょうげんの自由じゆうへの「過度かどの制限せいげん」になると強つよく懸念けねんする書簡しょかんが総理そうりに届とどけられました。

　菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、この指摘してきは「全まったくあたらない。強つよく抗議こうぎする」などと述のべましたが、共謀きょうぼう罪ざいが必要ひつような理由りゆうとして、国際こくさい条約じょうやくの締結ていけつや国際こくさい社会しゃかいとの連携れんけいをあれほど強調きょうちょうしておきながら、「全まったくあたらない」と切きり捨すてる。その姿勢しせいはご都合主義つごうしゅぎそのものであり、到底とうてい許ゆるされません。

　第だい２に、本ほん法案ほうあんについて、政府せいふは「テロ対策たいさくのため」「一般人いっぱんじんは対象たいしょうにならない」などと説明せつめいしてきましたが、今いまやその説明せつめいはボロボロです。

　国際こくさい組織そしき犯罪はんざい防止ぼうし条約じょうやくの作成さくせい過程かていでは、日本にっぽん政府せいふをはじめＧ８のほとんどの国くにが「テロリズムは本ほん条約じょうやくの対象たいしょうとすべきでない」と主張しゅちょうしていました。本ほん条約じょうやくがテロ防止ぼうし条約じょうやくでないことは明あきらかです。

　日本にっぽんはすでに、テロ防止ぼうしのための１３本ほんの国際こくさい条約じょうやくを締結ていけつし、６６の重大じゅうだい犯罪はんざいについて、未遂みすいより前まえの段階だんかいで処罰しょばつできる国内こくない法ほうを整備せいびしています。同どう条約じょうやくの締結ていけつに共謀きょうぼう罪ざいの新設しんせつは不要ふようです。

　政府せいふは「組織そしき的てき犯罪はんざい集団しゅうだん」や「実行じっこう準備じゅんび行為こうい」を要件ようけんとしているから「内心ないしんを処罰しょばつするものではない」と主張しゅちょうしていますが、いずれも判断はんだんするのは警察けいさつです。

　「実行じっこう準備じゅんび行為こうい」について、「花見はなみと下見したみは、外形がいけい上じょう区別くべつできないではないか」と聞きくと、金田かねだ大臣だいじんは「ビールと双眼鏡そうがんきょうなど、外形がいけい上じょうで区別くべつできる」と強弁きょうべんしました。しかし、「それでは区別くべつにならないではないか」と聞きくと、今度こんどは「計画けいかくに基もとづくかどうかで判断はんだんする」と言いいだしました。「外形がいけい上じょう区別くべつできる」と説明せつめいしてきたのに、結局けっきょくは「計画けいかく」すなわち内心ないしんでしか区別くべつできないことを自みずから認みとめたものにほかなりません。内容ないようも答弁とうべんもボロボロの本ほん法案ほうあんはただちに廃案はいあんにすべきです。

　第だい３に、本ほん法案ほうあんは、モノ言いえぬ監視かんし社会しゃかいをつくりだす「現代げんだい版ばん・治安ちあん維持いじ法ほう」であり、安保あんぽ法制ほうせい＝戦争せんそう法ほう、特定とくてい秘密ひみつ保護ほご法ほう、盗聴とうちょう法ほうなどと一体いったいに日本にっぽんを「戦争せんそうする国くに」に変質へんしつさせるものです。

　質疑しつぎの中なかで、岐阜ぎふ県けん大垣おおがき署しょの市民しみん監視かんし事件じけんや堀越ほりこし事件じけんなど、警察けいさつによる監視かんし活動かつどうの実態じったいが明あきらかになりました。警察けいさつは、違法いほう性せいが認定にんていされても「適正てきせいな職務しょくむ執行しっこうだった」と開ひらき直なおっています。ここに共謀きょうぼう罪ざいが新設しんせつされたらどうなるか。警察けいさつがいま以上いじょうに大手おおてを振ふって一般いっぱん市民しみんの監視かんしに乗のり出だすことは火ひを見みるよりも明あきらかです。

　いま安倍あべ政権せいけんの暴走ぼうそうに対たいして、もの言いう市民しみんが声こえをあげ、野党やとうと市民しみんの共同きょうどうが広ひろがり、新あたらしい日本にっぽんの民主みんしゅ主義しゅぎが動うごき始はじめています。

　安倍あべ総理そうりによる「９条じょう改憲かいけん」発言はつげんは、本ほん法案ほうあんが戦争せんそうする国くにづくりの一環いっかんであることを改あらためて浮うき彫ぼりにし、広範こうはんな市民しみんが怒いかりの声こえをあげています。共謀きょうぼう罪ざいは日本にっぽんの民主みんしゅ主義しゅぎの発展はってんを恐おそれ、もの言いう市民しみんを萎縮いしゅくさせようとするものです。しかし、この新あたらしい民主みんしゅ主義しゅぎの流ながれをおしとどめることは絶対ぜったいにできません。