2020年ねん11月5日にち(木)もく

学術がくじゅつ会議かいぎ人事じんじ介入かいにゅう　任命にんめい拒否きょひの「根拠こんきょ」総崩そうくずれ

公務員こうむいんの選定せんてい・罷免ひめん権けんは国民こくみんに　志位しい委員いいん長ちょうが追及ついきゅう

衆院しゅういん予算よさん委い

　日本にっぽん共産党きょうさんとうの志位しい和夫かずお委員いいん長ちょうは４日にちの衆院しゅういん予算よさん委員いいん会かいで、菅かん義よし偉えら首相しゅしょうによる日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎの会員かいいん任命にんめい拒否きょひがあらゆる点てんで違法いほう・違憲いけんであることを解とき明あかしました。菅かん首相しゅしょうはまともに答こたえられず、答弁とうべん書しょを棒読ぼうよみしつづけるだけ。任命にんめい拒否きょひの道理どうりのなさが議論ぎろんの余地よちなく明あきらかになり、菅かん首相しゅしょうが唱となえる「根拠こんきょ」は総崩そうくずれになりました。志位しい氏しは「強権きょうけんをもって異論いろんを排斥はいせきする政治せいじに未来みらいはない」と厳きびしく批判ひはんしました。（関連かんれん記事きじ）

（写真しゃしん）質問しつもんする志位しい和夫かずお委員いいん長ちょう＝４日にち、衆院しゅういん予算よさん委い

　志位しい氏しは、菅かん首相しゅしょうが任命にんめい拒否きょひの理由りゆうについて、「総合そうごう的てき、俯瞰ふかん（ふかん）的てき」「バランス」「多様たよう性せい」などと説明せつめいしたものの、５０歳さい代だい前半ぜんはんの研究けんきゅう者しゃ、その大学だいがくからただ一いち人にんだけという研究けんきゅう者しゃ、女性じょせい研究けんきゅう者しゃの任命にんめいを拒否きょひするなど、言いえば言いうほど支離滅裂しりめつれつになっていることを指摘してき。法ほうに規定きていされている会員かいいんの選考せんこう基準きじゅんは「優すぐれた研究けんきゅう又または業績ぎょうせき」のある研究けんきゅう者しゃの一いち点てんだけで「理由りゆうを明あきらかにしないままの任命にんめい拒否きょひは、学術がくじゅつ会議かいぎの独立どくりつ性せい・自主じしゅ性せいを根底こんていから破壊はかいする」とただしました。

　菅かん首相しゅしょうは「特定とくていの大学だいがくに偏かたよっている」などと再ふたたび支離滅裂しりめつれつな説明せつめいを繰くり返かえしただけ。志位しい氏しは「あまりに見苦みぐるしい態度たいどだ」と厳きびしく批判ひはんしました。

　さらに、志位しい氏しは、学術がくじゅつ会議かいぎの政府せいふからの独立どくりつ性せいは、法ほうの条文じょうぶん全体ぜんたいを通つうじて幾重いくえにも保障ほしょう（表ひょう）され、１９８３年ねんの法ほう改定かいていの際さいにも「形式けいしき的てき任命にんめい」「拒否きょひしない」などと明確めいかくに答弁とうべんしていることを指摘してき。国会こっかい審議しんぎでも、この法ほう解釈かいしゃくを内閣ないかく法制ほうせい局きょくと「十分じゅうぶんに詰つめた」と答弁とうべんしていることをあげ、「現在げんざい、この法ほう解釈かいしゃくを維持いじしているのか」とただしました。

　菅かん首相しゅしょうは答弁とうべんに立たてず、加藤かとう勝信かつのぶ官房かんぼう長官ちょうかんが代かわって「推薦すいせんされた方々かたがたをそのまま任命にんめいしなければならないということではないというのが、内閣ないかく法制ほうせい局きょくの確認かくにんをえた政府せいふとしての一貫いっかんした考かんがえだ」などとはぐらかしました。志位しい氏しは、法ほう解釈かいしゃくを維持いじしているか答こたえないが、まぎれもない解釈かいしゃく変更へんこうだと指摘してき。国会こっかいで確定かくていした法ほう解釈かいしゃくに反はんする任命にんめい拒否きょひは法律ほうりつ違反いはんだと批判ひはんしました。

　さらに、志位しい氏しが「内閣ないかく法制ほうせい局きょくの了解りょうかいを得えたのはいつか」と聞きくと、井上いのうえ信治しんじ科学かがく技術ぎじゅつ担当たんとう相しょうは「１８年ねん１１月がつ１５日にちだ」と述のべ、わずか２年ねん前まえに決きめたことが明あきらかになりました。志位しい氏しは「２年ねん前まえにこっそり決きめて、国会こっかいで説明せつめいされたわけでもない。学術がくじゅつ会議かいぎにも知しらされなかった」「クーデター的てきな法ほう解釈かいしゃくの改かいざんというほかない」と批判ひはんしました。

　志位しい氏しは、憲法けんぽう１５条じょう１項こうを持もちだした菅かん首相しゅしょうの任命にんめい拒否きょひ合理ごうり化か論ろんも成なりたないことを指摘してき。憲法けんぽう１５条じょうは公務員こうむいんの選定せんてい・罷免ひめん権けんが主権しゅけん者しゃ・国民こくみんにあることを規定きていしたもので、その具体ぐたい化かは国民こくみんを代表だいひょうする国会こっかいが法ほうで定さだめることになっており、法ほうに反はんした任命にんめいこそ憲法けんぽう１５条じょう違反いはんとなることを解とき明あかし、「公務員こうむいんの選定せんてい・罷免ひめん権けんをあたかも首相しゅしょうにあるかのごとく条項じょうこうを読よみ替かえるのは、首相しゅしょうが主権しゅけん者しゃである国民こくみんから公務員こうむいんの選定せんてい・罷免ひめん権けんを簒奪さんだつ（さんだつ＝資格しかくのない者ものが権限けんげんを奪うばい取とること）する暴挙ぼうきょだ」と批判ひはんしました。

　そのうえで、志位しい氏しは、違法いほうな任命にんめい拒否きょひによって、学問がくもんの世界せかいに萎縮いしゅくや自主じしゅ規制きせいが広ひろがるなど、憲法けんぽう２３条じょうが保障ほしょうした「学問がくもんの自由じゆう」が侵害しんがいされる事態じたいが具体ぐたい的てきに進行しんこうしていることを告発こくはつ。戦前せんぜん、学問がくもんの自由じゆうが剥奪はくだつされ、科学かがく者しゃが戦争せんそう遂行すいこうのための軍事ぐんじ研究けんきゅうに総そう動員どういんされた歴史れきしや、６７０もの幅広はばひろい団体だんたいが任命にんめい拒否きょひの抗議こうぎ声明せいめいを出だしていることをあげ、「日本にっぽん国民こくみん全体ぜんたいにとっての大だい問題もんだいだ」とただしました。

　菅かん首相しゅしょうは「任命にんめいしなかったこととは関係かんけいない」などと強弁きょうべん。志位しい氏しは、強権きょうけんで異論いろんを排斥はいせきする菅かん首相しゅしょうの政治せいじ手法しゅほうを厳きびしく批判ひはんし、「違憲いけん・違法いほうの任命にんめい拒否きょひは撤回てっかいすべきだ」と述のべました。