2021年ねん9月がつ26日にち(日)にち

学術がくじゅつ会議かいぎ　任命にんめい拒否きょひ撤回てっかいまで追及ついきゅうは続つづく

ＪＣＪ賞しょう贈おく賞しょう式しき　小木曽こぎそ編集へんしゅう局長きょくちょうのスピーチ

　２５日にちに行おこなわれた第だい６４回かい日本にっぽんジャーナリスト会議かいぎ（ＪＣＪ）賞しょうの贈おく賞しょう式しきで、小木曽こぎそ陽司ようじ・赤旗あかはた編集へんしゅう局長きょくちょうが行おこなったスピーチ（要旨ようし）を紹介しょうかいします。

（写真しゃしん）スピーチする小木曽こぎそ陽司ようじ編集へんしゅう局長きょくちょう＝25日にち、東京とうきょう都と文京ぶんきょう区く

　菅かん首相しゅしょうの学術がくじゅつ会議かいぎ人事じんじ介入かいにゅうスクープとキャンペーンをＪＣＪ賞しょうに選えらんでいただき、ありがとうございます。

権力けんりょく者しゃトップの違法いほう行為こういを暴あばき、退陣たいじんに追おい込こむ

　昨年さくねんの日曜にちよう版ばんの「桜さくらを見みる会かい」私物しぶつ化か疑惑ぎわくスクープの大賞たいしょうに続つづく２年ねん連続れんぞくの受賞じゅしょうは、大変たいへん光栄こうえいです。発表はっぴょう日び３日にちは、くしくも菅かん首相しゅしょうが世論せろんと運動うんどうに追おい詰つめられ、政権せいけんを投なげ出だした日ひでした。安倍あべ前ぜん首相しゅしょうは病気びょうき、菅かん首相しゅしょうはコロナ対策たいさく専念せんねんが退陣たいじんの表向おもてむきの理由りゆうでしたが、「桜さくらを見みる会かい」疑惑ぎわく、学術がくじゅつ会議かいぎ任命にんめい拒否きょひのスクープがボディブローのように効きいて、退陣たいじんの引ひき金がねになったことは間違まちがいありません。権力けんりょく者しゃトップの違法いほう行為こういを暴あばき、退陣たいじんに追おい込こむスクープを２年ねん連続れんぞくで放はなったのは初はじめてのことです。

なぜ「赤旗あかはた」の単独たんどくスクープだったのか

　去年きょねん１０月がつ１日にち付づけのスクープ「菅かん首相しゅしょう　学術がくじゅつ会議かいぎ人事じんじに介入かいにゅう　推薦すいせん候補こうほを任命にんめいせず　安保あんぽ法制ほうせい批判ひはん者しゃら数すう人にん　前例ぜんれいない推薦すいせん者しゃ外はずし」は、公開こうかい情報じょうほうがきっかけでした。任命にんめい拒否きょひされた学者がくしゃの一人ひとりが、推薦すいせん名簿めいぼには名前なまえがあったのに、任命にんめい名簿めいぼにはなかったことをＳＮＳで暴露ばくろしたのです。

　どの社しゃ、どのメディアも知しりうる立場たちばにあったはずです。実際じっさい、「赤旗あかはた」では、たまたま私わたしや三浦みうら誠まこと社会しゃかい部長ぶちょうがこの重大じゅうだい情報じょうほうに遭遇そうぐうし、出足であし早はやい取材しゅざいの契機けいきとなりました。しかし、それがなぜ、大手おおてメディアではなく、「赤旗あかはた」の単独たんどくスクープになったのか。「ご飯はん論法ろんぽう」で知しられる法政大学ほうせいだいがく教授きょうじゅの上西かみにし充子みつこさんが、本紙ほんし６日にち付づけに寄よせたコメントで、「１面めんで報ほうじると判断はんだんした赤旗あかはた編集へんしゅう局きょくの問題もんだい意識いしきこそが、ＪＣＪ賞しょう受賞じゅしょうに至いたったことの意義いぎだと思おもう」と、次つぎのように語かたっています。

　「端緒たんしょは任命にんめい拒否きょひされた学者がくしゃによるＳＮＳの発信はっしんでした。キャッチできる人ひとはたくさんいたはずです。『赤旗あかはた』はそこに『見過みすごしてはいけない重大じゅうだいな問題もんだい』を見みいだした。共謀きょうぼう罪ざい法ほうなどを強行きょうこうした安倍あべ政権せいけんの時代じだいから、表現ひょうげんや学問がくもんの自由じゆうが制限せいげんされる流ながれは続つづいていました。編集へんしゅう局きょくにそのことへの問題もんだい意識いしきがあったからこその判断はんだんだったのでしょう」

　「同おなじ問題もんだいを報ほうじても、政府せいふのい分いぶんを含ふくめた両論りょうろん併記へいきで書かくと、世よの中なかはその重要じゅうよう性せいに気きづけないことがあります。『赤旗あかはた』は一いち歩ほ踏ふみ込こみ、『これは重大じゅうだい問題もんだいだ』と提示ていじしました。そうやって初はじめて問題もんだいの深刻しんこくさが私わたしたちに伝つたわるのです」

　事実じじつ、私わたしたちはこの情報じょうほうに接せっしたとき、菅かん首相しゅしょうの人事じんじをテコとした権力けんりょく支配しはい、強権きょうけん政治せいじはついにここまで来きたかと強烈きょうれつな危機きき感かんを持もち、学問がくもんの自由じゆうへの介入かいにゅうを「見過みすごしてはいけない重大じゅうだい問題もんだい」と認識にんしきを共有きょうゆうし、取材しゅざいとキャンペーンにあたってきました。

　そういう一いち歩ほ踏ふみ込こんだ問題もんだい提起ていきの姿勢しせいが、政府せいふのい分いぶんも含ふくめた「両論りょうろん併記へいき」とは違ちがって、問題もんだいの深刻しんこくさをアピールすることになったのではないか。この指摘してきは私わたしたちも実感じっかんするところです。

「赤旗あかはた」の連続れんぞく受賞じゅしょうの意義いぎ

　こうして「赤旗あかはた」は、２年ねん連続れんぞくＪＣＪ賞しょうを受賞じゅしょうする栄誉えいよに浴よくし、それを通つうじて、日本にっぽんを代表だいひょうするジャーナリズムの一ひとつとして社会しゃかい的てきに認知にんちされるようになりました。同時どうじに、それは、日本にっぽんのメディア界かいの現状げんじょうの反映はんえい、危機ききの裏返うらがえしでもあることを考かんがえると、複雑ふくざつな気持きもちになります。

　学術がくじゅつ会議かいぎ任命にんめい拒否きょひ問題もんだいは、首相しゅしょうが任命にんめい拒否きょひを撤回てっかいしない限かぎり、問題もんだいは解決かいけつしません。自民党じみんとう総裁そうさい選せんのなかで、「撤回てっかい」を表明ひょうめいした候補こうほは一人ひとりもいません。そうであれば、総そう選挙せんきょで政権せいけん交代こうたいを実現じつげんし、任命にんめい拒否きょひを撤回てっかいする新あたらしい政権せいけんをつくるしかないと考かんがえます。撤回てっかいまで追及ついきゅうを続つづける決意けついを述のべて、スピーチとしたいと思おもいます。