モンゴル、欧州おうしゅうとの関係かんけい強化きょうか進すすめる

英国えいこくのデービッド・キャメロン外務がいむ・英えい連邦れんぽう・開発かいはつ（FCDO）相しょうは4月がつ25日にち、モンゴルを公式こうしき訪問ほうもんし、バトムンフ・バトツェツェグ外相がいしょうと会談かいだんを行おこなった。会談かいだんで双方そうほうは、過去かこ60年間ねんかんの協力きょうりょくの成果せいかを強化きょうかし、両国りょうこく関係かんけいのレベルを引ひき上あげ、あらゆる分野ぶんやで互恵ごけい的てき協力きょうりょくを促進そくしんすることを確認かくにんした。両国りょうこく関係かんけいについても詳細しょうさいに協議きょうぎし、貿易ぼうえき、経済けいざい、文化ぶんか、教育きょういく、観光かんこう、電子でんし政府せいふ、地質ちしつ学がくの分野ぶんやで協力きょうりょくを拡大かくだいすることで合意ごういした（注ちゅう1）。会談かいだん後ご、双方そうほうは「モンゴル・英国えいこく包括ほうかつ的てきパートナーシップに向むけたロードマップ」「モンゴルのレアメタル分野ぶんや協力きょうりょくに関かんするモンゴル・英国えいこく政府せいふ間あいだ覚書おぼえがき」「地質ちしつ科学かがく・技術ぎじゅつ協力きょうりょくに関かんする覚書おぼえがき」に署名しょめいした。

また、4月がつ29～30日にちにはベルギーのブリュッセルで、モンゴル・EUの地理ちり的てき表示ひょうじ（GI：Geographical Indication、注ちゅう2）に関かんする協定きょうてい交渉こうしょうが行おこなわれた。交渉こうしょうはモンゴル外務省がいむしょうと知的ちてき財産ざいさん庁ちょう、EUのアジア・豪州ごうしゅう農業のうぎょう・農村のうそん開発かいはつ局きょくとの間あいだで行おこなわれた。モンゴル外務省がいむしょうは、付加ふか価値かち製品せいひんの生産せいさん拡大かくだいを進すすめる上うえで、地理ちり的てき表示ひょうじ協定きょうていを通つうじてEU市場いちばでモンゴル産さんの農産物のうさんぶつ・非ひ農産物のうさんぶつに保護ほごを与あたえることが非常ひじょうに重要じゅうようとしている。

さらに、5月15日にちにはウランバートルでEUが資金しきん提供ていきょうする国際こくさい貿易ぼうえき開発かいはつプロジェクトの開会かいかい式しきが行おこなわれた。同どうプロジェクトは、物流ぶつりゅう上じょうの課題かだいや国際こくさい貿易ぼうえき規則きそくの複雑ふくざつさなど、中小ちゅうしょう企業きぎょうが直面ちょくめんする非ひ関税かんぜい障壁しょうへきに対処たいしょすることで、欧州おうしゅう市場いちばへのアクセスを支援しえんすることを目的もくてきとしている。開会かいかい式しきでは、対外たいがい貿易ぼうえき政策せいさくの強化きょうか、輸出ゆしゅつクラスターの多角たかく化か、長期ちょうき的てきな官民かんみんパートナーシップの確立かくりつなどについて意見いけん交換こうかんを行おこなった。

続つづく5月16日にちにはモンゴル外務省がいむしょうで、「モンゴル・ドイツ関係かんけい、現状げんじょうと展望てんぼう」学術がくじゅつ会議かいぎが開催かいさいされた。同どう会議かいぎでは、政治せいじ関係かんけい、貿易ぼうえき、経済けいざい、投資とうし、開発かいはつ協力きょうりょく、教育きょういく、科学かがくなど、戦略せんりゃく的てきパートナーシップ文書ぶんしょ（注ちゅう3）に記載きさいされたさまざまな問題もんだいが議論ぎろんされた。

モンゴルはロシアと中国ちゅうごくに国境こっきょうを囲かこまれており、物理ぶつり的てきには接せっしていないが、外交がいこう政策せいさく上じょう、日本にっぽんや欧米おうべいなどの国くにを「第だい三さんの隣国りんごく」と位置いちづけ、ロシア、中国ちゅうごくと同様どうように重視じゅうししており、近年きんねん、モンゴルと欧州おうしゅう各国かっこくとの関係かんけい強化きょうかを進すすめている（注ちゅう4）。

（注ちゅう1）会談かいだんではこのほか、モンゴルの長期ちょうき国家こっか開発かいはつ方針ほうしん「ビジョン2050」「新しん復興ふっこう政策せいさく」「10億おく本ほん植樹しょくじゅ運動うんどう」の各かく目標もくひょうでの協力きょうりょくの可能かのう性せいについて話はなし合あわれた。

（注ちゅう2）地理ちり的てき表示ひょうじ（GI）とは、ある製品せいひんが特定とくていの国くに・地域ちいきを原産地げんさんちとし、品質ひんしつや評判ひょうばんなどの特性とくせいがその原産地げんさんちと結むすび付つきがある場合ばあいに、その原産地げんさんちを特定とくていする表示ひょうじのこと。これを法的ほうてきに保護ほごすることで、対象たいしょう産品さんぴんの模倣もほう品ひんや盗用とうよう品ひんを市場いちばから排除はいじょすることなどが期待きたいできる。

（注ちゅう3）モンゴル・ドイツ関係かんけいは、2022年ねんにロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相しゅしょうがドイツを公式こうしき訪問ほうもんし（2022年ねん11月がつ10日とおか記事きじ参照さんしょう）、2023年ねんにドイツのアナレーナ・ベアボック外相がいしょうがモンゴルを訪問ほうもんした。2024年ねん2月がつには、ドイツのフランク・バルター・シュタインマイヤー大統領だいとうりょうがモンゴルを国賓こくひん訪問ほうもんし、両国りょうこく関係かんけいを「包括ほうかつ的てきパートナーシップ」から「戦略せんりゃく的てきパートナーシップ」に引ひき上あげた。「戦略せんりゃく的てきパートナーシップ」については2023年ねん8月がつ23日にち記事きじ参照さんしょう。

（注ちゅう4）2023年ねんには5月と10月がつにフランスとの間あいだで大統領だいとうりょうの相互そうご訪問ほうもんが行おこなわれ、10月に消防しょうぼう・レスキュー、ウラン鉱床こうしょう、通信つうしん衛星えいせい、地質ちしつ科学かがく、鉱物こうぶつ探査たんさなどの分野ぶんやで協力きょうりょく文書ぶんしょが署名しょめいされた。

（藤井ふじい一範かずのり）