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アレルギーの病気とは|一般の皆様へ|一般社団法人日本アレルギー学会

アレルギーの病気びょうきとは

気管支きかんし喘息ぜんそく成人せいじん

気管支きかんし喘息ぜんそくとは、いきをするとき空気くうきとおみち気道きどう)に、慢性まんせい炎症えんしょうがおき、そのために気道きどうがせまくなり(気道きどう狭窄きょうさく)、かえせきや、ゼ―ゼーヒューヒューおんがする喘鳴ぜんめい呼吸こきゅう困難こんなんしょうじる呼吸こきゅうけい病気びょうきです。この気道きどう狭窄きょうさくは、自然しぜんに、あるいは治療ちりょうにより、もと状態じょうたいもどりますが(可逆かぎゃくせいいます)、治療ちりょうをせずに放置ほうちすると、あるいは自己じこ判断はんだん治療ちりょう中断ちゅうだんすると、かえきる炎症えんしょうにより、気道きどう構造こうぞう変化へんかし(リモデリングといます)、もと状態じょうたいもどらなくなってしまいます(可逆かぎゃくせい)。そうなると、喘息ぜんそく症状しょうじょうはよりきやすく、よりおもくなるので、はやめに適切てきせつ診断しんだんけ、はや治療ちりょうはじめるべきです。

気管支きかんし喘息ぜんそく慢性まんせい炎症えんしょうは、こうさんだまやリンパだま、マスト細胞さいぼうなどの白血球はっけっきゅうと、気道きどう構成こうせいする細胞さいぼう気道きどう上皮じょうひ細胞さいぼう平滑へいかつすじ細胞さいぼうなど)が関係かんけいして、さまざまな原因げんいん物質ぶっしつ(アレルゲン)や環境かんきょう変化へんかたいし、過敏かびん反応はんのうするようになります(これを気道きどう過敏かびんせいいます)。アレルゲンには、ダニやハウスダスト、イヌやネコなどの動物どうぶつのフケやなど、さまざまありますので、これらにたいし、アレルギー反応はんのうがあるかを調しらべるIgE抗体こうたい検査けんさがあります。しかし、アレルゲンがからない場合ばあいや、気候きこうなどの環境かんきょう変化へんか、ストレスやアルコールなどでもしょうじ、喘息ぜんそく原因げんいん複雑ふくざつですので、専門医せんもんいによく相談そうだんするといでしょう。

気管支きかんし喘息ぜんそく治療ちりょう

気管支きかんし喘息ぜんそく慢性まんせい炎症えんしょうたいし、吸入きゅうにゅうステロイドやくもっと効果こうかがあり、最初さいしょもちいる主軸しゅじくくすりになります。吸入きゅうにゅうやくですので、吸入きゅうにゅう器具きぐただしくもちい、効果こうかてき吸入きゅうにゅうおこな必要ひつようがあります。気道きどう狭窄きょうさくたいし、さまざまな気管支きかんし拡張かくちょうやくもちいますが、かならず、吸入きゅうにゅうステロイドやくとともに使用しようし、単独たんどくもちいてはいけません。不明ふめいてんは、専門医せんもんいによく相談そうだんするといでしょう。

気管支きかんし喘息ぜんそく小児しょうに

喘息ぜんそくは、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴ぜんめい(ぜんめい)と呼吸こきゅう困難こんなん呼吸こきゅうくるしいかんじ)をかえ病気びょうきです。

ヒトの空気くうきとおみち気道きどうばれ、うえからじゅんはなくち咽頭いんとう喉頭こうとう(のどとくびのあたり)、気管きかん気管支きかんしむねなかにあるかん)、そして、ガス交換こうかんするはい胞があります。気管支きかんし喘息ぜんそくは、この気管支きかんし内側うちがわ粘膜ねんまくで、分泌ぶんぴつぶつたん、たん)がえるとともに、粘膜ねんまくかこ筋肉きんにくちぢむために空気くうきとおみちせまくなり、呼吸こきゅうくるしくなる病気びょうきです。せま気道きどう空気くうきとおるため、ゼイゼイやヒューヒューというおとがします。このゼイゼイしてくるしい状態じょうたい喘息ぜんそく発作ほっさびます。ひどい喘息ぜんそく発作ほっさは、アレルギー反応はんのうやかぜのウイルスが原因げんいんきますが、喘息ぜんそく発作ほっさがないときでも気管支きかんし粘膜ねんまくには、様々さまざま異常いじょうのこっていて(した参照さんしょう)、運動うんどうつめたい空気くうきなどの刺激しげき喘息ぜんそく発作ほっさきやすくなっています。これを慢性まんせい気道きどう炎症えんしょうによる気道きどう過敏かびんせい亢進こうしんびます。

喘息ぜんそく治療ちりょうは、くるしい呼吸こきゅうらくにする発作ほっさ治療ちりょうだけでなく、慢性まんせい気道きどう炎症えんしょう改善かいぜんする治療ちりょう、(これを長期ちょうき管理かんりびます)、がかせません。長期ちょうき管理かんりおこなうことで、重症じゅうしょう喘息ぜんそく発作ほっさ入院にゅういんする子供こどもかず劇的げきてきりました。

せき長引ながびいたり、ゼイゼイをかえしている幼児ようじや、運動うんどうにゼイゼイして息切いきぎれがはげしい小学生しょうがくせいは、喘息ぜんそくかもしれません。小児科しょうにかやアレルギー専門医せんもんいにご相談そうだんください。また、乳幼児にゅうようじのゼイゼイにかんしてはQ&Aを参照さんしょうしてください。

アレルギあれるぎせい鼻炎びえん

アレルギあれるぎせい鼻炎びえんは、くしゃみと水性すいせい鼻汁はなしるはな閉をおも症状しょうじょうとする疾患しっかんで、風邪かぜでもないのに突然とつぜん鼻水はなみず、くしゃみ、はなづまりをかえします。おも原因げんいん物質ぶっしつ抗原こうげん)はいちねんとおして症状しょうじょうこすダニやペットと、いちねんのある時期じきだけ症状しょうじょうこす花粉かふんです。病気びょうきになるメカニズムをしめします。まず、抗原こうげんはな粘膜ねんまくから生体せいたいないはい様々さまざま細胞さいぼう作用さようをへてIgE抗体こうたいさんされます。このIgE抗体こうたいはな粘膜ねんまく肥満ひまん細胞さいぼう付着ふちゃくします。このようなヒトのはなふたた抗原こうげんがはいってくると肥満ひまん細胞さいぼうじょうのIgE抗体こうたい抗原こうげん結合けつごう肥満ひまん細胞さいぼうからヒスタミンなどのアレルギー反応はんのうをひきおこす物質ぶっしつ化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつ)が放出ほうしゅつされます。これらの化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつはな粘膜ねんまく神経しんけい血管けっかん粘液ねんえきさんせいする場所ばしょせん組織そしき)に作用さようし、発作ほっさせいにくしゃみ、鼻汁はなしるはな閉をしょうじます(即時そくじ反応はんのう)。また、おくれてあつまってきた炎症えんしょう細胞さいぼうから放出ほうしゅつされる物質ぶっしつによりさらにはな閉をしょうじます(おそはつ反応はんのう)。これらの症状しょうじょうは、本来ほんらいはいってきた異物いぶつ抗原こうげん)をくしゃみでばし、鼻汁はなしるあらながし、はな閉でさらに異物いぶつれないようにする生体せいたい防御ぼうぎょのためのはんおうです。しかし、過剰かじょう反応はんのうこってしまうと日常にちじょう生活せいかつじょう支障ししょうがおこります。治療ちりょう第一歩だいいっぽアレルギあれるぎせい鼻炎びえん原因げんいんである抗原こうげん回避かいひ除去じょきょです。薬物やくぶつ療法りょうほうもっとおおおこなわれていますが、症状しょうじょう重症じゅうしょうおうじてこうヒスタミンやくはな噴霧ふんむようステロイドやくなどをもちいます。はなづまりがつよれいなどでは手術しゅじゅつおこなわれます。根治こんじ期待きたいできる治療ちりょうとして特異とくいてき免疫めんえき療法りょうほうがあります。

アトピーせい皮膚ひふえん

アトピーせい皮膚ひふえんは、かゆい湿疹しっしん皮膚ひふかえこる病気びょうきです。のまわり、みみのまわり、くびひじひざのくぼみなど関節かんせつきょくばしをしているところによくできます。かゆいためにかきこわしがつづくと、どんどん発疹はっしん拡大かくだいし、ひどくなります。アトピーせい皮膚ひふえんという病名びょうめいなので、いっけんアレルギーがとても関与かんよしているようにかんがえられがちですが、花粉かふんしょう食物しょくもつアレルギーとはことなり、ものやそののアレルゲンがあるからかなら発症はっしょうするという病気びょうきではありません。皮膚ひふよわ体質たいしつといいますか皮膚ひふのバリア機構きこう不十分ふじゅうぶんひと発症はっしょうする皮膚ひふ病気びょうきです。そのあたりは喘息ぜんそくています。ですから、バリアのはたらきをおぎなためのスキンケア、皮膚ひふ炎症えんしょうおさえるためにステロイド外用がいようやくやタクロリムス外用がいようやく、かゆみを軽減けいげんさせるこうヒスタミンやく内服ないふく、かゆみをひどくさせるような原因げんいんたいする環境かんきょう整備せいび対策たいさく治療ちりょう基本きほんとなります。よう小児しょうにの12%程度ていど頻度ひんどたか疾患しっかんですが、患者かんじゃさんの80%は軽症けいしょう、15%が中等ちゅうとうしょう、5%が重症じゅうしょうさい重症じゅうしょう分布ぶんぷします。80%は5さいまでに自然しぜん軽快けいかいしますが、軽快けいかいしないで持続じぞくしながら悪化あっかするタイプ、いったん軽快けいかいしても思春期ししゅんきごろ再発さいはつ重症じゅうしょうするタイプなど経過けいかには個人こじんがあります。

ひじのくぼみにかゆい湿疹しっしんがでます。   みみれ」もよくでる症状しょうじょうです。

アレルギあれるぎせい結膜けつまく疾患しっかん

結膜けつまくは、「しろめ」とよばれ、眼球がんきゅう表面ひょうめんからまぶたうらおお粘膜ねんまくです。アレルギあれるぎせい疾患しっかんは、花粉かふんやダニなどが原因げんいんとなり結膜けつまくにアレルギー反応はんのうによって炎症えんしょうをおこす病気びょうき総称そうしょうです。症状しょうじょう時期じき粘膜ねんまく炎症えんしょう種類しゅるい程度ていどにより、アレルギあれるぎせい結膜炎けつまくえん春季しゅんきカタル、アトピーせいかく結膜炎けつまくえん巨大きょだい乳頭にゅうとう結膜炎けつまくえん分類ぶんるいされます。アレルギあれるぎせい結膜炎けつまくえんおも症状しょうじょうは、かゆみですが、そのほか、白目しろめあかくなる、なみだがでる、がごろごろする、やにがでる、といった症状しょうじょうともないます。スギ花粉かふんしょうもスギ花粉かふんによるアレルギあれるぎせい結膜炎けつまくえんで、スギ花粉かふん時期じき症状しょうじょうがでます。アレルギー反応はんのうおさえるこうアレルギー点眼てんがんやくは、かゆみなどの症状しょうじょう改善かいぜんします。

春季しゅんきカタルはアトピー体質たいしつ学童がくどうとく男児だんじこうはっする重症じゅうしょうのタイプです。まぶたうら結膜けつまく炎症えんしょうのためにでこぼこになり、角膜かくまく(くろめ)にも潰瘍かいようができるので、がとてもいたくなったり、視力しりょくちたりすることがあります。最近さいきんでは、免疫めんえき抑制よくせいやく点眼てんがんで、はやめに症状しょうじょう改善かいぜんできるようになってきました。アレルギあれるぎせい結膜けつまく疾患しっかんは、ただしい診断しんだん治療ちりょう症状しょうじょう改善かいぜんします。はやめに専門医せんもんい受診じゅしんされることをおすすめします。

食物しょくもつアレルギー

食物しょくもつによって,蕁麻疹じんましん湿疹しっしん嘔吐おうと下痢げりせき、ゼーゼー(喘鳴ぜんめい)などの症状しょうじょうひょう1)が,免疫めんえきかいしてこされる疾患しっかんです。皮膚ひふ呼吸こきゅう循環じゅんかん消化しょうかなど複数ふくすう臓器ぞうき症状しょうじょう出現しゅつげんするとアナフィラキシーとびます。とき血圧けつあつ低下ていか意識いしき障害しょうがいなど生命せいめいをおびやかす危険きけん状態じょうたいにいたることもあります。

アレルギー症状しょうじょう原因げんいんとなる食物しょくもつは,食物しょくもつアレルゲンとばれ本体ほんたい食物しょくもつちゅうのたんぱくしつです。原因げんいん食物しょくもつは,0さいでは鶏卵けいらん牛乳ぎゅうにゅう小麦こむぎじゅんおおく3品目ひんもく全体ぜんたいの9わりめます。1さい以降いこう鶏卵けいらん牛乳ぎゅうにゅう頻度ひんど急速きゅうそく漸減ぜんげんし,学童がくどうでは甲殻こうかくるい果物くだものるい問題もんだいとなります。

食物しょくもつアレルギーは,ひょう2のとおびょうがたによって発症はっしょう年齢ねんれい原因げんいんとなりやす食物しょくもつ種類しゅるいべても症状しょうじょうなくなるたいせい獲得かくとく可能かのうせい、アナフィラキシーショックのリスクなどにちがいがあります。

食物しょくもつ症状しょうじょうても,免疫めんえき関与かんよしていない場合ばあい食物しょくもつアレルギーではありません。おおくの食物しょくもつアレルギーは,IgE抗体こうたい食物しょくもつアレルゲンが反応はんのうして症状しょうじょう誘発ゆうはつされます。食物しょくもつ摂取せっしゅして2時間じかん以内いない症状しょうじょう出現しゅつげんする場合ばあい便宜べんぎてき即時そくじがた,それ以降いこう場合ばあい即時そくじがたとしています。

食物しょくもつ経口けいこう負荷ふか試験しけんは,食物しょくもつアレルギーのもっと確実かくじつ診断しんだんほうで,原因げんいん食物しょくもつ判定はんてい除去じょきょ解除かいじょ目的もくてきとして実施じっしされます。食物しょくもつアレルギーの経過けいか検査けんさデータを参考さんこうに,リスクを評価ひょうかして適応てきおう決定けっていされます。

食物しょくもつアレルギーへの対応たいおうは,適切てきせつなアレルゲン診断しんだんけ,最小限さいしょうげん除去じょきょ正確せいかくって,安全あんぜん確保かくほしながら,必要ひつよう栄養えいよう摂取せっしゅしてゆたかな食生活しょくせいかつたもつことが基本きほんです。

食物しょくもつアレルギーは,症状しょうじょうかたや重症じゅうしょう個人こじんがあり,原因げんいんとなる食物しょくもつアレルゲンの種類しゅるいりょう品目ひんもくすうたいせい獲得かくとく時期じきなどもひとによりことなります。医療いりょう機関きかん診察しんさつ検査けんさけ,医学いがくてき根拠こんきょもとづいた治療ちりょうんでいただくことが大切たいせつです。

ひょう1 食物しょくもつアレルギーの症状しょうじょう

臓器ぞうき 症状しょうじょう
皮膚ひふ べにむら 蕁麻疹じんましん 血管けっかんせい浮腫ふしゅ 瘙痒 灼熱しゃくねつかん 湿疹しっしん
粘膜ねんまく 症状しょうじょう結膜けつまく充血じゅうけつ浮腫ふしゅ 瘙痒かん ながれなみだ 眼瞼がんけん浮腫ふしゅ
はな症状しょうじょう鼻汁はなしる はな閉 くしゃみ
口腔こうくう症状しょうじょう口腔こうくう口唇こうしんした違和感いわかん腫脹しゅちょう
呼吸こきゅう のど喉頭こうとう違和感いわかん・瘙痒かんしぼ扼感 しゃがれごえ 嚥下えんか困難こんなん
咳嗽がいそう 喘鳴ぜんめい 陥没かんぼつ呼吸こきゅう 胸部きょうぶ圧迫あっぱくかん 呼吸こきゅう困難こんなん チアノーゼ
消化しょうか 悪心あくしん 嘔吐おうと 腹痛はらいた 下痢げり 血便けつべん
神経しんけい 頭痛ずつう 活気かっき低下ていか 不穏ふおん 意識いしき障害しょうがい
循環じゅんかん 血圧けつあつ低下ていか しきみゃく じょみゃく 不整脈ふせいみゃく 四肢ししひやかん 蒼白そうはく末梢まっしょう循環じゅんかん不全ふぜん
全身ぜんしんせい アナフィラキシー:臓器ぞうき症状しょうじょう
アナフィラキシーショック:ぐったり しきみゃく 意識いしき障害しょうがい 血圧けつあつ低下ていか

食物しょくもつアレルギー診療しんりょうガイドライン2012をもとに作成さくせい


ひょう2 食物しょくもつアレルギーのやまいがた

臨床りんしょうがた 発症はっしょう
年齢ねんれい
頻度ひんどたか食物しょくもつ たいせい獲得かくとく アナフィラキシーショックの可能かのうせい 食物しょくもつアレルギーのじょ
新生児しんせいじ乳児にゅうじ消化しょうかかん
アレルギー
新生児しんせいじ
乳児にゅうじ
牛乳ぎゅうにゅう育児いくじよう粉乳ふんにゅう おおくは寛解かんかい (±) おも
IgE依存いぞんせい
食物しょくもつアレルギーの関与かんよする
乳児にゅうじアトピーせい皮膚ひふえん
乳児にゅうじ 鶏卵けいらん牛乳ぎゅうにゅう小麦こむぎ
大豆だいずなど
おおくは寛解かんかい (+) おも
IgE依存いぞんせい
即時そくじがた症状しょうじょう
蕁麻疹じんましん、アナフィラキシーなど)
乳児にゅうじ

成人せいじん
乳児にゅうじ幼児ようじ
鶏卵けいらん牛乳ぎゅうにゅう小麦こむぎ、そば、魚類ぎょるい,ピナッツなど
学童がくどう成人せいじん
甲殻こうかくるい魚類ぎょるい小麦こむぎ果物くだものるい、そば、ピーナッツなど
鶏卵けいらん牛乳ぎゅうにゅう
小麦こむぎ大豆だいずなど おおくは寛解かんかい
そのおお
寛解かんかいしにくい
(++) IgE依存いぞんせい
特殊とくしゅがた 食物しょくもつ依存いぞんせい運動うんどう誘発ゆうはつアナフィラキシー
(FEIAn/FDEIA)
学童がくどう

成人せいじん
小麦こむぎ、エビ、イカなど 寛解かんかいしにくい (+++) IgE依存いぞんせい
口腔こうくうアレルギー症候群しょうこうぐん
(OAS)
幼児ようじ

成人せいじん
果物くだもの野菜やさいなど 寛解かんかいしにくい (±) IgE依存いぞんせい

慢性まんせい下痢げりなどの消化しょうか症状しょうじょうてい蛋白たんぱくしょう合併がっぺいするれいもある。 すべての乳児にゅうじアトピーせい皮膚ひふえん食物しょくもつ関与かんよしているわけではない。

食物しょくもつアレルギーの診療しんりょう手引てびき2011より転載てんさい


アナフィラキシー

食物しょくもつ、ハチどく薬物やくぶつ、ラテックスなどによるアレルギー反応はんのうによりじんましんなどの皮膚ひふ症状しょうじょう腹痛はらいた嘔吐おうとなどの消化しょうか症状しょうじょう息苦いきぐるしさなどの呼吸こきゅう症状しょうじょう複数ふくすう臓器ぞうき同時どうじにあるいは急激きゅうげき出現しゅつげんすることをアナフィラキシーといます。血圧けつあつ低下ていかともな意識いしきレベルの低下ていかびかけに反応はんのうしない)や脱力だつりょくきたすような場合ばあいをアナフィラキシーショックとび、ただちに対応たいおうしないと生命せいめいかかわる危険きけん状態じょうたいになることがあります。アナフィラキシーでけなければいけないのは、一度いちどおさまった症状しょうじょう数時間すうじかん再発さいはつする場合ばあいがあることです。アナフィラキシーがこったらただちに救急きゅうきゅうしゃ医療いりょう機関きかんってください。救急きゅうきゅうしゃ到着とうちゃくするまでの応急おうきゅう処置しょちとして、アドレナリン自己じこ注射ちゅうしゃえき(エピペン)をっている場合ばあいは、ただちにふともも外側そとがわ筋肉きんにくない注射ちゅうしゃしてください。なお、過去かこにアナフィラキシーを経験けいけんされたほうは、エピペン®を処方しょほうしてもらい、いつ、どこでもアナフィラキシーのきたときに使用しようできるよう、つね携行けいこうしておく必要ひつようがあります。

薬物やくぶつアレルギー

薬物やくぶつアレルギーとは、ある特定とくてい薬物やくぶつたいする過剰かじょう免疫めんえき反応はんのうで、それによってみずからのからだきずつけてしまいます。

薬物やくぶつアレルギーをこす免疫めんえき反応はんのうのタイプにはいくつかあり、IgEやIgGなどの抗体こうたい関与かんよするもの、たい活性かっせいによるもの、リンパだまなどの細胞さいぼう中心ちゅうしんとなってこるものなどがあります。

薬物やくぶつアレルギーのおおくは内服薬ないふくやく注射ちゅうしゃやくによってこりますが、湿布しっぷぐすり点眼てんがんやく吸入きゅうにゅうやく原因げんいんになります。

原因げんいん薬剤やくざい中止ちゅうしすればすぐになおかるいものから、高熱こうねつ全身ぜんしん皮膚ひふ粘膜ねんまく症状しょうじょうひろがって臓器ぞうき障害しょうがいにもおよおもいものまであります。皮膚ひふ症状しょうじょうとしてあらわれることがおおいため、皮膚ひふ症状しょうじょうがある場合ばあいくすり疹(アレルギあれるぎせいやく疹)ともばれ、蕁麻疹じんましんべにむら水疱すいほう紫斑しはん膿疱のうほう、びらんなどじつ多彩たさいです。その臓器ぞうき障害しょうがいとして、1)かん障害しょうがい 2)じん障害しょうがい 3)血液けつえき障害しょうがい 4)はい障害しょうがいなどがおおくみとめられます。

症状しょうじょう出方でかたには、おおきく2つのタイプがあり、投与とうよ直後ちょくご数時間すうじかん以内いない発症はっしょうするタイプ(即時そくじがた)と、半日はんにち以上いじょうたってから発症はっしょうするタイプ(遅延ちえんがた)にけられます。いずれのタイプも、いのちおびやかすじゅうあつしなものがあり、とく即時そくじがたのアナフィラキシーショックは、蕁麻疹じんましん呼吸こきゅう困難こんなん意識いしき低下ていか血圧けつあつ低下ていかぶん単位たんい進行しんこうしますので危険きけんです。遅延ちえんがた重症じゅうしょうやく疹については他項たこう参照さんしょうください。

治療ちりょう原則げんそくは、原因げんいん薬物やくぶつつけだし、それを中止ちゅうしけることです。一度いちどアレルギーをこした薬剤やくざいふたた投与とうよされると、初回しょかいよりも重症じゅうしょうするおそれがあります。 はじめは軽症けいしょうにみえてもじゅうあつしすることがありますので、薬物やくぶつアレルギーがうたがわれる場合ばあいは、アレルギー専門医せんもんいにご相談そうだんしましょう。

くすり疹(播種はしゅじょうべにむらおか疹型)

薬物やくぶつアレルギーでもっともよくみる皮膚ひふ症状しょうじょう
かゆみのあるべにむらおか疹が全身ぜんしんひろがる。

花粉かふんしょう

花粉かふん原因げんいんとしてこされるアレルギー反応はんのうによるはな症状しょうじょう花粉かふんしょうとよびます。

ヒトは細菌さいきん微生物びせいぶつなどからからだまもるために抗体こうたいという成分せいぶんつくっています。花粉かふんしょうほうは、特定とくてい花粉かふん反応はんのうするIgEという免疫めんえきグロブリンが大量たいりょうつくられています。このIgEははな粘膜ねんまくにある肥満ひまん細胞さいぼう結合けつごうしています。んだ花粉かふん粘膜ねんまく到達とうたつするとこのIgEと反応はんのうこします(抗原こうげん抗体こうたい反応はんのう1の1)。その結果けっか肥満ひまん細胞さいぼうからヒスタミンなどの炎症えんしょうこす物質ぶっしつ放出ほうしゅつされます(1の2)。これらの物質ぶっしつはな粘膜ねんまく刺激しげきしてくしゃみ、鼻水はなみずはなづまりを、のかゆみや充血じゅうけつなどのアレルギー反応はんのうこします(1の3)。本来ほんらい排除はいじょする必要ひつようがない花粉かふんたいして身体しんたい防御ぼうぎょ機能きのう過剰かじょう反応はんのうしてしまい、くしゃみ、鼻水はなみずはなづまりなどで花粉かふんそうとして、その結果けっかぎゃく身体しんたい負担ふたんしょうじてしまうのです。花粉かふんしょう原因げんいんとなる花粉かふん飛散ひさんする時期じきかぎってみられます。

1 花粉かふんしょう仕組しく

蕁麻疹じんましん(じんましん)

蕁麻疹じんましんとは、皮膚ひふ一部いちぶ突然とつぜんあかふくらみ、数時間すうじかんから、ながくても1にちくらいでえてしまうことをかえ病気びょうきです。おおくはつよかゆみをともない、からだのあちこちにどうよう症状しょうじょうかえします。されたときのようあかふくらみが典型てんけいてきですが、ふくらみがつよ場合ばあいはその部分ぶぶんしろえ、周囲しゅういあかみをともないます。おおきさは、小豆あずきつぶくらいからにわとりたまごくらいのおおきさのものまで様々さまざまで、なかには粟粒あわつぶくらいのちいさなものがたくさんあらわれるものや、多数たすうふくらみが癒合ゆごうしてのひらくらい、あるいはもっとおおきなあかふくらみとなるものまで様々さまざまです。蕁麻疹じんましん混同こんどうされやすい湿疹しっしん(しっしん)は、表面ひょうめんがかさかさしたり、なんにちおなじところに症状しょうじょうつづきますが、蕁麻疹じんましんかたちおおきさにかかわらず、ふくらみがえたのちまったあとのこらないことが特長とくちょうです。特殊とくしゅ蕁麻疹じんましんとして、まぶたやくちびる(くちびる)が膨(ふく)れあがるものがあり、これらは血管けっかんせい浮腫ふしゅあるいはクインケ浮腫ふしゅばれます。血管けっかんせい浮腫ふしゅは、通常つうじょう蕁麻疹じんましんことなりかゆみをともなわないことがおおく、またいちあらわれると2,3にちかかってもともどります。

蕁麻疹じんましん
しゅう 道広みちひろ小児科しょうにか診療しんりょう2009; 72: 1987-1992より転載てんさい
  血管けっかんせい浮腫ふしゅ
しゅう 道広みちひろプライマリケアばん 蕁麻疹じんましん血管けっかんせい浮腫ふしゅ治療ちりょうガイドライン.2007より転載てんさい

トピックス

エピペン®

アナフィラキシーとは、食物しょくもつ、ハチどく薬物やくぶつ、ラテックスなどにより短時間たんじかん全身ぜんしん複数ふくすう臓器ぞうき出現しゅつげんするはげしい急性きゅうせいのアレルギー反応はんのうです。さらに、血圧けつあつ低下ていかして意識いしき障害しょうがいびかけに反応はんのうしない)をしょうじ、生命せいめいおびやかす危険きけん状態じょうたい(アナフィラキシーショック)になることがあります。エピペンは、上記じょうきのアナフィラキシーがあらわれたときに使用しようし、医師いし治療ちりょうけるまでのあいだ症状しょうじょう進行しんこう一時いちじてき緩和かんわし、アナフィラキシーショックをふせぐための補助ほじょ治療ちりょうざい(アドレナリン自己じこ注射ちゅうしゃやく)です。あくまでも補助ほじょ治療ちりょうざいなので、アナフィラキシーを根本こんぽんてき治療ちりょうするものではありません。エピペン注射ちゅうしゃただちに医師いしによる診療しんりょうける必要ひつようがあります。現在げんざいまでにアナフィラキシーをかえこしている場合ばあい微量びりょうのアレルゲン(アレルギーをこす原因げんいん物質ぶっしつ)でアナフィラキシーが誘発ゆうはつされる場合ばあいなど、アナフィラキシーの発現はつげんリスクがたかほうは、エピペンを処方しょほうしてもらい、いつでも使用しようできるように、つね携行けいこうしておく必要ひつようがあります。

した免疫めんえき療法りょうほう

げんかんさく療法りょうほうとは、アレルギーの原因げんいん物質ぶっしつふくんだ医療いりょうよう注射ちゅうしゃえきをアレルギー反応はんのうしょうじないかをながら、安全あんぜんてい濃度のうどから徐々じょじょりょうやして注射ちゅうしゃし、体質たいしつ改善かいぜんする方法ほうほうです。従来じゅうらい注射ちゅうしゃによる方法ほうほうは、しゅう1かい注射ちゅうしゃを4~6ヶ月かげつ程度ていどつづけ、最大さいだい投与とうよ濃度のうどまでげてき、最大さいだい濃度のうどたっしたら、1ヶ月かげつに1かい投与とうよおこない、これを3ねん以上いじょう継続けいぞくする方法ほうほうでした。この方法ほうほうですと、治療ちりょう途中とちゅうにアナフィラキシ―(ショック)をしょうじる危険きけんせいがあり、注射ちゅうしゃによるいたみともに、通院つういんによる患者かんじゃ負担ふたんおおきいというデメリットがあります。

した免疫めんえき療法りょうほう方法ほうほう利点りてん
スギ花粉かふんしょうたいするした免疫めんえき療法りょうほうは、既存きそんこうヒスタミンやくのように、くしゃみ・鼻水はなみずはなつまりなどの花粉かふんしょう症状しょうじょう自体じたいおさえるものではなく、あらかじめ、花粉かふん飛散ひさんまえ治療ちりょう開始かいしし、症状しょうじょうにくくするものです。したがって、治療ちりょう開始かいし花粉かふんしょう症状しょうじょうてからでなく、数ヶ月すうかげつ以上いじょうまえからおこな予防よぼうてきなものとなります。

投与とうよ方法ほうほうは、スギ花粉かふんふくむエキスえき(シダトレン®)をした滴下てきかし、やく2分間ふんかん保持ほじしたのちみます。最初さいしょの2週間しゅうかん投与とうよりょうやしていき、3しゅうからはどうりょうくすり毎日まいにちした投与とうよします。グリセリンがはいっているので、ややあまく、すこ酸味さんみもあります。1かいした投与とうよ医療いりょう機関きかんおこないますが、通常つうじょうそれ以降いこう毎日まいにち自宅じたくおこなえます。これを、3~5年間ねんかんつづけることになります。

スギ花粉かふん本格ほんかく飛散ひさんはじまる3ヶ月かげつ以上いじょうまえから治療ちりょう開始かいしすると効果こうかてきなので、6がつから11月に治療ちりょう開始かいしするのがのぞましいです。した免疫めんえき療法りょうほうでは、初年度しょねんどより2ねん、2ねんより3ねん以降いこう効果こうかたかくなるので、3~5年間ねんかんつづけることがのぞましいとかんがえられています。完全かんぜんなおる(根治こんじりつは10~20%程度ていどで、とても改善かいぜんが20~30%、改善かいぜんが20~30%となり、70~80%の患者かんじゃさんで有効ゆうこうとなります。従来じゅうらい注射ちゅうしゃほうより、治療ちりょう成績せいせきがよりまさるという報告ほうこくはありませんが、同等どうとういたという報告ほうこくがあります。しかし、いままでの注射ちゅうしゃ方法ほうほう比較ひかくし、おもふく反応はんのうすくなく安全あんぜんかんがえられています。投与とうよできる患者かんじゃさんは12さいからですが、スギ花粉かふんしょうであること(特異とくいてきスギIgE抗体こうたいクラス3以上いじょう)が必須ひっすです。重症じゅうしょう気管支きかんし喘息ぜんそく、65さい以上いじょう高齢こうれいしゃ妊娠にんしんちゅう授乳じゅにゅうちゅう、12さい未満みまん小児しょうに悪性あくせい腫瘍しゅよう治療ちりょうちゅう喘息ぜんそくさんはおこなうことが出来できません。

毎年まいとし花粉かふんしょう時期じき症状しょうじょうがひどく、たくさんのくすり服用ふくようしなければならなく、それでも完全かんぜんくなっていないほう受験じゅけん就職しゅうしょくなどの大切たいせつ時期じきに、いつもスギ花粉かふんしょうなやまされてこまっているほうすうねん以内いない妊娠にんしん予定よていいが、将来しょうらい妊娠にんしんしたときに、アレルギーのくすり使つかえないことが不安ふあんほう今後こんごなが人生じんせいでこれからもずっと毎年まいとしスギ花粉かふんしょうなやまされることが憂鬱ゆううつ不安ふあんほうなどは、この方法ほうほうてきしているとかんがえられます。専門医せんもんいによく相談そうだんするといでしょう。

(きゅう)「ちゃのしずく®」石鹸せっけんきるアレルギー

わたしたちがアレルギーのもとになりやすい成分せいぶん(これをアレルゲンとびます)を含有がんゆうする石鹸せっけんやシャンプー・その化粧けしょうひん使用しようすると、アレルゲンが皮膚ひふ、およびはな粘膜ねんまくなどに少量しょうりょう付着ふちゃくします。このような石鹸せっけん、シャンプーなどの化粧けしょうひんはほぼ毎日まいにち使用しようするわけですので、ごく少量しょうりょうしかアレルゲンが付着ふちゃくしなかったとしても、かえ使つかったためにその一部いちぶからだなかはいって免疫めんえき反応はんのうこし、「異物いぶつ」としてからだおぼえられてしまいます。このような現象げんしょうは、もともとアレルギー体質たいしつでないひとにでも十分じゅうぶんこりえます。

2010ねん12月7にちまでに販売はんばいされていた“(きゅうちゃのしずく石鹸せっけん”○R(ゆう)には、加水かすい分解ぶんかいコムギという小麦こむぎ由来ゆらいタンパク質たんぱくしつ製品せいひんはこには“みずかい小麦こむぎまつ”と表記ひょうきしてありました)が重量じゅうりょうにして0.3%含有がんゆうされていました(現在げんざい販売はんばいちゅうちゃのしずく石鹸せっけんには含有がんゆうされておりません)。すべてのタンパク質たんぱくしつ人間にんげんにとってアレルゲンになる可能かのうせいがありますが、そのなかでも小麦こむぎタンパク質たんぱくしつはアレルゲンせいつよいもののひとつとかんがえられています。毎日まいにちのように洗顔せんがんして、この成分せいぶん、“加水かすい分解ぶんかいコムギ”がすこしずつではありますが粘膜ねんまくはな粘膜ねんまくかお皮膚ひふ付着ふちゃくしからだに侵入しんにゅうした結果けっか石鹸せっけん使つかったひとの一部いちぶは、この含有がんゆう成分せいぶん加水かすい分解ぶんかいコムギ”にたいしてアレルギー反応はんのうこしてしまったのです。そして、一度いちど小麦こむぎアレルギーになってしまうとアレルギー反応はんのう全身ぜんしんこり、一部いちぶほうは、小麦こむぎべたときにもアレルギー反応はんのうこすようになってしまいました。今回こんかい“(きゅうちゃのしずく石鹸せっけん”のなか加水かすい分解ぶんかいコムギにたいするアレルギーにより、小麦こむぎアレルギーを発症はっしょうしてしまったという現象げんしょうは、これまで予想よそうされていなかったとってもよいとおもいます。

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