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「非当事者」のオートエスノグラフィ
文化ぶんか人類じんるいがく
Online ISSN : 2424-0516
Print ISSN : 1349-0648
ISSN-L : 1349-0648
特集とくしゅう オートエスノグラフィでひら感情かんじょう歴史れきし
当事とうじしゃ」のオートエスノグラフィ
ある在日ざいにち朝鮮ちょうせんじんとの対位法たいいほうてき記述きじゅつとおして
真鍋まなべ 祐子ゆうこ
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2022 ねん 87 かん 2 ごう p. 243-263

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抄録しょうろく

本稿ほんこうは、がこととしてうべき切実せつじつ主題しゅだいをもたず、半生はんせいかえっても「かたるほどのことがない」、当事とうじしゃとしての立場たちばから記述きじゅつするオートエスノグラフィ(以下いか、AE)である。サイードによる対位法たいいほうてきなテクスト読解どっかいほう援用えんようし、わたし同郷どうきょう同年代どうねんだいかつ、各々おのおの立場たちば方法ほうほう韓国かんこく民主みんしゅ運動うんどうという共通きょうつう課題かだいってきた在日ざいにち朝鮮ちょうせんじんきむ利明としあきのライフヒストリーをげる。日本にっぽん植民しょくみん主義しゅぎしたマイノリティ/マジョリティの関係かんけいせいにおいて、対位法たいいほうてきにAEを記述きじゅつする過程かていとおし、みずからの来歴らいれきに「帝国ていこく主義しゅぎのプロセス」がまれていることをあぶりそうとした。この対位法たいいほうてきなAEがあきらかにしたことは、まず、だいいちてきニーズの帰属きぞくさきである「当事とうじしゃ」の物語ものがたりとおして「わたし」のるにらない日常にちじょう記憶きおくこされること。つぎに、その記憶きおく忘却ぼうきゃくすることで「かたるほどのことがない」と沈黙ちんもくしてきたこと自体じたいじつ当事とうじしゃ=マジョリティの特権とっけんであったこと。また「わたし」における「たましいだつ植民しょくみん」は、「位置いちてき主体しゅたい」をたマイノリティのそれと差異さいされ、各々おのおのあゆんできたプロセスには動態どうたいてき漸進ぜんしんてきという相違そうい明確めいかくしめされた。意識いしきへの転換てんかんてんではともにエピファニーが経験けいけんされるが、「わたし」にあっては調査ちょうさ対象たいしょうまなびながら、同時どうじに「作品さくひん過程かてい自体じたい」のなか自身じしん植民しょくみんせい格闘かくとうするなかでしか、表象ひょうしょうする立場たちばとしてのみずからの特権とっけんせいまなてることができなかったからである。

著者ちょしゃ関連かんれん情報じょうほう
2022 日本にっぽん文化ぶんか人類じんるい学会がっかい
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