JR東日本が事業主体となって新たに建てられる駅ビル「横浜駅西口開発ビル(仮称)」の駅前棟の新築工事が19日、本格的に始まった。同日、横浜市西区の建設予定地では安全祈願祭が行われ、同社の冨田哲郎社長は「地域に貢献できるビルになることを願う」などと話した。
ビルは、駅前棟と鶴屋町棟の2棟で構成する。駅前棟は高さ約135メートル(地上26階・地下3階)で、敷地面積約8700平方メートル、延べ床面積約9万8千平方メートル。ルミネや横浜ステーシヨンビルが運営する商業施設とオフィスで構成される。また、2018年に着工予定の鶴屋町棟は、駐車場や保育所などを備える予定。いずれも、東京五輪が開催される20年の開業を目指している。
祈願祭には、冨田社長のほか、ジェイアール東日本建築設計事務所の前田厚雄社長、竹中工務店の宮下正裕社長ら関係者約50人が出席し、神職が祝詞をあげるなどした後、冨田社長らによるくわ入れが行われた。
冨田社長は「われわれの役割は地域を元気にすること。開発ビルが新しい都市のにぎわいをつくり出し、地域活性化の源になることを目指す。横浜のさらなる発展のシンボルにしていきたい」と語った。
■新たなシンボルに期待
国際都市・横浜の新たなシンボルに-。19日の安全祈願祭に姿を見せたJR東日本の冨田哲郎社長は、駅ビルへの期待感を示した。
1日に約220万人が利用する横浜駅に建設される「横浜駅西口開発ビル(仮称)」の駅前棟。駅周辺大改造計画「エキサイトよこはま22」の中心的プロジェクトと位置づけられながら、途中で規模を縮小するなど紆余(うよ)曲折があった。
ビルが建設されるのは、旧・駅ビル「横浜CIAL(シァル)」と「横浜エクセルホテル東急」の跡地。2010年に打ち出された計画では、老朽化などに伴ってそれぞれを閉店、解体後に一体のビルに建て替え、地上33階、地下4階建て、高さ195メートルの高層ビルとされていた。しかし、11年3月に東日本大震災が発生。安全性を考慮し、計画が見直された。
震災を踏まえ、大規模災害時に帰宅困難者を受け入れるためのスペースを確保するなど、地域の防災拠点としての機能を持たせたのも特徴だ。
この間、事業主体についても大きな変更があった。
当初、JR東日本と東京急行電鉄が共同で検討を進めてきたが、13年12月に、東急がエクセルホテルの跡地などをJR東に売却。事業主体は、JR東に一元化された。
駅前棟に加え、横浜駅では今後、中央自由通路と西口地下街をつなぐ階段(通称・馬の背)を解消する工事が本格化。西口開発ビルの鶴屋町棟も、工事が始まり、いずれも20年の開業を目指す。
絶えず工事が行われていることから、スペインの未完成の教会にちなんで「日本のサグラダ・ファミリア」と揶揄(やゆ)される横浜駅。「若干、時間はかかったが、できるだけ早く工事を進めたい」。冨田社長は意気込んだ。
国内外からの客を迎え入れる新たな玄関口の完成は4年後-。