医薬品情報
総称名 |
ナルフラフィン塩酸塩 |
一般名 |
ナルフラフィン塩酸塩 |
欧文一般名 |
Nalfurafine Hydrochloride |
製剤名 |
ナルフラフィン塩酸塩口腔内崩壊フィルム |
薬効分類名 |
経口そう痒症改善剤 |
薬効分類番号 |
1190 |
ATCコード |
V03AX02 |
KEGG DRUG |
|
JAPIC |
添付文書(PDF)
|
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情報は
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添付文書情報2023年10月 改訂(第2版)
販売名 |
欧文商標名 |
製造会社 |
YJコード |
薬価 |
規制区分 |
ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」
(後発品)
|
Nalfurafine Hydrochloride OD Film |
ニプロ |
1190015F1054 |
261.4円/錠 |
劇薬, 処方箋医薬品注) |
2. 禁忌
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4. 効能または効果
次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)
○透析患者
○慢性肝疾患患者
6. 用法及び用量
通常、成人には、ナルフラフィン塩酸塩として1日1回2.5μgを夕食後又は就寝前に経口投与する。なお、症状に応じて増量することができるが、1日1回5μgを限度とする。
7. 用法及び用量に関連する注意
<効能共通>
7.1 本剤は
口腔内で
崩壊するが、
口腔粘膜からの
吸収により
効果発現を
期待する
製剤ではないため、
唾液又は
水で
飲み
込むこと。[
14.2.1参照]
<血液透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.2 本剤の
投与から
血液透析開始までは
十分な
間隔をあけること。
本剤は
血液透析により
除去されることから、
本剤服用から
血液透析までの
時間が
短い
場合、
本剤の
血中濃度が
低下する
可能性がある。[
16.8.1参照]
<腹膜透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.3 本剤の
投与から
透析液交換までは
十分な
間隔をあけること。
本剤服用から
透析液交換までの
時間が
短い
場合、
本剤の
血中濃度が
低下する
可能性がある。[
16.1.1参照]
<慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合>
7.4 本剤の投与は1日1回2.5μgから開始し、効果不十分な場合に1日1回5μgへの増量を検討すること。
8. 重要な基本的注意
8.1 重度(Child-Pugh
分類グレードC)の
肝障害のある
患者に
対する
本剤の
投与にあたっては、リスク・ベネフィットを
勘案し、
投与中は
患者の
状態を
十分に
観察すること。[
9.3.1、
16.1.1参照]
8.2 眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
8.3 本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
8.4 本剤の投与により、プロラクチン値上昇等の内分泌機能異常があらわれることがあるので、適宜検査を実施することが望ましい。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.2 腎機能障害患者
<慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合>
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
<効能共通>
9.3.1 重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者
重度(Child-Pugh
分類グレードC)の
肝障害のある
患者を
対象とした
臨床試験は
実施していない。[
8.1、
16.1.1参照]
<透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
9.3.2 中等度(Child-Pugh分類グレードB)の肝障害のある患者
血中濃度が
上昇するおそれがある。[
16.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、胎盤通過、生存胎児数の減少、出産率の低下及び出生児体重の減少が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
10. 相互作用
相互作用序文
本剤は、
主として
肝代謝酵素CYP3A4によって
代謝される。[
16.4.1参照]
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.2 併用注意
CYP3A4阻害作用のある薬剤等 アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、ミデカマイシン、リトナビル、シクロスポリン、ニフェジピン、シメチジン、グレープフルーツジュース等 [16.7.1、16.7.2参照] | 本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があるため、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。 | CYP3A4阻害作用のある薬剤等との併用により本剤の代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬 | 本剤との併用により、不眠、幻覚、眠気、浮動性めまい、振戦、せん妄等が認められる可能性があるので、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、副作用の発現に注意すること。 | 本剤による中枢性の副作用が増強される可能性がある。 |
オピオイド系薬剤 | 本剤の作用が増強あるいは減弱されるおそれがある。 | 両剤の薬理学的な相互作用(増強又は拮抗)が考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
注3)慢性肝疾患患者を対象とした国内臨床試験での発現頻度。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
精神・神経系 | 不眠注1)、注2) | 眠気注1)、注2)、浮動性めまい、頭痛 | いらいら感、幻覚、構語障害、レストレスレッグス症候群、振戦、しびれ | 不穏、せん妄、易怒性 |
消化器系 | 便秘注1)、注2) | 口渇、悪心、下痢 | 嘔吐、食欲不振、腹部不快感、胃炎、口内炎 | |
皮膚 | | そう痒の悪化、湿疹、発疹 | 蕁麻疹、紅斑、丘疹 | 色素沈着 |
肝臓 | | 総胆汁酸上昇 | AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇 | LDH上昇 |
腎臓 | 頻尿・夜間頻尿注2)、注3) | 多尿注3) | | |
循環器系 | | | 動悸、ほてり、血圧上昇 | |
内分泌系 | プロラクチン上昇 | テストステロン低下、甲状腺刺激ホルモン低下、甲状腺刺激ホルモン上昇、抗利尿ホルモン上昇 | 女性化乳房 | |
血液 | | | 好酸球増多、貧血 | |
尿 | | 尿中血陽性注3)、尿中蛋白陽性注3) | | |
その他 | | 倦怠感 | 胸部不快感、脱力感、回転性めまい、異常感、浮腫、血中リン低下 | |
13. 過量投与
13.1 症状
過量投与により、幻覚、不安、重度の眠気、不眠等があらわれるおそれがある。
13.2 処置
投与を
中止し、
必要に
応じ
適切な
対症療法を
行うこと。なお、
本剤は
血液透析により
除去されることが
示されている。[
16.8.1参照]
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
乾いた手指でアルミ包装をめくり、薬剤(フィルム)を取り出して服用するよう指導すること。
14.2 服用時の注意
14.2.1 本剤は
舌の
上にのせ、
唾液を
浸潤させると
崩壊するため、
水なしで
服用可能である。また、
水で
服用することもできる。[
7.1参照]
14.2.2 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
14.2.3 アルミ包装で遮光して品質を保持しているため、アルミ包装開封後は速やかに服用すること。
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(イヌ静脈内投与、0.1μg/kg以上)において全身麻酔下での血圧低下が報告されている。
15.2.2 動物実験(ラット筋肉内投与、40μg/kg/day以上)において受胎率の低下が報告されている。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)
血液透析患者(16
例)にナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)2.5
又は5
μgを
経口単回投与した
時、
未変化体の
薬物動態パラメータは
以下の
通りであった
1)。
薬物動態パラメータ
投与群(μg) | 例数 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-∞(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
2.5 | 8 | 3.15±0.82 | 4.25±1.58 | 66.26±15.54※ | 14.21±4.93※ |
5 | 8 | 6.51±2.76 | 3.00±0.93 | 120.59±71.90 | 14.03±7.44 |
(2)
腹膜透析患者(16
例)にナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)2.5
又は5
μgを
経口単回投与した
時、
未変化体の
薬物動態パラメータは
以下の
通りであった。
腹膜透析の
方法(
連続携行式腹膜透析(CAPD)、
持続的周期的腹膜透析(CCPD))、
自動腹膜潅流
装置(APD)の
有無及び
透析液の
種類により、
未変化体の
薬物動態パラメータに
明らかな
差異は
認められなかった。なお、ナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)5
μg
投与群において、ナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)
投与から
初回の
透析液交換までの
時間が3
時間と
規定された5
例のうち1
例で、
未変化体のCmax
及びAUC
0-∞がそれぞれ5.37pg/mL
及び156.54pg・h/mLと
低下する
傾向が
認められた
2)。[
7.3参照]
薬物動態パラメータ
投与群(μg) | 例数 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr)※ | AUC0-∞(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
2.5 | 5 | 3.81±0.88 | 1.00 | 92.67±23.47 | 20.99±4.22 |
5 | 11 | 8.28±3.00 | 2.00 | 193.74±57.52 | 24.77±3.23 |
(3)
軽度(Child-Pugh
分類グレードA)の
代償性肝硬変患者(12
例)にナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)2.5
又は5
μgを
経口単回投与した
時、
未変化体の
薬物動態パラメータは
以下の
通りであった。
健康成人男子と
比較してCmaxやAUCが
上昇する
傾向は
認められなかった
3)。
薬物動態パラメータ
投与群(μg) | 例数 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-∞(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
2.5 | 6 | 3.63±1.26 | 2.33±1.03 | 34.58±13.55※ | 5.37±2.11※ |
5 | 6 | 6.76±2.03 | 1.50±0.55 | 58.06±26.28 | 6.61±2.46 |
(4)
中等度(Child-Pugh
分類グレードB)の
慢性肝疾患患者(
延べ30
例)にナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)2.5
又は5
μgを
経口単回投与した
時、
未変化体の
薬物動態パラメータは
以下の
通りであった。
軽度(Child-Pugh
分類グレードA)の
肝障害患者と
比較してCmaxとAUCは
上昇する
傾向が
認められた
4)。[
9.3.2参照]
薬物動態パラメータ
投与群(μg) | 例数 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-∞(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
2.5 | 16 | 6.36±2.62 | 1.81±1.52 | 117.4±51.4 | 17.52±10.69 |
5 | 14 | 11.71±4.45 | 1.50±1.02 | 197.7±97.0 | 14.59±5.27 |
(5)
重度(Child-Pugh
分類グレードC)の
肝障害患者における
薬物動態は
検討されていない
5)。[
8.1、
9.3.1参照]
16.1.2 反復投与
血液透析患者(14〜16
例)にナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)2.5
又は5
μgを
経口反復投与した
時、
未変化体の
薬物動態パラメータは
以下の
通りであった
1)。
薬物動態パラメータ
投与群(μg) | 例数 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-∞(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
2.5 | 7 | 5.70±3.85 | 4.14±1.35 | 210.25±144.28※ | 25.33±10.52※ |
5 | 7 | 10.25±1.74 | 3.86±1.21 | 358.86±179.24 | 28.34±8.55 |
また、透析時では非透析時と比較しt1/2が短縮しており、透析時及び非透析時のt1/2はそれぞれ、5.11〜11.17(hr)、13.55〜64.37(hr)であった。
16.1.3 生物学的同等性試験
ナルフラフィン
塩酸塩ODフィルム2.5
μg「ニプロ」とレミッチカプセル2.5
μgのそれぞれ1
枚又は1カプセル(ナルフラフィン
塩酸塩として2.5
μg)を、クロスオーバー
法により
健康成人男子に
絶食単回経口投与して
血漿中ナルフラフィン
濃度を
測定した。
得られた
薬物動態パラメータ(
AUC
0→48hr、Cmax)について90%
信頼区間法にて
統計解析を
行った
結果、log(0.80)〜log(1.25)の
範囲内であり、
両剤の
生物学的同等性が
確認された
6)7)。
薬物動態パラメータ(水あり投与)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0→48hr(pg・hr/mL) | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」 | 28.904±5.634 | 2.2638±0.4896 | 2.68±0.75 | 9.35±1.41 |
レミッチカプセル2.5μg | 28.060±5.070 | 2.3160±0.4942 | 2.53±0.70 | 8.95±1.73 |
血漿中ナルフラフィン濃度推移(水あり投与)
薬物動態パラメータ(水なし投与)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0→48hr(pg・hr/mL) | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」 | 28.520±5.315 | 2.1440±0.4159 | 2.83±0.86 | 9.35±1.98 |
レミッチカプセル2.5μg※※ | 29.475±6.168 | 2.4655±0.5025 | 2.28±1.02 | 9.38±1.85 |
血漿中ナルフラフィン濃度推移(水なし投与)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男子(12
例)を
対象に、ナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)10
μgを
食後に
経口単回投与した
時の
AUC
0-48hr及びCmaxは
空腹時投与の
場合とほぼ
同等であり、
食事の
影響は
認められなかった
8)。
(注1)通常1回投与量は2.5μgである。
(
注2)
開発段階の
製剤での
試験成績であるが、
当該製剤はレミッチカプセルと
溶出挙動の
類似性から
同等であると
考えられている
9)。
薬物動態パラメータに対する食事の影響
投与方法 | Cmax(pg/mL) | Tmax(hr) | AUC0-48hr(pg・hr/mL) | t1/2(hr) |
空腹時投与 | 12.67±3.95 | 3.1±1.1 | 114.46±34.26 | 5.99±1.35 |
食後投与 | 13.68±3.65 | 3.2±1.3 | 126.03±38.10 | 5.90±1.10 |
16.3 分布
16.3.1 ヒト
血漿タンパク
結合率は、73.3〜76.3%であり、
性差は
認められなかった
10)(
in vitro)。
16.3.2 ラットに
経口単回投与した
後の
全身オートラジオグラム
及び
組織中放射能濃度測定結果から、
投与後15
分に
食道、
肝臓、
消化管及びその
内容物に
高い
放射能の
分布が
認められた。また、
投与後168
時間では
肝臓、
腎臓、
甲状腺及び
腸内容物に
放射能が
認められた
10)。
16.4 代謝
16.4.1 in vitro試験、代謝
in vitro代謝評価系による
検討から、
主代謝酵素はCYP3A4であった
11)。[
10.
参照]
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男子(6
例)を
対象に、トリチウムで
標識したナルフラフィン
塩酸塩を
静脈内単回投与した
時の
薬物動態を
検討したところ、
投与後14
日間での
糞中排泄率は56.0%、
尿中の
排泄率は36.2%で、
累積排泄率は92.2%となった。
尿中では
主に
未変化体として、
糞中では
主に
脱シクロプロピルメチル
体として
排泄された
12)。
主代謝物は
脱シクロプロピルメチル
体であり、その
他にグルクロン
酸抱合体が
認められた(
外国人データ)。
16.5.2 4
種の
透析膜を
用いて
透析による
除去について
検討したところ、
未変化体の
透析膜面積1.5m
2換算クリアランスは44.6〜61.8mL/minと
算出され、
健康成人男子における
未変化体の
腎クリアランス170〜210mL/minと
比較すると
小さいものの、
未変化体は
膜種に
関係なく
透析により
除去されるものと
考えられた。また、
代謝物(
脱シクロプロピルメチル
体及びグルクロン
酸抱合体)についても
膜種に
関係なく
除去されるものと
考えられた
10)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用
健康成人男子(22
例)を
対象に、ナルフラフィン
塩酸塩(
液剤)10
μgを
単独で
経口単回投与した
時とケトコナゾールを
反復投与で
併用した
時、
AUC
0-∞はケトコナゾールを
併用することにより160.5%となり、ケトコナゾールはナルフラフィン
塩酸塩の
薬物動態に
影響した
13)(
外国人データ)。[
10.2参照]
(注)通常1回投与量は2.5μgである。
16.7.2 in vitro試験、代謝
ナルフラフィン
塩酸塩のAUCに
及ぼす
影響について
in vitro代謝評価系を
用いて
検討したところ、そのAUCはケトコナゾール
併用時に
最大5.5
倍、ミデカマイシン
併用時に
最大2.5
倍、シクロスポリン
併用時に
最大2.3
倍となる
可能性が
示された
14)。[
10.2参照]
16.7.3 ヒトP糖タンパク(MDR1)発現LLC-PK1細胞を用いたin vitro試験
ナルフラフィン
塩酸塩はP
糖タンパクの
基質であるが、P
糖タンパクを
介したジゴキシンの
輸送に
影響を
及ぼさないことが
示された
10)。
一方、ナルフラフィン
塩酸塩のP
糖タンパクを
介した
輸送はケトコナゾール、ベラパミル
塩酸塩、シクロスポリン、タクロリムス、セチリジン
塩酸塩により
阻害されることが
示された
15)。
16.7.4 非吸収性薬剤とのin vitro吸着試験
ナルフラフィン
塩酸塩の
高リン
血症治療剤であるセベラマー
塩酸塩(
陰イオン
交換樹脂系薬剤)に
対する
吸着率は11.9〜14.7%
16)、
高カリウム
血症治療剤であるポリスチレンスルホン
酸ナトリウム(
陽イオン
交換樹脂系薬剤)に
対する
吸着率は62.4〜72.7%
16)、ポリスチレンスルホン
酸カルシウム(
陽イオン
交換樹脂系薬剤)に
対する
吸着率は98.8〜98.9%
17)であった。
16.8 その他
16.8.1 血液透析の影響
ナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)
投与時の
血漿中濃度に
対する
透析回数(
週1,2,3
回)、
透析時間(2,4,6
時間)、
透析の
実施時期(
午前、
午後、
夜間)、
投与から
透析までの
間隔(4,8,12
時間)の
影響をシミュレーションにより
検討した
結果、
投与から
透析までの
間隔が4
時間以内の
血液透析では
血漿中濃度が
低下する
可能性があるが、8
時間以上の
血液透析では
影響はないと
考えられた。その
他の
項目については
血漿中濃度に
影響はないと
考えられた
18)。[
7.2、
13.2参照]
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
ナルフラフィン
塩酸塩(カプセル)の
成績を
以下に
示す。
<血液透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
17.1.1 国内第III相試験
既存治療抵抗性のそう
痒症を
有する
血液透析患者337
例を
対象に、1
日1
回、14
日間経口反復投与した
際の
有効性を、かゆみの
指標であるVAS(Visual Analogue Scale)を
用い、
多施設二重盲検比較試験により
検討した。その
結果、
投与前後でのVAS
変化量において、2.5
μg
及び5
μg
投与群で
有効性が
確認された
19)20)。
2.5μg投与時の臨床成績
| 例数 | 平均VAS値±標準偏差 | 共分散分析(片側2.5%検定) |
投与前(mm) | 投与後(mm) | プラセボ群との差※(mm) [95%信頼区間] | p値 |
プラセボ群 | 111 | 73.78±11.47 | 58.55±22.06 | 9.13[3.78,14.49] | p=0.0005 |
2.5μg投与群 | 112 | 76.71±11.79 | 52.19±23.71 |
5μg投与時の臨床成績
| 例数 | 平均VAS値±標準偏差 | 共分散分析(片側2.5%検定) |
投与前(mm) | 投与後(mm) | プラセボ群との差※(mm) [95%信頼区間] | p値 |
プラセボ群 | 111 | 73.78±11.47 | 58.55±22.06 | 8.26[3.05,13.47] | p=0.0010 |
5μg投与群 | 114 | 73.03±11.54 | 49.63±22.30 |
※投与前の平均VAS値を共変量とした共分散分析により調整済みの点推定値
副作用発現率は、2.5μg群で25.0%(28/112例)、5μg群で35.1%(40/114例)であった。主な副作用は、2.5μg群で不眠7.1%(8/112例)、眠気4.5%(5/112例)、便秘及びプロラクチン上昇2.7%(3/112例)、5μg群で不眠14.0%(16/114例)、便秘7.0%(8/114例)、眠気3.5%(4/114例)、そう痒の悪化、プロラクチン上昇及び甲状腺刺激ホルモン上昇2.6%(3/114例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(長期投与試験)
既存治療抵抗性のそう
痒症を
有する
血液透析患者211
例を
対象に、1
日1
回、ナルフラフィン
塩酸塩5
μgを52
週間経口反復投与した
際の
有効性を、VASを
用い、オープン
試験により
検討した。その
結果、
投与前後でのVAS
変化量において、
有効性が
確認された
21)。
長期投与時の臨床成績
| 投与前 | 2週目 | 4週目 | 12週目 | 24週目 | 36週目 | 52週目 |
例数 | 211 | 208 | 198 | 184 | 163 | 155 | 145 |
平均VAS値±標準偏差(mm) | 75.22±12.41 | 50.95±24.38 | 47.17±25.32 | 39.39±25.83 | 33.60±27.73 | 31.85±24.91 | 30.87±25.92 |
ナルフラフィン
塩酸塩の
依存性について、
精神依存及び
身体依存を
示す
症例は
認められなかった。また
耐性が211
例中5
例に
認められている
21)。
副作用発現率は、48.8%(103/211
例)であった。
主な
副作用は、
不眠症19.4%(41/211
例)、
便秘7.1%(15/211
例)、プロラクチン
上昇3.3%(7/211
例)、
眠気2.4%(5/211
例)であった。
<腹膜透析患者におけるそう痒症の改善の場合>
17.1.3 国内第III相試験
既存治療抵抗性のそう
痒症を
有する
腹膜透析患者37
例を
対象に、ナルフラフィン
塩酸塩2.5
μgを2
週間、
続いて5
μgを2
週間経口反復投与した
際の
有効性を、かゆみの
指標であるVASを
用い、
非盲検非対照試験により
検討した。その
結果、2.5
μg
投与期間2
週目(LOCF
※)における
投与前後でのVAS
変化量の
平均値は24.93mm(90%
信頼区間:18.67,31.19mm)であり、90%
信頼区間の
下限値は、
事前に
設定されたVAS
変化量の閾値(15.24mm)を
上回った
22)。
※LOCF:Last Observation Carried Forward
副作用発現率は、45.9%(17/37例)であった。主な副作用は、不眠及びプロラクチン上昇13.5%(5/37例)、眠気及びテストステロン低下8.1%(3/37例)、嘔吐5.4%(2/37例)であった。
<慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合>
17.1.4 国内第III相試験
抗ヒスタミン
薬又は
抗アレルギー
薬による
治療が
奏効しない
難治性のそう
痒症を
有する
慢性肝疾患患者※317
例を
対象に、1
日1
回、12
週間経口反復投与した
際の
有効性を、かゆみの
指標であるVASを
用い、
多施設二重盲検比較試験により
検討した。
主要評価項目は、
投与期間4
週目(LOCF)のVAS
変化量とした。その
結果、
投与前後でのVAS
変化量において、2.5
μg
及び5
μg
投与群で
有効性が
確認された
23)24)。
※原疾患が確定しており、肝臓の炎症が6ヵ月以上持続している又は画像診断により肝炎からさらに病態が進展した状態にあると判断された肝疾患患者
2.5μg投与時の臨床成績
| 例数 | 平均VAS値±標準偏差 | 共分散分析(片側2.5%検定) |
投与前(mm) | 投与後(mm) | プラセボ群との差※※(mm) [95%信頼区間] | p値 |
プラセボ群 | 103 | 77.26±10.50 | 58.02±24.11 | 9.31[2.94,15.69] | p=0.0022 |
2.5μg投与群 | 105 | 77.30±11.04 | 48.74±25.27 |
5μg投与時の臨床成績
| 例数 | 平均VAS値±標準偏差 | 共分散分析(片側2.5%検定) |
投与前(mm) | 投与後(mm) | プラセボ群との差※※(mm) [95%信頼区間] | p値 |
プラセボ群 | 103 | 77.26±10.50 | 58.02±24.11 | 8.22※※※[1.88,14.55] | p=0.0056 |
5μg投与群 | 109 | 77.29±11.07 | 49.79±25.50※※※ |
※※投与前の平均VAS値を共変量とした共分散分析により調整済みの点推定値
※※※108例
副作用発現率は、2.5μg群で60.0%(63/105例)、5μg群で54.1%(59/109例)であった。主な副作用は、2.5μg群でプロラクチン上昇13.3%(14/105例)、抗利尿ホルモン上昇及び総胆汁酸上昇7.6%(8/105例)、甲状腺刺激ホルモン上昇6.7%(7/105例)、不眠症、頻尿・夜間頻尿及び眠気5.7%(6/105例)、5μg群で、頻尿・夜間頻尿、便秘、眠気、プロラクチン上昇及び抗利尿ホルモン上昇7.3%(8/109例)、浮動性めまい5.5%(6/109例)であった。
17.1.5 国内第III相試験(長期投与試験)
抗ヒスタミン
薬又は
抗アレルギー
薬による
治療が
奏効しない
難治性のそう
痒症を
有する
慢性肝疾患患者※122
例を
対象に、1
日1
回、ナルフラフィン
塩酸塩5
μgを52
週間経口反復投与した
際の
有効性を、VASを
用い、オープン
試験により
検討した。その
結果、
投与前後でのVAS
変化量において
有効性が
確認された
25)。
※原疾患が確定しており、肝臓の炎症が6ヵ月以上持続している又は画像診断により肝炎からさらに病態が進展した状態にあると判断された肝疾患患者
長期投与時の臨床成績
| 投与前 | 2週目 | 4週目 | 12週目 | 24週目 | 36週目 | 52週目 |
例数 | 122 | 122 | 121 | 116 | 110 | 103 | 99 |
平均VAS値±標準偏差(mm) | 78.05±11.73 | 56.70±24.57 | 50.09±26.94 | 42.88±28.61 | 37.67±27.23 | 31.31±25.43 | 27.77±24.73 |
ナルフラフィン
塩酸塩の
依存性について、
精神依存を
示す
症例は
認められなかった。また、122
例中、
身体依存が1
例、
耐性が4
例に
認められている
25)。
副作用発現率は、75.4%(92/122
例)であった。
主な
副作用は、
頻尿・
夜間頻尿13.1%(16/122
例)、プロラクチン
上昇11.5%(14/122
例)、
便秘10.7%(13/122
例)、
浮動性めまい7.4%(9/122
例)、
抗利尿ホルモン
上昇6.6%(8/122
例)、
総胆汁酸上昇5.7%(7/122
例)であった。
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
ヒトオピオイド
受容体発現細胞を
用いた
in vitroの
受容体結合試験及び
受容体作動性試験の
結果から、
選択的なオピオイド
κ受容体作動薬であることが
示されている
26)。
ヒトオピオイド受容体結合試験及び作動性試験成績
試験項目 | κ | μ | δ | κ:μ:δ比 |
結合試験 Ki値(nmol/L) | 0.244±0.0256 | 2.21±0.214 | 484±59.6 | 1:9:1984 |
作動性試験 EC50(nmol/L) | 0.00816±0.00138 | 1.66±0.09 | 21.3±1.0 | 1:203:2610 |
また、
in vitro試験において、ヒスタミン
受容体を
含むオピオイド
受容体以外の
種々の
受容体、トランスポーター
及びイオンチャネルに
結合せず、
肥満細胞からの
脱顆粒反応に
対しても
抑制作用を
示さなかった
26)27)。さらにサブスタンスP
皮内投与誘発マウス
引っ
掻き
行動抑制作用は、オピオイド
κ受容体拮抗薬であるノルビナルトルフィミン(nor-BNI)の
脳室内投与により
完全に
拮抗された
28)。
18.2 そう痒に対する作用
既存の
止痒薬である
抗ヒスタミン
薬が
有効なヒスタミン
皮内投与誘発マウス
引っ
掻き
行動及び
抗ヒスタミン
薬が
効き
難いサブスタンスP
皮内投与誘発マウス
引っ
掻き
行動を
抑制した
29)。また、
抗ヒスタミン
薬が
無効な
中枢性のかゆみモデルであるモルヒネ
大槽内投与誘発マウス
引っ
掻き
行動も
抑制した
28)。
18.3 依存性
ラット
退薬症候観察10)においてモルヒネで
認められた
退薬症候をほとんど
示さなかったことから、
本薬の
身体依存性は
弱く、サル
自己投与試験10)において
強化効果が
認められなかったことから、
精神依存性はないと
考えられている。
19. 有効成分に関する理化学的知見
19.1. ナルフラフィン塩酸塩
一般的名称 |
ナルフラフィン塩酸塩 |
一般的名称(欧名) |
Nalfurafine Hydrochloride |
化学名 |
(2E)-N-[(5R,6R)-17-(Cyclopropylmethyl)-4,5-epoxy-3,14-dihydroxymorphinan-6-yl]-3-(furan-3-yl)-N-methylprop-2-enamide monohydrochloride |
分子式 |
C28H32N2O5・HCl |
分子量 |
513.03 |
物理化学的性状 |
白色〜ごくうすい黄色の粉末である。 |
KEGG DRUG |
|
22. 包装
23. 主要文献
-
血液透析患者における薬物動態の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6)
-
腹膜透析患者における薬物動態の検討(レミッチカプセル・OD錠、ノピコールカプセル:2017年9月22日承認、審査報告書)
-
代償性肝硬変患者における薬物動態の検討(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.7.6.7)
-
Child-Pugh分類グレードBの肝硬変患者における薬物動態の検討(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.7.6.8)
-
中等度以上の肝機能障害患者に対する本剤の投与について(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、審査報告書)
-
社内資料:生物学的同等性試験(水あり)
-
社内資料:生物学的同等性試験(水なし)
-
健康成人における食事の影響の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6)
-
健康成人における食事の影響の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、審査報告書)
-
中尾薫 他,
日本薬理学雑誌, 135 (5), 205-214, (2010)
»PubMed
-
Ando,A.et al.,
Biopharm.Drug Dispos., 33 (5), 257-264, (2012)
»PubMed
-
健康成人における吸収、代謝、排泄の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6)
-
健康成人における薬物相互作用の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6), (L20200002)
-
薬物相互作用の検討(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.6.4.7), (L20201666)
-
ヒトP糖タンパク(MDR1)発現LLC-PK1細胞を用いたin vitro試験(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.6.4.7), (L20201667)
-
非吸収性薬剤(吸着剤)との薬物相互作用の検討(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.6.4.7)
-
非吸収性薬剤(吸着剤)との薬物相互作用の検討(2)(レミッチカプセル・OD錠、ノピコールカプセル:2017年9月22日承認、審査報告書)
-
血液透析の影響(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、審査報告書)
-
血液透析患者におけるそう痒症に対する効果の検討(検証的試験)(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6)
-
血液透析患者におけるそう痒症に対する効果の検討(検証的試験)(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、審査報告書)
-
血液透析患者におけるそう痒症に対する効果の検討(長期投与試験)(レミッチカプセル:2009年1月21日承認、CTD2.7.6)
-
腹膜透析患者におけるそう痒症に対する効果の検討(一般臨床試験)(レミッチカプセル・OD錠、ノピコールカプセル:2017年9月22日承認、審査報告書)
-
慢性肝疾患患者におけるそう痒症に対する効果の検討(検証的試験)(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.7.6.13)
-
慢性肝疾患患者におけるそう痒症に対する効果の検討(検証的試験)(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、審査報告書)
-
慢性肝疾患患者におけるそう痒症に対する効果の検討(長期投与試験)(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.7.6.14)
-
中尾薫 他,
日本神経精神薬理学雑誌, 28 (2), 75-83, (2008)
»PubMed
-
各種受容体、トランスポーターおよびイオンチャンネルに対する結合試験(ノピコールカプセル:2014年12月26日承認、CTD2.6.2.2)
-
Umeuchi,H.et al.,
Eur.J.Pharmacol., 477 (1), 29-35, (2003)
»PubMed
-
Togashi,Y.et al.,
Eur.J.Pharmacol., 435 (2-3), 259-264, (2002)
»PubMed
24. 文献請求先及び問い合わせ先
文献請求先
ニプロ株式会社
医薬品情報室
〒566-8510
大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
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〒566-8510
大阪府摂津市千里丘新町3番26号
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FAX:050-3535-8939
26. 製造販売業者等
26.1 製造販売元
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