御即位記念　特別展　皇室の名宝

開催かいさい概要がいよう

本展ほんてんは、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん予防よぼう・拡大かくだい防止ぼうしのため、オンラインでの事前じぜん予よ約やく優先ゆうせん制せい（日時にちじ指定してい券けん）を導入どうにゅうします。
また、会期かいき等とうは今後こんごの諸しょ事情じじょうにより変更へんこうする場合ばあいがあります。随時ずいじ、当とうウェブサイトや当館とうかん公式こうしきTwitterにてお知しらせいたしますので、ご来館らいかんの際さいは最新さいしん情報じょうほうをご確認かくにんください。

展覧てんらん会かい名めい

御ご即位そくい記念きねん　特別とくべつ展てん　皇室こうしつの名宝めいほう

会期かいき

2020年ねん10月がつ10日とおか（土ど）～11月がつ23日にち（月つき・祝しゅく）
　前期ぜんき：2020年ねん10月がつ10日とおか（土ど）～11月がつ1日にち（日ひ）
　後期こうき：2020年ねん11月3日にち（火ひ・祝しゅく）～11月がつ23日にち（月つき・祝しゅく）

会場かいじょう

京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん　平成へいせい知ち新館しんかん

交通こうつう

JR、近鉄きんてつ、京阪けいはん電車でんしゃ、阪急はんきゅう電車でんしゃ、市しバス　交通こうつうアクセス

休館きゅうかん日び

月曜日げつようび
※ただし、11月23日にち（月つき・祝しゅく）は開館かいかん

開館かいかん時間じかん

9：30～18：00（入館にゅうかんは17：30まで）
※夜間やかん開館かいかんは実施じっししません。

観覧かんらん料りょう

	通常つうじょう	キャンパスメンバーズ
一般いっぱん	1,800円えん	1,600円えん
大学生だいがくせい	1,200円えん	700円えん
高校生こうこうせい	700円えん	200円えん

キャンパスメンバーズ・大学生だいがくせい・高校生こうこうせいの方ほうは、ご入館にゅうかんの際さいに学生がくせい証しょう等とうをご提示ていじください。
前売まえうり券けん・団体だんたい券けんはありません。
キャンパスメンバーズ以外いがいの割引わりびきはありません。
無料むりょう対象たいしょうの方ほうは以下いかの通とおりです（要よう証明しょうめい）。本展ほんてんにおいて、下記かき以外いがいの無料むりょう対象たいしょうはありません。

中学生ちゅうがくせい以下いか
障害しょうがい者しゃの方ほうとその介護かいご者しゃ1名めい
無料むりょう観覧かんらん券けんをお持もちの方ほう
清風せいふう会かい会員かいいん
国立こくりつ文化財ぶんかざい機構きこうの特別とくべつ支援しえん者しゃ及および賛助さんじょ会員かいいん

事前じぜん予よ約やく優先ゆうせん制せい（日時にちじ指定してい券けん）のご案内あんない
チケットの販売はんばいは終了しゅうりょういたしました。
ご来館らいかん前まえに「日時にちじ指定してい券けん＋観覧かんらんセット券けん」をご購入こうにゅうください。
　前期ぜんきご入館にゅうかん分ぶん → 9月25日にち（金かね）10：00 予よ約やく開始かいし
　後期こうきご入館にゅうかん分ぶん → 10月がつ20日はつか（火ひ）10：00 予よ約やく開始かいし

展覧てんらん会かい公式こうしきサイト
（チケット販売はんばい終了しゅうりょう）

※無料むりょう対象たいしょうの方ほうも、人数にんずう分ぶんの「日時にちじ指定してい券けん」のご予約よやくが必要ひつようです。 ※キャンパスメンバーズ（含教職員しょくいん）は、「日時にちじ指定してい券けん＋キャンパスメンバーズ観覧かんらんセット券けん」をご購入こうにゅうください。 ※オンライン予約よやくのご利用りようが難むずかしい方ほうのため、当日とうじつ券けんをご用意よういしております。ただし、当日とうじつ分ぶんがなくなり次第しだい、終了しゅうりょうとなります。また、当日とうじつ券けんも30分ふんごとの時間じかん枠わく入館にゅうかんにつき、入館にゅうかんまでお待まちいただく場合ばあいがあります。 ※再さい入館にゅうかんはできません。

記念きねん講演こうえん会かい

●10月がつ10日とおか（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「宮廷きゅうていと日本にっぽん文化ぶんか―雅みやびな文化ぶんか、その継承けいしょうのこころ」
　講師こうし：太田おおた彩あや氏し（宮内庁くないちょう三さんの丸まる尚なお蔵館くらだて首席しゅせき研究けんきゅう官かん）

●10月17日にち（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「皇室こうしつに伝つたわった絵巻えまきの至宝しほう―春日かすが権現ごんげん験けん記き絵えを中心ちゅうしんに―」
　講師こうし：井い並なみ林太郎りんたろう（京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん研究けんきゅう員いん）

●10月24日にち（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「皇室こうしつを彩いろどる絵画かいが―旧きゅう桂かつら宮家みやけ伝来でんらい品ひんを中心ちゅうしんに―」
　講師こうし：福士ふくし雄也ゆうや（京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん主任しゅにん研究けんきゅう員いん）

●10月31日にち（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「宮内庁くないちょう三さんの丸まる尚なお蔵館くらだて所蔵しょぞうの書跡しょせき名品めいひんとその伝来でんらい―“禁裏きんり御物ぎょもつ”と諸家しょか献上けんじょう―」
　講師こうし：髙梨真ま行こう氏し（宮内庁くないちょう三さんの丸まる尚なお蔵館くらだて主任しゅにん研究けんきゅう官かん）

●11月7日にち（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「伏見天皇ふしみてんのうと「屏風びょうぶ土代どだい」―天皇てんのうの書風しょふう形成けいせい―」
　講師こうし：羽田はた聡さとし（京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん美術びじゅつ室長しつちょう／列れつ品ひん管理かんり室長しつちょう）

●11月14日にち（土ど）*終了しゅうりょうしました。
「御所ごしょをめぐる色いろとかたち」
　講師こうし：山川やまかわ曉あきら（京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん工芸こうげい室長しつちょう／企画きかく室長しつちょう）

【時じ　　間あいだ】13：30～15：00

【会かい　　場ば】平成へいせい知ち新館しんかん講堂こうどう

【定じょう　　員いん】各かく100名めい ※適切てきせつな間隔かんかくを保たもつため、定員ていいん100名めい（通常つうじょうの半数はんすう）にて実施じっしいたします。着席ちゃくせき場所ばしょは係員かかりいんの指示しじに従したがってください。

【料りょう　　金かね】聴講ちょうこう無料むりょう（ただし、講演こうえん会かい当日とうじつの「聴講ちょうこう券けん付づけ日時にちじ指定してい券けん＋観覧かんらんセット券けん」等とうが必要ひつよう）

【参加さんか方法ほうほう】各かく講演こうえん会かいに参加さんかいただくには、「聴講ちょうこう券けん付つき日時にちじ指定してい券けん」が必要ひつようです。展覧てんらん会かい公式こうしきサイトより、各かく講演こうえん会かいの「聴講ちょうこう券けん付つき日時にちじ指定してい券けん＋観覧かんらんセット券けん」をご購入こうにゅうください。無料むりょう対象たいしょうの方ほうは「聴講ちょうこう券けん付つき日時にちじ指定してい券けん」をご予約よやくください。

展覧てんらん会かい公式こうしきサイト
（チケット販売はんばい終了しゅうりょう）

キャンパスメンバーズ講演こうえん会かい

京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかんキャンパスメンバーズ会員かいいん校こうの学生がくせい及および教職員きょうしょくいんを対象たいしょうに、本ほん展示てんじの見みどころなどを解説かいせつする講演こうえん会かいを開催かいさいします。
【日にち　　時どき】2020年ねん10月がつ23日にち（金かね）16：00～17：00（15：30開場かいじょう）*終了しゅうりょうしました。
参加さんか方法ほうほうなど詳細しょうさいは、
特別とくべつ展てん「皇室こうしつの名宝めいほう」キャンパスメンバーズ講演こうえん会かい

音声おんせいガイド

【貸出かしだし料金りょうきん】1台だい600円えん（税込ぜいこみ）
【収録しゅうろく時間じかん】約やく30分ふん
【言げん　　語かたり】日本語にほんご・英語えいご
【貸出かしだし受付うけつけ時間じかん】9：30～17：15

展覧てんらん会かい図録ずろく

南みなみ門もんおよび平成へいせい知ち新館しんかん内ないミュージアムショップにて販売はんばいいたします。
※会期かいき中ちゅうは、図録ずろくの通販つうはんはいたしません。 ※会期かいき終了しゅうりょう後ご、図録ずろくに残部ざんぶがあれば、以下いかの通とおり販売はんばいいたします。

展覧てんらん会かい公式こうしきオンラインショップでの販売はんばい：
会期かいき終了しゅうりょう後ご～2020年ねん12月31日にち（木き）17：00まで　終了しゅうりょうしました

南みなみ門もんおよび平成へいせい知ち新館しんかん内ないミュージアムショップでの販売はんばい：
2021年ねん1月がつ2日にち（土ど）～在庫ざいこ限かぎり
一いち冊さつ2,800円えん（税込ぜいこみ）（A4・256頁ぺーじ・掲載けいさい作品さくひん98件けん）

主催しゅさい

京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん、宮内庁くないちょう、読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、NHK京都放送局きょうとほうそうきょく、NHKエンタープライズ近畿きんき

協賛きょうさん

岩谷産業いわたにさんぎょう、きんでん、清水建設しみずけんせつ、大和だいわハウス工業こうぎょう、パナソニック、非破壊ひはかい検査けんさ

展覧てんらん会かい公式こうしきサイト・SNS

※公式こうしきサイト・ツイッターは終了しゅうりょうしました。

展覧てんらん会かいの見みどころ

天皇陛下てんのうへいかの即位そくいとともに元号げんごうが改あらたまり、令れい和わの世よを迎むかえました。新あらたな世よの始はじまりをことほぎ、皇室こうしつゆかりの地ちである京都きょうとにおいて、宮内庁くないちょうが所蔵しょぞうする名品めいひんを日本にっぽんの宮廷きゅうていで培つちかわれた文化ぶんかとともに紹介しょうかいする展覧てんらん会かいを開催かいさいします。
宮内庁くないちょう三さんの丸まる尚なお蔵館くらだて所蔵しょぞうの名なだたる品々しなじなを中心ちゅうしんに、皇室こうしつの名宝めいほうの数々かずかずが、京都きょうとの地ちでまとまって公開こうかいされる初はじめての機会きかい。皇室こうしつと縁えんを結むすんだ名品めいひんの数々かずかずをご堪能たんのうください。

源氏物語げんじものがたり図ず屏風びょうぶ（左ひだり隻せき）
伝でん狩野かの永ひさし徳とく筆ひつ
宮内庁くないちょう三さんの丸まる尚なお蔵館くらだて
＜後期こうき：11月3日にち～23日にち展示てんじ＞

第だい1章しょう　皇室こうしつにつどう書画しょが　三さんの丸まる尚なお蔵館くらだての名宝めいほう

三さんの丸まる尚なお蔵館くらだてには、さまざまな形かたちで皇室こうしつと縁えんを結むすんだ書画しょがの逸品いっぴんが収蔵しゅうぞうされています。その来歴らいれきは多様たようですが、江戸えど時代じだい以前いぜんから皇室こうしつ周辺しゅうへんで用もちいられてきた品しな、明治めいじ時代じだい以降いこうに皇室こうしつでの収蔵しゅうぞうを願ねがって献上けんじょうされた品しなが中核ちゅうかくとなっており、幾代いくよもの御代みよを重かさねて形成けいせいされた、重層じゅうそう的てきな性格せいかくをもっています。　

筆跡ひっせきのもつ力ちから

書しょは人ひとなり、とも言いわれるように、日本にっぽんでは書かき文字もじの美うつくしさが尊たっとばれます。今いまも私わたしたちが学まなぶ、楷書かいしょ、行書ぎょうしょ、草書そうしょなどの書法しょほうを美うつくしく完成かんせいさせ「書聖しょせい」と仰あおがれたのが王羲之おうぎし（おうぎし）。彼かれの真筆しんぴつは伝つたわりませんが、唐から時代じだいに精巧せいこうに臨摸された作品さくひんが伝つたえられています。王羲之おうぎしの書しょは、かつては正せい倉くら院いんにも所蔵しょぞうされ、三さん筆ぴつや三さん跡あとと称しょうされる日本にっぽんの能書のうがき家かたちの手本てほんとなりました。三さんの丸まる尚なお蔵館くらだてには、王羲之おうぎしのみならず、三さん跡あとに数かぞえられる小しょう野道のみち風ふう、藤原ふじわら佐たすく理り、藤原ふじわら行こう成なりの書しょが揃そろって所蔵しょぞうされています。さらには、平重盛たいらのしげもり、西行さいぎょう、藤原ふじわら定家さだいえといった、歴史れきし上じょうの人物じんぶつの個性こせい豊ゆたかな書しょも見みることができます。

絵えと紡つむぐ物語ものがたり

詞し（ことば）と絵えが交互こうごにあらわれ、巻物まきものをひもとく先さきにイメージ豊ゆたかに物語ものがたりが展開てんかいしていく絵巻えまき。三さんの丸まる尚なお蔵館くらだてには、時代じだいを代表だいひょうする絵巻えまきの名品めいひんが所蔵しょぞうされています。
とりわけ、元もと寇のありさまを描えがいて教科書きょうかしょでもおなじみの『蒙こうむ古こ襲来しゅうらい絵詞えことば』、20巻かんすべてが欠かけることなく伝でん世せいし、絵師えしの名なも詞書ことばがきの筆者ひっしゃも判明はんめいする『春日かすが権現ごんげん験けん記き絵え』は、鎌倉かまくら時代じだいの歴史れきしや美術びじゅつを語かたる逸品いっぴんとして知しられています。

唐から絵えへの憧あこがれ

四よん周しゅうを海うみに囲かこまれた日本にっぽんにとって、大陸たいりくからもたらされる文化ぶんかは常つねに憧あこがれの存在そんざいでした。中国ちゅうごくや朝鮮半島ちょうせんはんとうの絵画かいがは、鑑賞かんしょうされるだけでなく、手本てほんとしても参照さんしょうされてきたのです。

近世きんせい絵画かいが百花繚乱ひゃっかりょうらん

狩野かの永ひさし徳とく、海うみ北きた友松ともまつ、俵屋たわらや宗達そうたつ、狩野かの探さがせ幽かそけ、尾形おがた光琳こうりん、円山まるやま応挙おうきょ、伊藤いとう若冲じゃくちゅう…。桃山ももやまから江戸えど時代じだいには、個性こせい豊ゆたかな絵師えしが綺羅星きらぼし（きらぼし）のごとく登場とうじょうしました。三さんの丸まる尚なお蔵館くらだてには、彼かれらの作品さくひんが、屏風びょうぶを中心ちゅうしんに多数たすう収蔵しゅうぞうされています。
製作せいさく当初とうしょから宮中きゅうちゅうや宮家みやけで鑑賞かんしょうされてきた皇室こうしつゆかりの品々しなじなだけでなく、明治めいじ時代じだい以降いこう、かつての公家くげ、門跡もんぜき寺院じいん、大名だいみょう家かなどから、皇室こうしつにこそふさわしいとして献上けんじょうされた近世きんせい絵画かいがは、まさに百花繚乱ひゃっかりょうらんのきらびやかさです。

第だい2章しょう　御所ごしょをめぐる色いろとかたち

明治天皇めいじてんのうが東京とうきょうへ遷られると、京都きょうと御所ごしょは主あるじを失うしない、伝統でんとう儀礼ぎれいの多おおくは形かたちを変かえて皇居こうきょで執とり行おこなわれるようになりました。本展ほんてんでは、今いまでは見みることのかなわない京都きょうと御所ごしょでの儀式ぎしきや日々ひびの光景こうけいを、さまざまな作品さくひんを通とおして追つい体験たいけんします。

即位そくいの風景ふうけい

令れい和わの即位そくい礼れいでは、皇居こうきょ正殿せいでんの高御座たかみくら（たかみくら）に登壇とうだんされる天皇陛下てんのうへいかの姿すがたをさまざまなメディアが伝つたえました。それでは江戸えど時代じだい、京都きょうと御所ごしょでの即位そくい礼れいはどのように執とり行おこなわれていたのでしょうか。
それを教おしえてくれるのが「霊れい元もと天皇てんのう即位そくい図ず屏風びょうぶ」です。紫宸殿ししんでん内ないの高御座たかみくらの中なかには、金属きんぞくと玉たまに飾かざられた冕冠（べんかん）をかぶり、鮮あざやかな赤あかい装束しょうぞくに身みを包つつむ天皇てんのうの姿すがたが描えがかれています。その装よそおいには、古代こだいの日本にっぽんが儀礼ぎれいや服飾ふくしょくを学まなんだ中国ちゅうごくの影響えいきょうが強つよくうかがわれます。近代きんだいに大おおきな変貌へんぼうを遂とげ、現代げんだいでは見みることのかなわない京都きょうと御所ごしょでの即位そくいの風景ふうけいを、絵画かいがや装束しょうぞくを通とおしてよみがえらせます。

霊れい元もと天皇てんのう即位そくい図ず屏風びょうぶ
狩野かの永ひさし納おさめ筆ひつ
当館とうかん
＜後期こうき：11月3日にち～23日にち展示てんじ＞

漢かんに学まなび和わをうみだす

江戸えど時代じだいまでの日本にっぽんでは、時代じだいによってその影響えいきょう力りょくに差さはあるものの、中国ちゅうごくに代表だいひょうされる漢かんの文物ぶんぶつに学まなび、そこに自みずからの風土ふうどに根ねざした美意識びいしきを加くわえ、豊ゆたかな和わの文化ぶんかが創造そうぞうされてきました。漢かんと和わは決けっして対立たいりつするものではなく、同どうじ場ばを飾かざり、ともに鑑賞かんしょうされるものであったのです。
漢字かんじから万葉仮名まんようがなへ、そしてかな文字もじへと深化しんかしていく和漢わかんの交まじわりを、『万葉集まんようしゅう』や『和漢わかん朗詠ろうえい集しゅう』などの美麗びれいな古筆こひつの名品めいひんを中心ちゅうしんにたどります。

天皇てんのうの姿すがたと風雅ふうが

歴史れきしの波なみに翻弄ほんろうされ、天皇てんのうの立場たちばは時々ときどきに変化へんかしましたが、「学問がくもん」と総称そうしょうされる、典籍てんせきの学習がくしゅう、書道しょどうや歌道かどう、さらには楽器がっきの演奏えんそうに研鑽けんさんを積つみ、風雅ふうがの天子てんしとして日本にっぽん文化ぶんかを牽引けんいんしようとする姿勢しせいは、いつの時代じだいも変かわることはありませんでした。天皇てんのうの肖像しょうぞう、その手てになる日記にっきや詠草よみくさなどの宸翰しんかん（しんかん）は、至高しこうの存在そんざいとして生いきる天皇てんのうの姿すがたを、現代げんだいを生いきる私わたしたちにまざまざと伝つたえてくれます。

王朝おうちょう物語ものがたりの舞台ぶたい

平安へいあん時代じだいの宮廷きゅうていで花開はなひらいた王朝おうちょう文学ぶんがくを代表だいひょうする作品さくひんとして知しられる『源氏物語げんじものがたり』において、主人公しゅじんこう・光源氏ひかるげんじの憧あこがれの女おんな君くんが暮くらす「藤ふじ壺つぼ」は、御所ごしょの後宮こうきゅうの中なかでも中宮ちゅうぐうや有力ゆうりょくな女御にょうごが住すまう、飛香あすか舎しゃ（ひぎょうしゃ）の別名べつめいです。かつて清涼せいりょう殿どのの北西ほくせいに位置いちしていた飛香あすか舎しゃは、後のちには立后りっこうなどの儀式ぎしきを行おこなう後宮こうきゅうの中心ちゅうしん的てきな殿舎でんしゃとなりました。
本展ほんてんでは、京都きょうと御所ごしょの飛香あすか舎しゃを飾かざる襖ふすま絵えとそこに配はいされていた調度ちょうどから、かつての後宮こうきゅうの室しつ礼れいをしのびます。