宮崎みやざき県けんの南西なんせい端はしに位置いちする都城みやこのじょう市しは、豊ゆたかな水みず資源しげんを有ゆうすることから農業のうぎょうが盛さかんで、2021年ねんの市町村しちょうそん別べつ農業のうぎょう産出さんしゅつ額がく（推計すいけい）は、901億おく円えんで全国ぜんこく１位い（３年ねん連続れんぞく）です。とくに畜産ちくさん部門ぶもんの産出さんしゅつ額がくは764億おく円えんで、品目ひんもく別べつでも豚ぶたが281億おく円えん、肉にく用よう牛うしが215億おく円えんといずれも全国ぜんこく１位いとなっています。また、市内しないには「焼酎しょうちゅうメーカー売上うりあげ高だかランキング」（帝国ていこくデータバンク調しらべ）において11年ねん連続れんぞくで日本一にっぽんいちを獲得かくとくしている霧島酒造きりしましゅぞう株式会社かぶしきがいしゃがあることから、全国ぜんこく有数ゆうすうの焼酎しょうちゅうの産地さんちとしても知しられています。

さまざまな特産とくさん品ひんを有ゆうする同市どうしは、ふるさと納税のうぜいでプロモーションに成功せいこうした自治体じちたいとしても有名ゆうめいです。2014年ねん以降いこう、９年ねん連続れんぞくで寄付きふ額がくの全国ぜんこくトップ10入いりを果はたし、全国ぜんこく最多さいたとなる4度どの日本一にっぽんいちを達成たっせい。2022年度ねんどの納税のうぜい受入うけいれ額がくは、約やく196億おく円えんに上のぼります。

都城みやこのじょう市しのふるさと納税のうぜいに関かんする業務ぎょうむを担当たんとうするのが、都城みやこのじょう市しふるさと産業さんぎょう推進すいしん局きょくです。同局どうきょくで副ふく課長かちょうを務つとめる野見山のみやま氏しは、2014年ねんに「ふるさと納税のうぜいは納税のうぜい受入うけいれ額がくを集あつめるためでなく、市しのプロモーションとして活用かつようする」という戦略せんりゃくに転換てんかんしたことが、現在げんざいの躍進やくしんにつながったと話はなします。

「当時とうじ、都城みやこのじょう市しの知名度ちめいどは全国ぜんこく的てきに低ひくく、焼酎しょうちゅうの『黒くろ霧島きりしま』は知しっているものの、酒造しゅぞうがある都城みやこのじょう市しはあまり知しられていませんでした。市しの知名度ちめいどがなければ、観光かんこう客きゃくの誘致ゆうちも難むずかしく、特産とくさん品ひんも買かってもらえない。そこで、ふるさと納税のうぜいをPRツールとして活用かつようし、都城みやこのじょう市しを知しってもらおうという戦略せんりゃくを立たてました。

その戦略せんりゃくに基もとづき、ふるさと納税のうぜい制度せいどを導入どうにゅうしている1,700以上いじょうの自治体じちたいの中なかで差別さべつ化かを図はかるため、“肉にくと焼酎しょうちゅうのふるさと・都城みやこのじょう”というキャッチフレーズでブランディングし、返礼へんれい品ひんを『肉にくと焼酎しょうちゅう』に特とく化かしました」（野見山のみやま氏し）

都城みやこのじょう市しのふるさと納税のうぜい躍進やくしんを支ささえるもう一ひとつの要素ようそが、官民かんみん一体いったいの強固きょうこな連携れんけい体制たいせいです。

返礼へんれい品ひんを「肉にくと焼酎しょうちゅう」に特とく化かしたことで、それ以外いがいの特産とくさん品ひんを扱あつかう地元じもと事業じぎょう者しゃの反発はんぱつを招まねく可能かのう性せいがあり、市しと民間みんかん事業じぎょう者しゃの理解りかいと協力きょうりょくが不可欠ふかけつとなっていました。そこで重要じゅうようになってくるのが、市しと足並あしなみを揃そろえ、民間みんかんからふるさと納税のうぜいのプロモーションを行おこなっている「都城みやこのじょう市しふるさと納税のうぜい振興しんこう協議きょうぎ会かい」（以降いこう、振興しんこう協議きょうぎ会かい）です。

同どう協議きょうぎ会かいは、都城みやこのじょう市しのふるさと納税のうぜいの返礼へんれい品ひんを出品しゅっぴんする民間みんかん事業じぎょう者しゃが加盟かめいしている任意にんい団体だんたいです。事務じむ局きょく次長じちょうを務つとめる石川いしかわ氏しは、「自治体じちたいだけではできないPRがある」と語かたります。

「協議きょうぎ会かいでは、市しのプロモーションの方向ほうこう性せいに合あわせて民間みんかんの事業じぎょう者しゃが同おなじ方向ほうこうを見みるよう調整ちょうせいし、ふるさと納税のうぜいの対外たいがい的てきなPRを行おこなっています。規約きやく上じょう、市しでは実施じっしできないふるさと納税のうぜい関連かんれんの広告こうこく宣伝せんでんも、民間みんかんの任意にんい団体だんたいである振興しんこう協議きょうぎ会かいであれば出稿しゅっこうすることができます。それ以外いがいにも、招待しょうたい制せいのイベントを開催かいさいしたり、ふるさと納税のうぜい川柳せんりゅうコンテストを運営うんえいするなど、都城みやこのじょう市しに寄付きふいただいた方ほうを“ファン化か”するための取とり組くみを推進すいしんしています」（石川いしかわ氏し）

都城みやこのじょう市しでは、ふるさと納税のうぜいのポータルサイト、市しが運営うんえいする特設とくせつサイトにユーザーを集客しゅうきゃくするため、さまざまなWeb広告こうこくや紙面しめん広告こうこくを展開てんかいしています。そんな中なか、LINEのユーザー属性ぞくせいに着目ちゃくもくし、LINE広告こうこくを本格ほんかく的てきに活用かつようし始はじめたのが2022年ねんからです。

「実じつは2017年ねんにもLINE広告こうこくに出稿しゅっこうしたのですが、当時とうじのLINEは若年じゃくねん層そうのユーザーの割合わりあいが多おおく、ふるさと納税のうぜいの中心ちゅうしん世代せだいである30代だい～50代だいのユーザーをうまく誘引ゆういんできませんでした。しかし、現在げんざいは幅広はばひろい世代せだいのユーザーがLINEを利用りようしています。加くわえて、LINEユーザーは特定とくていのポータルサイトに依存いぞんせず、あらゆる “経済けいざい圏けん”につながっていることに気きづきました。ふるさと納税のうぜいに興味きょうみがある人ひとに広ひろくリーチできると考かんがえ、2022年ねんから本格ほんかく的てきに活用かつようを再開さいかいしました」（野見山のみやま氏し）

LINE広告こうこくでも「肉にくと焼酎しょうちゅうのふるさと都城みやこのじょう」をブランディングするため、クリエイティブには市しのPRロゴを使用しようし、返礼へんれい品ひんをシンプルに訴求そきゅうする表現ひょうげんを徹底てっていしました。

ターゲティングでは、ふるさと納税のうぜいに興味きょうみがあるユーザーに効率こうりつよくアプローチするため、オーディエンスセグメント配信はいしん（※1）の趣味しゅみ・関心かんしんセグメントで「ふるさと納税のうぜい」項目こうもくを活用かつようしました。（※2）

配信はいしん効果こうかを高たかめるための検証けんしょうも繰くり返かえし行いっており、ターゲティングの項目こうもくにふるさと納税のうぜいを追加ついかしたセグメントでは、追加ついかしていないセグメントよりクリック率りつが約やく2.3倍ばい高たかかったといいます。

「自治体じちたいあるあるかもしれないですが、施策しさくを実行じっこうしても、効果こうか検証けんしょうをしないケースが散見さんけんされます。例たとえば、PRのためのパンフレットでも、１種類しゅるいだけ作成さくせいするのではなく、2種類しゅるい作つくって評判ひょうばんが良よい方ほうを残のこしていくことを繰くり返かえせば、より効果こうか的てきなものを作つくることができます。LINE広告こうこくで検証けんしょうを繰くり返かえし行おこなうのも、こうした狙ねらいがあるためです」（野見山のみやま氏し） 

都城みやこのじょう市しは、デジタル広告こうこくの出稿しゅっこうに際さいしてクリック率りつをKPIに設定せっていしており、LINE広告こうこくを継続けいぞくして活用かつようする理由りゆうも「クリック率りつの高たかさ」にあるといいます。

「LINE広告こうこくはほかの広告こうこく媒体ばいたいと比くらべてクリック率りつがとても高たかいです。LINE広告こうこくは広告こうこく審査しんさをクリアするための水準すいじゅんが高たかく、“クリーンな広告こうこく”が表示ひょうじされるので、ユーザーも信頼しんらいしてクリックしてくれるからではないでしょうか。また、ユーザー層そうが幅広はばひろいからか、他た媒体ばいたいでは獲得かくとくできていなかった新規しんき層そうを獲得かくとくできているという感覚かんかくがあります」（野見山のみやま氏し）

今後こんごもLINE広告こうこくを活用かつようすると同時どうじに、 “都城みやこのじょう市しのファン”を増ふやすためにLINE公式こうしきアカウントを活用かつようしたコミュニケーションにも取とり組くんでいきたいと話はなします。

「いまのLINE広告こうこくは、ふるさと納税のうぜいの寄附きふにつながる導線どうせんが整ととのっているので、とても頼たのもしい存在そんざいです。今後こんごは、LINE公式こうしきアカウントをより有効ゆうこう活用かつようして、寄付きふをしてくれたユーザーとの関係かんけいをさらに深ふかめていきたいです。独自どくじアプリを検討けんとうしている自治体じちたいも少すくなくないようですが、すでに多おおくのユーザーが利用りようしているLINEを活用かつようすれば、よりスムーズに情報じょうほうを届とどけられると思おもいます」（野見山のみやま氏し）

石川いしかわ氏しも「LINE公式こうしきアカウントのさらなる活用かつようを考かんがえていきたい」と意気込いきごみます。

「ファンの形成けいせいは指標しひょうや数字すうじになって表あらわれにくいため、自治体じちたいの予算よさんとして確保かくほしづらいのが実情じつじょうです。そこで、私わたしたちのような民間みんかん団体だんたいが、ふるさと納税のうぜいの寄附きふ者しゃと交流こうりゅうイベントを開催かいさいしたり、返礼へんれい品ひんを使つかったレシピを紹介しょうかいしたり、ファンとの交流こうりゅうを図はかっています。今後こんご、地域ちいきや時間じかんに捉われないオンラインのコミュニケーションツールとして、LINE公式こうしきアカウントをもっと活用かつようしていきたいと思おもいます。都城みやこのじょうを身近みぢかに感かんじてもらえるよう、これからも積極せっきょく的てきなPR活動かつどうと情報じょうほう発信はっしんを行おこなっていきます」（石川いしかわ氏し）

（公開こうかい：2024年ねん2月がつ、文ぶん／相澤あいざわ良晃よしあき）

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