Bリーグは2023年ねん5月がつ27、28日にちに横浜よこはまアリーナ（神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し）で開催かいさいされた「日本生命にほんせいめい B.LEAGUE FINALS 2022-23」では、琉球りゅうきゅうゴールデンキングスが千葉ちばジェッツを破やぶって初はつの年間ねんかんチャンピオンとなりました。現在げんざいは8シーズン目めとなる「B.LEAGUE 2023-24シーズン」の真まっただ中なかで、上位じょういリーグB1に24クラブ、B2に14クラブの計けい38クラブが参加さんかして激戦げきせんが繰くり広ひろげられています。

きめ細こまかなファンサービスに加くわえ、2023年ねん夏なつのFIBAバスケットボールワールドカップ2023でアジア最さい上位じょういとなった男子だんし日本にっぽん代表だいひょうの活躍かつやくも追おい風かぜとなり、Bリーグの人気にんきは急上昇きゅうじょうしょうしています。2024年ねん1月がつ12〜14日にちに沖縄おきなわアリーナ（沖縄おきなわ県けん沖縄おきなわ市し）などで行おこなわれたオールスターゲーム(B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND

 2024 IN OKINAWA)もチケットが早々そうそうに売うり切きれるなど、その勢いきおいがうかがえます。

こうした中なか、以前いぜんはBリーグの認知にんち度どを高たかめることに主眼しゅがんを置おいていたLINE公式こうしきアカウントの運用うんよう目的もくてきも「次第しだいに変かわってきた」と湯川ゆかわ氏しは説明せつめいします。

「運用うんようKPIはメッセージの開封かいふう率りつで、その後ご、いかに各かくクラブの入場にゅうじょう者しゃ数すう増加ぞうかにつなげるかを中心ちゅうしんに考かんがえています。LINE公式こうしきアカウントは友ともだちになったユーザーに直接ちょくせつプッシュ通知つうちを送おくることができる点てんが他たのSNSにない強つよみで、顧客こきゃくと良好りょうこうな関係かんけいを構築こうちくするCRM（顧客こきゃく関係かんけい管理かんり）的てきな使つかい方かたができる。友ともだちはいわばファンベースで、『入場にゅうじょうチケットをご購入こうにゅういただく一いち歩ほ手前てまえの方々かたがた』と考かんがえられます。そこに効果こうか的てきなメッセージを送おくることでリーグや各かくクラブに興味きょうみを持もってもらい、実際じっさいに試合しあい会場かいじょうに足あしを運はこんでもらえるよう工夫くふうしています」

また、年としに一いち度どのペースで配信はいしんしているLINEプロモーションスタンプの反響はんきょうは大おおきく、100万まん人にん規模きぼの友ともだち集客しゅうきゃくにつながることもあるそうです。そのようにして集あつめた友ともだちといかに良好りょうこうな関係かんけいを築きずいていくかが、試合しあいへの集客しゅうきゃくにつなげる鍵かぎになります。現在げんざい、LINE公式こうしきアカウントは湯川ゆかわ氏しを含ふくむ2人ふたり体制たいせいで運用うんようしており、メッセージを配信はいしんするタイミングには特とくに気きを使つかっているそうです。

「ワールドカップでの男子だんし日本にっぽん代表だいひょうの最終さいしゅう戦せんとなった2023年ねん9月がつ2日にちのカーボベルデ戦せんで、日本にっぽんが勝利しょうりしてパリ五輪ごりんの代表だいひょう権けんを獲得かくとくしたのは夜よる22時じごろでした。通常つうじょうならばメッセージ配信はいしんを控ひかえる深夜しんやの時間じかん帯おびでしたが、この時ときばかりは歴史れきし的てき瞬間しゅんかんを称たたえるメッセージを送信そうしんし、通常つうじょう平均へいきんの1.5倍ばいとかなり高たかい開封かいふう率りつを得えることができました。タイムリーにメッセージを届とどけられるのは、LINEの活用かつようメリットの1つです」

Bリーグではファンの心理しんりに寄よりそうメッセージ配信はいしんだけでなく、大おおきなイベントに合あわせたさまざまな「仕掛しかけ」も考かんがえています。

「入場にゅうじょう者しゃ数すうを増ふやすには何なによりもBリーグを好すきになってもらうのが一番いちばん良よいと考かんがえていて、そのために『アリーナDX（デジタル・トランスフォーメーション）』というキーワードを掲かかげています。毎年まいとし、Bリーグ本体ほんたいが主催しゅさいする『オールスターゲーム』と、シーズンの優勝ゆうしょうチームを決きめる『ファイナル』の2試合しあいにおいて、LINE公式こうしきアカウントとLINEミニアプリを活用かつようして、来場らいじょう者しゃの『楽たのしいを増ふやす』『ストレスを減へらす』取とり組くみを行おこないました」

先述せんじゅつした「アリーナDX」の実践じっせんの場ばとなったのが、冒頭ぼうとうで紹介しょうかいした「日本生命にほんせいめい B.LEAGUE FINALS 2022-23』です。優勝ゆうしょうが決きまる2日にち目めには約やく1万まん3千せん人にん以上いじょうの観客かんきゃくを集あつめたこの試合しあいで、LINEミニアプリを使つかった売店ばいてんにおけるモバイルオーダーと、シートデリバリーの実証じっしょう実験じっけんが行おこなわれました。

多おおくの観客かんきゃくが集あつまるビッグイベントでは、売店ばいてんに長ながい行列ぎょうれつができがちです。そうした状況じょうきょうを未然みぜんに防ふせいだり、来場らいじょう者しゃのストレスを解消かいしょうするため、ユーザーがLINE公式こうしきアカウントや座席ざせきのQRコードなどから起動きどうできるLINEミニアプリを導入どうにゅう。モバイルオーダーで事前じぜんに商品しょうひん注文ちゅうもんや、受うけ取とり時間じかんを指定していして場内じょうないにある5つの売店ばいてんから商品しょうひんを受うけ取とれるようにしました。

さらに、特定とくていの座席ざせきエリアではオーダーした商品しょうひんを座席ざせきまで運はこんできてもらえるシートデリバリーも実施じっし。モバイルオーダーは売店ばいてんの対応たいおうキャパシティを考慮こうりょして、時間じかん帯たいごとに受うけられるオーダー数すうにあらかじめ上限じょうげんを設もうけていて、一部いちぶの時間じかん帯たいでは試合しあい前日ぜんじつのうちに売うり切きれ状態じょうたいになるなどの人気にんきでした。

「試合しあいのチケット購入こうにゅう者しゃのうち、メルマガ登録とうろくいただいたユーザーにはモバイルオーダーについて何なん度どか周知しゅうちしていました。そのため一定いっていの反応はんのうは予想よそうしていましたが、試合しあい前日ぜんじつのお昼ひるに売うり切きれが出でたことには驚おどろきました」

スポーツやコンサートの会場かいじょう内ないでのモバイルオーダーは他た競技きょうぎも含ふくめ国内こくないではまだまだ目新めあたらしい試こころみですが、Bリーグがこの時ときに要ようした準備じゅんび期間きかんはわずか3カ月かげつ。このスピード感かんを可能かのうにしたのが、LINEミニアプリの活用かつようです。

LINEミニアプリは、WebアプリケーションをLINE上じょうで起動きどうすることができるサービスです。モバイルオーダーについてもすぐに使つかえるパッケージが開発かいはつ会社かいしゃから数多かずおおく提供ていきょうされており、こうしたパッケージを使用しようすることで新あらたにシステム開発かいはつをする期間きかんや予算よさんを大幅おおはばに省はぶいて、スピーディーにサービスを提供ていきょうすることが可能かのうとなりました。ユーザーにとっても、LINEがあれば新あらたにアプリをダウンロードせずに利用りようできるため、使つかい始はじめるまでのハードルが非常ひじょうに低ひくいという特徴とくちょうがあります。

「実際じっさいにモバイルオーダーやシートデリバリーを使つかっていただいた来場らいじょう者しゃにアンケートをとったところ、満足まんぞく度どもかなり高たかかった。約やく3,000人にん以上いじょうのユーザーにモバイルオーダーを利用りよういただき、売店ばいてんにおける商品しょうひん提供ていきょうの回転かいてん率りつが早はやくなることで売上うりあげも通常つうじょうより1.5倍ばい程度ていど増加ぞうかしたと聞きいており、手応てごたえを感かんじています」

2023年ねん1月がつにアダストリアみとアリーナ（茨城いばらき県けん水戸みと市し）で開催かいさいされた「ドットエスティB.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO」では、LINEを使つかって参加さんかできるスタンプラリー施策しさくを行おこないました。

オールスターゲーム観戦かんせんのために水戸みと市しを訪おとずれた参加さんか者しゃはLINE公式こうしきアカウントを友ともだち追加ついかすることで、水戸みと市内しないの飲食いんしょく店てんや観光かんこう地ちで使つかえるクーポンを受うけ取とることができます。ユーザーが実際じっさいに飲食いんしょく店てんや観光かんこう地ちを訪おとずれ、そこに掲示けいじされたポスターのQRコードをスキャンすることで「スタンプ」を集あつめることができ、スタンプを3つ集あつめるごとに1回かい、景品けいひんとしてＢリーグのグッズや地元じもとの名産めいさん品ひんが当あたる抽選ちゅうせんに応募おうぼすることができる仕組しくみです。

「オールスターゲームでは、開催かいさい地ちにどうやって利益りえきを還元かんげんできるかをBリーグとして常つねに考かんがえています。水戸みと市しは観光かんこうスポットやおいしい飲食いんしょく店てんがたくさんあるのに、そうした情報じょうほうを知しらない方ほうも多おおい。スタンプラリーを実施じっしすることで、来場らいじょう者しゃが試合しあい会場かいじょう以外いがいにも街まちのあちこちを回遊かいゆうしてくれれば、地域ちいき全体ぜんたいの経済けいざい効果こうかにつながるのではないかと考かんがえました」

参加さんか者しゃが集あつめるスタンプ3つのうち、少すくなくとも1つは飲食いんしょく店てんを訪問ほうもんしなくてはいけないというルールを設もうけたのも、地域ちいき経済けいざいに貢献こうけんしたいという思おもいからでした。水戸みと市役所しやくしょや地元じもと商工しょうこう会議かいぎ所しょの協力きょうりょくを得えて進すすめられたこの企画きかくは、商工しょうこう会議かいぎ所しょの呼よびかけにより30以上いじょうの飲食いんしょく店てんが参加さんか。結果けっかとして、3日間にちかんの開催かいさい期間きかんで約やく3,000人にんのユーザーが1つ以上いじょうスタンプを貯ため、うち約やく1,600人にんのユーザーが景品けいひんの抽選ちゅうせんに応募おうぼしました。

「水戸みと市役所しやくしょのある職員しょくいんの方ほうは『水戸みと市しでこんなに街まち中ちゅうを人ひとが歩あるいているのを見みたことがない』と話はなしていたのが印象いんしょう的てきです。景品けいひんとして全ぜん選手せんしゅのサイン入いりユニフォームも出だしていたのですが、『ユニフォームがどうしても欲ほしくて、何なん十じゅうカ所かしょも回まわった』という、”推おし活かつ”に近ちかい感覚かんかくで参加さんかされる熱心ねっしんなファンもいました。後日ごじつ、参加さんか者しゃが市内しないを移動いどうした軌跡きせきをマップ上じょうでデータ化かしたものを確認かくにんしたのですが、そこからも実際じっさいに多おおくの方ほうが街まち中ちゅうを回遊かいゆうしていたことがわかりました。

一般いっぱん的てきなスタンプラリー施策しさくでは、専用せんようアプリのダウンロードが求もとめられると途端とたんに参加さんか率りつが低ひくくなります。その点てん、LINEは多おおくの方ほうが使つかっているコミュニケーションアプリなので、LINEをベースに施策しさくを設計せっけいしたことが、参加さんか者しゃ数すうの多おおさにつながったと考かんがえています」

このスタンプラリーは 1 月がつに沖縄おきなわ県けん沖縄おきなわ市しで行おこなわれた B.LEAGUE 2023-24 シーズンのオールスターゲームにおいて、LINEミニアプリを活用かつようするなど改良かいりょうを加くわえながら実施じっしされ、やはり好評こうひょうを集あつめたといいます（詳くわしくはこちら）

BリーグのLINE公式こうしきアカウントを通つうじてさまざまな施策しさくを打うち出だしてきた湯川ゆかわ氏しは、得えられた知見ちけんを所属しょぞくする各かくクラブに情報じょうほう共有きょうゆう・横よこ展開てんかいしています。

「モバイルオーダーやスタンプラリーなどの取とり組くみや得えられた結果けっかについては、各かくクラブのLINE運用うんよう担当たんとう者しゃを集あつめてその運用うんよう知見ちけんを共有きょうゆうしています。私わたしたちから伝つたえるだけでなく、各かくクラブで成功せいこうした事例じれいをみんなの前まえで発表はっぴょうしてもらって、クラブ同士どうしで情報じょうほう交換こうかんも行おこなっています」

Bリーグは2026年ねんにB1からB3までの3リーグ制せいとなっている現在げんざいの制度せいどを大おおきく変革へんかくする「B.革新かくしん」を掲かかげています。単たん年度ねんどの競技きょうぎ成績せいせきによるリーグの昇降しょうこう格かくを廃止はいしし、売上うりあげ高だかや平均へいきん入場にゅうじょう者しゃ数すうなどの経営けいえい基準きじゅんを満みたしたクラブだけが加入かにゅうできる新しんディビジョン「B.LEAGUE PREMIER」を立たち上あげる計画けいかくです。

「そのため、各かくクラブは入場にゅうじょう者しゃ数すうの増加ぞうかに向むけて、従来じゅうらいのメールマガジンや街頭がいとうでのチラシ配くばりなどに加くわえ、新あたらしい集客しゅうきゃく方法ほうほうを模索もさくしているところです。LINE公式こうしきアカウントの運用うんよう方法ほうほうや活用かつよう事例じれいについて積極せっきょく的てきに学まなんでいきたいと考かんがえるクラブは多おおいです」

また、LINEプロモーションスタンプをきっかけに増ふえたBリーグ公式こうしきアカウントの友ともだちに対たいして、所属しょぞくクラブへの興味きょうみ・関心かんしんを喚起かんきするような施策しさくも行おこなっています。

具体ぐたい的てきには、Bリーグの公式こうしきアカウントで「あなたの応援おうえんするクラブ、興味きょうみがあるクラブ」を選択せんたくしてもらうアンケートを実施じっし。回答かいとうによって、トーク画面がめん下かのリッチメニューが当該とうがいクラブのカラーに変かわり、それぞれの公式こうしきサイトや所属しょぞく選手せんしゅの情報じょうほうが見みられたり、各かくクラブのLINE公式こうしきアカウントを友ともだち追加ついかできたりするなどの導線どうせんを設もうけました。

「特とくに、2023年ねんはワールドカップをきっかけに新規しんきファンが増ふえたため、こうした導線どうせんを通つうじて各かくクラブの試合しあいに足あしを運はこんだ方ほうもいたのではないかと考かんがえています。実際じっさい、日本にっぽん代表だいひょうメンバーとして活躍かつやくした人気にんき選手せんしゅを擁ようするあるクラブのLINE公式こうしきアカウントは、友ともだち数すうの大幅おおはばな伸長しんちょうなどの成果せいかがあったようです」

一連いちれんの取とり組くみが功こうを奏そうし、Bリーグに所属しょぞくする全ぜん38クラブのLINE公式こうしきアカウントのターゲットリーチ数すう(ブロックしていない、メッセージを配信はいしんできる友ともだち数すう)は、前年度ぜんねんど比ひ220%伸長しんちょうという目覚めざましい結果けっかを残のこしました。LINEを活用かつようした取とり組くみについて、湯川ゆかわ氏しは次つぎのように総括そうかつします。

「LINEミニアプリを使つかった『アリーナDX』や、スタンプラリーを通つうじた地域ちいき振興しんこうは、細こまかな点てんをブラッシュアップしながら、次つぎのオールスターゲームやファイナルの試合しあいでも実施じっしし、各かくクラブに還元かんげんする流ながれをつくっていきたいと考かんがえています。

2024年ねんも昨年さくねんのワールドカップに続つづいて、再ふたたび日本にっぽん全体ぜんたいのバスケ熱ねつが盛もり上あがると確信かくしんしています。このタイミングでどのような施策しさくを行おこなって各かくクラブの集客しゅうきゃくにつなげていくか。LINEプロモーションスタンプなども含ふくめ、さまざまな工夫くふうをしていきたいです」

（公開こうかい：2024年ねん2月がつ、取材しゅざい・文ぶん／POWER NEWS編集へんしゅう部ぶ 小泉こいずみ耕平こうへい、写真しゃしん／山やま﨑美津留つる）

※本ほん記事きじ内ないの数値すうちや画像がぞう、役職やくしょくなどの情報じょうほうはすべて取材しゅざい時点じてんのものです
※本ほん記事きじ内ないの実績じっせきは取材しゅざい先さき調しらべによる数値すうちです