映画『つつんで、ひらいて』公式サイト

ABOUT THE MOVIE

映画えいが紹介しょうかい

「読者どくしゃが思おもわず手てに取とる美うつくしい本ほん」が生うまれる、その舞台裏ぶたいうらへ

たとえば、本屋ほんやで平たいら積づみになった新しん刊本かんぽんを手てに取とるとき。それも必かならずしも自分じぶんのお気きに入いりの作家さっかのものではない本ほんにふれるとき。あなたを「動うごかしている」ものは何なにだろう。
それは本ほんの装幀そうていかもしれない。

菊地きくち信義のぶよし。空前くうぜんのベストセラーとなった俵たわら万智まち「サラダ記念きねん日び」をはじめ大江おおえ健三郎けんざぶろう、古井ふるい由吉よしきち、浅田あさだ次郎じろう、平野ひらの啓一郎けいいちろう、金原かなはらひとみら１万まん５千せん冊さつ以上いじょうもの本ほんを手掛てがけ、40年ねん以上いじょうにわたり日本にっぽんのブックデザイン界かいをリードしてきた稀代きたいの装幀そうてい家かです。本ほん作さくは、美うつくしく刺激しげき的てきな本ほんづくりで多おおくの読者どくしゃを魅了みりょうし、作家さっかたちに愛あいされてきた菊地きくちの仕事しごとを通とおして“本ほんをつくること”を見みつめた、おそらく世界せかい初はつのブックデザイン・ドキュメンタリー。

監督かんとくは、是枝これえだ裕和ひろかず・西川にしかわ美和みわ率ひきいる映像えいぞうクリエイター集団しゅうだん「分福ぶんぶく」に籍せきを置おき、『夜明よあけ』で鮮烈せんれつなデビューを果はたした新鋭しんえい・広瀬ひろせ奈々子ななこ。手作業てさぎょうで一いち冊さつずつデザインする指先ゆびさきから、本ほんの印刷いんさつ、製本せいほんに至いたる工程こうていまでを丁寧ていねいに綴つづり、ものづくりの原点げんてんを探さぐります。

本ほんを取とり巻まく環境かんきょうが急速きゅうそくな変化へんかを遂とげ、価値かち観かんが塗ぬり替かえられていく現代げんだい。「読者どくしゃが欲ほしくなる本ほん」をこしらえ続つづける菊地きくちの創作そうさくの秘密ひみつを紐解ひもとき、本ほんをつくるひとびとの情熱じょうねつと知恵ちえを追おいかけたこの映画えいがは、本ほんという表現ひょうげんの可能かのう性せいをあらたに発見はっけんする冒険ぼうけんと言いえるでしょう。

本ほんを愛あいするすべての人ひとへ

この映画えいがを見みたあとには、店頭てんとうでなぜか魅みかれる本ほんに出会であったとき、これまでは気きにしなかったディテールに目めが行いくようになるはずだ。装幀そうていを手てがけたのは誰だれなのだろう、どんなこだわりが隠かくされているのだろう。どんな人ひとが編集へんしゅうし、どんな工場こうじょうで印刷いんさつされ製本せいほんされたのだろう。

そうしたことに少すこしでも想像そうぞうをめぐらすことができるようになれば、本ほんの楽たのしみ方かたがひとつ増ふえる。そうして本ほんの楽たのしさを語かたる人ひとが増ふえ、未来みらいにあらたな種たねを蒔まく。この映画えいがは、その場所ばしょを照てらす力ちからを持もっている。

－内ない沼ぬま晋すすむ太郎たろう(ブック・コーディネーター)

CAST

キャスト

「デザインとは設計せっけいでなく、
誰だれかのために“こしらえる”ものだと思おもうんです」

菊地きくち信義のぶよし装幀そうてい者しゃ

1943年ねん東京とうきょう生うまれ。1965年ねん多摩美術大学たまびじゅつだいがくデザイン科か中退ちゅうたい。広告こうこく代理だいり店てんなどを経へて、1977年ねん装幀そうてい者しゃとして独立どくりつ。以来いらい、中上なかがみ健次けんじや古井ふるい由吉よしきち、俵たわら万智まち、金原かなはらひとみなど1万まん5000冊さつ以上いじょうもの書籍しょせきの装幀そうていを担当たんとうする。著書ちょしょに『菊地きくち信義のぶよしの装幀そうてい』『装幀そうていの余白よはくから』他た。1984年ねん、第だい22回かい藤村ふじむら記念きねん歴程れきてい賞しょう受賞じゅしょう。1988年ねん、第だい19回かい講談社こうだんしゃ出版しゅっぱん文化ぶんか賞しょうブックデザイン賞しょう受賞じゅしょう。

「シンプルなデザインって誰だれもが憧あこがれるんですけど、
それを推おすことができないのが僕ぼくらの世代せだい」

水戸部みとべ功いさお装幀そうてい家か

1979年ねん栃木とちぎ県けん生うまれ。多摩美術大学たまびじゅつだいがく情報じょうほうデザイン学科がっか卒業そつぎょう。大学だいがく在学ざいがく時じより装幀そうていの仕事しごとを始はじめる。2011年ねん、第だい42回かい講談社こうだんしゃ出版しゅっぱん文化ぶんか賞しょうブックデザイン賞しょう受賞じゅしょう。
最近さいきん手てがけた書籍しょせきに『君きみが異端いたんだった頃ころ』島田しまだ雅彦まさひこ（集英社しゅうえいしゃ）、『科学かがくする心しん』池澤いけざわ夏樹なつき（集英社しゅうえいしゃインターナショナル）などがある。

「ただ読よめばいいっていう機能きのうだけになるか、
本ほんという「もの」を大事だいじにするか」

古井ふるい由吉よしきち作家さっか

1937年ねん東京とうきょう生うまれ。東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ独どく文科ぶんか修士しゅうし課程かてい修了しゅうりょう。1971年ねん『杳子』で芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょう。80年ねん『栖』で日本にっぽん文学ぶんがく大賞たいしょう、83年ねん『槿むくげ』で谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう賞しょう、87年ねん『中山ちゅうざん坂ざか』で川端かわばた康成やすなり文学ぶんがく賞しょう、90年ねん『仮かり往生おうじょう伝でん試ためし文ぶん』で読売よみうり文学ぶんがく賞しょう、97年ねん『白髪はくはつの唄うた』で毎日まいにち芸術げいじゅつ賞しょうを受賞じゅしょう。
近著きんちょに『ゆらぐ玉たまの緒いとぐち』（新潮社しんちょうしゃ）、『楽天らくてんの日々ひび』（キノブックス）などがある。

STAFF

スタッフ

広瀬ひろせ奈々子ななこ

監督かんとく・編集へんしゅう・撮影さつえい

1987年ねん神奈川かながわ県けん生うまれ。武蔵野美術大学むさしのびじゅつだいがく映像えいぞう学科がっか卒業そつぎょう後ご、2011年ねんより制作せいさく集団しゅうだん分福ぶんぶくに所属しょぞく。是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとく、西川にしかわ美和みわ監督かんとくのもとで監督かんとく助手じょしゅを務つとめ、『そして父ちちになる』『ゴーイング・マイ・ホーム』『海うみ街がいdiary』『海うみよりもまだ深ふかく』『永ながいい訳いわけ』に参加さんか。2019年ねん、劇映画げきえいが『夜明よあけ』で映画えいが監督かんとくデビューを果はたした。

ｂiobiopatata

音楽おんがく

フルート、オーボエ、サックス、アコーディオン、チェロ、コントラバスからなる特殊とくしゅ編成へんせいの吹奏楽すいそうがくバンド。タンゴやポップス、ジャズ、クラシック、現代げんだい音楽おんがく等とうをベースにメンバーが作曲さっきょくし、親したしみやすくチャーミングでありながらも、どこか異形いぎょうとでも言いうような、そんな音楽おんがくを奏かなでるのを得意とくいとしている。 2012年ねんの結成けっせい後ご、フルアルバム2枚まい、LP、カセットテープ等とう、多数たすうのリリースを行おこないながら、都内とないを中心ちゅうしんに様々さまざまな場所ばしょで活動かつどう中ちゅう。

鈴木すずき常吉つねきち

エンディング曲きょく

すずき・つねきち／1954年ねん11月24日にち生うまれ。東京とうきょう都と出身しゅっしん。89年ねん、セメントミキサーズのヴォーカル／ギターとして伝説でんせつの番組ばんぐみ「イカすバンド天国てんごく」（TBS）に出場しゅつじょう。7代目だいめイカ天てんキングに輝かがやき注目ちゅうもくを集あつめる。90年ねんにメジャーデビューするも、アルバム一いち枚まいを発表はっぴょうして解散かいさん。2006年ねんにリリースした初はつソロアルバム「ぜいご」の収録しゅうろく曲きょく「思おもひ出で」が、09年ねんにドラマ「深夜しんや食堂しょくどう」（TBS）のオープニング曲きょくに使つかわれて話題わだいを呼よぶ。近年きんねんは俳優はいゆうとしても活躍かつやくし、広瀬ひろせ奈々子ななこ監督かんとくデビュー作さく『夜明よあけ』(19年ねん)では木工もっこう所しょの従業じゅうぎょう員いん・米山よねやま源太げんた役やくで出演しゅつえん。その他たの主おもな出演しゅつえん作さくに『俳優はいゆう亀岡かめおか拓次たくじ』（16年ねん／監督かんとく：横浜よこはま聡子さとこ）、『オーバー・フェンス』（16年ねん／山下やました敦あつし弘ひろし）などがある。

COMMENT

装幀そうてい家か。生うまれ変かわったら一いち度どでいいからなってみたい、ずっとずっと妬ねたみつつも憧あこがれている職業しょくぎょうです。
— 恩田おんだ陸りくさん（小説しょうせつ家か）

ひとりの書かき手てとして、紙かみがどういう風ふうに印刷いんさつされ、製本せいほんされるのかを見みせてもらえてとても有難ありがたかったです。１冊さつの本ほんが出来できる裏側うらがわでは、これだけの人ひとが関かかわっていて、もの作づくりというものに没頭ぼっとうする人々ひとびとがいる。そのことにすごく感動かんどうしました。
— 西川にしかわ美和みわさん（映画えいが監督かんとく・小説しょうせつ家か）

菊地きくちさんの膨大ぼうだいな仕事しごとの中なかで、『決壊けっかい』が近年きんねんの重要じゅうような作品さくひんとして挙あげられるのを見みるにつけ、私わたしは、誇ほこらしい気持きもちになる。自分じぶんの書かいた小説しょうせつも、まるで、菊地きくちさんのデザインに寄与きよするために書かかれたかのような感かんじさえしてくるのだ。
— 平野ひらの啓一郎けいいちろうさん（作家さっか）

本ほんには二ふたつの言葉ことばが宿やどっている。目めに見みえる言葉ことばと、目めには見みえないもう一ひとつの「コトバ」だ。この映画えいがを見みていると、目めに見みえるものは、目めに見みえないものへの扉とびらであることが分わかってくる。そして、仕事しごとにいのちを吹ふき込こみ、意味いみあるものにするのは、未知みちなる者ものへの愛あいであることも。
— 若松わかまつ英輔えいすけさん（批評ひひょう家か・随筆ずいひつ家か）

タイポグラフィとデザインで物語ものがたりや作者さくしゃの思想しそうが可視かし化かされていく。その過程かていに触ふれて、菊地きくちさんはデザイナーであるのと共ともに文学ぶんがく者しゃなのだと感かんじました。
— 山崎やまざきまどかさん（コラムニスト）

紙かみの束たばを厚紙あつがみでくるんで背中せなかで留とどめれば本ほんのようなものになるが、菊地きくち氏しが「拵こしらえる」となぜかそれは、まるで疑うたがいようのない、たしかな佇たたずまいとなる。そのひみつに立たち会あえた。
— 鈴木すずき成しげる一いちさん（グラフィック・デザイナー）

わざわざ「紙かみの本ほん」で言葉ことばを伝つたえる意味いみを、いま私わたしたちは日々ひび問とわれ続つづけています。製本せいほんは「紙かみの本ほん」がそこに在あるためのすべてを請うけ負おっており、菊地きくちさんはそのことについて、ものすごく意識いしき的てきです。同どう時代じだいで共ともに本ほんを作つくる幸しあわせを、改あらためて感かんじずにはいられません。
— 笠井かさい瑠美子るみこさん（製本せいほん会社かいしゃ勤務きんむ）

つくる人ひと、読よむ人ひと、そして私わたしたち。たくさんの人々ひとびとの顔かおが浮うかびました。本ほんに出会であったとき、今いままでとは違ちがう感覚かんかくを味あじわうことができるでしょう。
— 古屋こや涼子りょうこさん（代官山だいかんやま蔦つた屋や書店しょてん　建築けんちく・デザイン　コンシェルジュ）

紙かみと鉛筆えんぴつ、レコード、ミルで挽ひくコーヒー豆まめ、古ふるい器うつわ、自宅じたくのベランダから見みえる鎌倉かまくらの海うみ…　被写体ひしゃたいの菊地きくち信義のぶよしさん、菊地きくちさんを取とり巻まく本ほんを愛あいする方々かたがた、そして広瀬ひろせ奈々子ななこさんの手てによって、丁寧ていねいに“こしらえられた”作品さくひんでした。お店みせに戻もどって、売場うりばの本ほん一いち冊さつ一いち冊さつのストーリーと手触てざわりを愛めでたくなりました。
— 大野おおの静子しずこさん（TSUTAYA TOKYO ROPPONGI）

「拵こしらえる」「こしらえる」「こさえる」「他者たしゃがあってのデザイン」「他者たしゃがないと人ひとは存在そんざいしない」など、心しんに深ふかく刻きざまれる言葉ことばと、菊地きくちさんの眼差まなざしに強烈きょうれつな印象いんしょうを受うけました。本ほんに携たずさわる人ひとはもちろん、ものづくりや小売こうり関連かんれんの人ひとたち、ドキュメンタリー好すきまで、広ひろくお勧すすめしたい作品さくひんです。
— 橋本はしもと亮二りょうじさん（朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ）

人生じんせいで最初さいしょに出会であった菊地きくちさんの仕事しごとは、小学生しょうがくせいのときに買かってもらった「昭和しょうわ文学ぶんがく全集ぜんしゅう」でした。はじめて手てに取とる函はこ入いりの本ほん。赤あかい表紙ひょうしにあしらわれた金箔きんぱくの模様もよう。ページを開あけば天金てんきんがパラッパラッとはがれる音おとがして、小学生しょうがくせいながら「これは特別とくべつな本ほんだ」と思おもいました。菊地きくち信義のぶよしさんという人ひとは、彼かれがあってこそ私わたしたちの世代せだいもある、今いまにつながる土台どだいを作つくられた方ほう。ブックデザインをする人ひともしない人ひとも、ぜひ観みて頂いただけたらと思おもいます。
— 名久井なくい直子なおこさん（ブックデザイナー）

THEATER

上映じょうえい劇場げきじょう

※上映じょうえい時間じかんおよび詳細しょうさいは、各かく劇場げきじょうへお問とい合あわせください。※前売まえうり券けんは劇場げきじょうでお求もとめいただけます。
※劇場げきじょう情報じょうほうは随時ずいじ更新こうしんいたします。

特別鑑賞券 1,400円発売中。劇場窓口でお買い求めの方に、菊地信義さん＋水戸部功さん装幀の
非売品プレスシートをプレゼント！（数量限定）

北海道ほっかいどう・東北とうほく
関東かんとう・甲信越こうしんえつ中部ちゅうぶ
関西かんさい中国ちゅうごく・四国しこく九州きゅうしゅう