投資情報会社・フィスコが8月5日~8月9日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。日米中央銀行による政策決定で二国間の金利差縮小が意識され、ドル安円高の基調に振れやすい展開となりそうだ。ただ、ドルの割安感で買い戻しが入り、下落ペースは緩慢とみられる。7月30-31日に開催された日銀金融政策決定会合で、3兆円規模の国債買入れ減額と0.25%程度への政策金利引き上げを決定。日本銀行植田総裁は一段の利上げに意欲を示しており、金融正常化を背景とした円買いが見込まれる。年内の追加利上げに思惑が広がれば東京株式市場は軟調地合いが予想され、日本株安を嫌気した円買いもドルなど主要通貨を下押しする可能性があろう。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定し、次回9月の利下げを示唆。年内2回の利下げという市場シナリオに現実味が増し、米金利安・ドル安に振れやすい。ドル円は2022年の年初115円付近から今年7月の161円台まで歴史的な円安を記録。しかし、その主因となった日米金利差拡大の修正により、ドル高・円安は潮目が変わり巻き戻しが強まる見通し。なお、米国経済のソフトランディングが期待されており、ドルに割安感が生じれば買い戻しが入りやすい。目先発表されるISM非製造業景況指数など経済指標が堅調ならそれを手がかりとしたドルの買戻しが見込まれるため、ドルの下落ペースは緩慢となろう。
【米・7月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)
8月5日発表の米7月ISM非製造業景況指数は51.3と前月の48.8から改善が予想されている。想定通りなら金融緩和観測を弱め、米金利高・ドル高の要因となりそうだ。
【米・新規失業保険申請件数】(8日発表予定)
8日21時半発表の米新規失業保険申請件数は前週分の悪化から持ち直せるか注目される。低調な場合には雇用情勢悪化に思惑が広がり、米金利安・ドル安の要因に。