【南海なんかいトラフ地震じしんが起おきたらどうなる？】経済けいざい損失そんしつは“東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの16倍ばい以上いじょう”の試算しさん　「全国ぜんこく的てきな食料しょくりょう品ひん不足ふそく」「株価かぶかもマンションも半値はんね」の予測よそくも

　宮崎みやざき県けん日向灘ひゅうがなだを震源しんげんとするM7.1の地震じしんをきっかけに、政府せいふが史上しじょう初はつとなる南海なんかいトラフ地震じしん臨時りんじ情報じょうほう（巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい）を発表はっぴょう。この巨大きょだい地震じしんでは約やく230万まん棟むね以上いじょうが全壊ぜんかいし、32万まん人にん以上いじょうの死者ししゃが出でると推計すいけいされているが、脅威きょういは災害さいがいによる直接的ちょくせつてきな被害ひがいに留とまらない──。

全国ぜんこく的てきな食料しょくりょう品ひん不足ふそくが発生はっせい

「巨大きょだい地震じしん注意ちゅうい」の臨時りんじ情報じょうほうの呼よびかけは1週間しゅうかんで終了しゅうりょうしたものの、警戒けいかいを怠おこたることはできない。そのメカニズムは後述こうじゅつするが、地震じしんの専門せんもん家かは南海なんかいトラフ地震じしんの震源しんげん域いきが活動かつどう期きに入はいった可能かのう性せいがあると警鐘けいしょうを鳴ならす。

　この巨大きょだい地震じしんのリスクは地震じしん・津波つなみによって人命じんめいが失うしなわれることに留とまらない。住居じゅうきょや道路どうろの倒壊とうかいなどで経済けいざいに様々さまざまな悪影響あくえいきょうが生しょうじ、長期ちょうきにわたって尾おを引ひくからだ。

　政府せいふは経済けいざい損失そんしつを最大さいだい220兆ちょう円えんと推定すいていしているが、これは建物たてものや道路どうろなど主おもな資産しさんの被害ひがいに限かぎったものでしかない。

　京都きょうと大学だいがく大学院だいがくいん教授きょうじゅの藤井ふじい聡さとし氏しは、企業きぎょうの生産せいさん活動かつどうがストップし、個人こじん消費しょうひが減退げんたいすることも射程しゃていに入いれた試算しさんを2018年ねんに公表こうひょう。回復かいふくまでの20年間ねんかんの累計るいけいで、1410兆ちょう円えんにまで損失そんしつが膨ふくらむとした。2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの16倍ばい以上いじょうの規模きぼだ。

　国民こくみん生活せいかつにどのような痛いたみが及およぶのか──。

　多おおくの人ひとの暮くらしを危機ききに晒さらすのは、サプライチェーンの寸断すんだんだ。地震じしん学者がくしゃの島村しまむら英紀ひでのり氏し（武蔵野むさしの学院がくいん大学だいがく特とく任にん教授きょうじゅ）は、「より遠とおくまで伝つたわる長ちょう周期しゅうき地震動じしんどうにより、広ひろいエリアで構造こうぞう物ぶつが破壊はかいされる可能かのう性せいがある」と指摘してき。政府せいふの被害ひがい想定そうていでも、道路どうろの被害ひがいは全国ぜんこく4万まんか所しょ以上いじょうに及およぶとされる。

「東ひがしと西にしを結むすぶ東京とうきょう・大阪おおさか間あいだの交通こうつう網もうが途絶とだえれば、物ものの流ながれが滞とどこおり、身近みぢかなところでは全国ぜんこく的てきな食料しょくりょう品ひん不足ふそくが発生はっせいすると考かんがえられます」（同前どうぜん）