日本人にっぽんじんが英語えいごやITが苦手にがてな背景はいけいに「○×式しき」の学力がくりょくテストの存在そんざい　「文科ぶんか省しょうは子供こどもたちの未来みらいを奪うばっている」と大前おおまえ研一けんいち氏し指摘してき

　経営けいえいコンサルタントの大前おおまえ研一けんいち氏しは「日本にっぽん衰退すいたいの本質ほんしつ的てきな原因げんいんは文部もんぶ科学かがく省しょうによる旧態きゅうたい依然いぜんとした教育きょういくにある」と指摘してきしている。中なかでも“時代遅じだいおくれの象徴しょうちょう”なのが、「○×」で答こたえる設問せつもんが多おおい「全国ぜんこく学力がくりょく・学習がくしゅう状じょう況きょう調査ちょうさ（全国ぜんこく学力がくりょくテスト）」だという。大前おおまえ氏しが、日本にっぽんの教育きょういくの問題もんだい点てんについて解説かいせつする。

　＊　＊　＊
　私わたしが本ほん連載れんさいで繰くり返かえし述のべているように、21世紀せいきは「答こたえがない」時代じだいであり、○×では答こたえられない問題もんだいばかりだ。その混沌こんとんとした世界せかいで生いきていくための力ちからを身みにつけることが、北欧ほくおうをはじめとする海外かいがいの現代げんだい教育きょういくの主流しゅりゅうになっている。

　北欧ほくおう型がたの教育きょういくは「答こたえがない」という前提ぜんていで、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうを撤廃てっぱいした。先生せんせいは教師きょうし（ティーチャー）として児童じどう生徒せいとに答こたえを教おしえるのではなく、促進そくしん者しゃ（ファシリテーター）として答こたえを見みつけさせるための質問しつもんをする。そして児童じどう生徒せいとがディスカッションしながら答こたえを模索もさくしていくのだ。

　アメリカの場合ばあいは、もともと統一とういつされた学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうがない。学校がっこうが独自どくじの教育きょういく方針ほうしんを打うち出だし、それを児童じどう生徒せいとや親おやが選えらぶという形態けいたいだ。

　北欧ほくおうやアメリカでは、21世紀せいきの子供こどもたちに最もっとも大事だいじなのは「inquisitive（好奇心こうきしん旺盛おうせい）」な姿勢しせい（マインド）だとされている。そういった世界せかい的てきな趨勢すうせいの中なかで、日本にっぽんの文科ぶんか省しょうは逆ぎゃくに「inquis-itive」マインドを阻害そがいするような学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうに基もとづいた○×式しきの教育きょういくを頑かたくなに続つづけているのだ。

　ちなみに、今回こんかいのテストでは、記述きじゅつ式しきの問題もんだいで正解せいかいを導みちびけないまでも空欄くうらんにしない児童じどう生徒せいとが増ふえて、「無む解答かいとう率りつ」が以前いぜんより低下ていかしたことをもって「改善かいぜんの兆きざし」と報ほうじられている。だが、それは「とりあえず何なにでもいいから書かいてこい」という“受験じゅけん指導しどうの成果せいか”にすぎないのではないか。

　その一方いっぽう、授業じゅぎょうでパソコンやタブレットなどのICT機器ききを活用かつようしている学校がっこうの児童じどう生徒せいとほど正答せいとう率りつが高たかかったという。それは考かんがえてみれば当あたり前まえの話はなしで、「答こたえがある問題もんだい」を出だしているのだから、ネット検索けんさくで答こたえを探さがすことに慣なれている児童じどう生徒せいとのほうが有利ゆうりになるに決きまっている。

　しかし、今いまは「答こたえがある問題もんだい」は、生成せいせいAIや検索けんさくツールを使つかえばすぐに答こたえが見みつかる時代じだいである。そういう時代じだいに、昔むかしながらの○×式しきテストを繰くり返かえしても、全まったく意味いみがない。