最近、「タンス預金」の金額が増えており、金庫が売れているという。その背景には、マイナンバー制度により金融資産がガラス張りになり、苛烈な税金の徴収を避けたいという富裕層の存在があるようだ。盗難が心配なところではあるが、定期預金の金利にしても、メガバンクで0.01%程度。300万円預けていても、年に300円の利息しかつかない。それでいて、ATMの手数料は108円だったり216円だったりする。
そうしたことから銀行に預けるメリットがあまり感じられない人が増えてきているようだが、「タンス預金であれば銀行員と接触しないで済む」と語るのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏がこの6年ほどの銀行員との付き合いの煩わしさについて語る。
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私は某メガバンクをメインバンクとしているのですが、ある時、突然銀行から電話があったんですよ。「金融商品を買いませんか?」「投資をしませんか?」という内容でした。「一度事務所を訪問してもよろしいでしょうか」と言います。当時、会社を作った直後で私の収入も上がっている時期でした。私はその銀行に3つ口座を持っているのですが、行員は自分の勤務する支店以外の口座の状況も把握できるようです。その3つを合わせると「案外多いな」と思われたのかもしれません。
そして、事務所に彼が来る日程を決めたのですが、そこにやってきたのは爽やかな笑顔の素敵なアラフォー男性でした。「今日はお忙しいところ、お時間作っていただきありがとうございます」と彼は言います。「いえいえ、私のような少額預金者のところにまでわざわざお越しいただきましてありがとうございます」と挨拶をしました。
そこで彼はこう切り出します。「私、中川さんと大学が同じなんですよ。私の方が2学年上なのですが、同じ時に大学にいたんですよね~」。いきなりの親近感醸成ターイム! そこで、ひとしきりゼミがどこだったかや、2学年上で彼の行った銀行に行った別の先輩の話をしたりしました。