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- ロッキーズ対ドジャース 6回表ドジャース無死、中越え本塁打を放つ大谷(撮影・横山健太)
<ロッキーズ9-11ドジャース>◇18日(日本時間19日)◇クアーズフィールド
【デンバー(米コロラド州)18日(日本時間19日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、「勝率9%」からの奇跡的な大逆転劇に貢献した。ロッキーズ戦に「1番DH」で出場。第3打席で今季メジャー最長となる飛距離476フィート(約145メートル)の特大弾で4年連続の20号到達を決めた。第5打席では左前打を放ち、5打数2安打2打点で流れを引き寄せた。打席でバットを置き、立ち位置を安定させる新ルーティンを取り入れ、直近5試合で打率4割5分、3本塁打、5打点。一気に状態を上げ、本塁打数でリーグトップタイに浮上した。
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大谷は確信歩きで打球を見上げた。6回無死、左腕ゴンバーのスライダーを強振。スタジアムを半分に割るように、センター方向へ真っすぐ、一直線に飛んでいった。今季最長、飛距離476フィート(約145メートル)の特大弾に敵地も騒然。ロバーツ監督は、あまりの衝撃にあきれ笑い。「なんてこった…。数日前の本塁打も『今まで見たことがない』と言ったが、この1本も、見たことがないと思う。言葉にならない。別次元」と、驚くしかなかった。
標高1580メートルに位置するクアーズフィールド。西側にはロッキー山脈がそびえる。高地で打球が飛びやすいことを差し引いても、非凡さを示す衝撃的な1発だった。打席での立ち位置が安定し、最近5試合で3発。一気に状態が上がってきた。この日は序盤から劣勢の展開で6回の打席に入る前は5点ビハインド。諦めないチームの先頭に立つ1番大谷の一撃が、大逆転劇への号砲となった。
そして最終回、思いが通じた。1死から代打ヘイワードの満塁弾で1点差。この時点ではまだMLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」の計算でド軍が勝つ確率はわずか9%だったが、勢いを止めるわけにはいかない。直後、大谷がチェンジアップに食らいついて左前打を放った。土壇場でしぶとく出塁。両手をたたいて喜び、さらにチームをもり立てた。4番T・ヘルナンデスの逆転3ランにつながり、9%の勝率から奇跡が起こった。
主力の故障離脱が続いた逆境の中、チームは3連勝を飾った。ロバーツ監督は「ショウヘイの勢いも続いているし、テオ(T・ヘルナンデス)の本塁打も大きかった。攻撃面で、これ以上ないほど興奮した」と打線のつながりを称賛。大谷は4年連続20号に到達し、本塁打数でリーグトップタイに並んだ。中堅手のスーパーキャッチに阻まれた第4打席では、強烈なライナーで打球速度111・7マイル(約180キロ)をマーク。6月男のエンジンが、いよいよ全開になってきた。