学生がくせい相撲すもう界かいの“西にしの名門めいもん”、近大きんだいから３選手せんしゅが同時どうじに角界かくかい入いりすることが決きまった。池川いけがわ勇気ゆうき、石橋いしばし広ひろ暉あきら（ひろき）、玉木たまき一いち嗣磨（かずま）の４年生ねんせい３人にん。１９２５年ねん（大だい１４）創部そうぶの歴史れきしを誇ほこる近きん大相撲おおずもう部ぶでも、３人にん同時どうじのプロ入いりは初はじめてだ。

　近大きんだい出身しゅっしん（中退ちゅうたいを含ふくむ）の力士りきしは、これで通算つうさん２０人にんとなる。かつては、大関おおぜき朝あさ潮しお（現げん高砂たかさご親方おやかた）や、横綱よこづな旭あさひ富士ふじ（現げん伊勢ケ浜いせがはま親方おやかた）らが国技こくぎ館かんの土俵どひょうを沸わかせ、現役げんえきでも幕内まくうちで宝たから富士ふじ、誉ほまれ富士ふじ、徳とく勝しょう龍りゅうの３人にんの近大きんだいＯＢが活躍かつやくしている。

　今回こんかい、入門にゅうもんが決きまった３人にんも堂々どうどうとした体格たいかくで精鋭せいえいぞろいだ。主将しゅしょうの玉木たまきは１８０センチ、１４２キロ。突つき押おしを武器ぶきに、今年ことし９月がつの全国ぜんこく学生がくせい体重たいじゅう別べつ選手権せんしゅけん無む差別さべつ級きゅうで３位いに入はいった。１８８センチ、１６２キロの石橋いしばしは、全日本ぜんにほん選手権せんしゅけんで準決勝じゅんけっしょうまで進すすみ、優勝ゆうしょうしたトゥルボルド（日大にちだい３年ねん）に敗やぶれたが３位いに入はいった。今年ことしから同どう選手権せんしゅけんで８強つよ以上いじょうに進出しんしゅつした選手せんしゅがプロ入いりする場合ばあい「三さん段だん目め最下位さいかい格付かくづけ出だし」の資格しかくを得えることが決きまっており、石橋いしばしはその適用てきよう第だい１号ごうとなる予定よていだ。もう１人にんの池川いけがわは、さらに大おおきく１９０センチ、１６５キロ。組くんで良よし、離はなれて良よしの自在じざいな攻せめで、１１月じゅういちがつの全国ぜんこく学生がくせい選手権せんしゅけんでは準じゅん優勝ゆうしょうに輝かがやいた。

　入門にゅうもんする部屋へやも、話題わだい性せいがある。玉木たまきと石橋いしばしは近大きんだいＯＢの高砂たかさご親方おやかたが師匠ししょうを務つとめる高砂たかさご部屋へやに、池川いけがわは新しん理事りじ長ちょうに就任しゅうにんしたばかりの八角はっかく親方おやかた（元もと横綱よこづな北勝海ほくとうみ）が師匠ししょうの八角はっかく部屋へやの門もんをたたく。

　高砂たかさご親方おやかたは、０２年ねん春場所はるばしょ初はつ土俵どひょうの元もと幕下まくした朝陽あさひ丸まる以来いらいとなる近きん大相撲おおずもう部ぶ出身しゅっしんの新しん弟子でしに「久ひさしぶりに母校ぼこうから２人にんスカウトできて大変たいへんうれしい」と笑顔えがお。同どう親方おやかたは、１２月じゅうにがつ９日にちに還暦かんれきの６０歳さいを迎むかえ、「和製わせい横綱よこづな育成いくせい」を定年ていねんまで残のこり５年ねんの大だい目標もくひょうに掲かかげているだけに、素質そしつ十分じゅうぶんな後輩こうはい２人にんの入門にゅうもんに目めを細ほそめる。「自分じぶんが通かよってきた道みちだから、ある程度ていどの育そだてやすさはある。基本きほん的てきなことはできている。プロになってプラスアルファをどう加くわえるかだ」と、期待きたいをかける。２４日にちの入門にゅうもん会見かいけんでは「親方おやかたみたいな押おし相撲すもうを磨みがいていきたい」と抱負ほうふを語かたった玉木たまきに対たいし、「ここを切きれよ。ここを」と、押おし相撲すもうでぶちかましてきた証拠しょうこでもある自みずからの額がくの傷きずを指ゆびさして笑わらいを誘さそうなど、“大だいちゃん節ぶし”も健在けんざいだ。

　石橋いしばしは来年らいねん春場所はるばしょで、残のこり２人にんは同どう初場所はつばしょでの初はつ土俵どひょうが有力ゆうりょく。新しん理事りじ長ちょうの八角はっかく親方おやかたは、新しん弟子でしの池川いけがわについて「忙いそがしい時ときは高砂たかさご部屋へやに預あづけたい」とジョークを言いいつつ「高砂たかさご部屋へやの２人ふたりも含ふくめて、将来しょうらいの相撲すもう界かいを背負せおって立たつ存在そんざい、協会きょうかいにとっては宝たから。大事だいじに育そだてたい」と、理事りじ長ちょうの立場たちばからも大おおきな期待きたいを口くちにした。“近大きんだい３羽わがらす”が、角界かくかいに旋風せんぷうを巻まき起おこすことができるのか。関西かんさい出身しゅっしんの記者きしゃにとって、２０１６年ねんの大おおきな楽たのしみになりそうだ。【木村きむら有三ゆうぞう】