第だい56代だい横綱よこづな、2代目だいめ若乃花わかのはなの下山しもやま勝則かつのり氏しが16日にち午後ごご6時じ47分ふん、肺はいがんのため大阪おおさか市しの病院びょういんで死去しきょした。18日にち、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいが発表はっぴょうした。69歳さい。青森あおもり県けん出身しゅっしん。葬儀そうぎ・告別こくべつ式しきは家族かぞく葬そうで営いとなまれる。元もと横綱よこづな隆たかしの里さとと夜汽車よぎしゃで上京じょうきょうし、78年ねんには56代だい横綱よこづなに昇進しょうしんして、しこ名なを若わか三さん杉すぎから若乃花わかのはなに改名かいめい。引退いんたい後ごは間あいだ垣かき部屋へやを興おこし、協会きょうかい理事りじを務つとめた。夫人ふじんの死去しきょ後ごに脳出血のうしゅっけつで車椅子くるまいす生活せいかつとなり、13年ねんに部屋へやを閉鎖へいさして定年ていねん前まえに退職たいしょく。数すう年ねん前まえから大阪おおさか市しの施設しせつで過すごしていた。

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下山しもやまさんは日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい退職たいしょく後ごは大阪おおさかに移うつり、数すう年ねん前まえから施設しせつに入はいっていた。角界かくかいとは疎遠そえんだったが、20年ねんにはユーチューブに登場とうじょうした。元もと関脇せきわけ貴闘力たかとうりきの鎌苅かまがり氏しが運営うんえいするチャンネル。貴乃花たかのはなグループを支ささえた仲なかで、いろいろ裏話うらばなしも披露ひろうしていた。

現役げんえき時代じだいは華はなやかだった。師匠ししょう二子山親方ふたごやまおやかた（元もと横綱よこづな初代しょだい若乃花わかのはな）に連つれられ、青森あおもりから特急とっきゅう寝台しんだいで上京じょうきょうし入門にゅうもんした。若わか三さん杉すぎと改名かいめいした半年はんとし後ご、20歳さいで新しん十じゅう両りょう、新しん入幕にゅうまく。大関おおぜき2場所ばしょ目めに初はつ優勝ゆうしょうし、78年ねん夏場所なつばしょ後ごに横綱よこづな昇進しょうしん。2代目だいめ若乃花わかのはなを襲名しゅうめいした。懐ふところが深ふかく、体からだも柔やわらかく、切きれのある投とうげで逆転ぎゃくてんも多おおかった。

色白いろじろの甘あまいマスクで、笑顔えがおを振ふりまいた。憎にくまれ役やくの北きたの湖みずうみに対抗たいこうし、女性じょせい人気にんきがあった。「熱海あたみの芸者げいしゃは全部ぜんぶオレのファン」と豪語ごうごし、76年ねん秋場所あきばしょでは熱海あたみ市しから懸賞けんしょう金きんがついた。80年ねん秋あきに4度目どめの優勝ゆうしょうを飾かざると師匠ししょうの長女ちょうじょと結婚けっこんした。部屋へや後継こうけい者しゃと順風じゅんぷう満まん帆ほもその後ごは1度ども優勝ゆうしょうできず。ケガや病気びょうきで低迷ていめいし、この間あいだに離婚りこん、再婚さいこんもし、83年ねん初場所はつばしょで引退いんたいした。

同年どうねん12月がつには間あいだ垣かき部屋へやを興おこし、関取せきとり8人にんを育そだてた。96年ねんには当時とうじの境川さかいがわ理事りじ長ちょう（元もと横綱よこづな佐田さだの山やま）が名跡みょうせきを協会きょうかい管理かんりで売買ばいばい禁止きんしの改革かいかく案あんに反対はんたいし、先頭せんとうに立たって撤回てっかいさせた。98年ねんには日本にっぽん協会きょうかいの理事りじをめぐり、初はつの選挙せんきょに持もち込こんで当選とうせん。協会きょうかいNO・3と言いわれる大阪おおさか担当たんとう部長ぶちょうを10年ねん務つとめた。しかし、05年ねんに侑子ゆうこ夫人ふじんに先立さきだたれると人生じんせいの歯車はぐるまが狂くるいだした。

07年ねんに担当たんとう部長ぶちょうだった春場所はるばしょ3日にち目めに会場かいじょうで倒たおれた。脳出血のうしゅっけつで緊急きんきゅう手術しゅじゅつを受うけ、その後ごは車椅子くるまいす生活せいかつとなった。08年ねんには弟子でしの若わかノ鵬おおとりが大麻たいま所持しょじで逮捕たいほされ、解雇かいこ処分しょぶんの責任せきにんをとって理事りじを辞任じにんした。部屋へやの運営うんえいも徐々じょじょに困難こんなんとなった。13年ねん春場所はるばしょ限かぎりで間あいだ垣かき部屋へやを閉しめ、のちの横綱よこづな照あきらノ富士ふじ（当時とうじ幕下まくした若わか三さん勝しょう）らの弟子でしと、伊勢ケ浜いせがはま部屋へやに移籍いせき。その年としの12月には、65歳さい定年ていねんまでまだ5年ねんあったが退職たいしょくした。まさに山やまあり、谷たにありの人生じんせいだった。

 

◆若乃花わかのはな幹みき士し（わかのはな・かんじ）本名ほんみょう下山しもやま勝則かつのり。1953年ねん（昭あきら28）4月がつ3日にち、青森あおもり・大鰐おおわに町まち生うまれ。中ちゅう3で二子山ふたごやま部屋へやに入門にゅうもんして68年ねん名古屋なごやで初はつ土俵どひょう。73年ねん名古屋なごや新しん十じゅう両りょう、九州きゅうしゅう新しん入幕にゅうまく。77年ねん初場所はつばしょ後ごに魁さきがけ傑すぐると大関おおぜき同時どうじ昇進しょうしん。78年ねん夏場所なつばしょ後ごに56代だい横綱よこづなに昇進しょうしんし、若わか三さん杉すぎから2代目だいめの若乃花わかのはなに改名かいめいした。83年ねん初場所はつばしょ引退いんたい。金星きんぼし3個こ、三さん賞しょう6回かい、幕内まくうち優勝ゆうしょう4回かい。通算つうさん88場所ばしょで656勝しょう323敗はい85休きゅう。得意とくいは左ひだり四よっつ、上手じょうず投なげ。現役げんえき時じは187センチ、133キロ。

 

▽2代目だいめ若乃花わかのはなアラカルト

★ニッパチ　横綱よこづな北きたの湖うみをはじめ、小結こむすび大だい錦にしき、関脇せきわけ麒麟児きりんじ、関脇せきわけ金城きんじょうらは同おなじ昭和しょうわ28年ねん生うまれ。いずれも三さん役やく以上いじょうと土俵どひょうをわかせ、花はなのニッパチ組ぐみと言いわれた中なかでも1番ばんの人気にんきがあった。

★投なげに切きれ　懐ふところは深ふかく、体からだは柔やわらかく、足腰あしこしにバネがあり、投なげに切きれ味あじがあった。攻防こうぼうある相撲すもうで土俵際どひょうぎわに詰つまってから逆転ぎゃくてんも多おおく人気にんきの要因よういんに。十両じゅうりょう以上いじょうでの勝かった決きまり手しゅで、上手じょうず投なげが102勝しょうで2番目ばんめに多おおい。

★人気にんき者しゃ　甘あまいマスク、五月ごがつ人形にんぎょうのような笑顔えがおで、憎にくまれ役やく北きたの湖うみに対抗たいこうして人気にんき者しゃになった。CM出演しゅつえんも多おおく、応援おうえん歌かがリリースされ、「泣なきぼくろ」で歌手かしゅデビューした。

★盟友めいゆう　おしん横綱よこづなといわれた隆たかしの里さとは1学年がくねん上じょうだが、一緒いっしょに青森あおもりから夜汽車よぎしゃで上京じょうきょう入門にゅうもんした同郷どうきょう、同どう部屋へやの同期生どうきせいだった。若乃花わかのはなが先さきへ先さきへと昇進しょうしんしたが「ライバルは隆たかしの里さと」と言いい、糖尿とうにょう病びょうで苦闘くとうの盟友めいゆうを励はげました。隆たかしの里さとの鳴戸なると親方おやかたが11年ねんに59歳さいで急死きゅうしすると亡なきがらに「早はやく起おきろ」と涙なみだした。