陸上男子400メートル日本記録保持者の佐藤拳太郎(29=富士通)が、パリオリンピック(五輪)最終選考会となる日本選手権(6月27~30日)での日本新記録樹立を誓った。
18日、オンラインで取材対応。「日本記録(44秒77)以上のタイムを出すことができれば、おのずと順位もついてくる」と意気込んだ。
昨夏の世界選手権では、日本新となる44秒77をマーク。高野進の従来の日本記録(44秒78)を32年ぶりに更新した。五輪の参加標準記録(45秒00)も突破し、日本選手権で優勝すれば一発内定。3位以内でも、個人種目では初の五輪代表入りが濃厚となる。
現在は東京五輪後に痛めた左アキレス腱(けん)の状態を見極めつつ、大一番へ最終調整中。特に前半200メートルの走りに重点を置き、21秒50以内を目標通過タイムに据える。「100%に近いパフォーマンスが発揮できれば、日本記録以上のタイムが出せる」と自信もある。
11月に30歳を迎えるロングスプリンター。年齢を重ねる中、「メダルがほしい。ここで満足できるのか」と自らに問いかけながら、モチベーションを保ってきた。早大大学院では400メートル走のレースパターンや動作変容を研究。科学的な知見から競技力向上のヒントを探り、昨年は8年ぶりに自己ベストを更新してみせた。
日本男子400メートルは佐藤拳に加え、日本歴代3位の佐藤風雅(ミズノ)、同5位の中島佑気ジョセフ(富士通)ら実力者がそろい、日本選手権は過去最高水準の争いが予想される。この日のオンライン会見に約30人の報道関係者が出席したことも、期待の高さを裏付ける。
佐藤拳も「世界のファイナリストを目指す上でライバルとなる選手たちと、国内で勝負ができるのは大きな意味がある」とうなずく。これまで日本選手権では2位に3度入ったが、頂点に立ったことはない。それだけにこの大会へは、静かに闘志を燃やしている。
「まだタイトルを取れていない。記録と順位を狙っていき、パリ五輪の即時内定を目指して準備していく」
日本新&初優勝でパリ五輪へ。もう2番はいらない。【藤塚大輔】
◆男子400メートルのパリ五輪への道 出場枠は最大「3」。参加標準記録(45秒00)を突破した上で日本選手権(新潟・デンカビッグワンスタジアム)で優勝すれば即内定。標準未突破や2位以下の場合でも、同選手権の成績や6月末時点の世界ランキング次第で代表入りとなる。参加標準記録突破者は佐藤拳太郎、佐藤風雅の2人。予選は29日、決勝は30日に行われる。