【ヒューマン】成海璃子、女優が「一番」　大林宣彦監督と出会い感謝、遺作『海辺の映画館』で１人５役（1/2ページ）

大林おおばやし監督かんとくの遺作いさくで輝かがやいた成海なるみ。「監督かんとくと出会であえたことに感謝かんしゃしたい」としみじみ語かたった＝東京とうきょう・新宿しんじゅく区く

　４月がつに８２歳さいで死去しきょした映像えいぞうの魔術まじゅつ師し、大林おおばやし宣彦のぶひこ監督かんとくの遺作いさく映画えいが「海辺うみべの映画えいが館かん－キネマの玉手箱たまてばこ」が７月がつ３１日にち、公開こうかい初日しょにちを迎むかえた。ヒロインを演えんじた女優じょゆう、成海なるみ璃子（２７）のエロチシズムあふれる場面ばめんは鮮烈せんれつだ。大林おおばやし組ぐみに初はつ参加さんかし、新あらたな魅力みりょくを引ひき出だされた成海なるみは「監督かんとくと出会であえて良よかった」と感謝かんしゃ。戸惑とまどうばかりだった撮影さつえいを振ふり返かえる一方いっぽう、結婚けっこん願望がんぼうゼロの意外いがいな素顔すがおも明あかした。（ペン・森岡もりおか真一郎しんいちろう、カメラ・塩しお浦うら孝明たかあき）

　抜ぬけるように白しろい肌はだと富士額ふじびたい（びたい）に力強ちからづよい瞳ひとみ…。公開こうかい直前ちょくぜん、記者きしゃが初はじめて会あった成海なるみは、りんとした美うつくしさに輝かがやいていた。

　「大林おおばやし監督かんとくと出会であえたことに感謝かんしゃしています。監督かんとくとは最初さいしょで最後さいごの作品さくひんになりましたが、本当ほんとうにうれしかった」

　おっとりした口調くちょうで、４月がつ１０日にちに肺はいがんで死去しきょした監督かんとくをしのんだ。４年ねんほど前まえに監督かんとくのホラーコメディー映画えいが「ＨＯＵＳＥ　ハウス」などを見みて以来いらい、斬新ざんしんで唯一ゆいいつ無二むにの作品さくひん世界せかいに魅了みりょうされたという。

　「周囲しゅういにも、ぜひ監督かんとくと一緒いっしょに仕事しごとがしたいと言いい続つづけて、その念願ねんがんがかなったんです」

　「海辺うみべの映画えいが館かん－」は若わかい男性だんせい３人にんが映画えいが館かんで過去かこにタイムスリップし、数々かずかずの戦争せんそうを追つい体験たいけんするファンタジー。監督かんとくが平和へいわへの思おもいを込こめた集大成しゅうたいせいだ。成海なるみは２年ねん前まえの夏なつに２カ月かげつ間あいだ、監督かんとくの故郷こきょうでもある広島ひろしま・尾道おのみち市しで撮影さつえいに参加さんか。第だい二に次じ大戦たいせん中ちゅうの貧まずしい女郎じょろうや広島ひろしまの原爆げんばくで死去しきょした移動いどう劇団げきだんの女優じょゆうなど１人にん５役やくを演えんじた。

　「役柄やくがらは全すべて楽たのしみましたが、大変たいへんだったのは殺人さつじん的てきな暑あつさ。でも、監督かんとくが（氷菓子こおりがしの）ガリガリ君くんを毎日まいにちのように差さし入いれてくれて…。人気にんき茶房さぼう『こもん』に、名物めいぶつのワッフルを食しょくべにも連つれていってもらいました」

　息抜いきぬきがあったおかげで乗のり切きれたが、撮影さつえいは想像そうぞう以上いじょうに戸惑とまどうことばかりだった。

　「大林組おおばやしぐみは現場げんばでせりふや演出えんしゅつがしょっちゅう変かわる。監督かんとくの指示しじについていくのが精せいいっぱいでした。初はじめての体験たいけんでしたね。その分ぶん、何なににでも即座そくざに対応たいおうできる柔軟じゅうなん性せいが、身みについたと思おもいます」

　また一ひとつ成長せいちょうできたことを実感じっかんしているよう。特とくに、女郎じょろう屋やのおかみに虐待ぎゃくたいされながらも、主人公しゅじんこうの若わかい男性だんせい（細川ほそかわ善彦よしひこ、３２）と恋こいに落おちる女郎じょろうを演えんじた場面ばめんは喜よろこびと悲かなしみが交錯こうさくし、鮮烈せんれつな印象いんしょうだ。ふくよかな胸元むなもとが強調きょうちょうされ、大林おおばやし作品さくひんならではのエロチシズムがあふれる。