不倫ふりんの心理しんり学がく

　本書ほんしょは夫おっとに不倫ふりんをされ、離婚りこんせざるを得えなくなった女性じょせい心理しんり学者がくしゃが一念いちねん発起ほっき、不倫ふりん・浮気うわきの膨大ぼうだいな資料しりょうを渉猟しょうりょうし、フィールドワークまで行いって「不倫ふりん・浮気うわきとは何なになのか」についてまとめ上あげた力作りきさくです。浮気うわきや不倫ふりんを取とり上あげた本ほんは他ほかにも多々たたありますが、本書ほんしょが珍めずらしいのではないかと思おもうのは、浮気うわきや不倫ふりんが発覚はっかくした後のちもパートナーシップを続つづけるカップルが一定いってい数すういることに着目ちゃくもくしている点てんです。
　著者ちょしゃはそうしたカップルの調査ちょうさ結果けっかや取材しゅざいから、浮気うわきや不倫ふりんは「パートナーシップに致命ちめい的てきな打撃だげきを与あたえるだけでなく、新あらたな出発しゅっぱつ点てんにもなりうる」とも書かきます。危機ききをバネにして新あたらしい何なにかを生うみ出だすことは可能かのうだと説とき、「共感きょうかんと包容ほうよう力りょくがあれば回復かいふくと継続けいぞくの道みちが開あける」とも言いいます。カップルがそうした道みちを選択せんたくできる根底こんていには、「どんなパートナーシップを築きずいてきたか」「どんなパートナーシップをこれから築きずくか」といったことが大おおきいようです。
　個人こじん的てきには、「自分じぶんはきちんとパートナーと向むき合あえているだろうか？」と少々しょうしょうひやりとさせられましたが――本書ほんしょはそんな風ふうに、連つれ添そってきたパートナーとの来きし方かた、行ゆく末すえを改あらためて考かんがえるよいきっかけをくれるのではないでしょうか。