さまざまな業界ぎょうかいを取材しゅざいした「ビジネス＋IT」の編集へんしゅう長ちょうが読よみ解とく、デジタル化かによる世よの中なかの変化へんか

ITテクノロジーの進化しんかで、世よの中なかのいろいろなところで起おきているデジタル化かやDX（デジタルトランスフォーメーション）の流ながれ。10年ねん以上いじょう、さまざまな業界ぎょうかいの企業きぎょうのDX動向どうこうを取材しゅざいしてきた「ビジネス＋IT」の松尾まつお編集へんしゅう長ちょうは、「もはやITは、業務ぎょうむを効率こうりつ化かするための補助ほじょ手段しゅだんではなく、ビジネスのど真まん中なかを変かえる手段しゅだんになった」と言いいます。松尾まつお氏しに、世よの中なかのビジネス事情じじょうの変化へんかや企業きぎょうがいま抱だいている課題かだい感かん、そして自身じしんが日本にっぽんのビジネスパーソンに届とどけたいことについて聞ききました。

SBクリエイティブ株式会社かぶしきがいしゃ BIT事業じぎょう部ぶ
「ビジネス+IT」編集へんしゅう長ちょう

松尾まつお慎まき司つかさ（まつお・しんじ）

 

「ITと経営けいえいの融合ゆうごうでビジネスの課題かだいを解決かいけつする」をテーマに、ビジネスに必要ひつような最新さいしんの情報じょうほうを提供ていきょうする準じゅん会員かいいん制せいオンラインメディア。ソフトバンクグループの出版しゅっぱん社しゃであるSBクリエイティブ株式会社かぶしきがいしゃが運営うんえい。

所属しょぞく企業きぎょう情報じょうほうなどを含ふくんだプレミアム会員かいいん数すうは、今期こんき30万まん人にんを突破とっぱ。企業きぎょう向むけIT系けいセミナーでは業界ぎょうかいトップクラスの集客しゅうきゃく力りょくを持もち、13期き連続れんぞくで増収ぞうしゅう増益ぞうえきを続つづけている。

「ビジネス＋IT」をチェックする

デジタルがリアルの世界せかいを飲のみ込こんだ

今日きょうはよろしくお願ねがいします。松尾まつおさんは、ビジネスとITに関かんするWebメディアに10年ねん以上いじょう携たずさわってきました。10年ねん前まえと比くらべて、ITやデジタル化かが進すすみ、世よの中なかにどのような変化へんかが起おきてきていると見みていますか？

松尾まつお　10年ねん、いや20年ねん以上いじょう前まえからでしょうね。PCを使つかって仕事しごとをすることは当あたり前まえのように行おこなわれてきました。そこにどのような変化へんかが起おきていたのかというと、10年ねん前まえぐらいから、インターネットなどのオープンなテクノロジーを企業きぎょうも活用かつようすることが増ふえて、「つながる」ことの重要じゅうよう性せいが増ましてきました。

つながる。確たしかにインターネットを介かいして、つながることが普通ふつうになりました。

松尾まつお　例たとえば、どこかで起おきている事件じけんの情報じょうほうを、Twitter上じょうで手軽てがるに手てに入いれることができるようになりました。以前いぜんは新聞しんぶんが担になっていた役割やくわりですよね。今いまもなお新聞しんぶんの信頼しんらい性せいは高たかいですが、そうしたさまざまな情報じょうほうが本当ほんとうに簡単かんたんに手てに入はいるようになりました。

確たしかに。

松尾まつお　消費しょうひ者しゃについての一番いちばん大おおきな変化へんかはスマホの普及ふきゅうです。ビッグデータ、クラウド、ソーシャルなどと並ならんだ重要じゅうようなトピックに挙あげられることが多おおかったですが、実じつはこの物理ぶつり的てきなデバイスの世界せかい的てきな普及ふきゅうが、私わたしはこの10年ねんでもっとも社会しゃかいに大おおきな影響えいきょうをおよぼしたものだと感かんじています。

スマホの普及ふきゅうでがらりと変かわりましたものね。

松尾まつお　そしてこの5年ねんで起おこっているのが、このスマホを玄関げんかん口こうとした、「デジタルのリアルへの浸食しんしょく」です。

「デジタルのリアルへの浸食しんしょく」ですか？

松尾まつお　例たとえば、アマゾン・エフェクトはその好例こうれいですね。米国べいこくでは、アマゾンの影響えいきょうで、リアルの小売こうり店てんがバタバタと倒産とうさんしてしまいました。

「アフターデジタル オフラインのない時代じだいに生いき残のこる」の著書ちょしょで有名ゆうめいな尾原おはら和かず啓あきらさんらがおっしゃっていたことがまさにそうなのですが、デジタルとリアルがバラバラにあると思おもっていたら、いつの間まにかデジタルの世界せかいがリアルの世界せかいを飲のみ込こんでしまっている、という状況じょうきょうが起おきているわけです。

デジタルありきでリアルも考かんがえていかなくてはいけないというような変化へんかがすでに起おきていたことが、ここ数すう年ねんの一番いちばん大おおきなトレンドで、これがコロナでさらに加速かそくしたというのが有識者ゆうしきしゃの見解けんかいで一致いっちするところです。

尾原おはら和かず啓あきらさんインタビュー記事きじ

アフターコロナ時代じだいは「異い業種ぎょうしゅやライバルとコラボレーションすべき」と断言だんげんできるワケ（ビジネス＋IT）

ITがビジネスのど真まん中なかを変かえる手段しゅだんに

こうした変化へんかの中なかで、ビジネスやITはどう変化へんかしてきているのでしょうか？

松尾まつお　ITは、業務ぎょうむを効率こうりつ化かするための補助ほじょ手段しゅだんではなく、もはやビジネスのど真まん中なかを変かえる手段しゅだんになりました。

例たとえば自動車じどうしゃメーカーにとって、従来じゅうらいは自動車じどうしゃを造つくるのがビジネスでしたが、今いまはIT系けいメガベンダーやクラウド系けいのスタートアップによって、その得えられるものの本質ほんしつを見直みなおすことを迫せまられ、モビリティサービスを提供ていきょうする企業きぎょうに生うまれ変かわろうとしているわけです。

影響えいきょうはどの業界ぎょうかいに及およんできていると見みてとれますか？

松尾まつお　あらゆる業界ぎょうかいですね。「ビジネス＋IT」でも多様たような業界ぎょうかいの方々かたがたにインタビューさせていただきました。

直近ちょっきんの変かわり種だねでは、美容びよう業界ぎょうかいなどもあります。ちょうど先日せんじつ、アマゾンがヘアサロンをロンドンで開設かいせつしたという記事きじを発信はっしんしました。

あのアマゾンがついに美容びよう業界ぎょうかいに……。インパクトのある出来事できごとでした。他たはいかがでしょうか？

松尾まつお　日本にっぽんの市場いちば規模きぼ順じゅんでいくつかご紹介しょうかいすると、まずは自動車じどうしゃ業界ぎょうかいですね。CASE^※が進行しんこうしており、トヨタの豊田とよだ章男あきお社長しゃちょうは「100年ねんに1度どの大だい変革へんかくの時代じだい」と危機きき感かんをあらわにしています。

次つぎに建設けんせつや不動産ふどうさん業界ぎょうかい。もともと設計せっけいなどではITがフル活用かつようされていましたが、例たとえば不動産ふどうさん仲介ちゅうかい、管理かんり業務ぎょうむ、ローン、価格かかく可視かし化かなどでAIや現場げんばのIoT・VR・AR活用かつようなどが進すすんでおり、今後こんごさらに進展しんてんしていくだろうと思おもいます。

そして、医療いりょう業界ぎょうかい。先日せんじつは中外製薬ちゅうがいせいやくのデジタル担当たんとう役員やくいんに話はなしを聞ききましたが、ビッグデータやAIなどを活用かつようするAI創そう薬やくなどは当あたり前まえのことになりました。遠隔えんかく医療いりょうなども、ITのテクノロジー抜ぬきには語かたれません。

その他た、金融きんゆう・小売こうり・外食がいしょく・交通こうつう・電力でんりょくなど、デジタルによってビジネス形態けいたいまでもが様変さまがわりしてきている分野ぶんやは多岐たきに及およびます。

• ※
  CASE（ケース）：Connected（コネクテッド）、Autonomous（自動じどう運転うんてん）、Sharing（シェアリング）、Electric（電動でんどう化か）の頭文字かしらもじをとった造語ぞうご。

あのアマゾンが「ヘアサロン」を開業かいぎょうしたワケ、美容びよう業界ぎょうかいがこれから直面ちょくめんする脅威きょうい（ビジネス＋IT）

【解説かいせつ】トヨタのモビリティ戦略せんりゃく、なぜクルマ以外いがいに注力ちゅうりょくするのか（ビジネス＋IT）

中外製薬ちゅうがいせいやく デジタル・IT統轄とうかつ 志こころざし済ずみ聡子さとこ氏しに聞きくDX「3つの柱はしら」、AI創そう薬やくの現在地げんざいちは？（ビジネス＋IT）

企業きぎょうが持もつ課題かだい感かん＝従来じゅうらいの概念がいねんを覆くつがえすテクノロジーを自社じしゃにどう取とり込こんでいくか

企業きぎょうや経営けいえい者しゃたちは今いま、どのような課題かだい感かんを持もっていると思おもいますか？

松尾まつお　大おおきく二ふたつあると思おもいます。

過去かこに取材しゅざいをしたテクノロジーに精通せいつうした経営けいえい者しゃたちは今いま、非常ひじょうに活躍かつやくされている印象いんしょうです。そうした経営けいえい者しゃが課題かだいとしているのは、次つぎのテクノロジーについての情報じょうほう。例たとえばディープテックやAIを筆頭ひっとうに、ゲノム解析かいせきや量子りょうしコンピューター、空そら飛とぶクルマ、VR/AR、代替だいたいエネルギーなど、従来じゅうらいの概念がいねんを覆くつがえすテクノロジーを自社じしゃの事業じぎょうにどう取とり込こんでいくのか、といった点てんをすごく考かんがえていらっしゃいます。

既存きそんの資産しさんや技術ぎじゅつにどう絡からめていくか、ということですね。もう一ひとつはどのような課題かだいでしょうか？

松尾まつお　SDGsやカーボンニュートラルといった持続じぞく可能かのうな社会しゃかいの実現じつげんというテーマです。いずれも目新めあたらしいものではないのですが、このようなまったく新あたらしいルールの登場とうじょうをしっかりと把握はあくすること、さらに、このようなルールを自分じぶんたちで作つくっていくためには何なにをすればいいのかという課題かだい感かんを持もって取とり組くんでいらっしゃるリーダーは多おおいという印象いんしょうがあります。

企業きぎょうの課題かだいに応こたえるために「ビジネス＋IT」がサポートする

デジタル化かや新あたらしいテクノロジーを生いかすために、何なにから始はじめたら良よいか分わからないという企業きぎょうも多おおいと思おもいます。そのような企業きぎょうに対たいして「ビジネス＋IT」がやろうとしていることはありますか？

松尾まつお　「DXの課題かだいにどう応こたえていくのか」ということは、私わたしたちのメディアがとても重視じゅうししてやってきたことです。ただし、これは我々われわれが全すべてを解決かいけつできるノウハウを提供ていきょうするというわけではありません。例たとえば、具体ぐたい的てきにその取とり組くみをどう進すすめていったらいいのかというお悩なやみがあれば、私わたしどもが語かたるよりもよほど詳くわしい方々かたがたがたくさんいらっしゃいます。

そこで、IT系けい企業きぎょうの方々かたがたがセミナーを実施じっしされているのであれば、それを会員かいいんの皆みなさんにご案内あんないさせていただくなどして集客しゅうきゃくのお手伝てつだいをしています。

Webメディアというメインの役割やくわりに加くわえ、そのような使命しめいを担になっているのですね。どのような思おもいで企画きかく・編集へんしゅうしているかをお聞きかせください。

松尾まつお　編集へんしゅう方針ほうしんは「複雑ふくざつ化かする社会しゃかい課題かだいに対たいして、B2B領域りょういきでの情報じょうほう格差かくさを是正ぜせいするため、想像そうぞう性せいと信頼しんらい性せいの高たかい情報じょうほうを発信はっしんするメディア」です。難むずかしいい方いかたをしてしまったので分わかりやすく言いうと、「仕事しごとをしている私わたし」に役立やくだつメディアです。次つぎの三みっつのポイントで企画きかくをしており、こうした情報じょうほうは先さきの課題かだいを解決かいけつするために役立やくだてていただけるものと考かんがえています。

1. いま起おきているビジネスの最新さいしん動向どうこう、例たとえばソフトバンクグループでいえば、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資とうししているような先進せんしん企業きぎょうや、日本にっぽんでそれほど知名度ちめいどがない世界せかい的てきに有名ゆうめいな企業きぎょうについて、単たんなる翻訳ほんやく記事きじではなく、日本語にほんごで一番いちばん分わかりやすい記事きじを発信はっしん。
2. 新あたらしいテクノロジーがビジネスにどのように役やくに立たつのか、利用りようシーンも含ふくめて分わかりやすくお伝つたえする。
3. ビジネスのシーズ（種たね）になる社会しゃかい課題かだいも取とり上あげる。

ビジネスの種たねになる社会しゃかい課題かだい、ですね。

松尾まつお　はい。そのために重要じゅうようなのが「課題かだい設定せっていの思考しこう力りょく」です。「東大とうだいエグゼクティブ・マネジメント 課題かだい設定せっていの思考しこう力りょく」という本ほんをぜひ読よんでほしいと思おもいます。例たとえば環境かんきょう問題もんだいといった時ときに、「それが問題もんだいなのだという定義ていぎを誰だれがしたのか」という話はなしなのです。

最初さいしょに問題もんだいだと気付きづく、この課題かだい設定せっていの思考しこう力りょくを、いま日本人にっぽんじんは身みにつけなければいけないのではないかということが書かかれています。この課題かだい設定せっていにつながるヒントを、私わたしたちも届とどけていきたいと思おもっています。

そこに課題かだいがあることに気付きづく……重要じゅうようですね。

松尾まつお　そうなんです。そして例たとえば、過疎かそ地ちで物資ぶっしがなかなか行いき渡わたらないという話はなしがあった時ときに、「配車はいしゃサービスが役やくに立たつよね」「タクシーの相乗あいのりで物ものを運はこんじゃおう」など、ITテクノロジーが活用かつようできるという話はなしに当然とうぜんつながっていくと思おもいますし、そのような課題かだいを全すべて解決かいけつできるのが、テクノロジーの力ちからなのではないかと思おもっています。

昨今さっこんは、ソフトバンク関連かんれん企業きぎょうのキーパーソンに連続れんぞくインタビューを実施じっししていますね。

松尾まつお　ソフトバンクグループの純じゅん利益りえきが5兆ちょう円えん弱じゃく、世界せかい3位い、日本にっぽんで過去かこ一いちとなりました。変化へんかも激はげしい企業きぎょうグループですし、我々われわれがグループでなくてもメディアが注目ちゅうもくを集あつめている企業きぎょうです。

そうした企業きぎょうグループの原動力げんどうりょくはどこにあるのか。これを知しるべく、さまざまなキーパーソンにお話はなしを聞きいていく予定よていです。私わたしたちがグループ会社かいしゃだからこそ、胸襟きょうきんを開ひらいてくれる面めんもあると思おもっています。とは言いえニュートラルなメディアの立場たちばで、踏ふみ込こんだところにも迫せまってお話はなししていきたいと思おもっています。

つい先日せんじつ、ソフトバンク株式会社かぶしきがいしゃの青野あおの史ふみ寛ひろし 専務せんむ執行しっこう役員やくいん 兼けん CHROにインタビューを実施じっししました。デジタル化かがビジネスに与あたえた影響えいきょうについて今日きょうはお話はなしさせていただきましたが、ビジネスパーソンに求もとめられるスキルが二ふたつあるという、大変たいへんおもしろいお話はなしを青野あおのさんから聞きけまして、今日きょう公開こうかいしたところです。ぜひお読よみいただきたいと思おもいます！

ソフトバンク青野あおの史し寛ひろしCHROに聞きく、デジタルを生いき抜ぬく人材じんざいになる2つの超ちょう重要じゅうようポイント（ビジネス＋IT）

ビジネスパーソンとして、それは気きになります！ 今日きょうはありがとうございました。

（掲載けいさい日び：2021年ねん6月がつ10日とおか）
文ぶん：ソフトバンクニュース編集へんしゅう部ぶ