Jリーグ秋あき春はる制せい移行いこうがもたらすプラス面めんと課題かだい

[ 2023年ねん12月15日にち 04:40 ]

秋田あきたなどが建設けんせつを歓迎かんげいしているエアドーム（C）Jリーグ
Photo By 提供ていきょう写真しゃしん

　Jリーグが新しん時代じだいに突入とつにゅうする。これまでも議論ぎろんされながら実現じつげんしなかった「秋あき春はる制せい」への移行いこうが内定ないていした。すでに100億おく円えん規模きぼの財源ざいげん支援しえんを表明ひょうめいし、26年ねんの移行いこうへ、急きゅうピッチで準備じゅんびを進すすめる。

　【プラス面めん】（1）雪国ゆきぐに対策たいさく
　最大さいだいのネックとされてきた雪国ゆきぐにクラブにも光明こうみょうが差さした。冬ふゆになれば銀世界ぎんせかいとなるJ2秋田あきた、札幌さっぽろは早はやくも全天候ぜんてんこう型がた練習れんしゅう場じょう（エアドーム）の建設けんせつ構想こうそうを歓迎かんげいする。建設けんせつ費ひは10億おく～20億おく円えんに及およぶが、7割わりはJリーグが助成じょせいするという。これで雪ゆきの降ふる冬季とうきでも地元じもとでの練習れんしゅうが可能かのうになる。札幌さっぽろの三上みかみ大勝たいしょうGM（52）は「（エアドームがあれば）準備じゅんびはできると思おもう。韓国かんこくでは10億おく円えんくらいで造つくられているので、大おおきな不安ふあんを描えがくことはない」と話はなした。

　またJ2秋田あきたの岩瀬いわせ浩ひろし介かい社長しゃちょう（42）も「（助成じょせいは）非常ひじょうにうれしいこと」と歓迎かんげいする。エアドーム内ないのピッチが人工芝じんこうしばとなるため、ケガを不安ふあんに思おもう選手せんしゅには負担ふたんとなるが、まずは前進ぜんしんの一いち歩ほとなるはずだ。

　また移行いこう後ご、各かくクラブはオフと冬季とうきブレークの2度ど、キャンプが必要ひつようとなる。Jリーグではその費用ひようを約やく1500万まん円えんと見積みつもり、一定いっていの助成じょせいを進すすめるという。雪国ゆきぐにクラブは2月がつ末まつ～3月がつ初旬しょじゅんにアウェーの地ちでキャンプをしながら連戦れんせんを強しいられるが、その場合ばあいの資金しきんも援助えんじょする。

　（2）移籍いせき市場いちば
　日本にっぽんから欧州おうしゅうへの移籍いせきはさらに活発かっぱつになりそうだ。秋あき春はる制せいとなれば移籍いせき市場いちばが開ひらく時期じきも欧州おうしゅうと一致いっちする。これまで欧州おうしゅうの市場いちばが最もっとも動うごく夏なつは、Jリーグにとってシーズン真まっただ中なか。少すくなからず移籍いせきの障壁しょうへきとなっていた。海外かいがい移籍いせきが増ふえれば、クラブが得えられる移籍いせき金きんも増ふえ、重要じゅうような収入しゅうにゅう源げんとなる。シーズン中ちゅうに主力しゅりょく選手せんしゅを引ひき抜ぬかれるケースも減へるはずだ。

　（3）プレーの質しつ
　酷暑こくしょ下かでの試合しあいが減少げんしょうすることもリーグ全体ぜんたいのプラスになる。近年きんねん、夏なつの高温こうおん化かは顕著けんちょ。J2山形やまがたの選手せんしゅは「命いのちの危険きけんや筋肉きんにくトラブル」の不安ふあんも打うち明あける。日本にっぽんプロサッカー選手せんしゅ会かいからも夏場なつばを回避かいひしてハイレベルな試合しあいを見みせたいという意見いけんも出でるなど喫緊きっきんの課題かだいにもなっていた。Jリーグにとって大おおきな転換期てんかんきとなる。

　秋あき春はる制せいはJリーグにとって歴史れきし的てきな決断けつだんとなった。一方いっぽうで長年ながねん4月がつ～翌年よくねん3月がつの「年度ねんど」制せいが染しみついた日本にっぽんでは解決かいけつすべき課題かだいも少すくなくない。

　【課題かだい】（1）大学生だいがくせい
　大学生だいがくせいはこれからも当然とうぜん、3月が卒業そつぎょう時期じきとなる。だがJリーグが8月がつ開幕かいまくとなれば、Jクラブに内定ないていするようなトップクラスの選手せんしゅが8月がつのJ開幕かいまくを前まえに退すさ部ぶを選択せんたくするケースも増ふえる可能かのう性せいがあり、流通りゅうつう経けい大だいの中野なかの雄二ゆうじ監督かんとく（61）は「社会しゃかい問題もんだい」になりかねないと危惧きぐする。その上うえで「ルール整備せいびをしないと選手せんしゅ、プロ、指導しどう者しゃの誰だれかが悪者わるものになってしまう。新あらたなルールづくりも必要ひつよう」と提言ていげんを忘わすれなかった。

　（2）スポンサー契約けいやく
　クラブは今後こんご、秋あき春はる制せいのシーズンがベースとなるが、一般いっぱん企業きぎょうの決算けっさん期きは大半たいはんが年度ねんどごとでスポンサードに二にの足あしを踏ふむ企業きぎょう（株主かぶぬしを除のぞく）が出でてくる可能かのう性せいがあるという。極端きょくたんなケースではユニホームスポンサーが半期はんきで交代こうたいする事態じたいが出でてくるかもしれない。また26年ねんの移行いこう期きを含ふくめた大型おおがたの複数ふくすう年ねん契約けいやくを結むすびにくい状況じょうきょうとなっているという。

　100億おく円えん規模きぼの助成じょせい策さくを打うち出だしたJリーグだが、当然とうぜん、恒久こうきゅう的てきに支援しえんを受うけられる保証ほしょうはない。一ひとつずつ課題かだいをクリアしていく必要ひつようがある。