
【2025年4月17日】インスタントコーヒーブランド「ネスカフェ」のタイ国内での製造・販売をめぐり、ネスレ(タイ)と地元企業マハーキットシリ家( มหากิจศิริ Mahagitsiri)の間で続く法的対立が、新たな局面を迎えています。各報道が伝えています。
バンコク東部のミンブリー民事裁判所は、ネスレが申し立てた仮処分取り消しと裁判の管轄に関する審理を2025年6月20日に行うと発表しました。
QCPとマハーキットシリ家とは
マハーキットシリ家は、タイの著名な実業家一族で、ネスレ(タイ)との合弁企業「クオリティ・コーヒー・プロダクツ(Quality Coffee Products Co., Ltd./QCP)」を通じて、1990年から長年にわたりネスカフェの国内製造を担ってきました。
QCPは、ネスレとマハーキットシリ家が50%ずつ出資した共同出資会社で、製造や販売を担う実務的な主体でもあります。しかし、ネスレは2024年末で契約の終了を通告。これに反発したマハーキットシリ家が、製造・販売の差し止めを求める訴訟を起こし、4月3日にはミンブリー民事裁判所が仮処分を認めました。
裁判所判断が分かれる中での販売再開
その後、4月11日には知的財産・国際取引中央裁判所がネスレの商標独占権を認定。ネスレはこの判断を根拠に、翌12日には取引先へ「販売再開」の通知を送り、現在もネスカフェ製品はタイ国内の店頭で販売されています。
一方で、マハーキットシリ家は「仮処分は依然として有効であり、ネスレは司法判断を軽視している」と主張。ネスレ側の法的解釈に強く反発しています。
次回審理は6月、決着は持ち越しに
ネスレは、仮処分取り消しの申し立てに加えて、「この案件は民事裁判所ではなく、知的財産裁判所の管轄であるべきだ」として、裁判所の管轄についても争っています。
民事裁判所はこれらの申し立てを受け、4月23日までにマハーキットシリ家に反論書の提出を求めた上で、6月20日に審理を行う予定です。
つまり、現在は販売が再開されているものの、その正当性については裁判所間で解釈が割れており、最終的な決着は6月以降に持ち越される見通しです。