ガス灯がすとうは当初とうしょ裸はだか火ひでしたが、ガスの火口かこうに木綿もめんなどの糸いとで編あんだ網あみ袋ぶくろに発光はっこう剤ざい（トリウムおよびセリウム）を吸収きゅうしゅうさせたマントルを付つけることで、青白あおじろい光ひかりを放はなち、5倍ばいもの明あかるさになりました。

東京瓦斯とうきょうがすにおいても「明星みょうじょうマントル」「金星かなぼしマントル」といった独自どくじ銘柄めいがらの製造せいぞうを行おこなうなど、マントルの着ちゃく装そうでガス灯がすとうは一層いっそうの普及ふきゅうを遂とげました。

明治めいじ時代じだい後期こうき、ガス灯がすとう事業じぎょうは全盛ぜんせいを迎むかえたものの、やがてガス灯がすとうから電灯でんとうにその役割やくわりを移うつしていきます。一方いっぽうで、ガスの用途ようとは、学校がっこうにおいては化学かがく実験じっけん、活版かっぱん所しょでは鉛なまりの溶解ようかい、その他た暖房だんぼう用ようなど、燃料ねんりょう用ようとしてさまざまな分野ぶんやに広ひろがっていました。

さらに、一般いっぱん家庭かていへの普及ふきゅうを目指めざして、ガス炊事すいじ器具きぐの開発かいはつにも取とり組くみ、1902年ねんには炊飯すいはん竈かまど（かまど）を考案こうあん・実用じつよう化かし、専売せんばい特許とっきょ権けんを得えました。

　
　
料理りょうり店てんや旅館りょかんだけでなく、一般いっぱん家庭かていでもガスコンロは使つかわれはじめ、1913年ねん(大正たいしょう2）には第だい一いち回かい料理りょうり講習こうしゅう会かいを開催かいさい。

その後ごも大正たいしょう時代じだいにはお風呂ふろやストーブ、アイロンなど暮くらしを快適かいてきにする機器ききも登場とうじょうし、ガスは暮くらしに欠かかせない、身近みぢかなエネルギーとなっていきました。

東京とうきょうガスは海外かいがいの豊富ほうふな天然てんねんガスに着目ちゃくもくし、これを輸入ゆにゅうするための検討けんとうを開始かいし。当時とうじは天然てんねんガスの輸送ゆそう方法ほうほうが確立かくりつされておらず、冷凍れいとう液化えきか技術ぎじゅつなどに諸しょ課題かだいがありました。

東京とうきょうガスは、欧米おうべいにおけるLNG（液化えきか天然てんねんガス）実用じつよう化かの研究けんきゅう結果けっかとLNG 輸入ゆにゅうについての調査ちょうさを進すすめ、導入どうにゅうに向むけたプロジェクトを立たち上あげる一方いっぽう、根岸ねぎし工場こうじょうではLNGタンク4基きの建設けんせつに着手ちゃくしゅ。1969年ねん10月がつに建設けんせつ工事こうじが完了かんりょうし、受うけ入いれ態勢たいせいが整ととのいました。（現在げんざい、根岸ねぎし工場こうじょうは根岸ねぎしLNG基地きちに改称かいしょう）

天然てんねんガスの普及ふきゅうによって、供給きょうきゅうするガスの熱量ねつりょうをこれまでよりも高こうカロリーなものへと変更へんこうする「熱量ねつりょう変更へんこう」（5,000kcalから11,000kcal）の作業さぎょうが、1972年ねんから1988年ねんにかけて実施じっしされました。

お客きゃくさま一いち件けん一いち件けんを回まわり、ガス器具きぐを調整ちょうせいする地道じみちな作業さぎょうは、〝未来みらいをひらく新あたらしい炎ほのおをともす〞という強つよい思おもいのもとで進すすめられました。17年間ねんかん、延のべ750万まん人にんの社員しゃいんが力ちからを注そそいだ結果けっか、より多おおくのお客きゃくさまの元もとへと安定あんてい的てきな供給きょうきゅうを実現じつげん。天然てんねんガスは、主要しゅようエネルギーとして日本にっぽんの発展はってんを支ささえていくことになりました。

そして、1973年ねんに袖ヶ浦そでがうら工場こうじょうが稼働かどう、1976年ねんに天然てんねんガス環状かんじょう幹線かんせん（袖ヶ浦そでがうら工場こうじょう〜根岸ねぎし工場こうじょう間あいだ）が稼働かどうを開始かいし。これにより、ガス品質ひんしつを安定あんていさせるとともに、より多おおくのお客きゃくさまの元もとにもガスをお届とどけできるようになり、都市としガスは多おおくのお客きゃくさまの暮くらしに役立やくだてられるようになりました。
（現在げんざい、根岸ねぎし工場こうじょうは根岸ねぎしLNG基地きち、袖ケ浦そでがうら工場こうじょうは袖ヶ浦そでがうらLNG基地きちに改称かいしょう）

1981年ねん8月がつ、日本にっぽん初はつのCGSフィールドテストが、国立こくりつ競技きょうぎ場じょうで実施じっしされました。ガスエンジンなどの本体ほんたい機器ききは、東京とうきょうオリンピック時じのメインスタジアムである国立こくりつ競技きょうぎ場じょう内ないに設置せっちし、同どう競技きょうぎ場じょうの事務じむ室しつやレストラン、控室ひかえしつなどの冷房れいぼう、温水おんすいプールやサウナへの温水おんすい供給きょうきゅうを行おこないました。CGS は環境かんきょう負荷ふかの小ちいさい天然てんねんガスを使用しようし、さらにエネルギーを効率こうりつ的てきに利用りようできるというメリットから、ビルや工場こうじょうなどに普及ふきゅうしていきました。

ガスに対たいする安全あんぜん性せい向上こうじょうが求もとめられる中なか、ガスメーターにマイコン技術ぎじゅつを取とり入いれた安全あんぜんシステムを完成かんせいさせるプロジェクトが1981年ねんに発足ほっそく。計量けいりょう器きであるガスメーターに保安ほあん機能きのうを搭載とうさいするという、前例ぜんれいのない挑戦ちょうせんが始はじまりました。

流量りゅうりょう計測けいそくなどの実験じっけんを繰くり返かえしながら、マイコン、遮断しゃだん弁べん、感かん震ふるえ器きといった主要しゅよう部品ぶひん開発かいはつも同時どうじに進行しんこうされ、1983年ねん、ガスの流ながれを常時じょうじ監視かんししながら、地震じしん時じなどにガスを遮断しゃだんする機能きのうを備そなえた「マイコンメーター」の開発かいはつがついに完了かんりょうし、その使用しようが開始かいしされました。

家庭かてい用よう燃料ねんりょう電池でんちは、化学かがく反応はんのうで都市としガスを水素すいそに変換へんかんして発電はつでんし、排はい熱ねつをお湯ゆとして利用りようする省しょうエネルギーおよびCO2削減さくげんに貢献こうけんする住宅じゅうたく設備せつびです。東京とうきょうガスは、1970年代ねんだい前半ぜんはんに米国べいこくの燃料ねんりょう電池でんち開発かいはつプロジェクトに参加さんかし、日本にっぽんで初はじめて定置ていち用よう燃料ねんりょう電池でんちの実証じっしょうを行おこないました。その後ご、1980年代ねんだいから国産こくさん化かに取とり組くみ、1990年代ねんだい後半こうはんに100～200kW級きゅう燃料ねんりょう電池でんちコージェネレーションシステムの実用じつよう化かにこぎ着つけました。

1998年ねんには家庭かてい用ようの燃料ねんりょう電池でんち開発かいはつに着手ちゃくしゅし、数かぞえ切きれない試験しけんを通つうじて、家庭かていで使つかえる都市としガスを水素すいそに変換へんかんするための触媒しょくばいを完成かんせいさせました。2005年ねんからは、経済けいざい産業さんぎょう省しょうの「定置ていち用よう燃料ねんりょう電池でんち大だい規模きぼ実証じっしょう研究けんきゅう事業じぎょう」に参画さんかく。そして、2009年ねん5月がつ、世界せかい初はつの戸建こだて向むけの家庭かてい用よう燃料ねんりょう電池でんち「エネファーム」を発売はつばいするに至いたりました。その後ご、より多おおくのお客きゃくさまにエネファームをご利用りよういただけるよう、コストダウン、設置せっち性せい、ユーザビリティーの向上こうじょうを図はかり、3回かいのモデルチェンジ、停電ていでん時じ発電はつでん機能きのうの追加ついかを行おこない、2014年ねんにはマンション向むけエネファームをラインナップに加くわえるなど、現在げんざいも改良かいりょうを重かさねています。

1956年ねん、東京瓦斯とうきょうがす（がす）風呂ふろ指定してい商しょうの中なかから器具きぐ委託いたく販売はんばい店てん44店てんを認定にんていし、ガス器具きぐの委託いたく販売はんばいを開始かいししました。さらに1958年ねんには器具きぐ委託いたく販売はんばい店てんの中なかから9店てんを委託いたくサービスステーションとし、お客きゃくさまからの一般いっぱん受付うけつけ、ガス料金りょうきん・工事こうじ代金だいきんなどの収納しゅうのうも行おこなうようになりました。こうした販売はんばい店てんなどの設置せっちの背景はいけいには、都市としガスの本格ほんかく的てきな普及ふきゅう・拡大かくだいに応おうじて、地域ちいきに密着みっちゃくしたお客きゃくさまサービスを実現じつげんしたいという考かんがえがありました。

昭和しょうわから平成へいせいにかけて、販売はんばい店てんは、東京とうきょうガスサービス店てん、東京とうきょうガスサービスセンター、エネスタと名称めいしょうを変かえていきます。一方いっぽうで、エネルギーの規制きせい緩和かんわ・自由じゆう化かが進展しんてんしていく中なか、東京とうきょうガスは2002年ねんに東京とうきょうガス・カスタマーサービス株式会社かぶしきがいしゃを設立せつりつし、これまで東京とうきょうガスが行おこなってきた検針けんしん、料金りょうきん収納しゅうのう、定期ていき保安ほあん点検てんけんの各かく業務ぎょうむを移管いかんしました。

2011年ねん3月がつ11日にちに発生はっせいした東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいは、甚大じんだいな被害ひがいをもたらすとともに、日本にっぽんのエネルギーのあり方かたにさまざまな課題かだいを提起ていきしました。東京とうきょうガスグループは、「安心あんしん・安全あんぜんな生活せいかつを支ささえるエネルギーセキュリティの強化きょうか」「日本にっぽんの早期そうき復興ふっこう・持続じぞく的てき成長せいちょうを支ささえるエネルギーコストの低減ていげん」「省しょうエネ・省しょうCO2 を支ささえるエネルギーシステムの革新かくしん」という課題かだいに着実ちゃくじつに対処たいしょしていくことが、国民こくみん生活せいかつ、産業さんぎょう活動かつどうの基盤きばんとなるエネルギーを安定あんてい供給きょうきゅうしていく上うえで重要じゅうようであると、事業じぎょうの方針ほうしんを定さだめました。

そして、2011年ねん11月、「エネルギーと未来みらいのために東京とうきょうガスグループがめざすこと。～チャレンジ2020 ビジョン～」を策定さくてい・発表はっぴょうし、2020 年ねんに向むけて東京とうきょうガスグループが進すすむべき方向ほうこうとそこに至いたる道筋みちすじを明あきらかにしました。

脱だつ炭素たんそ化かの潮流ちょうりゅう、デジタル化かの進展しんてん、お客きゃくさま価値かち観かんの変化へんかや多様たよう化か、エネルギー自由じゆう化かの進展しんてんといった市場いちば環境かんきょうの大おおきな変化へんかを受うけて、今後こんごはエネルギーが、さらにはエネルギーを扱あつかう会社かいしゃがどうあるべきかを問とわれる10年ねんになると考かんがえます。不ふ確実かくじつな時代じだいに進すすむべき方角ほうがくを示しめす羅針盤らしんばんとして、2019年ねん11月に東京とうきょうガスグループ経営けいえいビジョン「Compass2030」を策定さくていしました。このビジョンに、50年ねん前まえと同様どうよう、新あらたな挑戦ちょうせんに立たち向むかう決意けついを示しめします。私わたしたちは、S＋3E（注ちゅう1）を事業じぎょうの根底こんていとしつつ、市場いちば環境かんきょうの変化へんかを大おおきな飛躍ひやくのチャンスと捉とらえ、2030年ねんに向むけた変革へんかくを進すすめて参まいります。

(注ちゅう1)S+3E：Safety 安全あんぜん、Energy Security エネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう、Economic Efficiency 経済けいざい効率こうりつ性せい、Environment 環境かんきょうへの適合てきごう