＜社説しゃせつ＞介護かいご職しょくの待遇たいぐう　賃上ちんあげで奮闘ふんとう支ささえねば

2024年ねん1月がつ23日にち 08時じ07分ふん

　介護かいごサービスの対価たいかとして介護かいご保険ほけんなどから介護かいご事業じぎょう者しゃに支払しはらわれる報酬ほうしゅうの改定かいてい内容ないようが決きまった。現場げんばで介護かいごを支ささえる職員しょくいんの賃金ちんぎんが2024年度ねんどに2・5％、25年度ねんどに2・0％のベースアップになるよう事業じぎょう者しゃへの報酬ほうしゅうを増ふやす。

　ただ、想定そうてい通どおりの賃上ちんあげが実現じつげんしても昨年さくねんの春闘しゅんとうでの主要しゅよう企業きぎょうの平均へいきん賃上ちんあげ率りつ3・6％には及およばない。介護かいご職しょくの平均へいきん賃金ちんぎんは全ぜん産業さんぎょう平均へいきんより月額げつがく約やく7万まん円えん低ひくいままだ。現場げんばの奮闘ふんとうに応こたえるには継続けいぞく的てきな賃上ちんあげを実現じつげんする必要ひつようがある。

　介護かいご報酬ほうしゅうは3年ねんに1度ど改定かいていされ今回こんかいは24年度ねんどから実施じっしする。

　介護かいご報酬ほうしゅう全体ぜんたいの引ひき上あげ幅はばは1・59％（国費こくひで432億おく円えん）＝グラフ。その一部いちぶを職員しょくいんの賃上ちんあげに充あて、特定とくてい職種しょくしゅに偏かたよらないよう報酬ほうしゅう配分はいぶんにも柔軟じゅうなん性せいを持もたせる。

　厚生こうせい労働省ろうどうしょうは賃上ちんあげ実施じっしの実態じったいを調査ちょうさし、改善かいぜんが必要ひつような場合ばあい、速すみやかに策さくを講こうじるべきである。

　事業じぎょう者しゃへの報酬ほうしゅうが増ふえれば、保険ほけん料りょうや利用りよう者しゃ負担ふたんも増ふえることになる。政府せいふは国民こくみんに対たいし、待遇たいぐう改善かいぜんの必要ひつよう性せいを粘ねばり強づよく説明せつめいしなければならない。

　今回こんかいの改定かいていでは、働はたらきやすい職場しょくばづくりの一環いっかんで、介護かいご現場げんばの生産せいさん性せい向上こうじょう策さくを検討けんとうする委員いいん会かい設置せっちを新あらたに事業じぎょう者しゃに義務付ぎむづけ、介護かいごロボットなどの技術ぎじゅつを活用かつようした場合ばあいの報酬ほうしゅうも新設しんせつする、という。

　効率こうりつ的てきで質しつの高たかいサービスを提供ていきょうする取とり組くみは職員しょくいんの待遇たいぐう改善かいぜんにもつながると期待きたいしたい。

　コロナ禍かでは医療いりょう機関きかんに入院にゅういんできず、介護かいご施設しせつにとどまった入所にゅうしょ者しゃに十分じゅうぶんな医療いりょうが提供ていきょうできないという課題かだいも浮うき彫ぼりとなった。

　このため、あらかじめ医療いりょう機関きかんとの連携れんけい、感染かんせん症しょうに対応たいおうする研修けんしゅうや訓練くんれんへの参加さんか、医療いりょう機関きかんからの指導しどうを受うける取とり組くみなどを対象たいしょうに報酬ほうしゅうを新設しんせつし、感染かんせん症しょう対策たいさくを強化きょうかする。一方いっぽう、感染かんせん症しょうや災害さいがい時じの「業務ぎょうむ継続けいぞく計画けいかく」を策定さくていしていない事業じぎょう者しゃへの報酬ほうしゅうは減額げんがくする。

　感染かんせん症しょうや災害さいがいはいつどこで起おきるか分わからない。そうした非常時ひじょうじでも可能かのうな限かぎり介護かいごサービスを提供ていきょうし、高齢こうれい者しゃが安心あんしんできるよう職員しょくいんを確保かくほして体制たいせいを整ととのえておくことが必要ひつようだ。そのための介護かいご報酬ほうしゅう改定かいていでなければならない。