＜社説しゃせつ＞財政ざいせい収支しゅうしの悪化あっか　野放図のほうず予算よさんに終止符しゅうしふを

2024年ねん1月がつ24日にち 08時じ04分ふん

　国くにと地方ちほうの基礎きそ的てき財政ざいせい収支しゅうし（プライマリーバランス、PB）を巡めぐり、やや高たかめの経済けいざい成長せいちょうを実現じつげんしても2025年度ねんどの黒字くろじ化か達成たっせいは困難こんなんとの見通みとおしを政府せいふが示しめした。財政ざいせい悪化あっかの原因げんいんは支出ししゅつのたがが緩ゆるみきっていることに尽つきる。

　若わかい世代せだいの将来しょうらいへの不安ふあんを取とり除のぞくためにも、野放図のほうずな予算よさん編成へんせいに終止符しゅうしふを打うたねばならない。

　PBは、政策せいさくに使つかう経費けいひを国債こくさいを発行はっこうせず、税収ぜいしゅうなどで賄まかなえるか否ひかを示しめす指標しひょうだ。

　18年ねんに当時とうじの安倍晋三あべしんぞう政権せいけんが25年度ねんどのPB黒字くろじ化か目標もくひょうを掲かかげたが、政府せいふは23～25年度ねんどの国内こくない総そう生産せいさん（GDP）の伸のびを1・3～1・6％増ぞうと想定そうていし、25年度ねんどは1兆ちょう1千せん億おく円えんの赤字あかじになると見込みこんだ＝グラフ。

　アベノミクスは機動きどう的てきな財政ざいせい出動しゅつどうを掲かかげ、予算よさんは歯止はどめなき膨張ぼうちょうを続つづけた。日銀にちぎんによる銀行ぎんこう経由けいゆの国債こくさい引ひき受うけなど大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわの継続けいぞくも後押あとおしし、財源ざいげんを国債こくさいに依存いぞんするいびつな膨張ぼうちょう型がた予算よさんが常態じょうたい化かしているのが現状げんじょうだ。

　さらにコロナ禍かや物価高ぶっかだか対策たいさくで補正ほせい予算よさんの編成へんせいが相次あいつぎ、支出ししゅつ圧力あつりょくに拍車はくしゃがかかり、国くにと地方ちほうを合あわせた長期ちょうき債務さいむ残高ざんだかは21年度ねんどでGDPの2倍ばいを超こえる約やく1200兆ちょう円えんにまで積つみ上あがった。

　PB黒字くろじ化かには、政府せいふ・与党よとう内ないにまん延えんする放漫ほうまん財政ざいせい姿勢しせいを根本こんぽんから改あらためる必要ひつようがある。

　しかし、24年度ねんど予算よさん案あんや23年度ねんど補正ほせい予算よさんでも「規模きぼありき」の姿勢しせいは変かわらず、黒字くろじ化か目標もくひょうの実現じつげんに向むけた意欲いよくは感かんじられない。

　能登半島のとはんとう地震じしんの被災ひさい地ち支援しえんや、いつ起おきるか分わからない災害さいがいのリスクとも向むき合あう必要ひつようがあり、予算よさん確保かくほは避さけて通とおれない。

　深刻しんこく化かする少子しょうし高齢こうれい化か対策たいさくや、社会しゃかい保障ほしょうに必要ひつような予算よさんも年々ねんねん膨ふくれ上あがっている。25年度ねんどのPB赤字あかじを1兆ちょう1千せん億おく円えんにとどめることも難むずかしいのではないか。

　将来しょうらい起おこり得える課題かだいに備そなえ、財政ざいせいを健全けんぜん化かすることは、若わかい世代せだいに対たいする義務ぎむにほかならない。利払りばらい負担ふたんが増ふえる国債こくさい頼たのみの財政ざいせい運営うんえいはもはや限界げんかいだ。持続じぞく的てきな経済けいざい成長せいちょうによる税収ぜいしゅう増ぞうと歳出さいしゅつ削減さくげんの両立りょうりつに向むけ、経済けいざい政策せいさくの抜本ばっぽん的てきな見直みなおしが必要ひつようだ。