LIFESTYLE / CULTURE & LIFE

報道ほうどう自由じゆううばわれ、107にんものジャーナリストが犠牲ぎせいに。ガザの女性じょせい記者きしゃたちがつたつづける現実げんじつ

パレスチナのガザ地区ちくでは、イスラエルによって外国がいこくじんジャーナリストのりが禁止きんしに。それによって、現地げんち記者きしゃが「自分じぶんいのち危険きけんにさらすだけでなく、家族かぞく周囲しゅうい人々ひとびといのち危険きけんにさらすことになる」という状況じょうきょうのなか報道ほうどうつづけている。
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Courtesy of Plestia Alaqad

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パレスチナじんのジャーナリストで、映画えいが監督かんとくやアクティビストとしても活動かつどうする、ビサン・オウダ(Bisan Owda)は、現在げんざいイスラエルによる地上ちじょう侵攻しんこうおこなわれ、おおくの犠牲ぎせいしゃているガザ地区ちく南部なんぶ都市としラファから、Instagramのフォロワー440まんにんけてかたりかけ、現地げんち混沌こんとんとした状況じょうきょうつたえる。

オウダはカメラにかい、「今日きょうで、虐殺ぎゃくさつはじまって173にちだ」とはなはじめ、ちかくできたばくげきについてレポート。しかし、女性じょせい遺体いたい救急きゅうきゅうしゃはこばれ、すでにくなっていることをにすると、こえ途切とぎはじめ、くるしむ姿すがたせた。

2023ねん10がつ7にち、イスラエル政府せいふによるガザへの軍事ぐんじ攻撃こうげきはじまってから、すでに半年はんとし以上いじょう経過けいか死者ししゃすう3まんにん行方ゆくえ不明ふめいしゃすうせんにんにのぼる。それに直面ちょくめんつづけるオウダは、つかった様子ようすで、体重たいじゅうり、以前いぜんせていたような笑顔えがおえてしまった。オウダは現在げんざいまでに、7かい避難ひなん余儀よぎなくされ、電気でんきのない共同きょうどうテントでらす。なんにちもシャワーをびずにごし、わずかな食事しょくじしかとれないこともおおい。国連こくれん事務じむ次長じちょう人道じんどう問題もんだい担当たんとう)のマーティン・グリフィスが、「この50ねん最悪さいあく人道じんどう危機きき」と表現ひょうげんするような状況じょうきょうのなかで生活せいかつしている。

イスラエルが、すべての外国がいこくじんジャーナリストのガザへのりを禁止きんししているため、オウダは数少かずすくない英語えいご話者わしゃ記者きしゃとして、世界せかい虐殺ぎゃくさつ状況じょうきょうつたえる。現在げんざい、ガザでもっともInstagramフォロワーのおおいジャーナリストであり、かさねるごとに悪化あっか危機ききせま状況じょうきょうで、日々ひび取材しゅざい発信はっしんつづけているのだ。

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プレスティア・アラカド(Plestia Alaqad)は、22さいのパレスチナじんで10がつ7にち時点じてんでは、ジャーナリズムの世界せかいあしれたばかりだった。アラカドは、オーストラリアに避難ひなんするまでの46日間にちかん、470まんにんのInstagramフォロワーにけてガザで取材しゅざいつづけた。

アラカドにとって、「わたしはキプロスでメディアとジャーナリズムをまなび、2022ねん卒業そつぎょうしたのち、ガザにもどった。わたし視点してんでガザを世界せかいつたえることが義務ぎむだった」 という。

一方いっぽうで、「ガザ地区ちくでジャーナリストであるということは、自分じぶんいのち危険きけんにさらすということだけでなく、家族かぞく周囲しゅうい人々ひとびといのち危険きけんにさらすということ」「フォロワーがえればえるほど、自分じぶんつぎ標的ひょうてきになるのではないかとこわくなった」とその心境しんきょうはなした。ガザをはなれた現在げんざいも、オーストラリアから停戦ていせんもとめる発信はっしんつづけている。

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国境こっきょうなき記者きしゃだん(RSF)調査ちょうさによると、10月7にち以降いこう、ガザで107にんのジャーナリストが殺害さつがいされ、うち13にん女性じょせいだった。「107にんのうち22にん女性じょせい1にんふくむ)が、ジャーナリストとして活動かつどうちゅう殺害さつがい、もしくはジャーナリストであるという理由りゆう特別とくべつねらわれた」とRSFのフィオナ・オブライエン英国えいこく支部しぶちょう説明せつめいする。RSFでは、このようなイスラエルによる報道ほうどう自由じゆうのあからさまな侵害しんがいたいし、国際こくさい刑事けいじ裁判所さいばんしょへのうったえや証拠しょうこ提出ていしゅつくわえ、イスラエルに圧力あつりょくをかけるよう各国かっこく政府せいふはたらきかけているそうだ。

オブライエンによると、「ガザのジャーナリストを状況じょうきょうには、まったく前例ぜんれいがなく、防弾ぼうだんチョッキやヘルメットなどの安全あんぜん用品ようひんむことさえ不可能ふかのう」「現在げんざいは、最大さいだい6にん女性じょせい記者きしゃ収容しゅうようできるテントを設置せっちし、避難ひなん生活せいかつ機材きざい破損はそん紛失ふんしつしてしまった記者きしゃに、専門せんもんてき機材きざいわたすと同時どうじに、毛布もうふ衣服いふく下着したぎなどの基本きほんてきまわりのものを提供ていきょうしている」とのこと。

「ジャーナリストらの精神せいしんてき負担ふたんはかなりおおきく、おおくの同僚どうりょう友人ゆうじん家族かぞくうしないながらも、なにとか報道ほうどうつづけようとしている状況じょうきょうだ」「虐殺ぎゃくさつ長引ながびくにつれ、睡眠すいみん食事しょくじ休息きゅうそく不足ふそくし、精神せいしんてきにも肉体にくたいてきにも疲労ひろう蓄積ちくせきしていくのはあきらか。通常つうじょう戦地せんち取材しゅざいをするジャーナリストは、交代こうたいせいのローテーションをむのが普通ふつう。しかし、ガザの記者きしゃたちは10がつからずっとガザにめられたままだ」と、オブライエンは現地げんちのジャーナリストがかれた現状げんじょう異常いじょうさをべた。

わたしたちが日本にっぽんからできるみとして、まずは情報じょうほうるために現地げんちから発信はっしんをしているジャーナリストらのInstagramをフォローし、リアルタイムで情報じょうほうることが重要じゅうようだ。そして日本語にほんごでパレスチナにかんする情報じょうほう発信はっしんおこない、活動かつどうする団体だんたいpalestinejpn」によると、政府せいふ地域ちいき政治せいじわせやメールのかたち意見いけんおくること、署名しょめい活動かつどう寄付きふをすることができる。イスラエルの経済けいざい活動かつどう加担かたんする企業きぎょうをボイコットすることも日常にちじょうてきにできることのひとつだ。

Text: Devinder Bains Translation & Adaptation: Nanami Kobayashi
From: BRITISH VOGUE