このプロポーズがきっかけとなり、私はすべての人に対してカミングアウトすることができました。これまでも“彼”という一人称は使ったことないし、“パートナー”や“相方”というい方をしていたのですが、みんな勝手にそれが彼だと思って聞いていてなんだか嘘をついているみたいな気持ちで……。でもプロポーズの次の日から、今まで言えなかった仕事先の人などにも言えるようになり、皆が祝福してくれてめちゃくちゃ生きやすくなりました。どこかコソコソ生きていたんだと自覚しました。こうも変わるきっかけを作ってくれて本当に感謝です。
AKINA 私は最初から全員にオープンだから、ERIKOのような悩みはなくて。でもあのときを境に、お互いのことを誰かに紹介するときの他者との距離感を掴めてきた気がします。
ERIKO カミングアウトする前は「言う」「言わない」の二択で、言っていないと裏切っている感がどこかありました。例えば、たまたま会ったAKINAの知り合いに、AKINAから恋人として紹介してもらえないと少し気にしている自分がいましたが、いざカミングアウトしたら、“あえて”言わなくてもいいことも増え、全く気にならなくなりました。
同性カップルは入居できない? 家探しの困難
V 市のパートナーシップ制度を提出して変わったことはありますか
AKINA 2021年4月1日に私たちが住む市でもパートナーシップ制度が始まることがわかり、第1号になろう!と思ったら、1号になるには抽選があることがわかり、結局11号でした。もうすでに10組いたことが逆に嬉しかったです。
ERIKO 自分たちの中のひとつの形として提出したので、制度に期待したわけではないのですが、もしも婚姻の平等に準ずる権利が得られる選択肢があったら、それはそれで嬉しいなと思います。パートナーシップ制度があると、携帯の家族割が使えたり、市営住宅に申し込む権利があったりしますが、法律上相続できないですし、危篤な状態になったときに病院に入れてもらえない可能性はあります。