西表島いりおもてじまのボス、季き節ぶしで獲物えもの食たべ分わけ共存きょうぞん…絶滅ぜつめつ危惧きぐ種しゅのイリオモテヤマネコとカンムリワシ

　沖縄おきなわ・ 西表島いりおもてじま（いりおもてじま） に生息せいそくするいずれも絶滅ぜつめつ危惧きぐ種しゅのイリオモテヤマネコとカンムリワシが、獲物えものの種類しゅるいを季き節ぶしごとに変かえるなどして食たべ分わけていることをふんのＤＮＡ分析ぶんせきで確たしかめたと、琉球大りゅうきゅうだいなどのチームが発表はっぴょうした。狭せまい島内とうないで共存きょうぞんするためとみられ、希少きしょう動物どうぶつの保全ほぜんを考かんがえる上うえで重要じゅうような成果せいかという。論文ろんぶんが国際こくさい学術がくじゅつ誌しに掲載けいさいされた。

　独自どくじの生態せいたい系けいを持もつ全ぜん周しゅう約やく１３０キロ・メートルの西表島いりおもてじまは、沖縄おきなわ本島ほんとう北部ほくぶなどとともに２０２１年ねん、世界せかい自然しぜん遺産いさんに登録とうろくされた。

　固有こゆう種しゅのイリオモテヤマネコの生息せいそく数すうは推計すいけい約やく１００頭とう。西表島いりおもてじまに同数どうすういるとされる中型ちゅうがた 猛禽もうきん（もうきん） 類るいのカンムリワシは、渡わたりはせず、ほぼ島内とうないで繁殖はんしょくする。いずれも島しまの生態せいたい系けいの頂点ちょうてんに位置いちするが、島内とうないで獲物えもの不足ふそくに陥おちいっていないのが長年ながねんの謎なぞだった。

　調査ちょうさは１８～１９年ねん、島しま全域ぜんいきで、琉球大りゅうきゅうだいの伊沢いさわ雅子まさこ名誉めいよ教授きょうじゅと当時とうじ大学院生だいがくいんせいだった戸部とべ有ゆう紗しゃさん（現げん、京都大きょうとだい大学院生だいがくいんせい）らが実施じっし。両りょう種たねのふんを採取さいしゅし、含ふくまれるＤＮＡから獲物えものの種類しゅるいを調しらべた。

　共通きょうつうして食たべていたトカゲやカエル、昆虫こんちゅうなど計けい５５種しゅを季き節ぶしごとに比較ひかくしたところ、ヤマネコは夏なつにトカゲ、ワシはカエルをよく食たべ、冬ふゆはこの傾向けいこうが逆ぎゃくになるなど、時期じきを分わけて食たべていたことが判明はんめい。また、ヤマネコは哺乳類ほにゅうるいと鳥類ちょうるいを食たべるがワシはこれらをほとんど食たべず、カニやエビ、昆虫こんちゅうなどヤマネコがあまり狙ねらわないものを食たべていた。

　両りょう種たねは一いち年ねんを通とおして獲物えものをうまく分わけ合あい、食たべ尽つくさないようにしているとみられ、戸部とべさんは「狭せまい島内とうないの生態せいたい系けいの中なかで巧たくみに適応てきおうしたと考かんがえられる。調査ちょうさを続つづけ、希少きしょう種しゅの保全ほぜんに役立やくだてたい」としている。

　琉球りゅうきゅう列島れっとうの生物せいぶつに詳くわしい太田おおた英利ひでとし・兵庫ひょうご県立けんりつ大だい教授きょうじゅ（生物せいぶつ地理ちり学がく）の話はなし「西表島いりおもてじまは、頂点ちょうてんの動物どうぶつが１種しゅだけでも生いき残のこるには厳きびしい環境かんきょうだ。季き節ぶしの変化へんかと種たねの違ちがいなど、共存きょうぞんのための条件じょうけんをデータで示しめした重要じゅうような成果せいかといえる」