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再注目の48V電源システム
(出所:日経クロステック)
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「米Tesla(テスラ)以外でも48V電源システムを使ったアーキテクチャーの開発に着手する自動車メーカーが出てきた」。こう語るのは、大手半導体メーカーである米Analog Devices(アナログ・デバイセズ)でオートモーティブ・パワー事業担当マネージング・ディレクター兼ゼネラル・マネージャーを務めるWarren Tsai(ウォーレン・ツァイ)氏だ(図1)。
図1 Analog Devicesオートモーティブ・パワー事業担当マネージング・ディレクター兼ゼネラル・マネージャーのWarren Tsai氏
2024年6月のインタビュー時に撮影したもの。(写真:日経クロステック)
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同氏によれば、クルマの電源システムにおいては、現在、2つのメガトレンドがある。1つは、ゾーン化であり、ソフトウエア定義車両(SDV)を視野に入れた動きだ。
そして、もう1つが電源システムの48V化だ。同社では、「6~12カ月前から議論してきている」と同氏は明かす。
背景にあるのが、既存の12V電源システムでは、いずれクルマのピークロード(最大負荷)に耐えられなくなるという懸念だ。Tsai氏によれば、ピーク時のトータル電力は、現在は3k~5kWといった水準であり、10年前と比べて30~50%増加しているという。例えば、センサーや電子制御ユニット(ECU)などの電力負荷が10年前と比べて上がっているとする。
ECUに組み込まれるシステム・オン・チップ(SoC)は、知能化の進展によって必要とされる処理能力が上がり、その消費電力は急速に増加している。同氏は、「高性能な車載SoCの消費電力は、約5年前で40~50W。現在開発されているものは、300Wくらいまで増えている」と明かす。