開発した光ファイバー通信用受信チップのイメージ
(出所:三菱電機)
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三菱電機は、データセンターにおけるデータ通信速度の高速化を目的として、光ファイバー通信に使う光トランシーバー用の受信チップを開発した。チップの受光部の形状を工夫して、チップ1つ当たり200G(ギガ=10億)ビット/秒(bps)の通信速度を実現した。「現在主流の100Gbps」(同社)から通信速度を2倍に高めた。
開発した受信チップを4つ、または8つ組み合わせて光トランシーバーに搭載することで、それぞれ800Gbpsと1.6T(テラ=1兆)bpsのデータ通信に対応できる。データセンターでは、取り扱うデータ通信量の増加に伴い、センター内の通信速度が従来の400Gbpsから800Gbpsや1.6Tbpsへと移行している。
同社は、2024年10月1日から受信チップのサンプル出荷を開始する。同年4月から量産し始めた200Gbpsの送信用チップと合わせて、データセンター内の通信の高速化や大容量化の要求に応える。
凸レンズで光を集積
開発した受信チップでは、チップ背面の受光部を凸レンズ形状にして、入射光をできるだけ小さな面積に集めることで、光信号を電気信号に変換する「光電変換領域」を小さくした。これにより、チップの素子容量が減り、動作の高速化につながった。
開発した受信チップの断面イメージ
図の上方がチップの裏側。チップの裏側から光を受ける。凸レンズ形状にして入射光を集めることで、光電変換領域の面積を小さくした。(出所:三菱電機)
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このほか、凸レンズにより受光可能な面積も拡大した。具体的には、約10μmのビーム径に対して、直径約40μmの領域内で光を捕らえられれば、凸レンズで光を集めて受信できる。従来の凸レンズがないものでは、高精度な位置合わせが必要だったが、開発した受信チップでは多少のずれを許容できる。受信チップを光トランシーバーに組み付ける作業の効率化が期待できる。