宋そう史ふみ/卷まき044

卷まき四よん十じゅう三さん ◄

宋そう史ふみ 卷まき四よん十じゅう四よん 本紀ほんぎ第だい四よん十じゅう四よん 理り宗むね四よん

► 卷まき四よん十じゅう五ご

理り宗むね四よん

寶たから祐ゆう二に年ねん

　　二年春正月乙亥朔，大だい元城もとしろ利とぎ州しゅう、閬州。詔みことのり湘潭縣民けんみん陳ちん克かつ良りょう孝行こうこう，表おもて其門。

　　二に月がつ甲かぶと辰たつ朔ついたち，詔みことのり太ふと常つね厘りん正せい秦しん檜ひのき諡おくりな，因よし諭さとし輔臣曰：「諡おくりな‘繆狠’可也かなり。」熒惑犯はん權けん星ほし。乙おつ巳み，詔みことのり利とぎ州しゅう統制とうせい呂りょ達たち戰沒せんぼつ，贈官ぞうかん四よん轉てん，官かん一いち子し承うけたまわ信郎のぶお，一子いっし下か班はん祗應。己おのれ酉とり，余あまり晦みそ兼けん四川しせん屯田とんでん使し。庚申こうしん，詔みことのり饒にょう州しゅう布衣ふい饒にょう魯不事ごと科か舉，一意いちい經學けいがく，補ほ迪すすむ功こう郎ろう、饒にょう州しゅう教授きょうじゅ。辛からし酉とり，日にち暈かさ周匝すさい。戊つちのえ辰たつ，故こ直ちょく華はな文ぶん閣かく李り燔，先さき儒朱熹門人じん，賜たまもの諡おくりな文ぶん定じょう。

　　三さん月がつ壬みずのえ午うま，王おう元善もとよし使し大元おおもと，留とめ七なな年來ねんらい歸き。戊子ぼし，雪ゆき。詔みことのり蠲江、淮今年ことし二に稅ぜい。己おのれ丑うし，詔みことのり錄ろく襄じょう城じょう功いさお，高こう達いたる帶たい行ぎょう環たまき衛まもる官かん、遙はるか郡ぐん團だん練ねり使し，職しょく任にん依よ舊きゅう；王おう登とう行軍こうぐん器き監かん丞すすむ、制せい司し參議さんぎ官かん；程ほど大元おおもと、李り和かず以下いか將士しょうし六ろく千六百一十三人補轉官資有差。甲かぶと午うま，城東じょうとう海かい，賈似道どう以圖來らい上じょう。

　　夏なつ四よん月がつ辛からし亥い，詔みことのり邊べ兵へい貧困ひんこん可か閔，閒田まだ甚多，擇よ其近便びん者しゃ分ぶん給きゅう耕こう種しゅ，制せい司つかさ守まもる臣しん治之はるゆき。乙おつ丑うし，以徐清きよし叟知樞密院すうみついん兼けん參さん知ち政事せいじ，董ただし槐えんじゅ參さん知ち政事せいじ。

　　六ろく月がつ壬みずのえ寅とら朔ついたち，罷やめ臨安府ふ臨平鎮稅場じょう。甲かぶと辰たつ，四川しせん制せい司し言げん：合ごう州しゅう、廣安ひろやす軍ぐん北兵きたへい入にゅう境さかい，王おう堅けん、曹世雄ゆう等とう戰せん禦有功ゆうこう。詔みことのり堅けん官かん兩りょう轉てん，餘よ各かく補ほ轉てん官かん資し。甲きのえ寅とら，侍さむらい御ご史し吳くれ燧ひうち等とう論ろん故こ蜀しょく帥そち余あまり玠聚斂罔利り七なな罪ざい，玠死，其子如孫盡つき竊帑庾之積せき以歸。詔みことのり簿ぼ錄ろく玠家財ざい。以李曾伯爲ため資し政せい殿どの學士がくし，依よ舊きゅう節制せっせい四よん川がわ。丙へい辰たつ，利とぎ州しゅう王佐おうさ堅守けんしゅ孤壘こるい，降くだ將はた南みなみ永えい忠ただし以兵薄うす城下じょうか，佐さ罵ののし之これ，永えい忠ただし流涕りゅうてい而退。初はつ，隆りゅう慶けい教授きょうじゅ鄭てい炳孫不ふ從したがえ南みなみ永えい忠ただし降くだ，先さき縊死いし其妻女おんな，亦また朝あさ服ふく自じ縊。詔みことのり獎諭：佐さ進しん官かん一いち秩，炳孫贈おく朝あさ奉たてまつ郎ろう、直ちょく秘ひ閣かく，仍訪其子，官かん以文資し。王おう伯はく大だい乞致仕ちし，詔みことのり進一しんいち秩，允まこと所しょ請。丁ちょう巳み，以賈似に道どう同どう知ち樞密院すうみついん事ごと，職しょく任にん依よ舊きゅう。庚午こうご，詔みことのり余あまり晦みそ赴闕。

　　閏うるう六ろく月がつ壬みずのえ申さる，董ただし槐えんじゅ疏：蜀しょく事ごと孔あな棘とげ，願ねがい假かり臣しん宣撫せんぶ之の名な，置おけ司し夔門，以通荊、蜀しょく。上うえ優ゆう詔みことのり答こたえ曰：「士し大夫たいふ以事功こう自じ勉つとむ者しゃ鮮，卿きょう請帥蜀しょく，足見たるみ忠ちゅう壯たけし。然しか經理けいり西にし事ごと，當とう在ざい廟堂びょうどう，宜むべ竭謀猷，以副委任いにん。」詔みことのり蒲がま擇よ之これ暫權四川制置司事。甲かぶと戌いぬ，錄ろく嘉よしみ定てい戰功せんこう。先さき是ぜ，大元おおもと兵へい圍かこえ城じょう五ご旬しゅん，帥そち守もり俞興、元もと用よう等とう夜よる開ひらけ關せき力戰りきせん而圍解かい。詔みことのり俞興等とう十じゅう六ろく人にん各かく官かん五ご轉てん，將士しょうし補ほ轉てん有ゆう差さ。以包恢提點てん浙西刑けい獄ごく，招捕荻浦おぎのうら鹽しお寇。乙おつ亥い，台うてな州しゅう海うみ寇積年ねん，民みん罹かか其害，路みち分ぶん董ただし橚洎進士しんし周あまね自じ中等ちゅうとう擒とりこ獲え，詔みことのり橚官一轉いってん，餘あまり推賞すいしょう有ゆう差さ。壬みずのえ午うま，以李曾伯爲ため四川宣撫使兼京湖制置大使，進しん司し夔路，詔みことのり賜たまもの曾伯同どう進士しんし出身しゅっしん。罷やめ江こう灣わん浮鹽局きょく，戊つちのえ戌いぬ，大元おおもと使し離はなれ揚あげ州しゅう北きた歸き。

　　秋あき七なな月がつ己おのれ酉とり，詔みことのり「前ぜん蜀しょく帥そち余あまり玠鎮撫ちんぶ無む狀じょう，兵へい苦く於征戌いぬ，民みん困こま於徵求もとめ，茲俾其家輸所取と蜀しょく財ざい，犒師振ふ民みん；並なみ邊べ諸しょ郡ぐん田租でんそ，其復三さん年ねん。」詔みことのり思おもえ、播兩州しゅう連年れんねん捍禦，其守臣しん田た應おう庚かのえ、楊文各かく官かん一轉いってん，餘よ推恩。詔みことのり賈似道どう開ひらき閫，以樞密行みっこう府ふ爲ため名めい。庚かのえ戌いぬ，有ゆう流星りゅうせい大だい如太白しろ。甲きのえ寅とら，故こ光ひかり祿ろく大夫たいふ賈涉諡おくりな忠ちゅう肅。壬みずのえ戌いぬ，復ふく安西あんざい堡。己おのれ巳み，荻浦おぎのうら海かい寇平，包つつみ恢進直ちょく龍りゅう圖ず閣かく，劉りゅう達いたる授橫行おうこう、帶おび遙はるか郡ぐん。李り性せい傳でん赴闕，以王堅かた爲ため興きょう元もと都みやこ統みつる兼けん知合しりあい州しゅう。

　　八はち月がつ乙おつ亥い，詔みことのり以前いぜん知ち閬州兼けん利とぎ西安しーあん撫なで王おう惟おもんみ忠ちゅう付づけ大だい理り獄ごく，尋ひろ命いのち台だい臣しん監かん鞫。辛からし巳み，徐じょ清きよし叟乞罷やめ機き務つとむ，詔みことのり不ふ允まこと。癸巳きし，謝しゃ方かた叔等上じょう《玉たま牒》、《日にち曆れき》、《會かい要よう》及《七なな朝あさ經けい武たけ要略ようりゃく》、《中興ちゅうこう四よん朝あさ志こころざし傳でん》，詔みことのり方かた叔、徐じょ清きよし叟、董ただし槐えんじゅ等とう各かく進すすむ秩。戊つちのえ戌いぬ，籍せき王おう惟おもんみ忠ちゅう家財かざい。

　　九きゅう月がつ辛からし亥い，祀まつ明あかり堂どう，大赦たいしゃ。辛からし酉とり，詔みことのり詣まい西にし太ふとし一宮いちのみや，爲國ためくに祈いのり祥さち，起居ききょ郎ろう牟子才ざい再さい疏諫而止。丙へい寅とら，詔みことのり戒外かいげ戚毋幹みき請。詔みことのり：山陰さんいん、蕭しょう山さん、諸しょ暨、會かい稽四縣けん水すい，其除今年ことし田租でんそ。丁ちょう卯しげる，太白たいはく晝ひる見み。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ庚午こうご朔ついたち，謝しゃ方かた叔等進しん寶たから祐ゆう編へん《吏部七司續降條令》。癸みずのと酉とり，皇子おうじ禥進封ふう忠ちゅう王おう。甲かぶと午うま，斬き王おう惟おもんみ忠ちゅう於都市とし。丁ちょう酉とり，追つい削そぎ余あまり玠資政まさし殿どの學士がくし，奪だつ余よ晦みそ刑部おさかべ侍さむらい郎ろう告つげ身み。戊つちのえ戌いぬ，段だん元もと鑒上隆りゅう慶けい堡戰功こう。

　　十一月じゅういちがつ壬みずのえ寅とら，日南にちなん至いたり。忠ちゅう王冠おうかん。丁未ていみ，大だい元城もとしろ光こう化か舊きゅう治ち。

　　十二月じゅうにがつ庚午こうご，排はい保ほ甲かぶと，行ぎょう自じ實み法ほう。癸みずのと未み，雷かみなり。四川しせん苦竹にがたけ隘捷至いたり。甲かぶと午うま，隆りゅう慶けい部ぶ兵へい周榮しゅうえい被ひ獲え歸き北きた，密約みつやく段だん元もと鑒入隘解圍かこえ，事こと覺さとし就禽，不屈ふくつ而死，馬うま徽、白しろ端はし戰歿せんぼつ。詔みことのり四川宣撫司爲之立廟。安西あんざい堡受攻五ご月がつ，將士しょうし力戰りきせん解かい圍かこえ，居きょ民みん以資糧かて助すけ軍ぐん實み。詔みことのり四川宣撫司具名推恩，在ざい城しろ人並ひとなみ賞しょう一いち資し，復ふく租賦五ご年ねん。余よ玠男如孫征せい所しょ認みとめ錢ぜに三さん千せん萬まん將しょう足あし。詔みことのり如孫削そぎ三さん秩、勒停。

寶たから祐ゆう三さん年ねん

　　三さん年ねん春はる正月しょうがつ己おのれ未み，迅雷じんらい。巴ともえ州しゅう捷とし至いたり。庚申こうしん，城じょう均ひとし州しゅう龍山たつやま。起居ききょ郎ろう牟子才ざい上じょう疏言：「元もと夜よる張ちょう燈とう侈靡，倡優下か賤，奇き技わざ獻けんじ笑わらい，媟汙清きよし禁きん，上うえ累るい聖德せいとく。今こん因いん震ふるえ霆示威じい，臣しん願ねがい聖ひじり明あきら覺悟かくご，天意てんい可か回かい。」帝みかど納おさめ其言。壬みずのえ戌いぬ，詔みことのり宗そう正ただし寺てら所しょ擬なずらえ宗子むねこ名めい，以用、宜むべ、季き、次つぎ、紹五ご字じ，續ぞく大だい、由ゆかり、友とも、嗣、甫はじめ之これ下か。

　　二に月がつ乙おつ亥い，詔みことのり右みぎ千牛衛上將軍乃猷授蘄州防禦使，奉たてまつ沂靖惠めぐみ王おう祠ほこら事ごと。兼けん給きゅう事ごと中ちゅう王おう野の言ごと：「國家こっか與あずか大だい元本がんぽん無む深ふか仇かたき，而兵連れん禍か結ゆい，皆原かいはら於入洛にゅうらく之の帥そち輕けい啟けい兵へい端はし。二に三狂妄如趙楷、全子まさこ才ざい、劉りゅう子こ澄きよし輩やから，輕けい而無謀むぼう，遂とげ致只輪わ不ふ返かえし。全子まさこ才ざい誕妄慘むご毒どく，今こん乃援劉りゅう子こ澄きよし例れい自じ陳ひね改正かいせい，乞寢二に人にん之の命めいじ，罷やめ其祠祿ろく，以爲喪も師し誤あやま國之くにゆき戒。」從したがえ之これ。己おのれ卯う，復ふく廣陵こうりょう堡城，賈似道どう以圖來らい上じょう。壬みずのえ午うま，詔みことのり發はつ緡錢二に百ひゃく萬まん給きゅう四川しせん調度ちょうど。乙おつ酉とり，詔みことのり以告身み、祠ほこら牒、新しん會かい、香こう、鹽しお，命いのち臨安府ふ守もり臣しん馬ば光こう祖そ收おさむ換かわ兩りょう界さかい舊きゅう敝會子こ。

　　三月さんがつ己おのれ酉とり，詔みことのり沿邊耕こう屯たむろ，課か入いれ登とう羨とも，管かん屯田とんでん官かん推賞すいしょう，荊襄、兩りょう淮及山砦さんさい如之。庚かのえ戌いぬ，邵武寇平。癸みずのと丑うし，詔みことのり自じ實み法ほう宜むべ寬ひろし期限きげん，監かん司し、守まもり臣しん其嚴戢吏奸，毋煩擾民。以吳淵ふち爲ため觀かん文ぶん殿どの學士がくし、京きょう湖こ制せい置おけ使し、知江ともえ陵りょう府ふ。己おのれ未み，雨あめ土ど。

　　夏なつ四よん月がつ乙おつ酉とり，以江萬里まり知とも福ふく州しゅう、福建ふっけん安やす撫なで使し。

　　五月ごがつ，久ひさ雨う。丁未ていみ，以監司し、州しゅう郡ぐん辟書冗濫，詔みことのり申さる嚴げん禁止きんし。己おのれ酉とり，李り性せい傳でん薨。辛からし酉とり，太陰たいいん入にゅう畢。嘉よしみ定てい大雨おおあめ、雹，與あずか敘南同日どうじつ地震じしん。浙西大水おおみず。

　　六ろく月がつ辛からし未み，大風おおかぜ。甲かぶと戌いぬ，太陰たいいん入にゅう氐。甲かぶと戌いぬ，李り全子まさこ松壽しょうじゅ葺舊海うみ城じょう，窺海道どう，賈似道どう調ちょう兵へい敗はい之の，敕書獎諭，趣おもむき上じょう立たて功こう等とう第だい、姓名せいめい推賞すいしょう。戊子ぼし，洪ひろし天てん錫すず劾內官かん盧の允まこと叔、董ただし宋そう臣しん，疏不報むくい，竟去，詔みことのり遷太常つね少しょう卿きょう。辛からし卯う，王おう野の以御史し胡えびす大昌だいしょう言げん罷やめ給きゅう事ごと中ちゅう，依よ舊きゅう端はし明あきら殿どの學士がくし、提つつみ舉洞霄宮。

　　秋あき七なな月がつ辛からし丑うし，太陰たいいん入にゅう氐。癸みずのと丑うし，以呂文德ふみのり知ち鄂州，節制せっせい鼎かなえ、澧、辰たつ、沅、靖やすし五ご州しゅう。丙へい辰たつ，謝しゃ方かた叔、徐じょ清きよし叟以御ご史し朱しゅ應おう元もと言げん罷やめ。辛からし酉とり，有ゆう流星りゅうせい大だい如太白しろ。詔みことのり三省樞府機政，令れい董ただし槐えんじゅ、程ほど元もと鳳おおとり輪わ日び判事はんじ取と旨むね。壬みずのえ戌いぬ，以謝方かた叔爲觀かん文ぶん殿どの大だい學士がくし、提つつみ舉臨安やす府ふ洞ほら霄宮。

　　八はち月がつ乙おつ丑うし朔ついたち，以董槐えんじゅ爲ため右みぎ丞相じょうしょう兼けん樞くるる密使みっし，程ほど元もと鳳おおとり簽書樞密院すうみついん事ごと、權けん參さん知ち政事せいじ，蔡抗爲ため端はし明あきら殿どの學士がくし、同どう簽書樞密院すうみついん事ごと，徐じょ清きよし叟資政まさし殿どの學士がくし、提つつみ舉玉隆りゅう萬壽まんす宮みや、任にん便びん居住きょじゅう。丁ちょう卯しげる，歲とし星ぼし、熒惑在ざい柳やなぎ。己おのれ巳み，太陰たいいん在ざい氐。馬うま光ひかり祖そ兼けん節制せっせい和かず州しゅう、無爲むい、安やす慶けい三さん郡ぐん屯田とんでん使し。丙へい子こ，鄭てい性せい之の薨。庚かのえ寅とら，福建ふっけん安やす撫なで江え萬里以台臣李衢言罷新命、提つつみ舉武夷えびす山沖やまおき佑たすく觀かん。辛からし卯う，應おう彳繇薨。

　　九きゅう月がつ甲かぶと午うま朔ついたち，雷かみなり。丙午ひのえうま，以徐清きよし叟爲資し政せい殿どの學士がくし、提つつみ舉洞霄宮。丙へい辰たつ，陳ひね顯あらわ伯はく兼けん資し善ぜん堂どう翊善，皮かわ龍りゅう榮さかえ兼けん資し善ぜん堂どう贊さん讀。壬みずのえ戌いぬ，權けん中書ちゅうしょ舍人とねり陳ひね大だい方言ほうげん：「劉りゅう子こ澄きよし端はし平ひら入洛にゅうらく之の師し，賈勇贊さん決けつ，北兵きたへい方かた入唐にっとう州しゅう界かい，子し澄きよし巳み率先そっせん遁逃，一いち敗はい塗ぬり地ち，二に十じゅう年來ねんらい，爲ため國家こっか患者かんじゃ，皆原かいはら於此，宜むべ投とう之の四よん裔。」詔みことのり罷やめ子こ澄きよし祠ほこら祿ろく。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ甲かぶと戌いぬ，太白たいはく晝ひる見み。丁ちょう丑うし，有ゆう流星りゅうせい出自しゅつじ畢。

　　十一月じゅういちがつ丁ひのと巳み，熒惑犯はん太ふとし微ほろ垣かき上相かみや星ぼし。

　　十二月じゅうにがつ乙おつ丑うし，嗣濮王おう善よし奐薨。丙へい子こ，少しょう傅でん、節度せつど使し與あずか歡薨，贈おく少しょう師し，追つい封ふうじ奉たてまつ化か郡ぐん王おう。

寶たから祐ゆう四よん年ねん

　　四よん年ねん春はる正月しょうがつ乙未おとみ，詔みことのり謝しゃ方かた叔奪職しょく罷やめ祠ほこら，謝しゃ修おさむ削そぎ三さん秩勒停。乙おつ巳み，太陰たいいん犯はん歲とし星ぼし。己おのれ酉とり，太陰たいいん犯はん熒惑。辛からし亥い，以吳淵ふち爲ため京きょう湖こ制せい置おけ使し兼けん夔路策應さくおう使し，軍馬ぐんば急きゅう切きり，便宜べんぎ行事ぎょうじ。庚申こうしん，蜀しょく閫奏捷とし。辛からし酉とり，詔みことのり史し嵩かさ之の觀み文ぶん殿どの大だい學士がくし，依よ前金まえきん紫むらさき光ひかり祿ろく大夫たいふ、永國ながくに公おおやけ致仕ちし。

　　二に月がつ戊つちのえ辰たつ，雨あめ雹。丙へい子こ，詔みことのり襲かさね封ふう衍聖公孫こうそん孔あな洙添差さ通どおり判ばん吉よし州しゅう，不ふ厘りん務つとむ。

　　三さん月がつ壬みずのえ寅とら，以少師し、嗣榮王おう與あずか芮爲太ふと傅でん。乙おつ卯う，日にち暈かさ周匝すさい。丙へい辰たつ，帝みかど制せい《字じ民みん訓くん》賜たまもの改あらため秩親民みん官かん。

　　夏なつ四よん月がつ庚午こうご，月がつ暈かさ周匝すさい。癸みずのと未み，以程元もと鳳おおとり參さん知ち政事せいじ；蔡抗同どう知ち樞密院すうみついん事ごと；賈似道どう參さん知ち政事せいじ，職しょく任にん依よ舊きゅう；李り曾伯資し政せい殿どの大だい學士がくし、福建ふっけん安やす撫なで使し；吳ご淵ふかし進しん二に秩，職しょく任にん依よ舊きゅう；吳ご潛せん沿海えんかい制せい置おけ使し、判はん慶けい元もと府ふ；馬ば光こう祖そ煥章閣かく直ちょく學士がくし，職しょく任にん依よ舊きゅう。

　　五月ごがつ甲かぶと午うま，孫まご夢ゆめ觀かん兼けん資し善ぜん堂どう贊さん讀，章しょう鑒兼資し善ぜん堂どう直じき講こう。先さき聖ひじり五十代孫孔元龍賜迪功郎，授初品ひん官かん。甲かぶと辰たつ，羅ら氏し鬼おに國こく遣や報むくい思おもえ、播言：大元おおもと兵へい屯たむろ大だい理り國こく，取と道みち西南せいなん，將はた大入おおいり邊べ。詔みことのり以銀萬まん兩りょう，使つかい思おもえ、播結約やく羅ら鬼おに爲ため援。徐じょ清きよし叟奪資し政せい殿どの大だい學士がくし、罷やめ祠ほこら祿ろく，王おう野の奪だつ端はし明あきら殿どの學士がくし罷やめ祠ほこら，仍褫執政しっせい恩おん數すう。丁未ていみ，太白たいはく晝ひる見み。詔みことのり申さる嚴いむ老ろう鼠ねずみ隘防戍。襄じょう、樊閫臣しん奏そう捷とし。甲きのえ寅とら，賜たまもの禮れい部ぶ進士しんし文ぶん天てん祥さち以下いか六ろく百ひゃく一いち人にん及第きゅうだい、出身しゅっしん有ゆう差さ。

　　六ろく月がつ甲かぶと戌いぬ，朱しゅ禩孫太たい府ふ寺てら簿ぼ、知ち瀘州兼けん潼川路ろ安やす撫なで，任にん責せめ瀘、敘、長ちょう寧邊にょんびょん防ぼう。浙江せっこう堤つつみ成しげる。癸みずのと未み，董ただし槐えんじゅ罷やめ。台たい臣しん丁ひのと大全たいぜん既すんで累るい疏擊之の，辭じ極ごく詆毀，且以台だい牒役隅すみ兵へい夜半やはん迫さこ槐えんじゅ出で關せき，物論ぶつろん殊こと駭；三學生屢上書以爲言，詔みことのり以槐爲ため觀かん文ぶん殿どの大だい學士がくし、提つつみ舉臨安やす府ふ洞ほら霄宮。詔みことのり程ほど元もと鳳おおとり、蔡抗可か輪わ日び判事はんじ，軍國ぐんこく重じゅう務つとむ取と旨むね。丁ちょう亥い，太白たいはく入にゅう井い。

　　秋あき七なな月がつ甲きのえ寅とら，知ち敘州史し俊しゅん調ちょう舟ふね師し與あずか大だい元もと兵へい戰せん，凡十じゅう三さん合ごう，詔みことのり俊しゅん官かん三さん轉てん，仍帶閣かく門もん行ぎょう宣せん贊さん舍人とねり。乙おつ卯う，以程元もと鳳おおとり爲ため右みぎ丞相じょうしょう兼けん樞くるる密使みっし，蔡抗參さん知ち政事せいじ，張ちょう磻端明あきら殿どの學士がくし、簽書樞密院すうみついん事ごと。

　　八はち月がつ甲子きのえね，程ほど元もと鳳おおとり上じょう疏言正せい心しん、待まち臣しん、進すすむ賢けん、愛あい民みん、備邊、守もり法ほう、謹微、審しん令れい八事やごと。

　　九きゅう月がつ壬みずのえ辰たつ，西南せいなん蕃しげる呂りょ告つげ蠻目寧やすし名めい天てん兄弟きょうだい慕義與あずか烏がらす蘇そ蠻合力りょく爲國ためくに禦難，詔みことのり各かく補ほ承うけたまわ信郎のぶお。丙へい申さる，知ち邕州程ほど芾以貪暴，詔みことのり削そぎ二に秩罷之の。甲きのえ寅とら，監かん察御史し朱しゅ熠言：「境さかい土ど蹙而賦ふ斂日繁しげる，官吏かんり增ぞう而調度ちょうど日び廣ひろ。景けい德とく、慶けい歷れき時じ，以三さん百ひゃく二に十じゅう餘よ郡ぐん之の財ざい賦ふ，供きょう一萬餘員之奉祿；今日きょう以一百ひゃく餘よ郡ぐん之の事こと力りょく，贍二に萬まん四よん千せん餘あまり員いん之の冗官じょうかん。邊あたり郡ぐん則すなわち有ゆう科か降くだ支ささえ移うつり，內地則そく欠かけ經常けいじょう納おさめ解かい。欲よく寬ひろし民力みんりょく，必汰冗員じょういん。」帝みかど納おさめ焉。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ壬みずのえ戌いぬ，太陰たいいん犯はん鬥。

　　十一月じゅういちがつ戊子ぼし朔ついたち，荊、襄じょう閫臣以功狀じょう來らい上じょう，詔みことのり推賞すいしょう將士しょうし。戊つちのえ戌いぬ，京きょう湖こ繼つぎ上じょう戰功せんこう。詔みことのり：「蜀しょく罹かか兵革へいかく，吾われ民みん重おも困こま，所ところ當とう勞ろう來らい撫なで摩ま，使つかい之の樂らく業ぎょう。比ひ聞官吏かんり乃肆誅求ちゅうきゅう，殊こと失しつ培つちかえ植うえ邦くに本ほん之の意い。自今じこん四川制司戒飭屬郡，違たがえ者しゃ罪ざい無む赦，御ご史し台だい其嚴覺さとし察。」乙おつ巳み，以監察御史し吳くれ衍、翁おう應おう弼劾太たい學がく武たけ學生がくせい劉りゅう黻等八はち人にん不ふ率りつ，詔みことのり拘かかわ管かん江西えにし、湖南こなみ州しゅう軍ぐん，宗そう學生がくせい與あずか亻匈等とう七なな人並ひとなみ削そぎ籍せき，拘かかわ管外かんがい宗そう正司せいじ。癸みずのと丑うし，以張磻同知ち樞密院すうみついん事ごと，丁ちょう大全たいぜん端はし明あきら殿どの學士がくし、簽書樞密院すうみついん事ごと，馬うま天たかし驥端明あきら殿どの學士がくし、同どう簽書樞密院すうみついん事ごと。詔みことのり戒群臣ぐんしん洗心せんしん飭行，毋縱於貨賄まかなえ，其或不ふ悛，舉行淳じゅん熙成法ほう。又また開國かいこく以來いらい勳くん臣しん之の裔，有能ゆうのう世よ濟ずみ其美而不世よ其祿者しゃ，所在しょざい州しゅう郡ぐん以聞。參まいり知ち政事せいじ蔡抗輒擅去國こく，勉つとむ留とめ不ふ返かえし，詔みことのり授職予よ祠ほこら，尋ひろ以林存そん言ごと，寢ね其命。

　　十二月じゅうにがつ戊つちのえ午うま朔ついたち，熒惑犯はん填はま星ほし。庚申こうしん，大だい元城もとしろ棗なつめ陽ひ。乙おつ丑うし，以張磻兼參さん知ち政事せいじ。甲かぶと戌いぬ，獎諭荊閫吳ご淵ふかし，其有功ゆうこう將士しょうし，趣おもむき上じょう姓名せいめい、等ひとし第だい推賞すいしょう。

寶たから祐ゆう五ご年ねん

　　五年春正月丁亥朔，以趙葵あおい爲ため少しょう保たもて、寧やすし遠とお軍ぐん節度せつど使し、京きょう湖こ宣撫せんぶ使し、判はん江こう陵りょう府ふ兼けん夔路策應さくおう大使たいし，進しん封ふう衛まもる國こく公おおやけ；賈似道どう進しん知ち樞密院すうみついん事ごと、職しょく任にん依よ舊きゅう；吳ご淵ふかし參まいり知ち政事せいじ；李り曾伯荊湖南みなみ路ろ撫なで使し兼けん知ち潭州；吳ご潛せん、趙ちょう與あずか𥲅各かく官かん一轉いってん。乙おつ巳み，雷かみなり。丙午ひのえうま，禁きん奸民作さく白衣はくい會かい，監かん司し、郡こおり縣けん官等かんとう失しつ覺さとし察者坐すわ罪つみ。辛からし亥い，吳ご淵ふかし薨，贈おく少しょう師し，諡おくりな莊そう敏さと。

　　二に月がつ戊つちのえ午うま，四川嘉定上戰功。以賈似に道どう爲ため兩りょう淮安撫なで使し。辛からし酉とり，命いのち趙ちょう葵まもる兼けん湖みずうみ廣こう總領そうりょう財ざい賦ふ，余よ晦みそ淮西總領そうりょう財ざい賦ふ。壬みずのえ戌いぬ，築ちく思おもえ州しゅう三さん隘。丁ちょう丑うし，布衣ふい余あまり一いち飛ひ、高こう杞陳襄じょう陽ひ備禦策さく，詔みことのり命いのち趙ちょう葵まもる行ぎょう之の。

　　夏なつ四よん月がつ丁ちょう卯しげる，詔みことのり襄じょう陽ひ安やす撫なで高だか達たち以白河しらかわ戰功せんこう，轉てん行ぎょう右みぎ武たけ大夫たいふ、帶おび遙はるか郡ぐん防禦ぼうぎょ使し；王おう登とう以沮河かわ督戰とくせん官かん一轉いってん，升ます直ちょく秘ひ閣かく，并職任にん依よ舊きゅう。己おのれ卯う，大元おおもと兵へい攻おさむ苦竹にがたけ隘，詔みことのり京きょう湖こ調ちょう兵へい應援おうえん。

　　閏うるう四よん月がつ己おのれ丑うし，程ほど元もと鳯等進すすむ《玉たま牒》、《日にち曆れき》、《會かい要よう》、《經けい武たけ要略ようりゃく》、及《中興ちゅうこう四よん朝あさ志こころざし傳でん》。甲かぶと午うま，詔みことのり徐じょ敏子としこ嚴いむ防ぼう邕、宜むべ。己おのれ酉とり，以吕文德ふみのり知ち靖やすし州しゅう，職しょく任にん依よ舊きゅう。祈いのり雨う。

　　五月ごがつ庚申こうしん，雨あめ。丁ちょう卯しげる，城しろ荊山，置おけ懷ふところ遠とお軍ぐん荊山縣けん。詔みことのり賈似道どう官かん兩りょう轉てん。戊つちのえ寅とら，詔みことのり京きょう湖こ、沿江、海道かいどう嚴げん備舟師し防遏ぼうあつ。辛からし巳み，復ふく劍けん門もん壘るい，賞しょう蒲がま擇よ之これ官かん兩りょう轉てん，朱しゅ禩孫、蒲かば黼、楊大淵ふち、韓かん勇いさむ各かく官かん四よん轉てん。壬みずのえ午うま，夏貴なつき正せい任にん吉よし州しゅう刺史しし、帶おび御ご器械きかい、鎮江駐ちゅう紮都統制とうせい、知ち懷ふところ遠とお軍ぐん。

　　六ろく月がつ丙へい戌いぬ，太白たいはく、歲とし星合ほしあい於翼。辛からし卯う，太陰たいいん入にゅう氐。丁ちょう酉とり，祈いのり雨う。馬うま天たかし驥以台だい臣しん言げん罷やめ，詔みことのり依よ舊きゅう端はし明あきら殿どの學士がくし、提つつみ舉臨安やす洞ほら霄宮。

　　秋あき七なな月がつ丙へい辰たつ，祈いのり雨う。戊つちのえ午うま，雨あめ。己おのれ未み，太白たいはく晝ひる見み。丁ちょう卯しげる，有ゆう流星りゅうせい大だい如桃。丙へい子こ，太陰たいいん入にゅう井い。

　　八はち月がつ丙へい戌いぬ，光ひかり化か軍ぐん奏そう捷とし。台うてな州しゅう火ひ。癸巳きし，詔みことのり謝しゃ方かた叔仍舊きゅう職しょく，蔡抗以資政まさし殿どの學士がくし並なみ領りょう祠ほこら在京ざいきょう。甲かぶと午うま，給きゅう事ごと中ちゅう邵澤等とう言げん謝しゃ方かた叔罪狀じょう，詔みことのり寢ね祠ほこら命いのち。丙へい申さる，京きょう城しろ火ひ。庚かのえ子こ，以張磻參知ち政事せいじ，丁ちょう大全たいぜん同どう知ち樞密院すうみついん事ごと兼けん權けん參さん知ち政事せいじ。己おのれ酉とり，史し嵩かさ之の薨，贈おく少しょう師し，諡おくりな莊そう肅。

　　九きゅう月がつ壬みずのえ子こ朔ついたち，詔みことのり今後こんご台だい臣しん遷他職しょく，輒出關せき，以違制せい論ろん，仍著爲ため令れい。辛からし酉とり，祀まつ明あかり堂どう，大赦たいしゃ。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ庚かのえ寅とら，張ちょう磻薨，贈おく少しょう師し。癸巳きし，雷かみなり。甲かぶと午うま，虹にじ見み。丁ちょう酉とり，以林存そん簽書樞密院すうみついん事ごと。庚かのえ子こ，詔みことのり皇子おうじ忠ちゅう王おう禥授鎮南、遂とげ安やす軍ぐん節度せつど使し，皇女おうじょ進しん封ふう升ます國こく公主こうしゅ。

　　十一月じゅういちがつ丙へい辰たつ，李り曾伯兼けん節制せっせい廣こう南みなみ，任にん責せめ邊べ防ぼう。乙おつ丑うし，獎諭安やす南國なんごく，賜金しきん器き幣ぬさ、香こう茗。乙おつ亥い，詔みことのり京きょう湖こ帥そち臣しん，黃き平ひらめ、清きよし浪なみ、平たいら溪けい分ぶん置おけ屯たむろ戍。庚かのえ辰たつ，詔みことのり三邊郡縣官毋擅離職守，諸もろ制せい帥そち臣しん其嚴糾察。

　　十二月じゅうにがつ壬みずのえ午うま，李り曾伯依よ舊きゅう資し政せい殿どの學士がくし、湖南こなん安やすし撫なで使し兼廣かねひろ南みなみ制せい置おけ使し，移うつり司つかさ靜江しずえ府ふ。丁未ていみ，熒惑入にゅう氐。

寶たから祐ゆう六ろく年ねん

　　六年春正月辛亥朔，以丁大全たいぜん參さん知ち政事せいじ兼けん同どう知ち樞密院すうみついん事ごと，林はやし存そん兼けん權けん參さん知ち政事せいじ。癸みずのと亥い，詔みことのり出で封ふう樁庫銀ぎん萬まん兩りょう付づけ蜀しょく閫。辛からし未み，詔みことのり授成穆きよし皇后こうごう弟おとうと太たい師し郭かく師し禹孫善ぜん庸いさお承うけたまわ務つとむ郎ろう，仍免銓注差さ。癸みずのと酉とり，罷やめ李り曾伯廣西ひろせ經略けいりゃく，以廣南みなみ制せい置おけ大使たいし兼けん知ち靜せい江府こうふ。其經略けいりゃく司し官かん屬ぞく，改あらため充たかし制せい司し官かん屬ぞく。甲かぶと戌いぬ，詔みことのり樞密院すうみついん編修へんしゅう官かん呂りょ逢年詣まい蜀しょく閫，趣おもむき辦關隘、屯たむろ柵しがらみ、糧かて餉，相そう度ど黃き平ひらめ、思おもえ、播諸處しょ險要けんよう緩急かんきゅう事ごと宜むべ，具ぐ工こう役やく以聞。戊つちのえ寅とら，雷かみなり。

　　二に月がつ辛からし巳み朔ついたち，以馬光こう祖そ爲ため端はし明あきら殿どの學士がくし、京きょう湖こ制せい置おけ使し、知江ともえ陵りょう府ふ，兼けん夔路策應さくおう、湖みずうみ廣こう總領そうりょう財ざい賦ふ屯田とんでん事ごと。壬みずのえ辰たつ，雨あめ土ど。

　　三さん月がつ辛からし亥い朔ついたち，祈いのり雨う。丙へい辰たつ，馬うま光ひかり祖そ請以呂りょ文德ふみのり、王おう鑒、王おう登のぼる、汪ひろし立たて信しん等とう充たかし制せい司し參議さんぎ官かん及辟制せい司し準備じゅんび差さ使つかい等とう官かん，詔みことのり光こう祖そ開ひらき閫之初はつ，姑しゅうと從したがえ所しょ請。戊つちのえ辰たつ，以馬光こう祖そ兼けん荊湖北きた路ろ安やす撫なで使し。庚午こうご，熒惑退すさ入にゅう氐。甲かぶと戌いぬ，詔みことのり湖北こほく提ひさげ點てん刑けい獄ごく文ぶん復ふく之の移うつり司し江え陵りょう，兼けん京きょう湖こ制せい司し參議さんぎ官かん。

　　夏なつ四よん月がつ庚かのえ辰たつ朔ついたち，詔みことのり：自じ冬ふゆ徂春そしゅん，天久あめく不ふ雨あめ，民みん失しつ東作ひがしさく。自じ四よん月がつ一いち日にち始はじめ，避殿減げん膳ぜん，仰おおせ答こたえ譴告。癸みずのと未み，程ほど元もと鳳おおとり等ひとし以久旱ひでり乞解機き務つとむ，詔みことのり不ふ允まこと。甲かぶと申さる，大雨おおあめ。丙へい申さる，群臣ぐんしん三さん表ひょう請御正殿せいでん，從したがえ之これ。丁ちょう酉とり，詔みことのり田た應おう己おのれ思おもえ州しゅう駐ちゅう紮御前ぜん忠ちゅう勝軍かちいくさ副ふく都と統制とうせい，往播州ばんしゅう共ども築ちく關せき隘防禦ぼうぎょ。己おのれ亥い，台だい臣しん朱しゅ熠劾沿江制せい置おけ副使ふくし呂りょ好こう問とい黃き州しゅう之の役やく貪むさぼ酷こく誤あやま事こと，詔みことのり褫職。乙おつ巳み，程ほど元もと鳳おおとり罷やめ，以觀文ぶん殿どの學士がくし判ばん福ふく州しゅう，尋ひろ提ひさげ舉洞霄宮。丙午ひのえうま，趙ちょう葵まもる三辭免福建安撫使，詔みことのり授醴泉いずみ觀かん使し兼けん侍讀じどく。丁未ていみ，以丁大全たいぜん爲ため右みぎ丞相じょうしょう兼けん樞くるる密使みっし，林はやし存そん同どう知ち樞密院すうみついん事ごと兼けん權けん參さん知ち政事せいじ，朱しゅ熠端明あきら殿どの學士がくし、簽書樞密院すうみついん事ごと。

　　五月ごがつ庚かのえ戌いぬ朔ついたち，詔みことのり襄じょう、樊解圍かこえ，高こう達いたる、程ほど大元おおもと應援おうえん，李り和かず城じょう守まもる，皆みな有ゆう勞ろう績，將士しょうし用命ようめい，深ふか可か嘉よしみ尚なお，其亟議ぎ行賞こうしょう激げき。癸みずのと丑うし，詔みことのり懷ふところ遠とお、漣さざなみ水すい相しょう繼つぎ奏功そうこう，夏貴なつき官かん兩りょう轉てん，兼けん河南かなん招撫使し。毛もう興きょう轉てん右みぎ武たけ大夫たいふ，並なみ依よ舊任きゅうにん。丁ちょう巳み，李り曾伯言ごと：「廣西ひろせ多た荒田あらだ，民みん懼增賦ふ不ふ耕たがやせ，乞許耕こう者しゃ復ふく三さん年ねん租，後ご兩年りょうねん減げん其租之の半はん，守もり令れい勸すすむ墾辟多た者しゃ賞しょう之の。」奏そう可か。丙へい寅とら，命いのち嗣榮王おう與あずか芮判大宗たいそう正せい事こと。丁ちょう卯しげる，嗣秀王師おうし彌わたる薨。

　　六ろく月がつ癸巳きし，台だい臣しん戴慶炣劾淮東總領そうりょう趙ちょう與あずか時とき，奪だつ職しょく鐫秩。

　　秋あき七なな月がつ庚かのえ戌いぬ，城しろ淩霄山さん，詔みことのり朱しゅ禩孫進一しんいち秩，易えき士し英えい帶たい行ぎょう閣かく門もん宣せん贊さん，餘よ轉てん官有かんゆう差さ。癸みずのと丑うし，熒惑犯はん房ぼう宿やど。戊つちのえ午うま，趙ちょう葵まもる四辭免醴泉觀使兼侍讀，乞外祠ほこら，從したがえ之これ。戊つちのえ辰たつ，蜀しょく郡ぐん劉りゅう整せい上うえ捷とし，詔みことのり推恩賞しょう。癸みずのと酉とり，知ち平江ひらえ府ふ余あまり晦みそ，以台臣しん戴慶炣言曩敗績於蜀しょく，誤あやま國くに欺君，詔みことのり奪だつ寶たから章あきら閣かく待まち制せい罷やめ任にん，追つい冒おかせ支ささえ官かん錢ぜに。甲かぶと戌いぬ，詔みことのり前ぜん福建ふっけん漕こげ臣しん高だか斯得已やめ奪だつ職しょく鐫官，其贓百ひゃく余あまり萬まん嚴げん限げん征せい償つぐなえ，以懲貪吏。乙おつ亥い，呂りょ文德ふみのり入にゅう播州ばんしゅう，詔みことのり京きょう湖こ給きゅう銀ぎん萬まん兩りょう。

　　八はち月がつ癸みずのと未み，太陰たいいん行ぎょう犯はん熒惑。戊つちのえ戌いぬ，詔みことのり上流じょうりゅう鎖くさり江こう防禦ぼうぎょ。癸みずのと卯う，詔みことのり申さる嚴げん倭やまと船入ふないり界かい之の禁きん。

　　九きゅう月がつ壬みずのえ子こ，詔みことのり蜀しょく、廣こう、海道かいどう申さる嚴げん防遏ぼうあつ。甲きのえ寅とら，詔みことのり安やす南みなみ情狀じょうじょう叵測，申さる飭邊防ぼう。戊つちのえ辰たつ，安やす豐上とよがみ戰功せんこう。有ゆう流星りゅうせい透とおる霞かすみ。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ丙へい子こ朔ついたち，詔みことのり蜀しょく中ちゅう將帥しょうすい雖未克復こくふく成都せいと，而暴露ろ日にち久ひさ，戰功せんこう亦また多た，宜むべ與あずか序じょ升ます，其亟條じょう具ぐ以聞。丁ちょう丑うし，以俞興きょう爲ため四川しせん制せい置おけ副使ふくし、知ち嘉よしみ定府じょうふ兼けん成都せいと安やすし撫なで副使ふくし。乙おつ酉とり，詔みことのり知ち隆りゅう慶けい府ふ楊禮守もり安西あんざい堡有功ゆうこう，官かん兩りょう轉てん。戊子ぼし，大元おおもと兵へい攻おさむ通どおり、泰たい州しゅう。庚かのえ寅とら，廣こう南みなみ劉りゅう雄飛ゆうひ奏そう橫山よこやま之の功こう，詔みことのり雄飛ゆうひ官かん三さん轉てん，部ぶ兵へい將校しょうこう官かん兩りょう轉てん。辛からし卯う，詔みことのり常つね州しゅう、江こう陰かげ、鎮江發はつ米まい振ふ贍淮民みん。

　　十一月じゅういちがつ己おのれ酉とり，林はやし存そん罷やめ，以資政まさし殿どの學士がくし知ち建たて寧やすし府ふ。癸みずのと丑うし，潁州上じょう戰功せんこう，詔みことのり亟推賞しょう，以示激げき厲。詔みことのり追つい復ふく余あまり玠官職しょく。甲きのえ寅とら，築ちく黃き平ひらめ，賜たまもの名めい鎮遠州しゅう，呂りょ逢年進一しんいち秩。詔みことのり撫なで諭さとし沿邊將士しょうし。丙へい辰たつ，給きゅう事ごと中ちゅう張ちょう鎮言：徐じょ敏子としこ曩帥廣こう右みぎ，嗜殺黷貨，流りゅう毒どく桂かつら府ふ。詔みことのり仍舊羈管隆たかし興おき府ふ。丁ちょう巳み，葉よう夢ゆめ鼎かなえ依よ舊きゅう職しょく知ち隆たかし興おき府ふ。壬みずのえ戌いぬ，以朱熠同知ち樞密院すうみついん事ごと兼けん權けん參さん知ち政事せいじ，饒にょう虎臣こしん端はし明あきら殿どの學士がくし、同どう簽書樞密院すうみついん事ごと，賈似道どう樞くるる密使みっし、兩りょう淮宣撫せんぶ使し。甲子きのえね，太陰たいいん犯はん權けん星ほし。丁ちょう卯しげる，東海とうかい失しつ守もり，賈似道どう抗こう章あきら引咎，詔みことのり令れい以功自じ贖，特とく與あずか放ひ罪つみ。甲かぶと戌いぬ，淮東帥そち臣しん奏そう大元おおもと兵へい退すさ。填はま星ほし、熒惑在ざい危。

　　十二月じゅうにがつ戊つちのえ寅とら，詔みことのり改あらため來年らいねん爲ため開ひらけ慶けい元年がんねん。庚かのえ辰たつ，大元おおもと兵へい渡わたし馬うま湖こ入いり蜀しょく，詔みことのり馬ば光こう祖そ時じ暫移司し峽かい州しゅう，六郡鎮撫向士璧移司紹慶府，以便策應さくおう。癸みずのと未み，房州ぼうしゅう上うえ戰功せんこう。丙へい戌いぬ，詔みことのり置おけ橫山よこやま屯たむろ。丁ちょう亥い，向むこう士し璧不俟朝命いのち進しん師し歸き州しゅう，捐貲百ひゃく萬まん以供軍費ぐんぴ；馬ば光こう祖そ不ふ待まち奏請そうせい招兵萬まん人にん。捐奉銀ぎん萬まん兩りょう以募壯士そうし，遂とげ有ゆう房州ぼうしゅう之の功こう。詔みことのり士し璧、光ひかり祖そ各かく進一しんいち秩。辛からし丑うし，詔みことのり李り曾伯城じょう築ちく關せき隘，訓練くんれん民兵みんぺい峒丁，申さる嚴げん防遏ぼうあつ。填はま星ほし、太白たいはく、熒惑合あい於室。

開ひらけ慶けい元年がんねん

　　開ひらき慶けい元年がんねん春はる正月しょうがつ乙おつ巳み朔ついたち，詔みことのり飭中外がい奉公ほうこう法ほう，圖ず實じつ政せい。馬うま光ひかり祖そ與あずか執政しっせい恩おん數すう。李り曾伯進しん觀かん文ぶん殿どの學士がくし。己おのれ酉とり，大元おおもと兵へい攻おさむ忠ただし、涪，漸やや薄うす夔境，詔みことのり蒲がま擇よ之これ、馬うま光ひかり祖そ戰せん守もり調ちょう遣や，便宜べんぎ行事ぎょうじ。辛からし亥い，詔みことのり：「戍蜀將士しょうし，頻しき年とし戰せん禦，暴露ばくろ可か閔。今こん申さる命いのち蒲がま擇よ之これ從したがえ優ゆう犒師，春はる防ぼう畢日即そく與あずか更さら戍，其輒逃歸にげかえ者しゃ從軍じゅうぐん令れい。」癸みずのと丑うし，詔みことのり呂りょ文德ふみのり城じょう黃き平ひらめ，深入ふかいり蠻地，撫なで輯有方かた，與あずか官かん三さん轉てん。庚申こうしん，詔みことのり知ち賓まろうど州しゅう呂りょ振ふ龍りゅう，知ち象ぞう州しゅう奚必勝しょう，兵へい至いたり聞風先さき遁，兵へい退すさ乃返，並なみ追つい毀出身しゅっしん文字もじ，竄遠郡ぐん。橫よこ州しゅう守もり臣しん劉りゅう清きよし卿きょう設しつらえ隘堅守けんしゅ，與あずか官かん一轉いってん。壬みずのえ戌いぬ，監かん察御史し章あきら士し元もと言げん謝しゃ方かた叔帥蜀しょく誤あやま國くに，詔みことのり方かた叔更與あずか鐫秩，其子修おさむ竄廣南みなみ。癸みずのと亥い，左ひだり司し諫沈炎えん言げん余あまり晦みそ壞蜀，幕まく屬ぞく李り卓たく、王おう克己かつみ濟ずみ惡あく斂怨，詔みことのり晦みそ、卓たく、克己こっき各かく奪だつ兩りょう官かん。丙へい寅とら，印しるし應おう飛ひ依よ舊きゅう職しょく知ち鄂州兼けん湖北こほく轉てん運うん使し。丁ちょう卯しげる，賈似道どう以樞密使みっし爲ため京きょう西湖南さいこみなみ北きた四川しせん宣撫せんぶ大使たいし、都と大だい提ひさげ舉兩淮兵甲かぶと、湖みずうみ廣こう總領そうりょう、知江ともえ陵りょう府ふ。蜀しょく帥そち蒲がま擇よ之これ以重兵へい攻おさむ成都せいと，不ふ克かつ。大元おおもと兵へい破やぶ利とぎ州しゅう、隆りゅう慶けい、順慶じゅんけい諸しょ郡ぐん，閬、蓬ほおけ、廣安ひろやす守將しゅしょう相しょう繼つぎ納おさめ降くだ，又また造みやつこ浮梁於涪州しゅう之の藺いの市し。戊つちのえ辰たつ，以李庭にわ芝しば權けん知ち揚あげ州しゅう。

　　二に月がつ乙おつ亥い朔ついたち，詔みことのり：「京きょう西にし提ひさげ刑けい王おう登のぼる提ひさげ兵へい援蜀，功いさお未み及成，齎志以歿，贈官ぞうかん五ご轉てん，致仕ちし恩おん外がい，仍官一いち子し。」庚かのえ辰たつ，以趙與あずか𥲅爲ため觀かん文ぶん殿どの學士がくし、兩りょう淮安撫なで制せい置おけ使し兼けん知ち揚あげ州しゅう。乙おつ酉とり，出で內庫緡錢三さん千せん萬まん助じょ邊あたり用よう。丙へい戌いぬ，以馬光こう祖そ爲ため資し政せい殿どの學士がくし、沿江制せい置おけ使し、江東こうとう安やす撫なで、知ち建たて康やすし府ふ、行宮あんぐう留守るす。己おのれ丑うし，詔みことのり蠲建康やすし、太平たいへい、寧やすし國こく、池州いけす、廣德ひろのり等とう處しょ沙すな田租でんそ。壬みずのえ辰たつ，詔みことのり蠲漣水軍すいぐん制せい司し所收しょしゅう屯たむろ田租でんそ。乙おつ未み，發はつ平ひらめ糶せり倉くら米まい三さん萬まん，減げん直ちょく振ふ在京ざいきょう民みん。辛からし丑うし，涪州報ほう大元おおもと兵へい退すさ。

　　三さん月がつ庚かのえ戌いぬ，詔みことのり印しるし應おう雷かみなり、黃き夢ゆめ桂かつら赴都堂どう稟議りんぎ。命いのち有司ゆうし縣けん重じゅう賞しょう募つの將士しょうし，毀藺市し浮梁。癸みずのと丑うし，詔みことのり：蜀しょく死し節ぶし臣しん、雲くも頂山いただきやま諸處しょしょ將士しょうし，鹹褒錄ろく其後。丁ちょう巳み，以呂文德ふみのり爲ため保ほ康やすし軍ぐん節度せつど使し、四川制置副使兼知重慶府。庚申こうしん，馬うま光ひかり祖そ奏そう大元おおもと兵へい自じ烏江からすえ還かえ北きた。辛からし酉とり，雨あめ土ど。

　　夏なつ四よん月がつ甲かぶと戌いぬ朔ついたち，以段元もと鑒、楊禮堅守けんしゅ城壁じょうへき，歿于王事おうじ，詔みことのり各かく贈おく奉たてまつ國軍こくぐん節度せつど使し，封ふう「二に字じ」侯ほう，立たて廟びょう賜たまもの額がく。致仕ちし恩おん外がい，更さら官かん一いち子し成忠しげただ郎ろう。丁ちょう丑うし，以向士し璧爲湖北こほく安やす撫なで副使ふくし、知ち峽かい州しゅう，兼けん歸き、峽かい、施ほどこせ、珍ちん、南平みなみだいら軍ぐん、紹慶府ふ鎮撫ちんぶ使し。甲かぶと申さる，詔みことのり：守もり合あい州しゅう王おう堅けん嬰城固守こしゅ，百ひゃく戰せん彌わたる厲，節義せつぎ爲ため蜀しょく列れつ城じょう之の冠かんむり，詔みことのり賞しょう典てん加か厚あつ。乙おつ酉とり，知ち施ほどこせ州しゅう謝しゃ昌あきら元もと自じ備緡錢ぜに百ひゃく萬まん，米麥べいばく千せん石せき，築ちく郡ぐん城有しろあり功こう，詔みことのり官かん一轉いってん。乙未おとみ，詔みことのり賜たまもの夏貴なつき溧陽田た三さん十じゅう頃ごろ。丙へい申さる，以呂文德ふみのり兼けん四川しせん總領そうりょう財ざい賦ふ。

　　五月ごがつ甲かぶと辰たつ朔ついたち，城しろ金きん州しゅう、開ひらき州しゅう。辛からし亥い，雨あめ雹。乙おつ卯う，達いたる州しゅう上呂じょうろ文德ふみのり等とう戰功せんこう，詔みことのり遷補有功ゆうこう將士しょうし。丁ちょう巳み，詔みことのり湖北こほく諸しょ郡ぐん去年きょねん旱ひでり潦にわたずみ饑ひだる疫，令れい江え陵りょう、常つね、澧、岳たけ、壽ことぶき諸しょ州しゅう發はつ義ぎ倉くら米まい振ふ糶せり，仍嚴戢吏弊へい，務つとむ令れい惠めぐみ及細民さいみん。乙おつ丑うし，行ぎょう開ひらけ慶けい通寶つうほう錢ぜに。辛からし未み，賜たまもの禮れい部ぶ進士しんし周あまね震ふるえ炎えん以下いか四よん百ひゃく四よん十じゅう二に人にん及第きゅうだい、出身しゅっしん有ゆう差さ。婺州大水おおみず，發はつ義よし倉くら米まい振ふ之これ。

　　六ろく月がつ甲かぶと戌いぬ，呂りょ文德ふみのり兵へい入いれ重慶たーちん。詔みことのり諭さとし四川軍民共奮忠勇，效こう死し勿去，有功ゆうこう行賞こうしょう，靡間邇遐。有能ゆうのう效こう順じゅん來らい歸き，悉當宥なだめ過か加か恤。仍獎呂りょ文德ふみのり斷橋だんきょう通どおり道之みちゆき功こう，命いのち兼けん領りょう馬ば軍ぐん行司ぎょうじ。辛からし巳み，以朱熠參知ち政事せいじ，饒にょう虎臣こしん同どう知ち樞密院すうみついん事ごと。丙へい戌いぬ，南平みなみだいら來報らいほう戰功せんこう。戊つちのえ戌いぬ，詔みことのり申さる嚴げん海道かいどう防禦ぼうぎょ。己おのれ亥い，詔みことのり獎諭賈似道どう。壬みずのえ寅とら，以李庭にわ芝しば直ただし寶たから謨閣、湖北こほく安やす撫なで副使ふくし兼けん知ち峽かい州しゅう。太白たいはく晝ひる見み。

　　秋あき七なな月がつ辛からし亥い，太白たいはく入にゅう井い。癸みずのと亥い，蔡抗薨，贈おく少しょう保たもて，諡おくりな文ぶん肅。以知播州ばんしゅう楊文、知ち思おもえ州しゅう田た應おう庚かのえ守もり禦勤勞きんろう，詔みことのり各かく官かん一轉いってん。

　　八はち月がつ甲かぶと申さる，以濠州しゅう統制とうせい張ちょう斌あきら柘塘之の戰たたかえ，歿于王事おうじ，贈官ぞうかん三さん轉てん，仍與一いち子し下か班はん祗應。乙おつ酉とり，降くだ人じん來らい言げん：大元おおもと憲けん宗そう皇帝こうてい崩くずし于軍中ちゅう。戊子ぼし，詔みことのり吳ご潛せん開ひらき閫海道どう，勤勞きんろう三さん年ねん，屢疏求もとめ退ずさ，仍舊觀かん文ぶん殿どの大だい學士がくし、判はん寧やすし國府こくふ、特進とくしん、崇たかし國こく公こう。辛からし卯う，命いのち呂りょ文德ふみのり兼けん湖北こほく安やす撫なで使し。庚かのえ子こ，太白たいはく犯はん權けん星ほし、熒惑。

　　九きゅう月がつ壬みずのえ子こ，賈似道表どうびょう言げん大元おおもと兵へい自じ黃き州しゅう沙すな武口たけぐち渡江とのえ，中外ちゅうがい震動しんどう。己おのれ未み，嗣濮王おう善よし騰あが薨。庚申こうしん，以吳潛せん兼けん侍讀じどく、奉たてまつ朝あさ請，戴慶炣端明あきら殿どの學士がくし、簽書樞密院すうみついん事ごと。下した詔みことのり責せめ己おのれ，勉つとむ諭さとし諸しょ閫進兵へい。壬みずのえ戌いぬ，詔みことのり出で內府緡錢千せん萬まん、銀ぎん五ご萬まん兩りょう、帛五萬まん匹ひき給きゅう宣せん司し，緡錢五ご百ひゃく萬まん、銀ぎん三さん萬まん兩りょう、帛三さん萬匹給沿江副司犒師。詔みことのり：已やめ命いのち御ご史し陳ちん寅とら趣おもむき淮東調ちょう兵へい五ご萬まん，應援おうえん上流じょうりゅう。癸みずのと亥い，趙ちょう葵まもる特進とくしん、觀かん文ぶん殿どの大だい學士がくし，封ふう衛まもる國こく公おおやけ，判ばん慶けい元もと府ふ、沿海えんかい制せい置おけ使し。命いのち侍さむらい御ご史し沈炎往沿江え制せい置おけ副ふく司つかさ趣おもむき兵へい援鄂渚なぎさ。再さい出で內庫緡錢五ご百ひゃく萬まん、銀ぎん二に萬まん兩りょう、帛二に萬まん匹ひき給きゅう兩りょう淮制司し，緡錢三さん百ひゃく萬まん、銀ぎん萬まん兩りょう、帛萬まん匹ひき給きゅう沿江制せい司し，以備軍ぐん賞しょう。戊つちのえ辰たつ，太白たいはく犯はん熒惑。己おのれ巳み，詔みことのり賈似道どう兼けん節制せっせい江西えにし、二に廣こう人馬じんば，通つう融とおる應援おうえん上流じょうりゅう。庚午こうご，合ごう州しゅう解かい圍かこえ，詔みことのり王おう堅けん寧やすし遠とお軍ぐん節度せつど使し，依よ前ぜん左ひだり領りょう軍ぐん衛まもる上じょう將軍しょうぐん、興きょう元もと府ふ駐ちゅう紮御前ぜん諸しょ軍ぐん都と統制とうせい兼けん知合しりあい州しゅう、節制せっせい軍馬ぐんば，進しん封ふう清水しみず縣けん開國かいこく伯はく。

　　冬ふゆ十じゅう月がつ辛からし未み朔ついたち，丁ちょう大全たいぜん罷やめ，以觀文ぶん殿どの大だい學士がくし判ばん鎮江府ふ。壬みずのえ申さる，以吳潛せん爲ため左ひだり丞相じょうしょう兼けん樞くるる密使みっし，進しん封ふう相國しょうこく公こう；賈似道どう爲ため右みぎ丞相じょうしょう兼けん樞くるる密使みっし，進しん封ふう茂しげ國こく公おおやけ，宣撫せんぶ大使たいし等とう如舊。癸みずのと酉とり，命いのち趙ちょう葵まもる爲ため江東こうとう宣撫せんぶ使し，馬うま光ひかり祖そ移うつり司し江え州しゅう應援おうえん鄂州，史し岩がん之の沿江制せい置おけ副使ふくし，移うつり司し壽ことぶき昌あきら軍ぐん應援おうえん鄂州。丙へい子こ，改あらため封ふう吳ご潛せん爲ため慶けい國こく公こう。丁ちょう丑うし，詔みことのり給きゅう還かえ浙西提ひさげ舉常平司へいじ歲さい收おさむ上じょう亭ちん戶ど沙すな地租ちそ二に百ひゃく萬まん，永えい勿復征せい。庚かのえ辰たつ，詔みことのり合ごう州しゅう圍かこえ解かい，宣せん閫制臣しん及二に三さん大將たいしょう之の功こう，宜むべ加か優賞ゆうしょう。呂りょ文德ふみのり授檢校こう少しょう師し，李り遇ぐう龍りゅう進すすむ三さん秩、權けん刑部おさかべ侍さむらい郎ろう，各かく賜金しきん幣ぬさ；將はた佐さ以下いか，進しん秩、賜金しきん有ゆう差さ。詔みことのり自今じこん月がつ十じゅう一いち日にち始はじめ，避殿減げん膳ぜん徹てっ樂らく。又また詔みことのり：「比ひ者しゃ蜀しょく道どう稍やや寧やすし，然しか干戈かんか之の餘よ，瘡かさ痍未復ふく，流離りゅうり蕩とろけ析，生なま聚何資し。咨爾旬しゅん宣せん之の寄よせ，牧まき守之もりゆき臣しん，輕けい徭薄賦ふ，一意いちい撫なで摩ま，恤軍勞ろう民みん，庶底興きょう復ふく。其被兵へい百姓ひゃくしょう，遷入城郭じょうかく，無む以自存じそん者しゃ，三省下各郡以財粟振之。」壬みずのえ午うま，御ご史し陳ちん寅とら言げん：知江ともえ州しゅう袁玠貪贓不悛，殘ざん賤州邑。詔みことのり削そぎ玠五秩、竄南雄おんどり州しゅう。癸みずのと未み，丁ちょう大全たいぜん落職、罷やめ新任しんにん。乙おつ酉とり，雷かみなり。丙へい戌いぬ，以趙葵あおい爲ため沿江、江東こうとう宣撫せんぶ使し，置おけ司し建たて康やすし，任にん責せめ捍禦。癸巳きし，向むこう士し璧權兵部ひょうぶ侍さむらい郎ろう、湖南こなん安やすし撫なで使し兼けん知ち潭州，任にん責せめ廣西ひろせ邊べ防ぼう。

　　十一月じゅういちがつ壬みずのえ寅とら，以朱熠權知ち樞密院すうみついん事ごと，饒にょう虎臣こしん、戴慶炣並權けん參さん知ち政事せいじ。癸みずのと卯う，呂りょ文ぶん福ぶく帶たい遙はるか郡ぐん防禦ぼうぎょ使し、河南かなん招撫使し、知ち淮安軍ぐん。詔みことのり追つい毀袁玠出身しゅっしん以來いらい文字もじ，除名じょめい不ふ敘，移うつり萬まん安やす軍ぐん。戊つちのえ申さる，詔みことのり求もとめ直言ちょくげん。辛からし亥い，舟ふね師し戰せん滸黃洲しゅう。乙おつ卯う，詔みことのり趙ちょう葵まもる授少保たもて、觀かん文ぶん殿どの大だい學士がくし、江東こうとう西にし宣撫せんぶ使し，進しん封ふう益えき國こく公おおやけ，其饒、信しんじ、袁、臨、撫なで、吉よし、隆りゅう興きょう官軍かんぐん民兵みんぺい，並なみ聽節制せっせい調ちょう遣や，諮はか訪おとずれ、罷やめ行くだり、黜陟皆みな得とく便宜べんぎ行事ぎょうじ。以緡錢ぜに五ご百ひゃく萬まん、銀ぎん五ご萬まん兩りょう給きゅう其用。丙へい辰たつ，詔みことのり選せん精銳せいえい招信、泗州千せん人にん，揚あげ州しゅう拱衛軍ぐん千せん人にん，安あん豐ゆたか、濠ほり州しゅう各かく千せん五ご百ひゃく人にん，赴京聽調遣や。庚申こうしん，夏貴なつき入にゅう見み，帝みかど撫なで勞ろう甚至。

　　閏うるう十じゅう一いち月がつ甲かぶと戌いぬ，詔みことのり出で內帑緡錢五ご千せん萬まん犒內外がい諸しょ軍ぐん。丁ちょう丑うし，以向士し璧爲湖南こなみ制せい置おけ副使ふくし，餘よ職しょく仍舊，賜金しきん帶たい。己おのれ卯う，熒惑入にゅう氐。癸みずのと未み，諸しょ將しょう陶すえ林りん、文通ぶんつう進しん兵へい有功ゆうこう，詔みことのり林りん帶たい行ぎょう遙はるか郡ぐん刺史しし，文通ぶんつう轉てん武功ぶこう大夫たいふ，賜たまもの銀ぎん有ゆう差さ。甲かぶと申さる，以印應おう雷かみなり爲ため軍ぐん器き監かん、淮西總領そうりょう財ざい賦ふ兼けん江東こうとう轉てん運うん判官ほうがん，呂りょ文德ふみのり檢校けんぎょう少しょう保たもて、京きょう西湖さいこ北きた安やす撫なで使し兼けん制せい置おけ使し、知ち鄂州兼けん侍さむらい衛まもる馬うま軍ぐん都と指揮しき使し。己おのれ丑うし，皮かわ龍りゅう榮さかえ兼けん資し善ぜん堂どう翊善。庚かのえ寅とら，陶とう林りん奏そう沼ぬま山寺やまでら戰功せんこう。癸巳きし，向むこう士し璧連以功狀じょう來らい上じょう。乙未おとみ，詔みことのり降くだ周しゅう震しん炎えん第だい四よん甲かぶと出身しゅっしん。丙へい申さる，賈似道表どうびょう：大戰たいせん數すう合ごう，皆みな有功ゆうこう。

　　十二月じゅうにがつ己おのれ亥い朔ついたち，賈似道どう言げん鄂州圍かこえ解かい，詔みことのり論功行賞ろんこうこうしょう。丁未ていみ，熒惑犯はん房ぼう宿やど、鉤かぎ鈐星。辛からし亥い，詔みことのり改あらため來年らいねん爲景ためかげ定元さだもと年ねん。壬みずのえ子こ，改あらため封ふう吳ご潛せん爲ため許もと國こく公おおやけ，賈似道どう爲ため肅國公こう。

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宋そう史ふみ